徒然なるお仕事

世界にも通用する究極のお土産【徒然なるお仕事】


わ、一ヶ月もコラムアップをさぼってた・・・すみません。
今日は嬉しいニュースのご報告。当事務所ラルムとして、新商品開発・ネーミング・ロゴマーク・パッケージデザインをトータルに担当させていただいた泉屋物産店(岐阜市)の「鮎のリエット」と「鮎の白熟クリーム」が、観光庁主催「世界にも通用する究極のお土産」の逸品として選ばれたのである。全国から数多くの名産品の応募があり、書類審査を通過した110品の中から見事ベスト9に選ばれたもので、やがてはこれらの商品が地域活性化のきっかけになるようにと願いが込められているのだとか。泉さん、おめでとうございます!
http://www.oricon.co.jp/news/video/2031475/full/
泉屋物産店は鮎の加工品を扱うお店としては岐阜市の老舗。同経営の長良川河畔にある美味しい鮎料理のお店はご存知の方も多いと思う。このコラムでもたびたび登場しているので、お友達はよく知っててくださると思うのだけど、今から4年前に、泉屋物産店の洋風新商品開発を私がお手伝いさせていただいた。鮎の内臓をリエット風に仕上げたものが「鮎のリエット」。鮎の熟れ寿司のご飯部分をサワークリームなどと和えたものが「鮎の白熟クリーム」。夕ご飯は和食と日本酒という固定観念からすっかり感覚が変わり、多様化したニッポンの食卓には、ボーダーレスな商品開発が必須だというのが、泉屋物産店・泉社長の想い。その情熱をカタチにするために、当時は毎日鮎のことばかり考えていたっけなぁ。確かちょうど今頃の季節だったなぁとちょっと懐かしく思い出している。ま、飲んでは食べ、食べては唸り、ワインやシャンパンにも合う"おつまみ"として認識しながら、ネーミングを考え、パッケージデザインを生み出したということであります。ちなみに商品開発には、フランス料理レストラン・ヴァンセットの青木シェフにアドバイザーとして入っていただき、フランス料理の視点からもいろいろなご意見をいただいた。


上の写真も左の写真も、我が家で撮影したもので、
コーディネイトは私でござる。カメラはなぎさ嬢。
↑上が「鮎の白熟クリーム」。
←左が「鮎のリエット」。
なんか懐かしいなぁ。


瓶詰めされた完成品の写真が私の手元にはないので残念なのだけど、
詳しくはhttp://www.oricon.co.jp/news/video/2031475/full/で見てみてください。今回の選定商品は、今後いろいろなネットショップや百貨店でも取扱いが始まるらしい。けれど私個人的には、やはりその土地に行って、その土地の美味を味わっていただきたいと思うので、鮎のリエットと白熟クリームにご興味がある方は、ぜひ岐阜市に遊びにいらしてくださいませ。長良川の美しい風景と美味しい水、金華山の優雅な姿を拝みながら、鮎を食べる至福をぜひ味わっていただきたいと思う。岐阜市の観光は夏の鵜飼だけじゃないのだ。よろしかったら私がご案内いたしますので、ラルムトラベラーにご用命くださいませ。


ART NAGOYA 2013【徒然なるお仕事】

今年も名古屋がアートに燃える季節がやってきた。今年で3回目を迎えるART NAGOYAは、ウェスティンナゴヤキャッスルで土曜日曜に開催されている。昨年同様、9階エグゼクティブフロアの客室がギャラリーになっている会場に加え、今年からは2階のバンケットルームにも新たな会場が登場しています。私的に捉えると、マンションでアートを飾るのなら9階の客室に飾られているものが参考になるし、戸建住宅に住んでいる人なら2階のバンケットフロアのアートにも目がいくのではないかな。単純にスペースの問題だけではなく、ね。以下、だだーっと印象的だったアート作品たちです。


10土曜日・11日曜日 11時〜19時 入場料/1,000円
会場/ウェスティンナゴヤキャッスル
チケット提示で館内レストランの20%割引あり
会場にてお待ちしております!ちなみに10土曜日は1730まで。11日曜日は15時ごろまで会場にいます。お越しいただけたなら、ぜひお声掛けくださいませ。


