徒然なるお仕事

タクシー運転手の予言【徒然なるお仕事】


先月と今月はほんっっっとに忙しいです。毎年この時期は、次年度制作物の改変のタイミングとなるため、企画と仕込みと取材と原稿書きが混乱するほど続き、いつまでも長いトンネルを走っているような感覚に陥ってしまう。数々の不義理を重ねておりますが、あと少しでトンネルから抜け出せる予定なので、どうか皆様お見捨てなく、よろしくお願いいたします。
久しぶりのコラムアップは、15年前にある人から告げられた予言について。嘘みたいなホントの話なので、しばしおつきあいくださいませ。

今からちょうど15年前、あるパーティーに出席するため箱根に向かった時のこと。新宿発のロマンスカーを箱根湯本で降りて、タクシーで山のホテルに向かう間に、運転手さんが話しかけてきた。
「お客さん、着物着てるけど、何の仕事? いや、ちょっと待って。僕が当てるから」にこにこ笑いながら私の職業を予想してゲームをしているかのように楽しんでいたその方は、おそらく50歳くらいだっただろうか。結局、私の職業を当てることはできなかったが、約30分の乗車時間にすっかり打ち解けて会話を楽しんだ。そしてタクシーを降りる間際に、その人は謎掛けのようなことを言った。
「お客さん、今から15年後、どうなっていたい?」
そう問われても即答できなかった。
「すぐに答えられないなら、今夜ゆっくり考えるといいよ。そして私が予言してあげる。お客さんはあと10年か15年くらいしたら、今の願いが叶った暮らしをしているよ。私は予言者でも霊能者でもないのだけど、人の未来をなにか感じ取る力があってね。すべての人の未来がわかるわけではないのだけど、あ、この人の願いはきっと叶うな、って感じることがあって、今まで殆どそれが当たってきたの。嘘じゃないよ。嘘じゃないことは15年後に分かるから。楽しみにしてて」なんとなく信じたようなそうじゃないような不思議な気分になったことを、今でもはっきりと覚えている。


15年前はおろか、コピーライターとしてかろうじて独立して仕事を始めた頃から、仕事の欲目がイマイチ弱いのが私の欠点であった。楽しく仕事ができればいい、一人分の生活費が稼げればいい、という欲目しかなかった。何が何でも年商アップするとか、会社設立するぞとか、この仕事は絶対にとるぞ!という気迫がない反面、好きな分野にはとことん情熱と時間とお金を費やしてきたので、ある一部の分野については、人よりも多少は詳しい知識を得ることができた。先輩諸氏からは「アシスタントを入れてスタッフを増やしてやってみたら?」「デザイナーを入れてプロダクションにしたら?」などと進言されたけど、仕事を大きくしても責任をとる自信はなかった。だから15年前の夜に考えた将来像とは「好きな物や人に囲まれて毎日の暮らしを楽しんでいる流れの中で仕事をする、そんなクリエイターになれたらいいなぁ」という経営的視点で見るとかなりゆる〜い目標だったのである。


ゆるい仕事目標のおかげで、やっぱりいまだに大したコピーライターにはなれていないのだけど、実はそのゆるい目標をゆるいなりに達成できていることを、友人が気づかせてくれた。というのも、ここのところ日頃の遊び仲間たちをルートにして、新しいお仕事が幾つか舞い込んで来ているのだが、そのオーダーが「いつものマリコさんの世界観で原稿にして欲しい」「これは絶対にマリコさんが好きな分野だと思うから是非書いて」というとっても有り難く嬉しいお声掛けで、お仕事に結びついているのだ。
ちなみに一番上の写真は、友人ルートの仕事での撮影シーンにて。急遽「手モデ」することになった友人の後ろ姿。この撮影時のランチは食べるタイミングを自分で見計らって適当に済ます、というシステムだった。撮影に没頭した私がさくっとランチできたのは14時過ぎ。一人でむせながらお弁当を食べてると、手モデ友人の上司(こちらも同様に友人)が気をつかって話しかけてくれた。「マリコさん、この仕事して何年になるの?今の仕事は向いてると思う?」今まで一緒にお酒を飲んで遊んだことはあっても、仕事の話をしたことがなかったので面食らいながらも「そういえば年をとるごとに、仕事の方が私に寄ってきてくれる気がする」と答えた。考えようによっては随分生意気な発言なのだけど、帰り道に、自分のその回答と15年前に抱いた将来像が見事にマッチしていることに気づいたのである。「あの運転手が言ったことは当たってたんだ!」と。


