徒然なるお仕事

ルーブル美術館特別展 漫画、9番目の芸術【徒然なるお仕事】


今日から「ルーブル美術館特別展 漫画、9番目の芸術」が名古屋・松坂屋美術館でスタートした。ルーブルと漫画???と思いますよね。私もそうだった。フランス語圏には、バンド・デシネ(BD)と呼ばれる漫画文化があり、絵画のように緻密で技巧に富んだ作品が多いことから、フランスでは9番目の芸術と位置づけられているのだとか。
日本で生まれた漫画が、芸術の都で評価され、アートとして認められて一つのジャンルを確立する日が来るとは・・・。子供の頃、漫画ばかり読んで親に怒られた経験がある世代にとってはびっくり仰天な、そして同時に誇らしい思いでいっぱいなのである。
そしてとうとう、世界最高峰の美術館であるルーブルが現代アートとして漫画に注目し、ルーブルが日本人を含む才能ある漫画家を招待して、ルーブルをテーマに作品を描いてもらう「ルーブル美術館BDプロジェクト」がスタートしたというのだから、再び驚く。


このプロジェクトの全容を見せてくれるのが、今回の展覧会なのだ。16人の漫画家の原画、資料、特別映像などが紹介されている。ルーブルを舞台にしたミステリアスな漫画あり、恋愛ものあり、不思議な物語あり。フランスで漫画がどんな昇華を遂げて、一つの芸術となったのかを探るには、絶好の作品群というわけ。一人一人の作家の作品をじっくり読み込んで観るなら、大げさじゃなく2時間は必要だと思う。お出かけになる方は是非ゆっくり時間をとってご覧になるといいんじゃないかな。


ちなみに、9番目の芸術、というのだから漫画以外に8つの芸術がきになるところですよね。諸説あるものの、フランスにおける芸術の序列は、1から8が以下の通りなのだとか。建築、彫刻、絵画、音楽、文学(詩)、演劇、映画、メディア芸術。


お土産コーナーも楽しい。オリジナルグッズがいっぱいで、さすが漫画が題材になっているだけあって、作品がTシャツやマグカップやトートバッグなどに。手ぬぐいやポチ袋も漫画柄だったので、これはフランスで絶対に売れるなーと妄想しつつ購入しました笑。


そして展覧されてた作品の中でも特に気になったのが、荒木飛呂彦による「岸辺露伴ルーブルへ行く」。この展覧会のもっとも優れたところは、気に入った作品はBDとして購入できちゃうところなんです。普通、松坂屋美術館で展覧されている作品を購入しようとすればそれなりのお金を用意しなくちゃいけないけど、原画でない限り、漫画という作品であれば、私のお小遣いでも余裕で買える。というわけで、荒木飛呂彦さんのBD作品を購入したというわけ。ハードカバーで大きいけど、フルカラーで2667円ならかなりお値打ちな「アート」だと思う。ああ、まだゆっくりもう一度観たい。また行ったら別の作品を買っちゃうかもしれない。でも、それでもお小遣いで買える範囲だから、と自分に言い聞かせて、会期中にまた出かけようと思っている。松坂屋美術館で9/3までの開催。


間ぬけたらええねん【徒然なるお仕事】


新神戸から有馬温泉にいく電車旅。
谷上の駅で
ひとつ向こうのホームへ行くのに
階段つかわんでええで!
間の電車を通り抜ければええねん!
と地元の人が教えてくれました。
はー!
確かに!
合理的やわー。
#取材だけど風景は楽しめる
#取材
#電車旅
#ラルムの仕事


ピカソを愛したかもしれない女たち【徒然なるお仕事】


「アナタって、サイッテーの男ね」と殿方に向かって言い放ったことがあるご婦人は、どれくらいいらっしゃるんだろう? 口に出したかどうかは別にして、おそらく心の中で叫んだことなら、多くの女性に経験があるのではなかろうかと思う。女性に、サイッテー!と言われる男性、概して一芸に秀でた男性にこそ、そういう傾向にあるように思う。20世紀最大の芸術家であるパブロ・ピカソはその最たる人ではないだろうか。


