今日の地球

あなたにとってMerryとは?【今日の地球】



神無月も終わりましたね〜。↑の写真は、COP10と名古屋開府400年を記念しておこなわれたMerryProject。MerryProjectとは、名古屋出身のアートディレクター水谷孝次氏が提唱しているもので「笑顔は世界共通のコミュニケーション」をテーマにMerryの輪を広げていくコミュニケーションアートである。水谷さんは資金を自費で賄って(実際は賄いきれずに大赤字なのだそうだが)地球を想い、国境を超えて活動している。戦争や災害にあった国に水谷さんがおもむき、悲しい状況の中でも未来を見つめて笑う子供たちを水谷さんが撮影し、それを傘に仕立てる。MerryProjectはいろんな人が集まった所で、笑顔の傘を広げてコミュニケーションアート作品として仕上げるもの。今回はCOP10の会場である名古屋・白鳥の国際会議場で行われ、それに私も参加してきたというワケだ。このMerryProjectでは「あなたにとってMerryとは何ですか?」と問いかける。そこで、私にとってのMerryって何だろう?と自問自答してみた。ひとつのテーマをもとに自分を見直すという行為は、割と好きな作業なのだ。私がMerryだわ♥と感じる時はほとんどの場合カメラに収めているので、最近の写真を眺めてみると・・・・。


このプロジェクトに誘ってくださったのは、
コピーライターの大御所モリケンさんと奥方のスッちゃま。
アルファルファみたいで気持ち良さそうな腕毛を
さわさわしてMerryコミュニケートさせてもらいました。


ニンジンパンに、ハイジの白パン。フランス土産にいただいた大好きなマロンペースト。いただきものコミュニケーションでMerryに!

ニンジンパンに、ハイジの白パン。フランス土産にいただいた大好きなマロンペースト。いただきものコミュニケーションでMerryに!

いただきものの「秋映えリンゴ」にいただきものの「りんご酢」で作ったドレッシングを合わせたら絶品リンゴサラダになった!

いただきものの「秋映えリンゴ」にいただきものの「りんご酢」で作ったドレッシングを合わせたら絶品リンゴサラダになった!

そしてある夜は、伝説のアンコウ鍋のお店で。
眼科ドクターであり、衆議院議員をお務めになっている吉田つねひこ先生と久々にご一緒させていただいた。アンコウ鍋の美味しさはもとより、つねひこ先生との再会が、とてもMerryな夜だった。


もう今年は咲かないかとあきらめていたほととぎすが、寒空のもと咲いたのは嬉しかった〜。

もう今年は咲かないかとあきらめていたほととぎすが、寒空のもと咲いたのは嬉しかった〜。

これまた頂き物のサンタンドレにジャンボンブランを合わせて前菜に♥めっちゃ良い組み合わせでした。

これまた頂き物のサンタンドレにジャンボンブランを合わせて前菜に♥めっちゃ良い組み合わせでした。

はじめて作ったトマト鍋。この作り方でいいんだかどうだか。でも美味しかったです。

はじめて作ったトマト鍋。この作り方でいいんだかどうだか。でも美味しかったです。


皆さんすでにお気づきだとは思うのだけど、結局、美味しいものを食べて、お裾分けをいただける日常というのが私にとって一番Merryなことなのだわ。そりゃ誰だってそうだよ、とつっこまれそうだけど、意外にそうでもないと思うのでありマス。きらびやかな宝石や美しいドレスに身を包むことこそMerryと感じる女性の方が一般的には多いのだ。食欲旺盛な私は、モリケンさんの腕毛でさえアルファルファに見えちゃうわけで、人間の三大欲を追求していればご機嫌が良いという原始的な精神構造をしている。おそらく水谷さんにMerryな撮影をしていただくとするなら、炊きたてご飯と海苔とお茶を眼前にしてにっこり微笑んでいる、という図が私にはふさわしいんじゃないかな。
さぁて、あなたにとってMerryとは何ですか?ちょっと考えてみてくださいまし。


イチジクの王子様あらわる!【今日の地球】


以前このコラムでご紹介したセミドライの冷凍イチジク。覚えていらっしゃいますでしょうか。
イチジクなんて冷凍できないじゃん、という定説を覆し、セミドライにしてからゆったり真空パックという技法で冷凍イチジクを実現しちゃった商品。その出来ばえに感動し、貴重な冷凍イチジクを使ってフルーツサラダレシピをここでも紹介したところ「食べさせろ〜」と多くの方からメールをいただいた。出来ることなら個人的に入手したい、こんな発明をした作り手さんに会ってみたい。そう念じていたら、願いが叶ったのである。そう、人呼んで「イチジクの王子様」。三州フルーツ工房の鈴木誠さんだ。いい笑顔ですね!


