LARMES Column

クーラーなし生活で得たものは!【今日のエコ】

昨日の名古屋は暑かった!
日中の温度は30度を軽く超え、
テレビは熱中症に注意するようアナウンスしていた。
コンクリートだらけの我が家近辺では、
路面温度は一体何度になっていたのだろう。

もちろん、我が家もかなり暑い。
西陽を受ける時間帯が最も暑く、夕方の室内はサウナに近い。

が、昨年からクーラーなし生活を宣言している私は、昨日もクーラーをつけなかった。

マンションの9階で風が通るということもあり、慣れてしまえば過ごせるのだ。

地球環境を考える!とストイックにエコを推奨していたわけではないが、
昨年の今頃、たまたま見たNHKの番組がエコライフのきっかけになった。
「地球滅亡を回避せよ」というタイトルのフランスのテレビ番組なのだが、
約60年後(だったと思う)の世界各都市がどうなっているかを
映像技術を駆使してオムニバススタイルで見せてくれるもの。

幾つかの都市の中に、フランス・ボルドー地方の60年後があった。

かつて高級ワインで名を馳せたシャトーでは、温暖化影響でぶどうが育たなくなり、
ぶどうの木は枯れ、その代わりにオレンジ栽培を手掛けている。
代々続いたシャトーの跡継ぎである女当主が、
泣きながら枯れたぶどうの木を捨てるというシーンがあった。

我ながら不穏な発想だなとは思ったけれど、
「このままでは美味しいワインが地球からなくなる!」
という危機感にさいなまれ、
「明日からクーラーのスイッチを消そう!」と心に決めて、
今のところ、2年連続クーラーなし生活を実行しているのだ。

というわけで、暑い昨日もクーラーはなし。

夕方7時から、我が家で打ち合わせがあった。
ぬるい風が通る夕方は、お昼間の暑さを過ごした私にとっては快適この上ない。
なので、お客さまが来るというのにクーラーはつけなかった。

でも、お客さま(という仲ではない人ばかりだけど)にとっては、
暑くて仕方のない家だったようで、皆さん「暑い暑い」を連発していた。

ごめんなさい、皆さん、我が家、暑いんですわ。

人が集う時くらいは、クーラーつけないといけないかなぁ・・・。
と反省しつつ、今朝、なにげにサボテンを見たら・・・。

なんと、新芽が3つも出ているではないですか!(写真参照)
つい3日前までは確か何も出ていなかったはず。
ということは、ここのところの暑さで一気に芽を出したということ?

サボテンって確か、空気清浄効果があるんだよね?
電気代をかけずに空気を清浄化できるなんて、これまたエコじゃないですか。
クーラーつけてたら新芽は出なかったかも(かなり勝手な発想だけど)!

というわけで、都会の真ん中でもできるコトはたくさんあるのです。


上田の姉弟職人【伝統工芸の職人たち】

昨日は滅多にしない朝5時起床で、信州・上田へ。
ここのところ、やたら信州づいている。
10日おきくらいに中央高速を走って信州と名古屋を行き来し、
あちこちのサービスエリアで休憩するので、
長野の特産品リストがすっかり頭の中に入ってしまった。

採れたばかりの新鮮野菜をはじめ、幻豚、おやきなど、
「昔は売ってなかったような」特産品が陳列してあるのを見ると、
サービスエリアが新たなマーケットになっているのを実感する。

この日は、「農家のドリンクヨーグルト」なるものを横目に見ながら、ぐっと我慢。
(おなかが痛くなると困るので)

10時半には目的地の上田市に到着した。
上田は紬の有名な産地で、今でも手織りにこだわる工房がある。

三代続く紬工房で、新しい上田紬の可能性にチャレンジする職人を訪ねた。
ここでは、姉と弟が次代の職人として奮闘しているのだ。
高齢のおばちゃん職人に混じり、
生き生きと体を動かし、美しい色の世界で糸を手繰り寄せる姿は、
誇りと自信に満ちあふれていた。

後継者がいないと嘆くことの多い着物制作の世界で、
祖母・父親と受け継いできた紬の仕事を次代に繋ごうとする職人の
意気込みがオーラとして出ていたんだと思う。

こだわればこだわるほど、
経済的には立ちゆかないことが多いのが伝統工芸や着物の世界。
本物の美しさを求めるなら、日本の素材で日本伝統の技術を用いるべきだが、
コストがかかりすぎるため、中国などで生産されてしまうこともある。
当然、安価にはなるが、仕上がりは期待できない。
このパラドックスを止めるには、どうしたらいいんだろう?