こちらは友人の輪がつなげてくれた、とある陶器会社のお仕事。
「ぎやまん陶」という名の美しい陶器です。
ミイラ取りがミイラになって取材中に即購入。
しばらく忙しくてご飯会が開催できていないけど、
来月我が家に遊びに来る方々にはこれでお出しします。


こちらはとある老舗料亭にて。レトロな電話器とカーテンの感じがまるでドラマのシーンみたい。何度か一緒にお食事したりお話しているうちに、私の方で勝手に姉弟みたいな感覚だなと思ってた老舗料亭の若旦那から嬉しいお仕事をいただくことになった。若旦那、企画案もうすぐお持ちしまっせ。しばしお待ちくだされ。


友人ルートの仕事というのは、かえって気づかいも多くなって仕事としてはやりにくいと思っていたのだけど、実際に仕事してみると意外にそうでもなくて自分でも驚いている。多分それは「普段のマリコさんで」というオーダーのおかげで、のびのびとやらせてもらってるからかな。こんな風に書くと、まるで売れっ子のように聴こえるかもしれないけど、実際は請求先に逃げられてお金をとりっぱぐれたり、未払いに泣いたりしているので経済的には決して豊かとは言えない現実。ま、でも元々がゆるい目標だったのだから、毎日を楽しく暮らしていれば、それが仕事につながってゆくと信じて、明日も原稿書きに勤しもうと思っている。
そして、15年たった今年、また箱根の山のホテルを訪ねてみようかなと計画中。できればまた箱根湯本からあの運転手さんにタクシーに乗せてもらって、今度は今から15年後に願いが叶う顔をしているかどうかを、教えてもらえないかと思うのだけど。どうでしょうね。


ミッドランドスクエアの「エロと色気の間」【徒然なるお仕事】


こんなタイトルつけちゃうと、またどこかのエロサイトからのリンクが増えちゃうんですよね。タイトルにご期待いただいて当webにご訪問くださった方、中身はエロではございませんので、とっととお帰りくださいませ。このタイトルは、「冷静と情熱の間」のお2人が二匹目のどじょう小説を文庫化したのに記念してつけておきましたので、あしからずです。
さて、エロと色気の間って紙一重であるがゆえに、表現するには非常に難しい領域である。語り手によってエロさはグロさになってしまうし、つややかな色気を表現するつもりが文章がままならずにただのエロになってしまった、ということにもなりかねない。今回のお仕事では、その部分にもっとも気づかいが必要とされ、クライアントの商品イメージを損なわないように、何度も音読しては原稿を直し、書いては考え、という作業を繰り返した。そのモチーフ(こんな言い方では失礼かもしれないけど)となったのが、この写真の君である。おっされな男子の愛読誌「メンズクラブ」の戸賀敬城編集長だ(上の写真は打ち合せブランチをした時のもの)。
見た通りのイケメンで、あらゆるメディアに登場し、今や編集長の仕事の領域をはるかに超えたご活躍ぶりはつとに有名なので、ご存知の方も多いだろう。正直に言わせていただくと、お会いするまでは「ちゃらい」人だと思っていた。モデルばりのポーズで写真撮影され、いつもセンスの良いファッションに身を包み、まぁとにかくカッコいいのでこりゃモテるだろうな、と。実際にお会いしてみると、確かにカッコいいのだけど、決してちゃらいわけではなく、むしろ仕事に対する取り組み方がとても真摯で、短い言葉で的確な表現をされる。つまり外見だけでなく、中身もカッコいい方だったのである。
その戸賀編集長がモチーフになったものが、ある商業施設で昨日から展示されているので、そのお知らせでございます。
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ミッドランドスクエア(名古屋駅前)が3月で5周年を迎えます。ニューオープンのお店があったり、ビューティー・シネマ・アート・ファッションにまつわるイベントが週替わりで開催されたり、戸賀編集長のトークショーがあったりと、もりだくさんの内容で、5周年記念月間が始まります。私がお仕事させていただいたものは、3月9金曜日まで、B1Fアトリウムにて展示されているので、[エロと色気の間]のものを探してみてくださいませ。
ちなみに戸賀編集長が出演されるトークショー&ファッションショーは、24土曜日15時〜。シネマウィークでは、親しい友人の松岡ひとみさん出演「シネマBAR」の公開収録とトークショーがおこなわれます。10土曜日14時〜です!