王子様に会わせていただけたのは、某局の某H氏が主宰する名前なきグルメ会。毎回、名前を決めなくちゃね〜と言いつつ名前が決まらないという面白い会は、美味しいモノ好きの集まりだ。マスコミや広告業界の割合が多いにも関わらず、自己主張の強い人がいないからか、なかなか名前が決まらない。業種(NAME)を超えて集うという意味にもなるので、こうなったら名前のない会、NO NAME会でもいいんじゃないか?と個人的には思うのだけど、イマイチ主張が苦手なので言い出せないでいる。
今回はその会でのゲストが三州フルーツ工房の鈴木さんだったというわけだ。鈴木さんは「農家のこせがれネットワーク」を務めていることもあり、そのお仲間の加藤秀明さんと共に、農業への熱い想いを語ってくださった。あのイチジクがどんな風にして生まれたのか、農家経営の裏話(経営がとても大変だという話がほとんど)や若手農業家の可能性について、お話をうかがった。完熟イチジクをセミドライにするのに、なんと花火を作る技術が応用されているというのだから、ビックリ仰天。そんな面白いネタを聞いた途端にインタビュアー気質がスイッチオン。花火の応用技術について聞きまくってしまった。私みたいなインタビュアーが多いからか、それともただ単にみんな食いしん坊だからか、女性陣の質問は矢継ぎ早!イチジクに愛情を傾ける鈴木さんもタジタジの様相で、なかなか充実した秋の夜長となった。


鈴木さんの冷凍イチジクは、樹の上で完熟したイチジク(傷みが早いため、本来なら流通にのらず幻と呼ばれたイチジク)を、花火を作る時の技術を応用してセミドライの状態にし、実がつぶれてしまわないようにゆる〜い真空パックにして冷凍される。解凍する方法を間違うと、味を損ねてしまうため、まだ一般では流通しないということらしいが、来年のイチジクの時期には業者オーダーするつもりなので、ご興味のある方はご一報ください。あるいはイチジク狩りにも出掛けたいとも思っているので、希望者を募ります。何を隠そう、イチジクは私の好きな果物ベスト3に入るのですよ。


鈴木さんのイチジクを使ったフルーツサラダレシピは、こちら
鈴木さんたちの団体「農家のこせがれネットワーク」は、11月19日に名古屋市内にて異業種交流会を開催される。ご興味のある方はご連絡くださいませ。


この日の会場は我が家から歩いて行けるイタリアン「トラットリア ケイヤ」。お隣の由美さんやカメラマンの岡村さんと一緒に歩いて帰路につきながら、女性同士の会話ってのは終わらないもんですね〜。マンションについてから「うちでお茶してく?」と由美さんを誘いいれ、とうとう日付が変わるまであれやこれやと話に花が咲いた。この日はブーツを履いてた由美さん。我が家の玄関で「隣の部屋に帰るだけなのに、またブーツを履くの面倒だわ」とブーツを手に持ち、靴下姿のままお隣へお帰りになる様子は、ホント、ウケました。真夜中にも関わらず、玄関でしばらく笑っていたのは、ワタクシでございました。我がマンションの同じ階の皆さん、失礼いたしました。


紺碧なヴィトンの夜〜その2【今日の地球】


前回コラムの続き。ルイヴィトンの晩餐会会場はブルーに染められていて、テーブルの上は↑こんな感じだった。ブルーのバラは造花だったと思うけど(絶対に不可能と言われていたのに確か6年ほど前にサントリーが遺伝子組み換えで開発したブルーのバラは、もっと色が薄かったはずなので)、壁のブルーに照明が当たっていたので、会場全体が海の中にでもいるような青い空間となっていた。ブルーの照明は、料理の色は分かりにくいし、青色がかぶると一般的に料理は美味しそうに見えないので、残念ながら食事空間としては不適格な色だけど、そんな定説を忘れてしまうほど、そのブルーは私にとって心地の良いものだった。


なぜなら、単純に私の一番好きな色がブルーだから。私の前に座っていたヴィトンPRの方に「今夜はなぜブルーでまとめられたのですか?」と私が聞いている横から、お隣に座ったナイト役である挟土氏が口をはさんだ。「だってブルーは始まりの色だから。今日はルイヴィトンのリニューアルパーティーで、新しいスタートの日だからじゃない?」・・・???・・・皆さん、ご存知ですか?ブルーが始まりの色だということを。少なくとも私は知らなかった。私の本棚にある色彩心理の本にもそんなことは書いてなかったし。ということは、挟土さん独特の面白いロジックがきっとブルーに隠されているに違いない。


挟土さんにそのロジックを解き明かしてもらおうと思っていたら、会場ではジョージクルーニー似のフランス人マジシャン、ステファン・レイションさんによる楽しいマジックショーが始まっていた。続いてジェイソン・ベックさんの美しくもメロウなピアノの調べが・・・。ワインの酔いもまわり、すっかり気持ちよくなった私は、ブルーの秘密について謎解きしてもらうのをころっと忘れてしまったのだった。