各地の美味しい名産品が
サービスエリアという新しいマーケットで人気になるように、
(あまりにも陳腐な例えで申し訳ないけれど)
日本の美の表現者たちが、もっと正当に評価され、
新しいマーケットが開かれて、
モノが売れ、長く愛されることをひたすら願う取材となった。

着物の世界だって、フェアトレードを考えるべき対象なんじゃないのかな。



蕎麦焼酎の蕎麦湯割りに思うこと【一杯の幸せ】

知人のイラストレーターから届いた一枚のハガキがきっかけで、
およそ30年ぶり!に、中学校の時の同級生と再会することができた。
今夜は、その彼女・えりちゃんと、
女2人でしっぽり飲もうということになり、
3週間前に友人がオープンしたばかりのお蕎麦屋さんをセレクト。

名古屋・伏見の和蕎楽(わそら)は、お蕎麦はもちろん、
一品料理もかなりイケてる味で、
開店以来すっかり行きつけになってしまった。
オーナーの恵子さんとは、およそ10年ほど前からの知り合いで、
行く先々でご縁があり、今に至っている。

和蕎楽でビールの後にいただいたのが、この一杯。
天山戸隠という蕎麦焼酎を、とろとろの蕎麦湯で割ったものだ。
焼酎と蕎麦湯のバランスが良く、しゅるしゅると呑み進んでしまった。

100%のオレンジジュースと同じ要領で、
下部になればなるほど蕎麦湯が濃くなっていくので、
残り3センチくらいになると、蕎麦の香りと味わいが一層強くなる。
お雑煮のお餅が溶けてお椀の底に溜まったおつゆのようだった。

美味しいお料理と粋な味わいの蕎麦をぺろりとたいらげ、
30年ぶりに再会した女二人のよもやま話は尽きることなく、
気づくと閉店の時間が・・・。

名残惜しい思いでお店を後にし、
「今度は地元で会おうね!」と言葉を残して、
えりちゃんは地下鉄の階段に吸い寄せられるようにして、消えていった。

彼女は、階段をおりる時、後ろを振り返らなかった。
女同士にありがちな「じゃあねぇ〜〜」と振り返りながら
手を振るあの仕草がなかったのである。

私はすこぶる気分が良かった。
この時、感じた心地よさはなんだったのだろう。

彼女は、今度いつ会えるかわからない人ではなく、
必ず近いうちにまた会えるという確信に満ちた人なのだと思う。
だから、彼女も後ろを振り返らなかったし、
それを心地よいと思える自分がいたのではないだろうか。

蕎麦焼酎の蕎麦湯割りと同じで、
これからの人生はどんどん濃くなりそう!
それならば、気の置けない仲間と共に楽しく過ごしていきたいなと思う。

蕎麦焼酎の蕎麦湯割りで例えるなら、
今の立ち位置は、どのあたりかな。
下から5センチくらいかしら???
それとも、上から5センチ?
いずれにしても、どんどん濃密な人生になっていく気配です。