吉兆の徳岡さんと和紙作家の堀木さん【徒然なるお仕事】


ミシュラン3ツ星料亭である京都・吉兆の徳岡邦夫さんと、日本だけでなく海外でも活躍されている和紙作家の堀木エリ子さん。京都をベースにお仕事されているこのお2人は、実はお友達。呑み屋さんではしょっちゅう「対談」しているそうなのだが、きちんとした(?)対談企画というのが、今までなかったのだそう。このお2人のキョーレツなキャラクターとお話の面白さ、そして何よりも仕事への真摯な取り組みに対し、とある商業施設の美人広報Hさんが目をつけていて「素敵なお2人に対談していただきましょう」ということになり、取材させていただいた。


とある商業施設とは、名古屋駅前のミッドランド スクエア。このビルの41階に京都・吉兆が入っている。さらに、3月に6周年を迎えるミッドランド スクエアは、6周年記念企画で館内がアートミュージアムになるというイベントをおこなう。そのメインビジュアル作品を制作するのが、和紙作家の堀木エリ子さんというわけで、お2人の対談が叶ったのである。


実は私、このお2人とはそれぞれ何度かお会いしている。堀木さんは以前着物の本取材で京都のアトリエまでお邪魔したことがあり、その後シャンパンのシュバリエ叙任パーティーでもご一緒している。一方、徳岡さんは名古屋のふぐ屋さんで偶然お会いしたことがあるのだ。京都の方らしく、対談が始まった時からとてもフレンドリーな雰囲気で、さらに私が以前お会いしたことがあるとお伝えするとさらに和やかなムードになって、まるで旧知のお友達と久しぶりにお話しているかのような気持ちで取材することができた。


中でも驚いたのは、対談中にお2人が涙を浮かべてお話くださったことだった。私の今までの長い取材人生で、取材相手が涙を浮かべて話してくださったのは、これが3回目。涙もろい私はついついもらい泣きしてしまい、どうにも取材にならない。この時も、メモする手を休めてもらい涙を拭うことになった。このビッグなお2人が流した涙の中身については、ミッドランドスクエアの春の会報誌「My Story」にてお読みいただける。ミッドランドスクエアのプレミアム会員の方には郵送される他、館内にも少しは置いてあるので、ぜひお早めに手に取って読んでみてくださいまし。


ちょっぴり、その内容をお教えすると・・・
涙のエピソードその1/徳岡さんのおじいさま(吉兆の創業者)が語った「これこそがお茶なのだ」というひと言。お茶の道とはなんぞや?ということを振り返る良いお話。
涙のエピソードその2/まったく別の分野から"転職"して和紙の世界に入った堀木さんの、職人さんへの純粋な気持ち。職人が大好きな私にとっては心に響くお話。


そしてさらに、ミッドランドスクエアでは3/2から6周年記念月間が始まる。堀木さんが制作した巨大和紙のアート作品が展示され、その作品を前にして3/9土曜日には、堀木さんのトークショーが開催される。飛び入りゲストはサプライズ。どなたでもご参加いただけるので、詳しくはミッドランドスクエアのwebをご覧ください。この他、館内にはアート作品の展示をはじめ、アートにまつわるイベントがもりだくさん!3月はミッドランドスクエアでアートを楽しみませんか!?
詳しくは → http://www.midland-square.com/6th/index.html


今年も!白練りショコラ!【徒然なるお仕事】


はーい、今年も巷にはバレンタインがやってきています。女性から男性への愛の告白をする日、だと思ってる人は、おそらく50代以上の一部の人じゃないかしらん。今やバレンタインのチョコレートは、男女を問わずスイーツ好きにとっての一大イベントなのである。アムール・ド・ショコラ(愛のチョコレート)と銘打って日本一の売上を誇るジェイアール名古屋タカシマヤのバレンタインは、男性へのアムールではなくって、自分へのアムール。つまり自分を愛する人のために多くのチョコレートが捧げられる祭典、と私は解釈している。