そして二次会会場はレストランのお隣の「蘇山荘」にスライド。こちらではディジェスティフとしてロゼシャンパンがふるまわれた。シメシャン好きの私には嬉しいセレクトである。床の間にはヴィトンの旅行鞄のアンティーク物が飾られていて、ろうそくのなまめかしい光を受け、何百年も前の旅物語が聞こえてきそうな雰囲気だった。こういうのを見ると、やっぱりヴィトンはモノグラムがいいですね〜。メンズの新ラインで素敵なモノグラムバッグがあったので、使っちゃおうかな〜。メンズ物のデザインはシンプルな物が多いので、小さいバッグなら女性が持っても似合うのですよ。


そうそう、それで聞きそびれたブルーの謎は、帰りのタクシーの中でやっと明らかになった。以下、挟土氏と私の会話。「ところでブルーはなんで始まりの色なの?」「だってすべての自然はブルーから始まってるじゃん。海だろ、空だろ、オレは大地に青い土も見つけただろ?」(挟土さんは飛騨のとある場所で混じりけのない紺碧色の土を見つけ、それを熟成させて壁に用いている)「ふむふむ」「だからブルーは始まりの色なの」「実は私が一番好きな色ってブルーなんだよね」「ブルーが好きだということは最も自然に近い人間ってこと。ブルーが限りなく薄くなったら白になるし、限りなく濃くなったら黒になる。中間色のグレイにもブルーは混じってる」「あ、わかるわかる。グレイの中にはブルーがある、確かに!」「だろ?これ、色の秀平説ね」そう言って笑った左官詩人の挟土秀平さんは、タクシーが名古屋駅に着くと、手を振りながら夜の人混みへと消えていった。まるで濃い紺碧色の夜空に吸い込まれるようにして。紺碧の空よ、挟土さんを連れて行ってしまわないでね。最近の挟土さんは、どこか別の世界に行ってしまうのか?と思わせるほど、尖ったナイフのように鋭くなっている。紺碧の深い色合いが、挟土さんを包み込んでしまう気がして、夜空に妙な畏怖を感じた。


翌朝、バッグの中からヴィトンでいただいた記念品を出してみて再びビックリ。紺碧色のカードケースだったのだ。お店でのレセプションパーティーに出席した私の友人たちは赤や緑のカードケースを記念品にいただいた人が多かったのだけど、私の手元には大好きなブルーがやって来てたというわけ。色の秀平説からすると、これは始まりの色。きっと私の新しい未来が始まっているのだわ。


さて、色の秀平説を唱えた挟土秀平さんは、この秋も数多くのメディアで注目を集める。9/15〜9/21まで池袋西武にて個展。9/26にはNHK BSで高山の挟土さんの王国の様子が放映される。さらにキリンの焼酎「白水」のイメージキャラクターとして、初夏に引き続きポスターや車内吊りなどに登場するそうだ。ご興味のある方は是非ご覧くださいまし。


ルイヴィトン、紺碧の晩餐会【今日の地球】


先週末、名古屋・栄のルイヴィトンで、レセプションパーティーが開催された。地下にメンズフロアが拡張された、そのお披露目である。栄のルイヴィトン路面店が出来た時も華やかなパーティーが催され、名古屋駅のミッドランド店の時もスマートなパーティーが話題になった。そのルイヴィトンすべてのパーティーをプロデュースしているのが、泉1丁目仲間のKさん。今回もKさんのご縁で、パーティーにお邪魔することができた。↑はその招待状。個人名の招待状なんて素敵ですよね。


こちらが招待状の表面。ギョーカイ風に観察すると、立体的に見える特殊印刷でシンプルなのにオシャレ、一見お金がかかってなさそうで実はかかっている。なんでもフランスで印刷して運んだのだそう。さっすがルイヴィトン、スケールが大きいデス。


当初はルイヴィトンのお店でのレセプションパーティーにお邪魔する予定だったのだけど、いろいろな事情で別会場にて開催された晩餐会に参列することになった。まずはお店の前でテープカット。夕暮れの久屋大通に人だかりとTVカメラが並ぶ中、俳優の内藤剛志さんやモデルのカリナさん、ルイヴィトンの社長がオープニングカットをする。その後、私たちは、メンズフロア専用のエントランスから入って、地下のメンズフロアでウェルカムシャンパンを楽しみながら内覧した。メンズを対象にジャズクラブをイメージしたとあって、バーカウンターに似たショーカウンターやスツールが置いてあり、店内はシックで確かにクラブっぽい雰囲気だった。


この夜、私をエスコートしてくださったのは、左官職人、最近は左官詩人とも呼ばれている挟土秀平さん。すっとぼけた顔の私とは違って(苦笑)、オーラ感じますよね。ストイックな生き様がそのまま顔に出てますよね。左官の域を時に超え、アーティストとして有名な彼は、店内でいきなり内藤剛志さんからお声がかかり(番組で挟土氏のVTRを紹介したのだそう)、ヴィトンのデザイナーの方や建築関係の方からも次々に話しかけられていた。ご一緒した私はビックリ仰天。やっぱり有名人なんだ〜、挟土さん!私はと言えば、シャンパンをひたすらいただき、知り合いとご挨拶。この日は酷暑だったので、夏物江戸小紋の薄緑のお着物に、帯だけは秋物でススキとお月様を選び、翡翠の髪飾りとバッグは祖母の形見。