白練りショコラでバレンタインを!【徒然なるお仕事】


私のような年齢になると、もうバレンタインなんて関係なくなってしまうものだけど、市場はといえばそうでもなくて、マーケットはどんどん広がっているのだとか。JR名古屋タカシマヤのアムールデュショコラの売上は日本一?らしく、モンスターマーケットだそうな。その市場を支えているのが、これまた意外にも私くらいの年齢の女性らしい。自分へのご褒美と称して自分のためにチョコレートを買う人が年々増えている。自分へのご褒美ってなんだか女性ならではのゴーマニズムに溢れた言葉だなぁと我ながら思うのだけど、ま、そのことは置いといて。かくいう私もゴーマニズムの塊となって、父と叔父以外のどなたにもチョコレートは差し上げず、自分のためだけにチョコレートを買う。今年も買う。いろいろと。


そういうわけで、今日は思い切り商品広告でございます。2年前に商品開発とプロデュースのお仕事をさせていただいた「白練りショコラ」のコマーシャル。岐阜市の鮎加工品専門店および鮎専門料理の「泉屋物産店」の洋風新商品の一つで、鮎の熟れ寿司のご飯の部分を再利用し、熟れ味をチーズに見立て、チョコレートを開発したのだ。フランス料理「ヴァンセット」の青木シェフの監修のもと、試行錯誤を繰り返して出来上がったチョコレートは、ちょっとオトナ味。珈琲や紅茶というよりもブランディーやデザートワインによく合う味わいとなって完成した。私は商品開発そのものと、商品のネーミング、パッケージデザインまでを担当し、無事新商品として世に出すことができたというわけで愛着もひとしお。
さらに、商品開発と新商品販売を無事に済ませた頃に嬉しい発見があった。なにげなく本を読んでいたら「白練り色」という名前が日本の古い伝統色に存在していることが分かったのだ。ちょうど有田焼の乳白色のような深い色のことを白練り色と呼んだらしい。
というわけで、以下、白練りショコラのコマーシャルです。お酒好きの皆様、ぜひ今年のバレンタインは白練りショコラをお試しくださいまし。
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白練りショコラは、泉屋物産店(岐阜市)本店・web・高島屋岐阜店にて特別販売されます。
白練りショコラ・鮎ピザ・鮎ぞうすいのセットで3000円(通常3150円)。クール送料も500円(通常945円)で発送されるそうです。
私個人的にはすご〜く残念ながら、白練りショコラ単体では購入できないみたいですが、他のおつまみもセットで購入するおつもりで是非オーダーしてくださいませね。
泉屋物産店のwebはこちら


伊藤まさこさんの"手仕事ひとつまみ"【徒然なるお仕事】


センスの良い暮らしぶりや、"もの"への確かな審美眼から、女性誌やナチュラル系雑誌を中心に人気のスタイリスト・伊藤まさこさん。とある企業の広報誌のお仕事で、伊藤まさこさんが東海地区の"ものづくり"を訪ねる旅を取材させていただいている。長野県松本市在住の伊藤さんは、信州のものづくりを自ら訪ね、ガラスや陶器、竹ざるや箒といった職人さんが作る生活道具を日常に取り入れている。その素敵な生活感は、数々の著作でも紹介されているのでご存知の方も多いだろう。東海地区は、伊藤さんにとってまだ見ぬ土地ばかり。丁寧な手仕事を営む作家や職人を訪ね、伊藤さん流の審美眼で新たな魅力を発見したり、伊藤さんのアイデアをものづくりに生かすというのが企画趣旨だ。このシリーズは春からスタートし、岐阜県岐阜市の美濃和紙、愛知県岡崎市の三河木綿と続き、今回の号が「山ぶどうの籠」である。伊藤さんが大好きな籠に注目し、独特の「花結び」と呼ばれる編み方で籠を制作する女性作家さんを訪ねている。ご興味がおありの方は、ここにご訪問いただき、いっぱいいっぱいクリックしてくださいね(爆)。


さて、冒頭の写真は、その取材時にお邪魔した2軒のお菓子屋さんの"栗きんとん"。籠作家さんが住む中山道沿いを伊藤さんが訪ねた折に、このあたりの特産品でもある栗菓子を比較してみたいと伊藤さんがアイデアをくださったのだ。東海地区以外の方にとっては馴染みが薄いかもしれない"栗きんとん"。この地域では秋になると、デパートで名店が競うように売り始める。ご他聞にもれず私も大好きで、この取材のおかげで名店の栗きんとんを同時に味比べする贅沢を味わった。伝統的な製法と商品を大切にする岐阜県中津川市の「すや」(写真右)と、一年中栗菓子が食べられるように技術とアイデアで幅広い商品展開する岐阜県恵那市の「恵那川上屋」(写真左)の2軒である。どっちの味が美味しいかは好みなのでここでは割愛。それにしても同じお菓子でほぼ同じ製法なのに、味って違うものですね〜。こっちは栗の甘みで、こっちは水分が・・・なんて分析していて、気づいたらいただいた栗きんとん合計12個をぺろっと食べちゃっていた。東海地区以外の方々、次の秋には中山道沿いの栗菓子目的で遊びにいらしてください。この取材のおかげですっかり栗菓子通になった私がご案内いたします。栗きんとんだけでなく、栗パフェ、栗しるこなど、期間もお店も限定の絶品栗スイーツを巡りましょう!!!ちなみに写真の栗きんとんがのっかっているお皿は、九谷の須田菁華さん。須田菁華さんのお皿は、洋菓子を盛っても和菓子を盛ってもよく似合って不思議な魅力がある。そういえば「僕のお皿はカレーライスでも会席料理でも合うんですよ」って須田菁華さんご本人もおっしゃっていたっけ。