そういうわけで、今年も思い切り商品広告でございます。数年前に商品開発とプロデュースのお仕事をさせていただいた「白練りショコラ」のコマーシャル。岐阜市の鮎加工品専門店および鮎専門料理の「泉屋物産店」の洋風新商品の一つで、鮎の熟れ寿司のご飯の部分を再利用し、熟れ味をチーズに見立て、チョコレートを開発したもの。フランス料理「ヴァンセット」の青木シェフの監修のもと、試行錯誤を繰り返して出来上がったチョコレートは、ちょっとオトナ味。珈琲や紅茶というよりもブランディーやデザートワインによく合う味わいとなって完成した。私は商品開発そのものと、商品のネーミング、パッケージデザインまでを担当し、無事新商品として世に出すことができたというわけで愛着もひとしお。
さらに、商品開発と新商品販売を無事に済ませた頃に嬉しい発見があった。なにげなく本を読んでいたら「白練り色」という名前が日本の古い伝統色に存在していることが分かったのだ。ちょうど有田焼の乳白色のような深い色のことを白練り色と呼んだらしい。自分で作り出したと思い込んでたネーミングが、実は昔の色の名前だったなんて、嬉しいような恥ずかしいような不思議な気持ちになったのだった。
というわけで、以下、白練りショコラのコマーシャルです。お酒好きの皆様、ぜひ今年のバレンタインは白練りショコラをお試しくださいまし。
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白練りショコラは、泉屋物産店(岐阜市)本店・webにて販売されています。
6個木箱入り、1,260円。
ちなみに、商品開発の時に一緒に売り出した他の洋風商品もぜひぜひお試しを。白熟クリームと鮎のリエットです。ワインにピッタリでございます。
泉屋物産店のwebはこちら


一献盃で日本酒を楽しむ会【徒然なるお仕事】


先週の日曜日に、一献盃で日本酒を楽しむ会を開催した。一献盃とは、形状の違う4種類の酒器セットのことで、岐阜県土岐市の陶磁器メーカーであるカネコ小兵製陶所のオリジナル商品である。ワイングラスの違いによる味わいの違いとまったく同じ理論で、器の形状が違えば、お酒を飲んだ時に舌の上に滴る場所が違う。舌は、甘さや辛さを強く感じる場所があるので、甘みを強く感じる場所に滴れば甘く感じるという理論である。もちろん味わいだけではなく、形状が違えば香りの感じ方も変わってくる。つまり、まったく同じ日本酒でも、この4種類の器で飲み比べれば、味わいや香りが少しずつ異なるので、料理に合わせて飲み比べることができるというスグレモノの商品なのだ。私がこの商品と出逢ったのは、クリス・グレン氏を通じてカネコ小兵製陶所さんのお仕事をさせていただくようになったのがご縁。これは面白い商品だからどんどんPRしましょう!というわけで始まったプロジェクトなのである。


とはいえ、かなり実験的な食事会になるということ、なおかつ家庭で楽しんでいただきたいという名目から、料理はなんと僭越ながら私が担当。ナビゲーターは一献盃セットの開発者である小平健一氏。日本酒のセレクトは、日本酒バー・八咫(やた)のオーナーである山本将守氏。定休日に会場を貸してくださり、ワインとグラスの関係性について話をしてくださったのは、フレンチレストラン・ルマルタンペシュールの那須亮氏。プロデュースはクリス・グレン氏のマネージャーを務める加藤由佳氏。私以外は、その道のスペシャリストばかりを揃えた。この面々を見るだけでも、これは贅沢な会ですよ。さらに、参加してくださったゲストの方々は、IT日本酒コンサルタントや、中国茶専門店ロ・ヴーのオーナー、もっと地酒の会の主催者をはじめ、ギフト商品のプロデューサー、カネコ小兵製陶所さんと縁のある日本酒愛好者などなど。それぞれの視点で「この料理ならこっちの盃だな」「この盃にしたら香りが変わった!」と分析しながら、器を楽しんで使っていた。この盃のおかげで、はじめて会った方同士の会話がはずみ、自然に笑顔で食事とお酒を満喫している様子には、私の方が感動しちゃったほど。


そうなんです。私は料理を担当したのでほとんど厨房にこもってしまい、皆さんとはあまりお話ができなかったのだ。最初と最後のご挨拶と、皆さんのご紹介程度しか出来なかったので、場が盛り上がるかどうかがとても不安だった。でもそこは、さすがにオトナな皆さん。ちゃんと会の趣旨を理解してくださり、一献盃セットという商品をどう評価して世に送り出せばいいのか、真剣に考えながらも、一献盃セットを楽しむ方法について共に探ってくださったのだ。厨房の扉の向こうから漏れ聞こえてくる皆さんの会話を、一人こっそり楽しんでいた。提供する側としての最上の喜びを味わうことが出来たのだ。つたない素人料理を召し上がってくださり、日本酒と一献盃セットを心ゆくまで味わい尽くしていただけて、お越しくださった皆様、本当にありがとうございました。そして、今回は実験的要素が強かったこともあり、関係者及び縁ある方々を限定してお誘いしたので、お声掛けできなかった方々にはお詫び申し上げます。次回がもしあるとしたら・・・まだわからないけど、開催できるように頑張ります。以下は、日本酒担当の山本さんが撮影してくださった写真たち。