須田菁華さん 九谷焼【伝統工芸の職人たち】

加賀百万石・前田藩のお膝元で花開いた武家文化。
陶芸では九谷焼がその代表で、金沢の近辺には多くの窯がある。

九谷を代表する陶芸家・須田菁華さんにお会いしたのは、
今から5年ほど前になる。

九谷五彩と呼ばれる色を操り、自由な形に特徴のある作家だ。

山代温泉の中心地に、須田さんの窯元はあり、
時代のかかった建物の中で、作品を見せていただいた。

掌に置いて眺めていると、
どことなく、ゆるい、という印象を受けた。

取材記事にも、素直にそう書いた。

怒られるかな?と思ったら、意外に校正は直しもなくすんなり終わった。
何も言われなかったところをみると、
須田さんご自身も、「ゆるさ」を認識されているのだろうか。

もちろん歪んでいるわけではないけど、
定規ではかったような几帳面なラインじゃない。
それが安心できるのだ。

きちっと型にはまったようにきれいに成形された器って、
食べていても緊張するんじゃないかな。

取材の帰り際「いつとは言えないけど、必ず買いに来ます!」と
申し出ると、須田さんはなんとも言えない静かな笑顔で、
「待っていますよ」と答えてくれた。

それから約4年後、友人おすすめの山代温泉に宿をとり、
(そこは大変良いお宿でした、後日アップします)
須田さんを訪ねることができた。
えへん、須田さんとの約束を果たしたのである。

写真は、その時に買ったもの。
わかります?
ね、ちょっとゆるい、でしょ?

上が銘々皿。
下が豆皿。

須田さんの器は、はっきりいってかなり高価だけれど、
「ゆるさ」のおかげなのか、
使っていると安心感があって、緊張することがない。

いろいろな方にお会いすることが日常のコピーライターにとって、
「今度はプライベートでお邪魔したい」と思える取材対象は、
貴重な存在だ。
出来ればそんな風に思える方ばかりを取材したい、と思う一方、
気に入った作家の作品は大体値段も良いので、お財布は苦しくなる。

「あ〜これでまたギャラ使っちゃった・・・」ということもしばしば。
ミイラ取りがミイラになってばかりいるので、
我ながら、まったく困ったものなのだ。



お酒はお酒でも・・・【一杯の幸せ】

栗のお菓子で有名な長野県・小布施に取材にうかがった。
慌ただしく仕事を終え、取材先のお酒屋さんに入り、
スタッフ皆でお買い物タイム!
このお店の奥には、日本酒を試飲するカウンターがある。
ディレクターS氏が、カウンターで飲んでいるのを発見したので、
まさか仕事中にお酒飲んでるの?と思いつつ接近すると、
なんと彼が飲んでいたのは「甘酒」だった。
酒造メーカーのお店だから、酒粕を有効利用して作った甘酒があったのだ。
S氏につられて、女性陣も一緒に、きりっと冷えた甘酒をいただいた。
甘すぎず、ねばっこくなく、さらりとした飲み口にビックリ。


皆さん、甘酒って冬のものだと思ってませんか?
実は、俳句では、甘酒は夏の季語なのです。

昔の人は、夏バテしそうな時に甘酒で滋養を摂り、
暑い夏に備えて体力を温存していたのだとか。
だから、甘酒と言えば、夏の栄養ドリンクだったというわけ。

夏バテもせず、ばりばりに体力を温存していた私が、
滋養たっぷりの甘酒いただいてしまい、
一体どうなることやらと思ったけど、
おかげさまで、この日の夜はぐっすり眠ることができた。
多分、きりっと冷えた甘酒が、
私を「おとなしくさせてくれた」のだと思っている。


夏のひとし 名古屋・ふぐ【200字で綴る美味の想い出】

夏になると、ひとしのメニューは様変わりする。夏のふぐは、それはそれで滋味があって美味しいが、お客を寄せるためには当然ながら別メニューが必要だ。おこぜ、あわび、はまぐり、かわはぎなどを、丁寧に調理するので、ひとしの日本料理店としての真骨頂は夏の方が味わえる、と言ったら過言だろうか。ふぐで鍛えられた技術で、それぞれの魚の身、肝、皮が見事なまでに仕込まれ、美味しさを最大限に引き出した逸品となる。



※いわゆるグルメブログは、多くのブロガーの方々にお任せするとして。ここでは、愛してやまないお店、あるいはたった一夜の素晴らしい記憶について、200字の文章で綴りたいと思います。お店や写真のデータなどは記載いたしませんので、来訪希望の方は申し訳ありませんがご自身でお調べください。


