伝統工芸の職人たち

上田の姉弟職人【伝統工芸の職人たち】

昨日は滅多にしない朝5時起床で、信州・上田へ。
ここのところ、やたら信州づいている。
10日おきくらいに中央高速を走って信州と名古屋を行き来し、
あちこちのサービスエリアで休憩するので、
長野の特産品リストがすっかり頭の中に入ってしまった。

採れたばかりの新鮮野菜をはじめ、幻豚、おやきなど、
「昔は売ってなかったような」特産品が陳列してあるのを見ると、
サービスエリアが新たなマーケットになっているのを実感する。

この日は、「農家のドリンクヨーグルト」なるものを横目に見ながら、ぐっと我慢。
(おなかが痛くなると困るので)

10時半には目的地の上田市に到着した。
上田は紬の有名な産地で、今でも手織りにこだわる工房がある。

三代続く紬工房で、新しい上田紬の可能性にチャレンジする職人を訪ねた。
ここでは、姉と弟が次代の職人として奮闘しているのだ。
高齢のおばちゃん職人に混じり、
生き生きと体を動かし、美しい色の世界で糸を手繰り寄せる姿は、
誇りと自信に満ちあふれていた。

後継者がいないと嘆くことの多い着物制作の世界で、
祖母・父親と受け継いできた紬の仕事を次代に繋ごうとする職人の
意気込みがオーラとして出ていたんだと思う。

こだわればこだわるほど、
経済的には立ちゆかないことが多いのが伝統工芸や着物の世界。
本物の美しさを求めるなら、日本の素材で日本伝統の技術を用いるべきだが、
コストがかかりすぎるため、中国などで生産されてしまうこともある。
当然、安価にはなるが、仕上がりは期待できない。
このパラドックスを止めるには、どうしたらいいんだろう?

各地の美味しい名産品が
サービスエリアという新しいマーケットで人気になるように、
(あまりにも陳腐な例えで申し訳ないけれど)
日本の美の表現者たちが、もっと正当に評価され、
新しいマーケットが開かれて、
モノが売れ、長く愛されることをひたすら願う取材となった。

着物の世界だって、フェアトレードを考えるべき対象なんじゃないのかな。