会場で会ったヘアメイクの村上由見子さん。
カリナさんとは名古屋時代に仕事でよく一緒になったそうで、
話しかけたら覚えててくれた〜と喜んでました。


内覧が終わると、栄からタクシーで徳川園へと移動した。ルイヴィトンのパーティーと徳川園のレストランという組み合わせにイマイチ感を持っていたのだけど、そんなアンニュイは会場についたら吹き飛んでしまった。いつもの徳川園のレストランとはまったく違うのである。お庭が見えることがウリのはずのお店は、すべて壁で仕切られている。到着したゲストはお庭の見えるテラスに案内され、そこでシャンパンをいただいた。


そして壁の奥はこんな感じ。
ブルーの壁にブルーのバラ、照明はほとんどなく、
キャンドルの光が不思議な揺らめきを見せていた。
徳川園のレストランに行かれた方はお解りだと思うけど、
いつもと全然違うでしょ?


お料理2品目。これを見れば「もしかしてロブション???」と思いますよね?それがホントに大当たりだった、もうビックリ。この日のためだけに、ジョエルロブションからシェフがやってきてお料理を作ってくださったのだ。


そしてワインのセレクトも状態もなかなかのものだった。70名という大人数の晩餐会に、最適な状態でワインをサーヴィスするのは難易度が高い。ラインナップは、ルイナール ブランドブラン、ニュートン2006、シュヴァルブラン2002、テイラーヴィンテージポート2000。特にシュヴァルブランは2002だとちょっと若いなぁ〜と思っていたのに、飲んでみるとこなれた味わい。サーヴィスの方に聞いてみたら「数時間前に抜栓してデカンタしておいたんです」とのこと。こういうサーヴィスができるソムリエなんて、私が知る限り名古屋では数人、東京でもわずかしかいない。しかも70名のパーティーですよ!さすがロブション、というよりもさすがヴィトン、なのでしょうね。ショコラに合わせたポートもトレビアンで、最後まで驚きと満足を味わった晩餐会となった。あ、ここまで書いたのに紺碧の晩餐会というタイトルの意味に到達できていない(泣)。パーティーの感想をだらだらと書いていたらこんなに長くなっちゃった。ぐぐぐ、すみません、紺碧の意味は、次回のコラムにて書くことにいたしまする。


山里のおもてなし【今日の地球】


8月のはじめに長野県飯山市へと取材に出掛けてきた。豪雪・仏壇・お寺で有名なこの街に地元の人形作家の美術館がオープンしたということで、その作家の先生の取材だったのだ。早朝に名古屋・栄で集合し、ロケバスにて信州へ。名古屋から約4時間、プロのドライバーさんの安心の運転に体をまかせていたら、お昼前に飯山市に到着した。何度もこのコラムに書いているけど、信州の空気ってどうしてあんなに違うんでしょうね?何かが違う。山並みだって美しい。田んぼにもそこはかとなく品があるように見えるから不思議だ。


取材相手の人形作家さんは、予想以上に気さくで予想通りに情熱的なお人柄で、インタビューそのものは非常にスムーズに進んでいった。作り手の気持ちに短時間でいかに入り込むかが作家や職人の取材の時には重要な要素となるので、最初の質問はいつも前日から考えておくのだけど、この日は作家さんからビンビン伝わってくる情の強さを感じ、思い切ってディープな質問からぶつけてみた。それが功を奏したのかどうかわからないけれど、作家さんの心の内側を少し覗けたような気がする。


山里の田舎の風景に作品のインスピレーションを受けるという先生が、取材陣の私たちにお茶請けで出してくださったのが、↑の写真の「ほおずき」である。美術館のカフェと言えば、オリジナルクッキーやらフレーバーティーなどでオシャレなセットを勧めるのが普通だけど、この飯山市というロケーションを鑑みて、あえて「山里のお百姓さんが日頃食べているおやつ」をお茶請けとして出しているのだそう。お恥ずかしながら、ほおずきなんて、食べたことがない私は、物珍しくて3個もいただいてしまった。ちょっと酸っぱいトマトみたいで、美味しかったですぞ。こういうおもてなしっていいですよね〜。気取ってなくて、その土地の空気感を感じ取れて。観光資源を目標にしている日本の地方は、こんな風に地元の普段の暮らしをおもてなしとして推奨していくべきなんじゃないのかな。地名が入っているだけのどこにでもあるようなお菓子とか、ワケわかんないお土産品とか作らずにね(苦笑)。


取材を終えて帰り道。今回は取材陣の女子チームの強い要望により、道の駅オアシスおぶせに立ち寄っていただいた。だって信州にせっかく来たなら、しかも栗で有名な小布施まで来てるのなら、栗かのことかペーストとかどら焼きとかアイスクリームとか栗ごはんとか、買っていきたいですよね〜!
(どんだけ買うんだ?って顔をしてた人もいましたが)


信州の農家産直の野菜がとっても安く販売されていたので、こっちもしっかりチェック!桃3個・オクラ2パック・赤パプリカ2個を買って800円の安さ。この時に買ったオクラが、大きくて表面の毛が薄く、シャキシャキしてとっても美味しかったのだ。焼きびたしにしてペロっといただきました。あ〜、やっぱり信州ロケ取材ってだいすき〜〜〜〜!!!!!


