徒然なるお仕事

25ans十河編集長のオーラ消し【徒然なるお仕事】


3/1から名古屋駅前のミッドランドスクエアで、7周年キャンペーンが始まった。私は7周年記念の会報誌の制作に携わらせていただき、25ansの十河ひろ美編集長のインタビューと、山本益博さんの取材を担当した。今回は、その十河編集長のお話。


25ansといえば、ラグジュアリーなクラスマガジン。その編集長の取材には役不足なんじゃないかなと少々不安を持ちつつ現場に向かった。かなり早めに到着したはずなのに、カメラマンやスタイリスト、ヘアメイクのスタッフもほぼ同時に到着。さすがデキル人たちは早め早めの行動なんですね。某所の室内に入り、早速準備を進めていると、ほどなくして十河編集長が現れた。「こんにちはー今日はよろしくお願いしますー」アルカイックスマイルが完璧にできる女性ってそうはいないものです。現場には独特の緊張感が漂い、男性スタッフはみなピリッとしてきた。いよいよインタビューである。私は自分の緊張をほぐすためと、取材相手との距離を一気に縮めるためとで、十河編集長に個人的な問いかけから始めた。2年前に十河編集長がシャンパーニュ騎士団からシュバリエを受勲されたパーティーに私も参列していて、その時に実はお逢いしているんです、と。すると、十河編集長は私の企みをすぐに理解してくれて、それまでまとっていた「知的でオシャレな凄腕編集長」というオーラを、さっと消し去ってくれたのである。つまり、私の緊張を解くために、自らオーラを消して親しみやすい雰囲気へと変身してくださったのだ。これ、なかなか出来ることじゃないんです。数々の有名人や文化人を取材してきたけど、インタビュー側の気持ちを考慮してくれる人なんて滅多にいない。さすが制作や編集の現場を知っている人だな、相手の気持ちが分かる人なんだな、と私のテンションはマックスに。そこからはスムーズに取材が進み、最後にもう一度、個人的に聞きたいことを尋ねた。それはシャネルが提唱しているメティエダールと日本の職人の手仕事に共通する精神性について。シャネルのメティエダールについては、過去のコラムに書いているので、よかったら読んでやってくださいまし。ラグジュアリーブランド好きな方の多くが日本の手仕事の精緻さをご存知なかったり興味がなかったりするので、海外ブランドを追いかける前にもっと日本の良さを知って欲しいと日頃から思っており、十河編集長にもそのあたりのお考えを聞いてみたかったのだ。そしたら、予想をはるかに超えた素晴らしいお答えが返ってきて、私はすっかり十河編集長の知性にベタ惚れしちゃったのである。「日本の職人の手仕事の素晴らしさは、おっしゃる通り、メティエダールの技術とまったく同じ次元で、もっと語られるべきですし、守られるべきだと思います。プロダクトはまったく違っても、実は精神性においては世界でも一二を争うほどではないでしょうか」と。


そんなわけで、とても充実した取材となったのである。ちなみにこの写真は、インタビュー場所となった某所某室の天井。日本建築の伝統技法である網代天井。モダンな洋のデザインにこの幾何学模様の網代を取り入れるとは、なんて素敵。そして十河編集長のおっしゃった「日本の手仕事とラグジュアリーブランドは同じ次元」という言葉がそのまま形となって現れていると言ってもいい。


そういうわけで、こんな素敵な十河編集長のインタビュー記事は、下記のミッドランドスクエアwebで期間限定でご覧になれます。ぜひアクセスして、お読みくださいませ。
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