徒然なるお仕事

日本の色を旅する【徒然なるお仕事】


このコラムで何度も書き記している「日本の伝統色」。わたしたちの周りには、日本ならではの繊細な色が存在しているが、日本人は知らず知らずのうちにそれを享受し、独特の感性として内包していると思う。美しい色だけど、ちょっと控えめな。はっきりと目立つ色なのに、どこかはにかんで。歩みを少し緩めた時に垣間見える色。振り返った瞬間、目に飛びこんでくる透明感のある色。そんな伝統色こそ、COOL JAPANそのものだといつも思っている。
また、伝統色には、日本らしい感性で付けられた素晴らしいネーミングがある。浅葱色、青鈍色、露草色、艶紅、今様色、桃染、裏葉色・・・。この色の名前、なんともうっとりする世界観を、どうしても表現したい。日本の美しい風景とともに紹介してみたい。わたしのこの想いを、何年にも渡って、いろいろな企画書に書き連ね、プレゼンをし続けてきた。


とある企業の会報誌でも、およそ5年ほど前からずっと企画として出し続けていたものが、ようやく日の目を見ることとなり、昨年の秋に取材や撮影が敢行されたのである。取材先はもちろん、京都の吉岡幸雄さんの工房。日本の伝統色を守り、染料の原料となる植物を育てて、伝統色の再現と保存の活動を続ける染織家である。祇園に小さな店舗があり、そこは日本の伝統色でいっぱいなので、京都に行くたびに訪れては溜め息をつき、いつか吉岡さんを取材したいと念を送り続けていたのだが、それがやっとの想いで実を結んだというわけだ。
※↑上の写真は、その会報誌のトップページで用いた写真。吉岡さんの工房で販売されている日本の伝統色のストールである。


残念ながら、ある企業の会員の方にのみ郵送される本なので、一般ではオープンになっていないため、ここでは紹介することができない。もしご興味がある方がいれば、PDFでも読んでいただけるので、よろしかったらメールくださいませ。内緒で(この時点で内緒じゃなくなっちゃってるけど笑)送らせていただきます。ちなみに会員の方からの感想も私たち制作スタッフのところにいただいているのだけど、日本の色の特集はとても評判が良いそうで、私もひっそりと一人で喜んでいる。制作者にとって、こういうフィードバックほど嬉しいものはないのです。読んでくださった方々、どうもありがとうございます。