立秋のお茶会〜不白流【今日の地球】


先週の土曜日8月7日、名古屋・白川庭園でおこなわれた表千家不白流の浴衣会に参加させていただいた。表千家不白流とは、表千家七世家元の如心斉の高弟・川上不白を流祖とするもので、かくも珍しい「鏡点前」というお点前が特徴的な流派だ。不白流の茶道をお稽古されているスタイリストの原結美さんからお誘いを受けたのである。午前の点心席からの参加だったので、汗をかきかきユカタを着て、憎らしいほどにからっと晴れた青空のもと、日傘を差しながら下駄を鳴らして会場の白川庭園に到着。デザイン博の時に建築された白川庭園のお茶室・清羽亭は、撮影でたまにお邪魔するが、お茶会は本当に久しぶりだった。出来たばっかりの時はピカピカして居心地が悪かったけど、建築後20年あまりがたち、日本庭園も建築物も時代がついて落ち着き、とても良い雰囲気になっていた。


点心のお料理

点心のお料理

薄茶席のお菓子は花桔梗さん

薄茶席のお菓子は花桔梗さん

流水と金魚のかわいいお干菓子!

流水と金魚のかわいいお干菓子!

薄茶席の床の間、 なんと軸は高浜虚子の筆ですぞ!

薄茶席の床の間、 なんと軸は高浜虚子の筆ですぞ!

こちらは濃茶席で、軸は与謝野晶子

こちらは濃茶席で、軸は与謝野晶子

濃茶席のお道具拝見

濃茶席のお道具拝見

朝顔ならぬ桔梗につるべとられた?つくばいかな

朝顔ならぬ桔梗につるべとられた?つくばいかな

そしてなによりビックリしたのは、この薄茶席の「鏡点前」である。二人が合い向き合いになり、お互いを鏡のように見立てて同時にお茶を点てるというお点前。左側の人(本勝手)は普通に右で茶筅や茶杓を持ってお茶を点てるが、問題は右側の人(逆勝手)で、利き手とは反対の鏡に映るような動作をしなければならない。二人の息がぴったり合っていないと、お茶席のリズムが崩れてしまうという難易度の高い方法である。こんなお点前ははじめて見た!


こうしたお点前がなぜ出来上がったのかを綾小路先生にうかがってみたところ、これはお点前をする人の動作だけでなく精神性を高みへと上げるためのものなのだとか。目の前の人のことを思いやり、自分のことはさておいて、相手に最も神経をつかい、気づかいしあってこそはじめて鏡点前が美しく出来上がる。そうした修行を重ねることで、周囲の人に気配りのできる人間性を育て上げる、という壮大な教えだった。お客としてうかがった私はひたすらに感激しつつ、まるで目の前の茶席がステージのように感じられ、ひとつの完成された動線美を見る思いであった。それにしても、こんな難しいお点前ができるようになるのに、どれほどの時間が必要なんだろうか。考えていただけで頭がくらくらしてきた。


薄茶席が終わり、濃茶席に移る前にお庭を散策していたら、どこからともなく風が通り抜け、茶席の風鈴がつつましやかに鳴った。風鈴の音色のおかげか、それとも茶室というミニマリズムな空間にいたからか、暑さよりも涼しさを一瞬感じ取った。不思議に暑くないわね〜とつぶやくと、お隣にいたマダムが「あら今日は立秋ですわよ。今日からは涼しくなりますよ」と教えてくれた。な〜るほど。どれほど酷暑と言われていても、天候は日本の暦を裏切ってはいないわけだ。この立秋のタイミングでお茶会というのも、過ぎゆく夏を名残惜しむという日本の美意識にのっとっている感じがして、なかなか粋なセンスである。


この日のユカタのいでたち、足元編。ギャルリももぐさで購入した下駄に、友人の造形作家・井戸えりちゃんの包帯バッグ。お茶室に出入りするので、ユカタと言えども、長襦袢と足袋は身につけて、中身は結構厚着しているユカタ姿。


この日が立秋だと教えてくださった素敵なマダムの帯もと。
なななんと、芭蕉布を見つけて、別布を継ぎ足して帯に仕上げたのだそう。
帯留めは、空豆〜♬
立居振舞もお話の内容も、とっても素敵なご婦人でした。


夜は、ギョーカイの先輩である美紀さんのお誕生日会へ。
美紀さんの親友である直美さんと一緒に
カンパイに次ぐカンパイに次ぐカンパ〜イ!