現在、名古屋市の中心部・栄の愛知県美術館で開催中の【ピカソ、天才の秘密】では、ピカソの少年期から青年期の作品を観ることができる。幼少期とは思えないほど完成度の高いデッサン、いわゆる青の時代、そしてバラ色の時代の作品、キュビズムへと進行する以前の作品群が集められているのだ。
青の時代は、親友の自殺や貧困によって精神的に追い込まれた時代。その数年後にやってくるバラ色の時代は、絵が売れ始めて仲間との交流があり、さらに新しい恋人ができて文字通りバラ色の人生を送っていた時代。天才と呼ばれたピカソは意外に単純で解りやすい変遷を経ていることがわかる。さらに一時期はゴッホの真似をして描いていたこともあり、それらの珍しい作品も展覧されている。今まで日本にやってくることも語られることも少なかったピカソの作品ばかりなので、観た人の多くは、ピカソってこんな作品描いていたのね?と驚かれるんじゃないかと思う。


これはかの有名な洗濯船(Le Bateau Lavoir)と呼ばれた芸術家の集まった場所。ピカソがパリに出てきて、数多くの芸術家たちと交流し、刺激を受けながら、おそらく複数の女性たちとも交わりながら笑、キュビズムへと駆け上がった頃。その時代の作品もいくつか展示されている。青の時代のあたりから、複数の女性との付き合いはあったそうで、女性がモデルになった作品の女性の顔は、なんと同時進行している二人の女性の顔のパーツを組み合わせて描き、二人の女性にわざとヤキモチを焼かせたりしてたんですって、このサイッテー男は。


それでもピカソは女性に愛されたし、90代で没するまでずっと恋愛をし、創作し続けたのだそう。最後の言葉は、女性っていいもんだよ、だったとか。この人間的なピカソの一面を、作品を通してご覧になりませんか?きっと「私もピカソを愛したかもしれない」と思っちゃうかもしれません。サイッテー!だと知りつつも、才能のある人の魅力というのは、計り知れないからね。


こちらは年末に行われた
ピカソ、天才の秘密
のレセプション。
財界のおじさまたちがいっぱいでびっくりしました。


【ピカソ、天才の秘密】
3月21日(祝)まで、愛知県美術館にて開催中。

#ピカソ、天才の秘密
#ピカソを愛したかもしれない女たち


魔女の秘密展 名古屋会場【徒然なるお仕事】


皆さん、もうご存知ですよね?
「魔女の秘密展」
http://majo-himitsu.com/top.html
春の大阪を皮切りに全国のミュージアムで開催されている展覧会で、現在は名古屋・桜山にある名古屋市博物館で絶賛会期中のもの。本展の名古屋会場におけるPRプランを私が担当しており、せっせとPR活動をさせていただいておりまする。名古屋会場の特別サポーターとして10人の魔女にご登場いただき、それぞれの魔女活動がFacebookを中心に展開されているので、ご覧になった方、生け贄(笑)になった方も数多くいらっしゃると思う。
10人の魔女については↓こちら↓
http://majo-himitsu.com/news/detail.php?nid=MjU_


さて、では一体どんな展示物があるのかというと・・・。

こんな怖そうなのとか!


これも怖そう!

なんと、魔女と告発された女性が座らされた
トゲだらけの椅子!!!


これはなんと印刷機!
印刷技術の発展によって情報の流布が一気にスピードアップした時代、
魔女のイメージが一般庶民に広く知れ渡っていったのだとか。
印刷技術の進歩がそんなところに影響していたとは!


佐々木蔵之介さんナレーションによる音声ガイドが会場に用意されているので、ぜひお試しいただきたい。お子様やファミリー向けの白猫バージョンと、一部過激な表現も含まれていてちょっと怖い黒猫バージョンがあるので、ぜひ黒猫を(笑)!