話がすっかりそれてしまったけれど、くだんの伊藤まさこさんが訪ねたのは山ぶどうの籠作家さん、妻籠宿、栗菓子屋さんなど中山道の深まる秋の風景。繰り返ししつこく書きますが、ぜひここをクリックしていただき、伊藤まさこさんの素敵なものづくり旅をお読みくださいませ。


やばっやばっ、2011が終わっちゃう!【徒然なるお仕事】


そういうわけで、師走らしく毎年恒例のごとくのバタバタ生活を送っておりますっ。一ヶ月前までは「今年の年末、結構余裕じゃん」と思っていたのだけど、蓋を開けてみたら、12月中旬〆切だったはずの原稿のことをころっと忘れていたことに中旬過ぎてから指摘され、以来バタバタライフへと突入したのであった。今月中旬の〆切原稿はなんと7つ。とは言っても、スパンが長い上にどうしても今月中旬じゃなければ!という内容でなかったことが幸いして、心優しきご担当者様が「今月中でいいですよ〜なんなら新年始まってパソコンあけた時に原稿が届いていればいいですよ〜」とおっしゃってくださったので、それに甘えて、今、必死に鋭意制作中というわけ。


もちろんその7つの原稿以外にも、色校正チェックやアップされたwebの確認作業、来年の計画案出さなきゃとか、web用のラフ構成も描かなきゃとか、いろいろあって、いわゆる「お正月迎え」の準備がまったく出来ていない。最近年齢のせいなのか、健忘症かっ?と自分でドキッとすることが多いので(時々家に帰ることさえ忘れそうになるオヤジ化現象もおきてます)、我が家の至る所にはto do listのメモが貼ってある。冒頭の写真は、28日までに絶対に行かなきゃいけない場所が、アテンション代わりに玄関に貼ってあるもの。(なんだ食べて飲むことばっかじゃん、とか言わない!)
あ〜あ、ホントはこんなコラム書いてる場合じゃないのだ。28日までに全部行けるのかな。そしてホントに今年中に今年の仕事終われるのかな、とちょっと不安なのだけど、あとちょっと突っ走ろうと思っています。皆様、街で自転車暴走族を見かけても、お声おかけいただきませんように見逃してくださいませ。よろしくお願いいたします。


アートで沸き立つ名古屋です【徒然なるお仕事】


昨日9月11日まで、松坂屋名古屋本店でアートフェアが開催されていた。8月に名古屋で初のホテルアートイベントの実行委員を務めた経緯もあるので、昨日最終日ぎりぎり(いつものぎりぎり病です)にお邪魔してきた。松坂屋のイベントホールがパーテーションで仕切られ、全国から集ったギャラリーがそれぞれのブースに作品を展示するという方法である。私たちART NAGOYAの会場となったウェスティンナゴヤキャッスルとは趣をまったく異にしていて、壁に掛かった作品を真正面から眺めることができ、いわゆる昔ながらの?ギャラリー風景がブースに再現されているといった感じ。アート業界の方々の講演会なども催され、会場には多くのアートファンがつめかけて、かなりの賑わいだった。僭越ながら、先月のART NAGOYAとこのVARIAが続いたことで、一時期低迷したのでは?と一部で言われた名古屋のアートファンの方々が、再び沸き立ってきているなと思ったのは、私の図々しい妄想だろうか。