川原町泉屋 岐阜・鮎料理【200字で綴る美味の想い出】

鮎の昆布巻きや一夜干しなどの加工品の生産を岐阜の地で長く商う泉屋が、長良川沿いの古い街に鮎料理のお店を出した。個人的には日本一だと思っている和良川や長良川上流の鮎を、独自の方法で約30分かけて焼く。焼き台はわずかに傾斜し、頭が低く尾が高い。身の脂が頭に流れ、鮎自らの脂で頭部分がいぶされるように工夫されているのだ。頭から骨まで食べられる絶品の塩焼きとなる。締めには、一夜干しがのった鮎ラーメンを是非。



※いわゆるグルメブログは、多くのブロガーの方々にお任せするとして。ここでは、愛してやまないお店、あるいはたった一夜の素晴らしい記憶について、200字の文章で綴りたいと思います。お店や写真のデータなどは記載いたしませんので、来訪希望の方は申し訳ありませんがご自身でお調べください。


畳は涼し。【暮らしの発見】

暑い日曜日だった。
今日は実家で過ごす、のんびりの休日。

皮張りのソファに座っていたら、知らぬ間に体がねっとり。
そのねとねと肌を冷やすように、日本間でごろんと横になった。
畳がひんやりと冷たくて気持ちがいい。

吉田兼好が「住まいは夏を旨とすべし」とかなんとか書いたんだった、確か。
日本の住宅は、蒸し暑い夏を基本に設計するべきだという意味らしい。
昔の人はよく考えてたんだなぁ。

日本家屋には庇があって、
夏の日光が家の中に入らないように出来ているから、
風が通れば、実は涼しいのだ。
冬になると、太陽は低い位置で地上を照らすので、
夕暮れの頃まで日光が部屋の中まで入って温かい。

それに比べるとマンションの造りには季節感がないのかも。

ねっとりしていた肌は、
涼しい畳になじんで気持ちよくなり、
知らないうちにうたた寝してしまったみたいだ。

お夕飯よ〜、遠くの方で母の声がする。
サザエさんのエンディングテーマも聞こえてきた。
小学生に戻ったようで、幸せな気分だった。


黄先生の秘蔵酒【一杯の幸せ】

半月ほど前、福井の農哲学院を主宰している黄先生を訪ねた時のこと。
ロンドンにもうすぐオープンする「いただき膳」の試作メニューを、
試食させていただき(ここでは書ききれないのでまた後日アップします)
食後2時間ほどしてから、おもむろに黄先生が出してくださったのが、
この秘蔵酒!
お酒? それともジュース?
お酒としてはわずかに未完成な感じがするが、
酸味と甘みのバランスが良く、果実酒であることは間違いないなと思った。
さらに、じんわりと体に染み渡るような感覚に驚く。
じっと考えていると、隣に座っていた江場さんがいたずらっ子のような顔で
お酒の中身を見せてくださった。
これは、黄先生の畑で見事な実をつけている葡萄のお酒だったのだ。
やられた〜。
お昼間に葡萄の実をしげしげと眺めていた私を、
江場さんがにやにやしながら見ていたのは、こういうわけだったのか〜!
彼の「秘蔵酒があるんだよ」の言葉につられて福井までやってきた私。
江場さんは、私の魂胆を最初から見抜いていたというわけだ。

ちなみにグラスを持っている真っ黒(笑!)な手は、
最近農業にすっかりはまっている江場さんの手です。


ルマルタンペシュール 名古屋・フレンチ【200字で綴る美味の想い出】

ひと皿の料理に一杯のワイン、その芸術的一致に陶然とする瞬間がここに在る。ストイックなまでに追求された料理とワインのハーモニーは、前菜で軽やかに、魚や肉でインパクトを、そして最後のデザートでもしっかりと印象強く味わえる。例えば魚や肉に白と赤の2種類、デザート3種にワイン3種、というワガママな注文に嬉々として応えてくれるので、ついつい調子にのってしまうのだ。自分なりの楽しみ方を見つけるのが、このお店の醍醐味だと思う。



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