そして、本展のキャッチコピーになっているのが「魔女とは誰だったのか」。この答えを探しながら魔女の秘密展を観覧すると、いろいろな想いが巡るのではないかと思う。当時の魔女と呼ばれていた人の多くがごく普通の女性たちで、中には薬草の知識を持つ人もあり、産婆さんや今でいう看護師のような役割として活躍していた人もいたという。専門知識を持つ賢い女性が、なぜ魔女として密告され、拷問を受けなければならなかったのか。そこには、今も昔も変わらぬ妬みの意識構造が社会の奥底にねっとりひっそり横たわっている。


私もある人から言われて、未だに引きずっているほどショックを受けた言葉がある。「Facebookなんて妬みの温床ですよ。"いいね!"していても心の底ではいろんなことを思われているんです」と。もし現代にも魔女狩りの風習が残っていたなら、FacebookもTwitterもInstagramも恰好の獲物探しになっていただろう。


それならば!妬みの温床だというSNSを使って、魔女展のPRしちゃうって面白いんじゃない?というメチャメチャな発想でPRプランを立てたことを、ここではじめて告白しよう。つまり、魔女とは誰だったのか?という問いに対する答えは、魔女とは自分、である。そして、魔女とは隣人でもあるのだ。さぁ魔女たちよ、自らの姿を確認するためにも、魔女の秘密展に集え!


※会場には、ほうきに乗った姿の撮影ポイントもあります。他にも牢獄などなど、フォトジェニック?な場所がいっぱい。さらにグッズコーナーも必見なので、ぜひぜひお出掛けくださいまし。魔女の秘密展・名古屋会場は9月27日(日)まで開催されています。


日本の色を旅する【徒然なるお仕事】


このコラムで何度も書き記している「日本の伝統色」。わたしたちの周りには、日本ならではの繊細な色が存在しているが、日本人は知らず知らずのうちにそれを享受し、独特の感性として内包していると思う。美しい色だけど、ちょっと控えめな。はっきりと目立つ色なのに、どこかはにかんで。歩みを少し緩めた時に垣間見える色。振り返った瞬間、目に飛びこんでくる透明感のある色。そんな伝統色こそ、COOL JAPANそのものだといつも思っている。
また、伝統色には、日本らしい感性で付けられた素晴らしいネーミングがある。浅葱色、青鈍色、露草色、艶紅、今様色、桃染、裏葉色・・・。この色の名前、なんともうっとりする世界観を、どうしても表現したい。日本の美しい風景とともに紹介してみたい。わたしのこの想いを、何年にも渡って、いろいろな企画書に書き連ね、プレゼンをし続けてきた。


とある企業の会報誌でも、およそ5年ほど前からずっと企画として出し続けていたものが、ようやく日の目を見ることとなり、昨年の秋に取材や撮影が敢行されたのである。取材先はもちろん、京都の吉岡幸雄さんの工房。日本の伝統色を守り、染料の原料となる植物を育てて、伝統色の再現と保存の活動を続ける染織家である。祇園に小さな店舗があり、そこは日本の伝統色でいっぱいなので、京都に行くたびに訪れては溜め息をつき、いつか吉岡さんを取材したいと念を送り続けていたのだが、それがやっとの想いで実を結んだというわけだ。
※↑上の写真は、その会報誌のトップページで用いた写真。吉岡さんの工房で販売されている日本の伝統色のストールである。


残念ながら、ある企業の会員の方にのみ郵送される本なので、一般ではオープンになっていないため、ここでは紹介することができない。もしご興味がある方がいれば、PDFでも読んでいただけるので、よろしかったらメールくださいませ。内緒で(この時点で内緒じゃなくなっちゃってるけど笑)送らせていただきます。ちなみに会員の方からの感想も私たち制作スタッフのところにいただいているのだけど、日本の色の特集はとても評判が良いそうで、私もひっそりと一人で喜んでいる。制作者にとって、こういうフィードバックほど嬉しいものはないのです。読んでくださった方々、どうもありがとうございます。