参画ギャラリーの中には、全国的に有名なギャラリーや著名作家の作品を展示しているところもあり、ウン千万という価格を見てはヒャ〜!と驚きながらも、大好きな陶芸家・青木良太さんの作品を発見したりして、個人的にも楽しめたイベントであった。中でも驚いたのは、東京・羽黒洞さんのブースである。ブースの壁に直接作家が墨絵を描いていたりと、なかなか個性的な展示と作品で魅了するギャラリーだなぁと眺めていたところ、出展作家さんからお声をかけていただいた。なんと、中学時代の同級生で造形作家である井戸えりちゃんのご主人、大野泰雄さんだったのだ。大野泰雄さんも美術家であり、羽黒洞さんお抱えの作家なのだそう。世間は狭いのです、本当に。そこに奥方の井戸えりちゃんが現れ、羽黒洞さんの富野さんや木村さんを交えて、しばしアートトーク。先に楽しみが見いだせる出逢いとなった。大野さん、えりちゃん、どうもありがとうございました。


そんなわけで、アートに沸き立つ私は、一ヶ月前のART NAGOYAのことを思い出していつものごとく、しばしふけっております。すっかり心はART NAGOYAにワープして、ここからは思い出話。これはウェスティンナゴヤキャッスルのエレベーター内。


こちらは岐阜の石原美術さんの石原ご夫妻。ART NAGOYAにお越しくださり、貴重なご意見をたくさん頂戴した。ウェスティンナゴヤキャッスルを会場にして大正解!と思ったのは、石原ご夫妻のように粋なお姿で訪れるお客様が多かったことだ。その方がなんとなく気持ちも華やぎますよね。それにしても石原ご夫妻は素敵なお着物姿でしたよ。


これはART NAGOYAのスポンサー協賛してくださったジャガー・ランドローバー・ジャパン様。
ホテルの前に特別展示されていたので、なんと遠方からわざわざこの車を見るためにART NAGOYAにお越しになったご仁が!


こちらはプレビューの日の関係者パーティーにて。ご挨拶は名古屋ボストン美術館館長の馬場さん。アートコレクターでもありドクターでもいらっしゃる馬場さんは本当に素敵な紳士。以前取材をしたことがあり、以来のファンである。


乾杯のお酒は、ご存知プレステージシャンパンのベルエポック。
こちらもペルノ・リカール・ジャパン様から協賛していただいた。
アネモネが描かれたアーティスティックなボトルが有名で、ART NAGOYAにはぴったりのお酒だった。期間中はホテル内でベルエポックフェアも開催されていた。


パーティーの会場は一階のシャンボール。ここ、今はパーティー会場となってしまったが、以前はメインダイニングのフレンチだったのだ。バブルの頃、足長おじさまによく連れて来ていただいたのだったわ(遠い目)。ここもまたART NAGOYAにふさわしい会場である。というのも、天井のシャンデリア。なんとイタリア・ムラノでオーダーされた物で、その価値ウン千万と聞いたことがある(再び遠い目)。


こちらはパーティーとプレビューのスペシャルゲスト。右から私の第2の公認パパである松島パパ(ちなみに第2の公認ママである松島ママもいます)。そのお隣は元NY国連、現在はサーマ・スラブの開発者で経営者の福田さん。そのお隣は我らが江場さん。そして左の美女は福田さんの奥様の慶恵さん。みんなホントに素敵な笑顔でしょう!心が豊かな方は笑顔が本当にきれい。私の憧れの方々でございます。
そしてアートは心を豊かにしてくれるということを改めて気づかせてくれたのが、ART NAGOYAであり、今回のVARIAだったと思う。アートに触れていると、あるいはアートを巡っていると、なぜだか良いご縁が舞い込むし、静かな内省を促してくれる。小難しい理論や蘊蓄は専門家の方々にお任せするとして、この名古屋のアート熱をこれからも盛り上げていきたいなぁと、一人で月夜に向かってぼやいている。


8月31日オンナ、30年変わらず【徒然なるお仕事】


んっあ〜、バタバタでした。まさに8月31日、夏休み最後の日に、幾つも重なった〆切を終えて、スッキリした夜を迎えておりまする。思えば小学生の頃から8月31日の夜は地獄だった。溜まりに溜まった宿題をやらなくちゃと言いながら、お尻に火がつくのが29日くらい。そこから3日間はラジオ体操にも行かず、プールにも行かず、ひたすら勉強机に向かって宿題を体裁だけ整えるというインチキをやっていたものだ。
ややこしいのが夏休み一研究なるものだった。今の子供たちもそうだと思うんだけど、夏休みの間にひとつテーマを決めて、それについて研究してまとめあげるというもの。忘れもしないのが中学2年生の夏休みの一研究だった。私はお絵描きが好きだったので、喜怒哀楽の4つの感情を絵と文章にし、パネルに仕上げるという研究を選んだ(今思えば、それって広告じゃん!)。ところが、である。8月31日の夕方になっても、喜怒哀楽の4枚のパネルは用意してあったが、絵が一枚も仕上がっていなかった。「明日は始業式だしぃ〜、明後日くらいまでに作ればなんとかなるっしょ」と思っていたのだ。
運悪く、その日は父の帰宅が早かった。晩酌をしながら父がなにげなく「そういえば一研究って何やったんだっけ?」と聞いてきたのである。正直に何も出来ていないことを告白すると、父は烈火の如く怒った。飲んでいたお酒も食事もそっちのけで、お説教が始まってしまった。たとえ内容が貧弱だろうと、期日を守るということが世の中で一番大事なのだと。人間すべての人に与えられた時間は一日24時間だと。それは天皇陛下だってジュリー(当時私はジュリーのファンだった)だって同じだと。こんこんと説教されてしまった。父の言うことはいちいちごもっともだったので、しくしくと涙を流しながら下を向く私。