立秋の夜の帰り道、気分が良くてとぼとぼ歩いていたら、涼しい風があっという間に私を追い越して吹き去っていった。暦のとおりに秋が近づいていることが、ちょっぴり嬉しかった。


バンクーバーって何でできてる?【今日の地球】

6月の終わりに所用があってカナダ・バンクーバーへと出掛けて来た。カナダに入国するのははじめてで、北米大陸に渡るのはなんと20年ぶり。←の写真はカナダの国旗にもなっているメープルの葉っぱで、道ばたできれいにナチュラルプレスされていたのを見つけたもの。私たちが旅した頃はちょうどトロントでサミットが開催されていたからか入国審査がとても厳しく、何分にも渡っていろんな質問をされた。ヨーロッパは島国であるイギリスを除き、ほとんどの国の審査が緩いので、そんな感覚に慣れた身にとって「なぜ2ヶ月も前に飛行機チケットを購入したか」な〜んていう質問をする審査官は摩訶不思議な人種に見えてくる。以前、バルセロナからパリ・オルリー空港へと入った時に、フツウならパスポートさえ見ることなくスルーパスできるはずのフランスの入国審査で(まだその頃はEU連合はなかった)、珍しく審査官が声をかけてきたのでビックリしたことがある。ホテルはどこか?と聞かれたので素直に答えると「今夜ヒマなら食事でもどう?」と堂々ナンパされたのである。さすがフランス人、ですね。


すっかり話がそれてしまったけれど、そんな厳しい入国審査を終えて無事入国し、はじめてのバンクーバーへと繰り出した私たち。一緒に旅した友人たちは旅行慣れした人ばかりだったので、勝手気ままにお買い物したりカフェに入ったり、道ではぐれてもオトナだから大丈夫っしょ、とあきらめてくれるので、とても気楽にノビノビと行動することができた。旅の友はこうでなくっちゃね。私はと言えば、カナダのブランド物には興味がないので、ひたすら地元のスーパーやマーケットを巡った。スーパーで食材を見ていてビックリしたのは、やたらオーガニックの野菜や商品が多いことであった。カナダでは、環境を意識し健康的な食生活を志向する人が諸外国と比較すると多いのだそうだ。オーシャンワイズ(捕獲方法や捕獲による自然・生物への影響などをクリアしたシーフードを食べましょうという考え方)や100マイルダイエット(半径100マイル、約160km以内で生産されたものを食べましょうという試み)といった活動が普及しつつある。食品だけでなく、石けんやタオル、ハンドクリームなどもオーガニック物が販売されていたのはビックリ。そしてさらに驚いたのは、それらの商品が決して高価ではないということだった。


これはオーガニックのシリアル!

これはオーガニックのシリアル!

    禅心で飲む緑茶?と、      オーガニックチャイ

    禅心で飲む緑茶?と、      オーガニックチャイ

オーガニック野菜コーナー

オーガニック野菜コーナー


きちんと調べていないので、もしお詳しい人がいらっしゃったらお教えいただきたいのだけど、カナダ政府が認めるオーガニックの基準は、日本や諸外国と比較して厳しいのか、それとももしかして緩いのだろうか。オーガニック商品をある程度安定した価格で提供するには、生産者だけでなく、卸業者も販売者も、そして消費者も、かなりの努力を必要とするはずだ。そのへんの事情をぜひとも知りたいものである。


こちらはサーモンの専門ショップのウィンドウ。これなんだ?っていうシロモノがずらりと並ぶ。サーモンジャーキーらしきものもあるけど、内蔵を加工したと思われる珍味がいっぱい。日本には持ち帰れないので残念ながら諦めた。


数日過ごしただけのバンクーバーだったけど、総じて感想を言えば、いろんな要素が混じり合った街、とでも表現したらいいだろうか。先住民族が住む大地に別の人種がやって来て住み始めたという歴史を持つカナダ。今では、イギリス系、アメリカ系、アジア系の文化や経済、食生活がミックスして都市が成り立っている感じがする。たとえば「お勘定」は、米語ならcheckだけど英語はbill。バンクーバーは英語のbillだった。でも発音はQueen's Englishの英語ではなく、米語に近いcanadian English。地名にはイギリス統治の痕跡が色濃く残っているけど、経済は完全にアメリカがベースになっている。アジア系の移民がかなり多いらしく、1ブロックごとにアジア系のレストランがあるのには本当に驚いたし、中華街はとてもスケールが大きかった。どの要素を切り取ってみても、複雑に混じり合っているのが判る。そんな勝手気ままな比較文化論を妄想しつつ、今のバンクーバーが何でできているか?と考えていて「イギリスとアメリカとアジアを足して5で割った感じじゃない?」と旅の友に話したら「3で割るなら判るけど、5で割ったら1にならないじゃん」とあっさり否定されてしまった。う〜ん、それぞれの要素が強く主張せず薄まって混じり合った雰囲気を表現したかったんだけどなぁ。そんなわけで旅先ではコピーライター失格の烙印を押されてしまったのでした。さて、バンクーバーで出席したとあるパーティーのオモシロイ様子は、次回のコラムにてご紹介いたしまする。お楽しみに。