ビビリ者に休みなし!【徒然なるお仕事】


あれ・・・二ヶ月もコラム更新をさぼってしまった。ごめんなさい。
それはさておき、1月4日の夕方、わたしはいま、脱稿したばかりの爽快感を味わっている。なんと清々しい達成感でしょう。しかも、世の中はお正月三が日を過ぎ、明日から仕事始めだというこのタイミングで!
わたしは毎年同じような中途半端な感じでこうして年始を迎えている。広告業界の常で、12月になると春物が動き始めるため、ちょうど年末年始に企画やコピーワークなどが引っかかってくるのである。し・か・も!広告代理店の方々はいとも簡単に「近藤サン、コピーは年始にもらえればいいからね。ボクが年始に出社してパソコン開けたら、原稿が届いてればいいから」とおっしゃる。それでも、年末に抱え込んだ案件を年内にきちんと片付けられる優秀なコピーライターやプランナーは、悠々とお正月を過ごしていると思うのだけど、グズなわたしは年内に別のことに時間を費やしてしまうので、どうしてもお正月休みに原稿書きやら企画書づくりをすることになる。


年内に取りかかる別のこととは・・・。ビビリ性のわたしは、年明け早々に動く取材ものの準備を年内に段取りしてしまうのである。年が明けてから準備したって十分に間に合うであろう細々とした連絡や資料集めなどをどうしても年内にやっておかなければ気が済まないのだ。加えて、人海戦術が必要な友人の仕事を手伝うことにもなり、ますます原稿書きの時間がなくなる。原稿や企画書を書くだけなら自宅で休みに入っても出来るので、つい「お正月に書けばいいや」と思ってしまうのだ。我ながら、なんとビビリ性のことよ。情けなくなる。


実家に戻って、うだうだしながら原稿書き。
姪っ子の愛猫シンバに
時々遊んでもらったり。


一緒にお昼寝しちゃったり。


いただきもののお酒を
時々ちびりちびり。
シンバと一緒に呑んだり・・・嘘。


とまぁ、そんなわけで、2015年もこんな感じでゆるゆるとすでにスタートしております。ビビリ性には休みがない、と割り切って、今年もプランニングやコピーワークに励みたいと思います。あ、わたしはビビリ性なので段取りがきちんと出来ていないと自分が許せなくなるだけでなく、準備が整っていない仕事現場が大嫌いです。が、そういう現場に居合わせてもなるべく怒らず平常心でのぞめるように努力します←嘘。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。


これは今年の年賀状。
文章/近藤マリコ
写真/川嶋なぎさ
デザイン/池上貴文
モデル/某イラストレーターのご母堂に無茶ぶり
ロケ協力/料亭か茂免さんにバーターで無茶ぶり


野菜の味を誤解していました【徒然なるお仕事】


薫風香るこの時期は、緑の野菜がもこもこと成長する季節でもある。春に旬を迎える野菜は数々あるけど、キャベツほど多くの家庭で使われていてさらにお値打ちな野菜はないのではないかしら。キャベツを美味しく食べるメニューを幾つも知っていれば、料理上手といっていいかもしれない。
そのキャベツ、生産量が全国でいちばん多いのは、なんと我が愛知県。田原市や豊橋市あたりが大規模農業地帯として発達しているのだ。冬キャベツと春キャベツが並んで栽培されている風景を取材するため、1月のまだ寒い時期にお邪魔した。


その時の様子はこちらで。
http://www.chuden.jp/koryu/recipe/tanoshii/201403/deai.html
ここでも何度かご紹介している中部電力の広報誌KORYUのweb版。
料理家のワタナベマキさんと中部地方の食を巡る取材シリーズで、愛知県のキャベツ畑と農家を取材したものだ。
冊子のKORYUでは書ききれない楽しい話、面白いネタなどをweb版KORYUで詳しく書いているので、ぜひぜひクリックしてご訪問くださいまし。