お説教が終わったのは20時くらいになっていただろうか。父は食事もろくにしないまま、私のパネル作りを手伝い始めてくれた。そこからおよそ3時間あまり、4枚のパネルはかなり貧相な仕上がりではあったものの、とりあえず体裁が整い、無事に上からビニールを貼って完成した。怒られたショックとギリギリでやり遂げた感の両方で、その夜はほとんど眠れず、翌朝、目をパンパンに腫らしたまま学校へ。
いつもの始業式なら、なんとなく挨拶して学校集会して終わりのはずなのに、その日に限って担任の先生は夏休み一研究を提出しろと言うではありませんか!同級生たちのほとんどが、やはり一研究は完成しておらず、学校に持ってきていなかった。完成させて持っていったのは、私ともう一人(この彼女は成績も良い優等生)だけだったのである。先生は壇上で昨夜の父とまったく同じ事を言った。そして「一研究はクラスの中で一番優れた内容の生徒を発表することになっているけど、今年に関しては内容を見るまでもなく、コンドウさんとFさんに決まりだな」ですと!!!!!


この後しばらくは父に頭が上がらなかったなぁ。30年たった今では、そんなことはころっと忘れて、チクチクと父をいじめる側にまわっているのだけれどね。毎年8月31日になると、父が畳にへばりつくようにしてパネルを丁寧に貼ってくれる様子を思い出すのである。文章を書く仕事についてからも、〆切だけは必ず守るというのが私の中の最低限のルールになっている。今までに〆切を黙って破ったことは、多分一度もない(もしもあったらごめんなさい)。これも8月31日の教訓が生きているのかなぁ・・・。だとしたら父に感謝しなくちゃ。


というわけで、1週間はほとんど家に籠る日々だった。さりとて買い物に行く時間も作る余裕もなかったため、冷蔵庫にある保存食でつないでいた。冒頭の写真はその保存食を入れている容器。大好きな作り手のスティルトンの陶器が保存食入れになっている。


こっちはショウガの甘酢漬け。
新ショウガの季節に多めに買って、ひたすらみじん切りし、
それを甘酢に漬け込んだもの。
ご飯にのっけるだけで、美味しくて体に良いおかずになります。


こっちは自家製の梅干し。
大きな南高梅を一日一個食べれば、夏バテ知らずです。
昆布と蜂蜜を使ってほんのり甘く。
低塩なので冷蔵庫で保存してます。


原稿〆切の山を終えて一区切りした今夜は、
足長おじさま&足長おばさまが、美味しいお店に連れていってくれました。
長い粗食に耐えた後の舌は、びっくりするほど敏感になっている。
今夜のお吸い物は出汁の味がすごぉ〜くよく分かりました。
こういう喜びがあるから、粗食っていいなぁと思えるわけです。


ART NAGOYA 2011 明日から!【徒然なるお仕事】


ART NAGOYA 2011が、いよいよ明日と明後日に一般公開される。本日5日金曜日はプレス及び関係者向けの内覧会とレセプションが行われ、多くの取材クルー・美術界の関係者・ギャラリストでにぎわった一日となった。ウェスティンナゴヤキャッスルの9階、エグゼクティブフロアの客室がギャラリーとなり、全国から参画されたギャラリーが、個性と工夫にあふれた展示方法でアーティストの作品を紹介している。ベッドの上に整然と額装された作品を並べているギャラリーもあれば、室内を真っ暗にして映像作品を流していたり、バスタブにお水を張ってアート作品を展示していたり、どこかから音がするぞ?と探すとバスルームの中に驚きの作品が存在していたり。語り出したら際限ないほどの面白いアイデアで、現代アートが展示されている。全部で出展ギャラリーは26。かなり見応えのあるアートイベントとなったと思う。たとえば、↑の写真は、お隣の名古屋城を借景にして窓ガラスに作品を展示したもので、今この瞬間を鑑賞する「瞬間のアート」である。人の顔のシルエットだけでなく、雲の流れや空の色と共にその偶然性を味わえる。