また参加してくださった方の多くが、早速この会の様子をブログアップしてくださった。どうもありがとうございました。※アイウエオ順
グラフィックデザイナーの池上貴文さん
日本酒コンサルタントの石井克成さん
広告デザイン会社経営及びコピーライターの岡田新吾さん
カネコ小兵製陶所さんのfacebook
住宅ライター及びラジオ構成作家の福岡由美さん
八咫さんのfacebook

またこの一献盃セットは、webからでも購入することができる。この楽しみを自宅でも味わってみたい!という方は、ぜひお試しになってみてください。カネコ小兵製陶所のwebからどうぞ。日本酒好きなカレシとかオトーサンへのヴァレンタインにピッタリの商品だと思うんだけどなー。もちろん味わいや香りが器の形状によって変わるという理論が当てはまるのは、日本酒だけじゃない。珈琲やお茶の味わいもビックリするほど変わってしまうので、お酒が苦手な方にも楽しんでいただける一献盃セットなのだー!


泣く女、泣けない女【徒然なるお仕事】

年の瀬がここまで迫っているというのに、未だに年末という感覚がない。毎年それが薄れてゆくのは、年末年始さえも頭のどこかで企画やら先々の予定のことなどに思いを巡らすのが当たり前になってしまったからなのか。決してワーカホリックではないつもりだが、傍から見ればこれもワーカホリックなのかもしれない。ともあれ、今日は大晦日。一年を締めくくる一日として、印象に残ったことを書きたいと思う。
仕事で出逢ったある女性とある男性のお話。これから書くことのほとんどが事実だが、多少創作を交え、ご本人であることが特定されないように考慮したつもりなので、詳細についてはご想像にお任せする(つまりこれ以上のことはプライベート情報になるかもしれないので教えられませぬ)。


ある化粧品メーカーの新商品ポスターのCDを受け持ち、撮影に立ち会ったその日。スタジオに集まったのは、クライアントをはじめ、代理店、カメラマン、デザイナーなど総勢10名のクルーだった。撮影はまぁそこそこ順調に進んでいるかのように見えた・・・・が、途中でカメラアシスタントの女性がちょっとした失敗をしでかしてしまった。当然ながら撮影は中断し、その場には冷たい空気が流れる。女性アシスタントはスミマセンと繰り返し謝りながら、上司である男性カメラマンの顔色をうかがう。私たちもなんとか事態を取り繕いたいので声を掛けようとするが、当のカメラマンは怒りで興奮し今にも爆発しそうな勢いである。ちょっとヤバい雰囲気だな、クライアントもいるし・・・と思った瞬間だった。カメラマンがアシスタントの女性をどなりつけたのは。


「何年やってんだお前!こんな初歩的なミスがスミマセンで済まされるわけないだろっ!謝れ!」「本当にスミマセン」(頭を下げて謝っている)「そんなんじゃダメだ、土下座して謝れ!」「申し訳ありませんでした」(ホントに土下座して謝っていた、そんなことよりも早く撮影再開するための手はずを整えて欲しいと周りのみんなが思っていた)そして驚いたのはここからである。
「お前!今日立ち会ってもらってる人の時間をなんて考えてるんだ。こんな失敗やらかして泣きもしないってどういうことなんだ!泣け!泣けよ!」
え?????泣けばいいんですか?っていうか泣くことって、ここで大切なことなんですか?という私の心の声はまったく届かなかったようで。なんと女性は大きな声をあげて泣き出してしまった。泣けと言う方も言う方だけど、泣けと言われて泣いちゃう女もどうなんだ???(きっとそれがはじめてのことではなかったんだと思う。怒られる→泣くという方程式が二人の間で出来上がっていたのではないかしらん)