これは取材した農家さんからいただいたキャベツくん。
左が堅くきつく巻いている冬キャベツ、煮込みに向いているそう。
右が柔らかくてゆるゆる巻きの春キャベツ、生食がジューシーだそう。


もちろんweb版KORYUでは、愛知県野菜を使ったワタナベマキさんのレシピも紹介されています。キャベツ、大葉、うずらの卵などが愛知県は生産高1位。すごいでしょー。
http://www.chuden.jp/koryu/recipe/tanoshii/index.html


これは取材農家さんからいただいた春キャベツを、その日のうちに低温で煮込んで、とろとろになったところをバーミクスしただけの簡単スープ。味付けはほんの少しの塩だけで、あとはキャベツの甘みがたっぷり出ていて、我ながら優しくて美味しい味でした。キャベツ1個分作ったので、大きなお鍋にいっぱい!ご近所のお友達にお裾分けして助けてもらったのだった。
それにしても、畑で農家さんに食べさせてもらった生のキャベツの甘みは忘れられない。青くささがなく、まるでジュースみたいに甘いのだ。とれたてがいかに美味しいか、流通して暖房がきいた店頭に置きっぱなしの状態がいかに野菜を傷めているか、痛感せざるをえなかった。もちろん自分で野菜を作らない限り、とれたて野菜を料理することはないのだろうけれど、わたしたちが野菜の味わいを誤解していることは、どうやら間違いなさそうである。


25ans十河編集長のオーラ消し【徒然なるお仕事】


3/1から名古屋駅前のミッドランドスクエアで、7周年キャンペーンが始まった。私は7周年記念の会報誌の制作に携わらせていただき、25ansの十河ひろ美編集長のインタビューと、山本益博さんの取材を担当した。今回は、その十河編集長のお話。


25ansといえば、ラグジュアリーなクラスマガジン。その編集長の取材には役不足なんじゃないかなと少々不安を持ちつつ現場に向かった。かなり早めに到着したはずなのに、カメラマンやスタイリスト、ヘアメイクのスタッフもほぼ同時に到着。さすがデキル人たちは早め早めの行動なんですね。某所の室内に入り、早速準備を進めていると、ほどなくして十河編集長が現れた。「こんにちはー今日はよろしくお願いしますー」アルカイックスマイルが完璧にできる女性ってそうはいないものです。現場には独特の緊張感が漂い、男性スタッフはみなピリッとしてきた。いよいよインタビューである。私は自分の緊張をほぐすためと、取材相手との距離を一気に縮めるためとで、十河編集長に個人的な問いかけから始めた。2年前に十河編集長がシャンパーニュ騎士団からシュバリエを受勲されたパーティーに私も参列していて、その時に実はお逢いしているんです、と。すると、十河編集長は私の企みをすぐに理解してくれて、それまでまとっていた「知的でオシャレな凄腕編集長」というオーラを、さっと消し去ってくれたのである。つまり、私の緊張を解くために、自らオーラを消して親しみやすい雰囲気へと変身してくださったのだ。これ、なかなか出来ることじゃないんです。数々の有名人や文化人を取材してきたけど、インタビュー側の気持ちを考慮してくれる人なんて滅多にいない。さすが制作や編集の現場を知っている人だな、相手の気持ちが分かる人なんだな、と私のテンションはマックスに。そこからはスムーズに取材が進み、最後にもう一度、個人的に聞きたいことを尋ねた。それはシャネルが提唱しているメティエダールと日本の職人の手仕事に共通する精神性について。シャネルのメティエダールについては、過去のコラムに書いているので、よかったら読んでやってくださいまし。ラグジュアリーブランド好きな方の多くが日本の手仕事の精緻さをご存知なかったり興味がなかったりするので、海外ブランドを追いかける前にもっと日本の良さを知って欲しいと日頃から思っており、十河編集長にもそのあたりのお考えを聞いてみたかったのだ。そしたら、予想をはるかに超えた素晴らしいお答えが返ってきて、私はすっかり十河編集長の知性にベタ惚れしちゃったのである。「日本の職人の手仕事の素晴らしさは、おっしゃる通り、メティエダールの技術とまったく同じ次元で、もっと語られるべきですし、守られるべきだと思います。プロダクトはまったく違っても、実は精神性においては世界でも一二を争うほどではないでしょうか」と。