こちらは室内まっくらで、この先を覗くのが、怖いもの見たさ的な期待感がある

こちらは室内まっくらで、この先を覗くのが、怖いもの見たさ的な期待感がある

ベッドの上にブラックボードが。作品が至る所に展示され、シックな空感に生まれ変わっていた

ベッドの上にブラックボードが。作品が至る所に展示され、シックな空感に生まれ変わっていた

オブジェがいきなり入り口に。ドキッとさせる演出には感服ですね。

オブジェがいきなり入り口に。ドキッとさせる演出には感服ですね。

こちらは西側タウンサイドのお部屋。西陽を計算しつくした窓の展示にご注目を。作品と空間を一体化させるアイデアは、ホテルならではの展示です。

こちらは西側タウンサイドのお部屋。西陽を計算しつくした窓の展示にご注目を。作品と空間を一体化させるアイデアは、ホテルならではの展示です。

これがバスルームに展示されてました。この面白さはご覧になった方だけのお楽しみでございます。

これがバスルームに展示されてました。この面白さはご覧になった方だけのお楽しみでございます。

こちらは開催前にテレビで紹介されて話題になった作家さんの作品。かわいかったですよ〜♥

こちらは開催前にテレビで紹介されて話題になった作家さんの作品。かわいかったですよ〜♥


ここでご紹介したのは、ほんのほんの一部のギャラリーである。一応実行委員に名前を連ねており、今日はご挨拶や関係者のご案内で歩き回っていたため、じっくり拝見できていない。明日明後日の一般公開で、ゆっくりと鑑賞しようと思っている。ここでご紹介しきれなかったギャラリーの皆様、どうぞご容赦ください。


ART NAGOYA 2011の一般公開は、
6土曜日、7日曜日の12時〜19時。
ウェスティンナゴヤキャッスル一階ロビーのレセプションにて、チケット(1,000円)をご購入くださいませ。


9階のエグゼクティブフロアで、スタッフにチケットを見せていただき、あとはご自由に各ギャラリーをご覧ください。その日のうちなら、再入場は何度でもOKです。ちょっと疲れた時には、ホテル内店舗でチケットをお見せいただけば割引サービスが受けられます。


現代アートへの関心が高いと言われている名古屋で、アートをもっともっと身近に感じていただきたいという思いからスタートした今回のイベント。アートにご興味がある方、どうぞお気軽にご来場ください。そして気に入った作品があれば、ぜひぜひご購入ください。アートが日常生活にもたらしてくれる幸福感を、一緒に味わいましょう!会場でお会いできることを心待ちにいたしております。


ART NAGOYA 2011【徒然なるお仕事】


今夏、名古屋ではじめて、ホテルでのアートフェアが開かれる。全国から名だたる現代アートのギャラリーが集い、ウェスティンナゴヤキャッスルのエグゼクティブフロアがすべてギャラリーになるというアートイベントである。ホテルのお部屋ひとつひとつがギャラリーになっていて、ベッドやサイドテーブル、壁、椅子、場合によってはバスルームにまで、現代アートが飾られるのだ。ギャラリー空間ではなく、ホテル空間に展示することで、訪れた人はより身近により住まいに近い感覚でアートに接することができるという試みである。世界的にホテルでのアートフェアは広がっていて、東京・大阪・京都などの国内はもちろん、海外のあらゆるプレステージホテルで開催されている。名古屋では今夏のART NAGOYAがはじめてだ。来場者は気に入ったアート作品があれば、その場で購入することができる。
さて、このアートイベントの何が面白いかというと、手前味噌になるが、実行委員の顔ぶれである。実はワタクシも実行委員に名前を連ねさせていただいている。フツウ、こうしたアートイベントは、アート界に籍を置くその道のスペシャリストが運営するのだけど、今回は違う。広告及びPRの世界で活躍している人々が、自らのアート好きと広告及びPRの経験を生かして、新しいタイプのアートフェアを試みようと活動したことだった。実行委員は、エグゼクティブなイベントを運営させたら定評のあるプロデューサー、アート性の高い作品を制作するアートディレクター、写真ギャラリーオーナーでありPRのプロでもあるプランナー、そしてただアートが好きなだけというワタクシ。ワタクシと他の方々とは随分の温度差があるのは否めないのだけど、ま、そんなわけで名前を連ねさせていただき、運営スタッフとしてこの半年間、活動しているのだ。