結局30分ほどその問答が続いて、泣きながら失敗を片付けていた女性アシスタントは、泣きはらした顔でその後も撮影にのぞみ、彼女がやらかした失敗のおかげで約1時間ほど遅れて撮影が終了した。もちろん場の雰囲気は最悪で、なんとも後味の悪い撮影となった。唯一救いだったのは、上がった写真が思いのほか出来が良かったこと。


その日の夜、自分が泣く時のことを考えてみた。私は基本的に負けず嫌いということもあり、仕事先では絶対に泣かない。お客様からお叱りを受けることなんて山ほどあるけれど、平身低頭で謝るが泣きはしない。次に相手が望む以上のものを制作して、今度は絶対に褒めてもらうんだ!という思いの方が強くて、自分の失敗に対して泣くことはしてこなかった。というか、正確に言うと、人前では泣かなかった、のである。


何年も前のことだけれど、一度こんなことがあった。ある不動産会社のパンフレット作成をした際、私のコピーに対してクライアントの担当者が驚くような罵声を浴びせたことがあった。今から思えば、その担当者は浮気でもバレて奥さんと大げんかして八つ当たり先を探していたんじゃないかな?と思うほど、馬鹿げた難癖をつけられた。でもコピーは読む人の好みで判断されてしまうことがあるので、こういう時は逆らわずに相手の好みのように仕上げることにしている(ま、その時点で心は入りませんが、これをモンスタークライアントと呼んでいる)。その日の私の仕事は相手からの罵声にひたすら耐えることだと判断して、悔しいけれど我慢した。事務所に戻ってから、代理店の営業の女性(50代くらいの人だった)が気づかって電話をしてくれて、こう言った。「近藤さん、あんなひどい事を言われてよく泣かなかったね。よく我慢したね。これが若い子だったら大泣きしてるとこだわ」と。そうか、普通は泣くところだったんだ、と思った瞬間に悔しくて悔しくて、電話を切って一人で目が腫れるまで大泣きした。


舞台や映画を見て感情移入し、人前で大泣きすることはしょっちゅうなのに、仕事となると泣けない。泣いてはいけないと思ってきた。でも、もしかしたら泣ける女の方が可愛いのかな、と件のカメラマンの発言を聞いてから思うようになった。泣くという作業は女の特権と思っている男性が存在する以上、泣ける女は、泣くことで物事を終わらせ、完結させているのかもしれない。泣く女は、その涙の分だけ実は強く、泣けない女は、泣くことで許されてこなかったから窮地に立たされた時に打たれ弱い。
もうすぐ2012年が終わり、2013年がやって来るけど、多分来年も私は泣けない女のまま一年を過ごすことになると思う。そんな不器用?な私ですが、皆様お見捨てなく、来年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。良いお年をお迎えくださいまし。


山本容子さんが私の名前をっ!【徒然なるお仕事】


賢い読者の皆さんはお気づきだと思いますが、同じパターンのタイトルが続き申し訳ない!有名人の方のお名前をタイトルに用いるとSEOになるんですの。ごめんなさいませ。
さて、残暑厳しかった去る9月、憧れの山本容子さんを取材することが叶った。山本容子さんは銅版画家として活躍されているほか、グルメやワイン通としても知られている。ワインバーをプロデュースしたり、フランス・モメサン社のボージョレイヌーヴォーのエティケットを描いていることでも有名だ。クライアントは名古屋駅前のミッドランドスクエア。数々の一流レストランや高級料亭が入っていることでも知られており、グルマン垂涎のエリアである。そのビルの会報誌クリスマスバージョンで、ワインやお食事に精通されている素敵な女性をインタビューしようということになり、真っ先にお名前が挙がったのが山本容子さんだったのである。


新幹線のホームにお迎えに上がった時、大勢の乗降客でごったがえす中、山本さんはいわゆる"オーラ"を放っていらっしゃった。女性の素敵オーラっていいなーと、この時点で山本さんにメロメロな私。ミッドランドまでご案内し、取材の段取りを整えていると、いろいろなお話をしてくださる。おそらく、私たちスタッフが緊張しすぎないように、適度な距離感で接してくださっているのだ。とっても気さくで、でも意志は強く、美しいものを見定める眼力がすごい。熊川さんのインタビューの時も感じたことだけど、というか、いわゆる第一線で活躍されている方とご一緒するといつも思うことなんだけど、やっぱり一流の方というのは人間性も優れているんだなぁと。↑の写真は、この取材が終わった後、ミッドランドスクエアの美人広報・林美保子さんとご一緒に撮ったもの。