梅雨の楽しみ【今日の地球】

いやはや、それにしても、あ・づ・い・ですね・・・・・。40年以上生きてきて最近やっと解ったことが、私は喉元過ぎれば熱さを忘れるタイプだということ。毎年名古屋の暑さを5月ごろまではすっかり忘れていて、梅雨に入った途端に「こんなに暑かったっけ???」と首をかしげながら汗をぬぐうこの季節。しかもクーラーなしエコ生活を実践しているので、体中がしょっぱくなっている。外から帰ってきてはシャワーを浴び、服を着替え、体がねっとりしてきたと言ってはまたシャワーを浴びる。洗濯回数も当然増えているが、これってホントにエコになっているのかしらん?シャワーと洗濯で、電気と水道をいつもよりも多く使っていたら、エコでもなんでもないよね?と自問して答が見つからなくなっている今日この頃、電力会社と水道局の方、教えていただけないでしょうか。


そんな暑〜い名古屋の夏にだって、イイことはある。
ひとつは、夕方になって家中に風が吹き抜ける時、
暮れゆく空を眺めながら
気持ちの良い風を全身の肌で感じること。



そしてもうひとつは、これ。
大好きな、くちなしの花の香りをかぐことである。
くちなしの花の甘美な香りには、本当にうっとりしちゃう。


ベランダで育てているので、風が吹くたびに部屋中がくちなしの香りでいっぱいになる。くちなしは街路樹にもなっていて、マンションの真ん前の植え込みにもあるし、東へ向かう道筋にも咲いている。なにより嬉しいのは、雨がたくさん降ってやんだ瞬間にくちなしの花の近くを通ることだ。雨の湿気が手伝って充満している香りがさらに強くなっているのだ。先日もこんなことがあった。とある街を歩いていたところ、激しい雨が止んで傘を閉じた。その瞬間、あまりに強烈な香りに驚き、鼻をくんくんさせながらくちなしを探していたら、人家の庭先に行き着いた。なんと傘を閉じた地点から1ブロックも先にくちなしが咲いていたのである(おかげでアポイントに5分ほど遅れてしまったのだけれど)。


くちなしの実は、黄色の染料として昔から用いられていて、お漬け物のたくあんや栗菓子の鮮やかな黄色はくちなしの黄色に依っている。食料だけではなく繊維を染める時にも使われ、さらに発酵させると青色の染料にもなる。くちなしという花の名前がなぜつけられたかと言うと、この実は固くて開かないことから、口が開かない→くちなし、と名付けられた説が有力なのだ。ちなみに、碁盤の足がくちなしの花型になっているのは、神経を集中させる勝負事に周りの人が口を出さないように→くちなしの花を模したらしい。


で、花の名前の由来。私の勝手な説は、こうだ。くちなしは、あまりに甘美でとろけるような香りを持つため、鑑賞する人間は思わず言葉を失ってしまう→口なし、という説。さて、いかがでござんしょ?


山椒婦人のお見合い話【今日の地球】


きれ〜いな緑色。線香花火みたい。あるいは小さなカボスみたい。これ、何だかお解りですか?


答えはこちら、実山椒でございます。
一ヶ月ほど前から店頭に並びはじめた実山椒。
強烈な香りが特徴の香辛料で、この実の部分はじゃこに入っているし、粉末はうなぎにふりかける。
葉っぱの部分はお魚の臭み消しや煮物の香りづけになる。


実と茎を手でちぎって分ける作業が、先が細かいこともあってなかなか大変。取材の資料として手渡されたDVDを観ながら手元は山椒の実と茎を分ける作業に没頭すること、およそ2時間。
夕暮れ時にはじめたものの、


ご覧の通り、終わったら夜になってしまっていた。
左が実、右が茎。
茎のとげとげした感じが、バラの茎に似ていなくもない。


ところで、この実山椒をお店でカゴに入れ、レジを終えてお買い物袋に詰めている最中、とある上品なご婦人から声をかけられた。「すみません、この実山椒って何に使われるんですか?」と。私が食料品を買っている丸栄百貨店は、お野菜や魚の質が良い割にお値打ちなので、周辺の飲食店の方もよく利用していらっしゃる。そのご婦人は、一人暮らしとは思えない量を買い込んでいる私のカゴを見て、飲食店の人間だと思ったのかもしれない。以下、そのご婦人と私の会話。
ー実を取って、佃煮みたいにして煮るんです。
ーどうやって作るんですか?
ーアク取りのため、一旦煮立たせて、そのお湯を捨てて、お醤油とお酒とみりんで煮付けます。冷蔵庫で保存すれば3年以上持ちますよ。
ーそれ、どうやって食べるんですか?
ーご飯の上にのっけてもいいですし、家では麻婆豆腐に使います。お肉と煮ても美味しいですよ。
ーまぁ、なんて賢い奥様ですこと!
(ここで、そのまま聞き流してスルーすればいいのに)
ーあ、いえ、奥様なんかじゃなくて、独身なんです。
ーあら、じゃあお店でもやっていらっしゃるのかしら?
ーあ、いえ、ただの趣味で・・・。
ーまぁ、そんなお料理ができるのに独身なんてもったいないわ〜。失礼ですけど、おいくつ?
ーえ、あ、40代、ですけど・・・。
ーまぁ、そんなにいってらっしゃるの?(爆!)見えないわね〜。ご結婚されるおつもりはあるの?きっと理想が高くていらっしゃるのね。でも、あなたのような女性には是非素敵なご結婚をなさって欲しいわ。もしよろしかったら紳士をご紹介したいけど、連絡先を教えてくださる?良いお話になると思うわよ〜。お名刺か何かお持ちですか?
ーあ、すみません。名刺を持ち合わせていないものですから、またどこかでお目にかかった時にでも・・・すみません・・・(と言いつつさりげなくフェイドアウト)