ART NAGOYA 2011は、8月5金曜〜7日曜まで、ウェスティンナゴヤキャッスルで開催される。チケット(1,000円)を購入いただくと、一日中エグゼクティブフロアには出入り自由となるので、じっくり鑑賞して疲れちゃったらホテルのティーラウンジで一休みして(チケット提示で割引もございますっ)、また戻って再び鑑賞、また疲れたら今度は優雅にゆったりとランチでもして(チケット提示で割引もございますっ)再び戻る、な〜んていう贅沢な時間の使い方ができるわけだ。これがホテルでのアートフェアの良いところですね。ふむ。


ART NAGOYA 2011の詳細情報はこちらまで。
チケットは名古屋市内5カ所で取り扱っております。
ぜひぜひお買い求めいただき、ART NAGOYAにお越しくださいませ。
あ、そうそう。上記のwebにアクセスいただき、twitter欄もご覧ください。twitterはワタクシが担当しておりまして、アートだかどうだかわからないようなビミョーなつぶやきをお読みいただけます。時にくだらないこともつぶやいておりますが、どうかお許しを。そしてよろしかったらフォローしてください。


個人のブランディングは名刺から【徒然なるお仕事】


「逸品もっとよくなるプロジェクト」を信頼できるクリエイター仲間たちとスタートさせて、もうすぐ一年になろうとしている。このプロジェクトは地域の逸品や埋もれてしまった良品に視点を注いで、本来の魅力を引き出したり、売れる仕組みを考えることが目的だ。その対象はモノだけでなく、個人のブランディングにも向いている。企業の経営者や個人店の店主などに、ご自分の魅力の発信方法(ひいては企業の魅力や商品の売れ行きに通じる)をわたしたちプロジェクトのメンバーが、それぞれの得意分野を生かしてブランディング構築してさしあげるのだ。
・・・とエラそ〜〜に言ってる割には、自分のブランディングが出来ているかと聞かれると、実はまったく手をつけていないことにはたと気づいたのが数ヶ月前。プロジェクトの主宰者である岡田氏からも「近藤サン、自分の売り方が下手すぎるよ」と苦言を呈されていた。そういえば、名刺のデザインなんてもう10年くらい変えてなかったなぁ。「ブランディングの第一歩として、メッセージ性の強い名刺を作りましょう」などと提案している割には、まったくの灯台下暗しだったのだ。


そこで、今回、名刺のリニューアルをおよそ10年ぶりに行ったのである。広告業界にいるのに10年もデザインを変えていなかったなんて!我ながらなんてズボラなんでしょう・・・反省。で、名刺リニューアルをお願いしたのは、「逸品もっとよくなるプロジェクト」のメンバーである池上貴文氏。私と同年で、いわゆる渋みの効いたイイ男。コピーライター泣かせの名文をよく書くご仁である。彼にかかると、上品の中にも強いメッセージ性のあるデザインに仕上げてくれるので、今回の名刺リニューアルにはピッタリの人選だったと思っている。↑の写真も池上氏が撮影してくれた。


↑写真をよ〜く見ていただくとお解りだと思うけど、今回から名刺の裏面に肩書きや営業項目を一気に増やすことにした。今までは「コピーライター」としか書いてこなかったから、肩書きばかりをこんなに並べると正直言ってこっぱずかしいのだけど。「コピーライター」と書かれているだけではどんな分野を得意としているのかが伝わらず、話も広がりにくいと判断して、思い切って肩書きを増やすことにしたのだ。今までに実際に手掛けてきた実績を新しい肩書きとしてアピールしている。広告プランニング・ブランディング構築・商品プロデュース・講師業・コンサルティング・伝統工芸コーディネイト・ショッププロデュース・食にまつわるコーディネイト。
そのかわり、表面には名前と一番多く使う肩書き(つまりコピーライター)とwebアドレスのみの表記にした。だって名刺のとっかかりは名前を覚えていただくことですもの。住所や電話番号が必要な時だけ、裏面を見てもらえばそれでいい。さらにそこにいろいろ肩書きが書いてあれば、どんな人物なのか?と興味を持ってもらえるかもしれない。つまり表面は出来る限り情報を削り、裏面は可能な限りの情報を詰め込んだというわけデス。
池上氏が3種類も面白いデザインを考えてくれたので、お渡しする相手によって、合いそうなデザインの物を渡そうと思う。いちおう、この3枚が揃った方にはビンゴとして、愛の抱擁が待っています。どうぞご期待くださいまし。