というわけで、山本容子さんをインタビューした記事は、ミッドランドスクエアの冬の会報誌「Cinderella Story」でお読みいただける。ミッドランドの館内に設置されているので、是非お出掛けいただき、冊子を手に取り、ついでにお買い物やお食事していらしてください。ちなみに山本さんを撮影したお店は、42階のエノテーカ ピンキオーリで、山本さんが召し上がった料理やおすすめのワインも冊子に記載されている。


それでもってこのお着物の写真たちは、取材後数週間してから、山本容子さんがご親戚の方々と名古屋にいらっしゃった時のもの。市川海老蔵さんの舞台を観るためにわざわざ来名され、撮影したレストラン・エノテーカ ピンキオーリでお食事されたのだ。ミッドランドの林さんと一緒にご挨拶でお邪魔して撮影させていただいた。え?プライベートなお食事の席なのになぜ写真なんか撮ったのかって?それは山本さんを含めた3人様がなんと山本容子さんが描かれたお着物と帯をお召しになっているからなのだ。大コーフンして写真撮影会にしちゃいました。容子さん、そしてお店のスタッフの方々、あの時は大変申し訳ありませんでした。それでも容子さんはにこやかに「これ、私が描いたのよー」と言って見せてくださった。今度はきっと、着物姿の山本さんを着物ネタで取材したいと思っていますので、よろしくお願いしますっ!


もともと山本容子さんのファンだったので、パティパタパンシリーズは版画を持っているし、日曜美術館に出演される時は必ず見るようにしている私。今回取材できただけでも感激なのに、なによりも嬉しかったのは、このお食事会にお邪魔した時の出来事だった。ご挨拶しようと山本さんのお部屋に入った瞬間、山本さんは「あらー!」と微笑みかけてくださり、その席にいらっしゃったご親戚の方々に「この前インタビューしてくださった近藤マリコさんよ」とフルネームでご紹介してくださったのである。マリコ、カンゲキ!


今までに何度も、いわゆる有名人や文化人の取材はしてきたけれど、インタビュアーの名前を覚えてくださったことなどほとんどない。インタビューが終われば顔さえ忘れてしまって次の現場へ行くというのが彼らの常だし、あくまでも黒子である私たちにとってはそれが当たり前である。山本容子さんの場合は、3度もお会いした(取材の前にとあるワイン会でご挨拶だけしているので)ということもあるのだけど、それにしてもフルネームって感激ですよね。ううむ、やっぱり一流で活躍する人はすごいのだ。人の名前どころかお顔さえ覚えていない私は、どこまでいっても一流にはなれそうもないけど、山本さんに少しでもあやかって、これからは人様のお名前とお顔をきちんと覚えるようにしなくちゃ、と思う今日この頃である。
※お写真は、ミッドランドスクエアの林美保子さんより借用いたしました。林さん、ありがとうございました!


熊川哲也さんが私の右手をっ!【徒然なるお仕事】


腕時計は左手につけますか?それとも右手?
右利きの人は時計のネジを巻きやすいので左手にはめるということからか、ほとんどの方が左手にはめているんじゃないかと思うのだけど。私は普段から腕時計は右手と決めている。なぜかと言うと、取材してメモをしながら、相手に悟られないように時間を確認することが出来るから。限られた時間の中で、スムーズに取材を進行するためでもあるし、途中で話があらぬ方向にいっちゃった場合は、残りの時間でいろんなことを聞かなければならなくなる。加えて、多忙を極める有名人や財界人の場合は時間内に取材を終わらせないと、多くの人に迷惑をかけてしまうのだ。
世界トップクラスのバレエダンサーとして知られる熊川哲也さんを取材した時も、時計は右手にはめていた。ギリギリまで取材スケジュールが決定しないほどご多忙な熊川さんは、けれど忙しさを微塵も感じさせないような軽やかな足取りで、爽やかな風のごとく私たちの前に登場した。まず目をしっかり見つめて握手をし「よろしく」の一言。取材クルーはもうその時点でノックアウトされている。目ヂカラがハンパない。
取材が始まると、ひとつひとつの質問に対して真摯に考え、丁寧に一生懸命答えてくださった。しかも話は決してぶれることなく、簡潔に情熱とジョークを交えながら。完璧だ。さすが世界トップに登り詰めた人は本当にクレヴァーなのだ。
もっとお話をうかがいたい、と思ったけれど残念ながら終了時間は迫っている。あと何問くらい質問できるかな?と、いつものようにメモするふりして右手の時計をチラ見した時、熊川さんは私の動作を見抜いていた。その直後に最後の質問をすると、熊川さんはそれが最後の質問であることをわかっていて、まるでまとめるかのように終わりにふさわしい話をしてくださった。この日から私が熊川さんに恋したことは言うまでもない。