そんなわけで、とても充実した取材となったのである。ちなみにこの写真は、インタビュー場所となった某所某室の天井。日本建築の伝統技法である網代天井。モダンな洋のデザインにこの幾何学模様の網代を取り入れるとは、なんて素敵。そして十河編集長のおっしゃった「日本の手仕事とラグジュアリーブランドは同じ次元」という言葉がそのまま形となって現れていると言ってもいい。


そういうわけで、こんな素敵な十河編集長のインタビュー記事は、下記のミッドランドスクエアwebで期間限定でご覧になれます。ぜひアクセスして、お読みくださいませ。
ミッドランドスクエア My Story デジタルブック


山本益博さん×ミッドランドスクエア【徒然なるお仕事】


料理評論家の山本益博さんを名古屋駅の新幹線ホームにお迎えしたのは、お正月が明けて何日かたった頃だった。名古屋駅前にあるミッドランドスクエアの春の会報誌にご登場いただくための取材である。真冬に春の撮影をするので、出演者の方には春物を着ていただかなければならず心苦しい取材となるのだけど、この日は不思議に暖かい陽射しで、まるでマスヒロさんが新幹線で春を連れてきたような一日だった。


今回の取材は、ミッドランドスクエアをマスヒロさんに美味しく食べていただくという企画。マスヒロさんは「美味しいものを食べるのではなく、美味しく食べる」ことを提唱されている。日本人ならではの繊細な味覚で料理を美味しくいただくための術を、ミッドランドスクエアの幾つかの店舗で実際に教えていただこうという内容である。"美味しく食べる"には、食べ手にも心構えと技術が必要だということを著書などで説いていらっしゃるので、マスヒロさんの追っかけを自称する私は、その術を頭に入れたつもりでいた。でも実際にご一緒させていただくと、自分の知識の浅はかさや経験不足がいかに大きいかがよく分かるのだ。


実はマスヒロさんとお仕事でご一緒するのはこれで2度目。今から5年ほど前に某企業の取材ではじめてお逢いして以来、私はすっかりマスヒロファンになってしまった。以降、著書はもちろん読破、すきやばし次郎さんにご一緒させていただく栄に浴したり、イベントなどにお邪魔して追っかけをしている。マスヒロさんは、美味しいものを評論するというよりは、未来ある若手料理人を徹底的に応援したり、日本人として生まれた以上知るべき"食べ方"を教えてくださったりして、評論家という枠をとっくに超えた活動をしている。"食べ物と作る人すべてを慈しむ"ように、毎日の食事に真剣に向かっているのだ。私はその精神性に、ファンになったのである。今回の取材は、もう一度マスヒロさんとお仕事がしてみたいという私の熱望が叶ったと言ってもいい。


たとえば、取材したお店でとんかつを召し上がった後のお皿。キャベツもソースも残さずに召し上がる。もちろんご飯やお味噌汁も完食である。素材と作り手への敬意の気持ちを込めて、丁寧に食べ尽くす。これを見るだけで精神性が伝わるのではないかしら。


お茶目なマスヒロさんがジャケットに付けている蝉のブローチは、服飾専門家である奥様の手づくりで、これを付ければ「セミフォーマル」なのだと!なんという洒落っ気。ジャケット、蝉ブローチ、ジーンズ。ドレスダウンのお上手なことといったら!