急激な展開に戸惑った私は、とっさの嘘をついてしまった。だって、はじめて会った見知らぬ人にいきなり連絡先を教えるなんて、よっぽどじゃなきゃしませんよね?


でも、よく思い返してみると、私は時々こういうことに遭遇しているのだ。この出来事から遡ること半月前、スタイリストの原結美さんととある料亭で打ち合わせを兼ねたランチを楽しんでいた時、隣の席のこれまた60代と思われるご婦人から声をかけられたのだ。どこから来たのか?このお店ははじめてか?どんな仕事をしているのか?結婚しているのか?などなど。そして最後にその人も山椒婦人と同じことを私に言ったのだ。「どなたかご紹介してさしあげたいわ」と。


よっぽど男性に縁がなさそうな哀れなオンナに見えるのか?それともただ単に、世の中には紹介したい症候群のご婦人が多いのか?いつも複雑な思いにかられながら、そういうお申し出をかわすことが上手くなってしまった。


そんなわけで、実山椒をくつくつと煮ながら、今迄出逢った山椒婦人系のおば樣方のことを思い返してみた。数々の親切なお申し出の中には、白馬に乗った王子様がいたかもしれないし、ジャガーに乗った紳士がいたかもしれない。そう思うと、勿体ないことしたのかもな〜。


というわけで、いろんな思いと共に煮上がった今年の実山椒佃煮。
煮沸消毒したガラス瓶に3つ出来ました。
我が家の麻婆豆腐は、この山椒をみじん切りにしてイッパイ入れる。
豆豉もいれて真っ黒な仕上がりになり、
陳さん風の山椒辛い本格麻婆味が楽しめるのだ。皆さん、食べに来てね。


らっきょう週間!【今日の地球】


今年もやって来ました、らっきょう週間!毎年この季節は、仲良くしているお料理屋さんで「らっきょうボランティア」となる。このお店では、お料理の付け合わせに使うらっきょうを一年分なんと500kg漬け込むので、この時期はお仕事の合間をぬってらっきょう剥きのボランティアに参加しているのだ。残念ながら(泣!)今年はお仕事がヒマなので、いつでもお手伝いにいける私は、今週ちょこちょこと通う約束をした。そして今日がその第一日目である。


500kgを約10日間かけて漬け込むロングランなので、最初のうちはみんなで和気あいあいとお話しながら作業するのだが、後半になってくると疲れ果て、腰の傷みをかばいながら無言でもくもくと皮むきをするようになる。私の役目は、みんなが疲れ始めた後半に登場し、元気はつらつと話題を提供しながら、さくさく作業を進めることなのだ。つまり、私が参加した今日はちょうど折り返し地点の日というわけである。


午前中いっぱいかかって皮を剥いた30kgにまんべんなく塩をうつ。そのままざるに入れ半日かけて水分を抜き、明日の朝、漬け込むのである。この塩をうつ作業だけは大将の役目。長年の勘により、目分量の塩をらっきょうにすりこむようにしてうち、ざるを回しながら塩を全体に行き渡らせる。簡単なように見えて、これが難しい。一年間保管するための「保存料」としての塩の効果は、この時、決まるからだ。私とくだらない話をしながら、左手で塩を掴んでどんどん入れていく大将。「まりちゃん、なんでらっきょうに塩をうつか知ってる?」と言いながら、手元は狂うことなく、マシンのように次々と塩をうち、ざるを回す。らっきょうに塩をうつ理由は、水分が抜けるため、味付けのため、そしてらっきょうの成長防止のためだと大将が教えてくれた。らっきょうは精のつく物で、生命力に満ちているから、根をカットして水につけている間に芽がどんどん伸びてしまうのだ。その成長を止めるためにも塩をうつのだそう。ちょうどタマネギをほっておくと、内側から芽が伸びていくのと似ている。そういえば、わずか1時間くらいで数ミリ芽が伸びてしまったらっきょうが、ざるに数個は入っていたっけ。


らっきょうの生命力と塩の効果を改めて大将から学んだ、らっきょう週間第一日目であった。今週はあと三日ほどらっきょうボランティアと化す予定。半日作業しただけで両手の爪の間かららっきょうの匂いがぷんぷん香る。らっきょう漬け後半戦が終わる今週末あたりには、体全体から「らっきょうのにほい」のするオンナになっていると思うので、皆様あしからずご了承くださいませ。