後日、熊川さんのバレエ公演があると聞いて、ミッドランドスクエアの美人広報と誉れ高い林美保子さんとお邪魔した時のこと。その舞台の素晴らしさはまさに筆舌に尽くしがたく、さらに公演後に林さんが差し入れをお持ちになった際も、やはり最初は握手から。そして目をしっかり見つめて「バレエ楽しんでいただけましたか?」と微笑んでくださった。ハッキリ言って昇天です。


そんなわけで、私がすっかり虜になってしまった熊川哲也さんのインタビュー記事は、名古屋駅前にあるミッドランドスクエア冬の会報誌「Cinderella Story」にてご覧いただけます。会員の方には郵送で、会員ではない方もミッドランドスクエアの館内に置いてあるので、ぜひ手に取って見てくださいませ。


さらに、ミッドランドスクエアのクリスマスが始まる11月9金曜日は、プレミアムデーとして数々のイベントが開催されます。熊川哲也さんがスペシャルトークショーに登場するほか、熊川さんによる点灯式で、クロエのクリスマスツリーやイルミネーションが一斉に輝く瞬間をぜひご覧ください。熊川さんが主宰するKバレエカンパニーによるダンスパフォーマンスも披露されるなど、素敵な晩秋の夜となりそうです。
ミッドランドスクエア プレミアムデーの詳細はこちらへ


ART NAGOYA 2012 明日から!【徒然なるお仕事】


今年も始まりました、ART NAGOYA。私が実行委員の一人として、微力ながらお手伝いしているアートフェアで、名古屋の老舗ホテル「ウェスティンナゴヤキャッスル」のエグゼクティブフロアを会場に、明日土曜日と明後日日曜日に開催される。本日はプレスプレビュー。マスコミ関係者及び地元の美術関係者、アートコレクターの方々にお集りいただき、一足早いお披露目会がおこなわれたのだ。
このアートフェアの面白いところは、ホテルの客室空間にアート作品を展示するので、ギャラリーの白い壁に展示してあるのとはひと味違った見せ方ができることである。より日常の生活空間に近いホテル客室で、アートをより身近に感じていただけるだけでなく、ギャラリーのセンス次第でアート作品の違った側面を見ることができる。また、日本各地でホテルでのアートフェアは開催されているが、名古屋の場合は、名古屋城のお隣でラグジュアリーホテルとしても知られるウェスティンナゴヤキャッスルが会場となっているため、ホテルの上質空間と一緒にアートを堪能できるのだ。


窓から見える名古屋城を借景にして、窓辺に作品展示するギャラリーがあったり、客室のお風呂やトイレを無機質に仕立て上げて、そこに作品を設置するギャラリーがあったり。作品の見せ方そのものも、立派なプレゼンテーションになっているので興味深い。ってなわけで、ART NAGOYAのほんの一部をざざざっとアップするので、本物がご覧になりたい方は、明日と明後日でぜひ会場にお越しくださいませ。



プレスプレビューが終わった後は、レセプションパーティー。地元の美術館関係者、アート界の方々、ギャラリスト、アーティスト、コレクターの方々などが100名以上お集りくださった。昨年もそうだったのだけど、アートパーティーは、派手さはないけど、しとやかでインテリジェンスあふれる方が多いので、とてもオトナな会となる。今宵もアート談義に花が咲く、素敵な集いとなった。


