徒然なるお仕事

ピカソを愛したかもしれない女たち【徒然なるお仕事】


「アナタって、サイッテーの男ね」と殿方に向かって言い放ったことがあるご婦人は、どれくらいいらっしゃるんだろう? 口に出したかどうかは別にして、おそらく心の中で叫んだことなら、多くの女性に経験があるのではなかろうかと思う。女性に、サイッテー!と言われる男性、概して一芸に秀でた男性にこそ、そういう傾向にあるように思う。20世紀最大の芸術家であるパブロ・ピカソはその最たる人ではないだろうか。


現在、名古屋市の中心部・栄の愛知県美術館で開催中の【ピカソ、天才の秘密】では、ピカソの少年期から青年期の作品を観ることができる。幼少期とは思えないほど完成度の高いデッサン、いわゆる青の時代、そしてバラ色の時代の作品、キュビズムへと進行する以前の作品群が集められているのだ。
青の時代は、親友の自殺や貧困によって精神的に追い込まれた時代。その数年後にやってくるバラ色の時代は、絵が売れ始めて仲間との交流があり、さらに新しい恋人ができて文字通りバラ色の人生を送っていた時代。天才と呼ばれたピカソは意外に単純で解りやすい変遷を経ていることがわかる。さらに一時期はゴッホの真似をして描いていたこともあり、それらの珍しい作品も展覧されている。今まで日本にやってくることも語られることも少なかったピカソの作品ばかりなので、観た人の多くは、ピカソってこんな作品描いていたのね?と驚かれるんじゃないかと思う。


これはかの有名な洗濯船(Le Bateau Lavoir)と呼ばれた芸術家の集まった場所。ピカソがパリに出てきて、数多くの芸術家たちと交流し、刺激を受けながら、おそらく複数の女性たちとも交わりながら笑、キュビズムへと駆け上がった頃。その時代の作品もいくつか展示されている。青の時代のあたりから、複数の女性との付き合いはあったそうで、女性がモデルになった作品の女性の顔は、なんと同時進行している二人の女性の顔のパーツを組み合わせて描き、二人の女性にわざとヤキモチを焼かせたりしてたんですって、このサイッテー男は。


それでもピカソは女性に愛されたし、90代で没するまでずっと恋愛をし、創作し続けたのだそう。最後の言葉は、女性っていいもんだよ、だったとか。この人間的なピカソの一面を、作品を通してご覧になりませんか?きっと「私もピカソを愛したかもしれない」と思っちゃうかもしれません。サイッテー!だと知りつつも、才能のある人の魅力というのは、計り知れないからね。


こちらは年末に行われた
ピカソ、天才の秘密
のレセプション。
財界のおじさまたちがいっぱいでびっくりしました。


【ピカソ、天才の秘密】
3月21日(祝)まで、愛知県美術館にて開催中。

#ピカソ、天才の秘密
#ピカソを愛したかもしれない女たち