そんなわけで、山本益博さんが美味しく食べたミッドランドスクエアの会報誌は、会員のみに郵送されていますが、期間限定で以下のwebでもご覧いただけます。ぜひアクセスして、マスヒロさんの美味しく食べる術をお読みください。目からウロコの話、美味しく食べるための術などを紹介しております。登場するお店は、和食を代表して「京都吉兆」。名古屋発の「雅木」と「紗羅餐」。さらにマルコリーニや福臨門酒家、和久傳、南翔饅頭店などなど。
ミッドランドスクエア「MyStory」デジタルブック


ちなみにこの取材が終わったのは18時。マスヒロさんはそのまま名古屋市内某所で軽く食事されるということで同行させていただいた。「ひとつのお皿を、どんな順番で食べればもっとも美味しいか、そんなふうに考えながら食べるから、カロリー消費しちゃうのかも」というマスヒロさんに倣って、目の前でマスヒロさんが召し上がる順番をそのまま真似して食べた私。まるで親が食べる様子をそっくり真似する動物のような気分になり、我ながら失笑してしまった。


世界にも通用する究極のお土産【徒然なるお仕事】


わ、一ヶ月もコラムアップをさぼってた・・・すみません。
今日は嬉しいニュースのご報告。当事務所ラルムとして、新商品開発・ネーミング・ロゴマーク・パッケージデザインをトータルに担当させていただいた泉屋物産店(岐阜市)の「鮎のリエット」と「鮎の白熟クリーム」が、観光庁主催「世界にも通用する究極のお土産」の逸品として選ばれたのである。全国から数多くの名産品の応募があり、書類審査を通過した110品の中から見事ベスト9に選ばれたもので、やがてはこれらの商品が地域活性化のきっかけになるようにと願いが込められているのだとか。泉さん、おめでとうございます!
http://www.oricon.co.jp/news/video/2031475/full/
泉屋物産店は鮎の加工品を扱うお店としては岐阜市の老舗。同経営の長良川河畔にある美味しい鮎料理のお店はご存知の方も多いと思う。このコラムでもたびたび登場しているので、お友達はよく知っててくださると思うのだけど、今から4年前に、泉屋物産店の洋風新商品開発を私がお手伝いさせていただいた。鮎の内臓をリエット風に仕上げたものが「鮎のリエット」。鮎の熟れ寿司のご飯部分をサワークリームなどと和えたものが「鮎の白熟クリーム」。夕ご飯は和食と日本酒という固定観念からすっかり感覚が変わり、多様化したニッポンの食卓には、ボーダーレスな商品開発が必須だというのが、泉屋物産店・泉社長の想い。その情熱をカタチにするために、当時は毎日鮎のことばかり考えていたっけなぁ。確かちょうど今頃の季節だったなぁとちょっと懐かしく思い出している。ま、飲んでは食べ、食べては唸り、ワインやシャンパンにも合う"おつまみ"として認識しながら、ネーミングを考え、パッケージデザインを生み出したということであります。ちなみに商品開発には、フランス料理レストラン・ヴァンセットの青木シェフにアドバイザーとして入っていただき、フランス料理の視点からもいろいろなご意見をいただいた。


上の写真も左の写真も、我が家で撮影したもので、
コーディネイトは私でござる。カメラはなぎさ嬢。
↑上が「鮎の白熟クリーム」。
←左が「鮎のリエット」。
なんか懐かしいなぁ。


瓶詰めされた完成品の写真が私の手元にはないので残念なのだけど、
詳しくはhttp://www.oricon.co.jp/news/video/2031475/full/で見てみてください。今回の選定商品は、今後いろいろなネットショップや百貨店でも取扱いが始まるらしい。けれど私個人的には、やはりその土地に行って、その土地の美味を味わっていただきたいと思うので、鮎のリエットと白熟クリームにご興味がある方は、ぜひ岐阜市に遊びにいらしてくださいませ。長良川の美しい風景と美味しい水、金華山の優雅な姿を拝みながら、鮎を食べる至福をぜひ味わっていただきたいと思う。岐阜市の観光は夏の鵜飼だけじゃないのだ。よろしかったら私がご案内いたしますので、ラルムトラベラーにご用命くださいませ。