ボケボケですみません。元美さん、松島夫妻、江場夫妻、福田慶恵さんたちと。

ボケボケですみません。元美さん、松島夫妻、江場夫妻、福田慶恵さんたちと。

20年来の友人、ムッシュペリエ。20年来の仕事仲間でギャラリストのこじまさん。パリから出展くださったマダムユキコ。

20年来の友人、ムッシュペリエ。20年来の仕事仲間でギャラリストのこじまさん。パリから出展くださったマダムユキコ。

んも〜ホントに仲良し夫妻の江場さんご夫妻。

んも〜ホントに仲良し夫妻の江場さんご夫妻。

料亭か茂免の若旦那のりさんと奥方のまゆみさん。真ん中はBUAISOの江崎さん。

料亭か茂免の若旦那のりさんと奥方のまゆみさん。真ん中はBUAISOの江崎さん。

我らがメンズクラブ戸賀編集長とDJの岡本祐佳さん。

我らがメンズクラブ戸賀編集長とDJの岡本祐佳さん。

会場はシャンボール。このムラノガラスについ目がいきますネ。

会場はシャンボール。このムラノガラスについ目がいきますネ。

お目苦しい格好ですみません。
今日はお着物で皆様をお迎えいたしました。
夏の着物は暑いと思われがちだけど、
空気が通るようになっているので、意外に暑くな〜い。


ART NAGOYA 2012は、明日と明後日の開催です。皆様ぜひお出掛けくださいませ。
開催時間/11時〜19時
開催会場/ウェスティンナゴヤキャッスル
交通機関/地下鉄浅間町から徒歩表示になってますが、歩くと暑いので、
     名古屋駅の成城石井前から出ている無料シャトルバスがお勧めです。
駐車場 /なぜだかおそろしく混んでいますので、公共の交通機関をお勧めいたします。
入場料 /1,000円


伊藤まさこさんが伊賀焼を訪ねる【徒然なるお仕事】


センスの良い暮らしぶりが、女性誌などで絶大人気のスタイリスト・伊藤まさこさん。長野県松本市在住の伊藤さんが、中部地区のものづくりを訪ねる旅を、ある企業の広報誌にて取材させていただくようになって一年になる。その第4回目の旅は、三重県伊賀市。日本六古窯のひとつに数えられている伊賀焼の里である。料理や生活まわりのスタイリストとして多くの実績を持つ伊藤さんにとって、伊賀市は遠くて近い場所なのだそう。距離的には遠いが、知り合いの作家さんやギャラリーがあるので感覚的には近い存在。今回は、伊藤さんが「こんなのあったら素敵だな!」という土鍋を、ある作家さんに特別オーダーするところから旅が始まる。パエリアも炊きたいし、鯛飯も炊きたいから平たくて大きい土鍋がいい、とか。ごはんを少量炊いても美味しく仕上がる土鍋が欲しい、とか。炒め物もできる土鍋がいいな、とか。伊藤さんの暮らしの中から生まれた素朴な欲求に、陶芸作家がどう応えるか。取材しながら、内心どきどきハラハラと期待心がないまぜになって、土鍋が焼き上がるまでは私も緊張がとけなかった。
いろんな人のドキドキをはらんで出来上がる伊賀焼ストーリーの他、伊賀市丸柱にあるとっても素敵なギャラリーを訪ねたり、同じ伊賀市でも青山高原の方にある酒蔵にお邪魔してお酒をいっぱい買い込んだり。伊藤さんが楽しんで旅をする様子が、ここのwebでご覧いただけるので、ぜひクリックしてご訪問くださいませ(宣伝です)。
いつもは日帰り旅だったのだけど、この時は、連載がスタートしてはじめて宿泊を含んでいたので、スタッフや伊藤さんと共にお酒や地元の食事を楽しみ、温泉に入るという"女子旅"を満喫した取材でもあった。なんと、この取材クルーはクライアントを含め、オール女子なのだ。こういう現場はさすがに珍しい。何度か仕事をしたことのある女性同士だと、無言でお互いに分かり合えるところがあり、余計な気づかいがいらない。この時も、それぞれが勝手にほどよく行動し、仕事時間にはきちんと集合して、淡々とスケジュールをこなしていた。女子同士の仕事っていいもんですよ。
そして、上の写真は、この取材旅行から帰ってきた時の私の手荷物。白いバッグはスケッチブックやら鏡やストールなどのロケグッズ。茶色のバッグはMacと取材資料がたんまりと。赤いバッグはお泊まりセット。そして周りの数々は、日本酒の一升瓶やら酒粕やらお菓子やら、お豆腐のおからやら。全部でおおよそ10キロくらいはあったんじゃないかしらん。家路につく時の重たかったことと言ったら!お買い物に夢中になるのが女子旅ですからね。ホント、愉しい取材でございました。