今日の地球

バンクーバーって何でできてる?【今日の地球】

6月の終わりに所用があってカナダ・バンクーバーへと出掛けて来た。カナダに入国するのははじめてで、北米大陸に渡るのはなんと20年ぶり。←の写真はカナダの国旗にもなっているメープルの葉っぱで、道ばたできれいにナチュラルプレスされていたのを見つけたもの。私たちが旅した頃はちょうどトロントでサミットが開催されていたからか入国審査がとても厳しく、何分にも渡っていろんな質問をされた。ヨーロッパは島国であるイギリスを除き、ほとんどの国の審査が緩いので、そんな感覚に慣れた身にとって「なぜ2ヶ月も前に飛行機チケットを購入したか」な〜んていう質問をする審査官は摩訶不思議な人種に見えてくる。以前、バルセロナからパリ・オルリー空港へと入った時に、フツウならパスポートさえ見ることなくスルーパスできるはずのフランスの入国審査で(まだその頃はEU連合はなかった)、珍しく審査官が声をかけてきたのでビックリしたことがある。ホテルはどこか?と聞かれたので素直に答えると「今夜ヒマなら食事でもどう?」と堂々ナンパされたのである。さすがフランス人、ですね。


すっかり話がそれてしまったけれど、そんな厳しい入国審査を終えて無事入国し、はじめてのバンクーバーへと繰り出した私たち。一緒に旅した友人たちは旅行慣れした人ばかりだったので、勝手気ままにお買い物したりカフェに入ったり、道ではぐれてもオトナだから大丈夫っしょ、とあきらめてくれるので、とても気楽にノビノビと行動することができた。旅の友はこうでなくっちゃね。私はと言えば、カナダのブランド物には興味がないので、ひたすら地元のスーパーやマーケットを巡った。スーパーで食材を見ていてビックリしたのは、やたらオーガニックの野菜や商品が多いことであった。カナダでは、環境を意識し健康的な食生活を志向する人が諸外国と比較すると多いのだそうだ。オーシャンワイズ(捕獲方法や捕獲による自然・生物への影響などをクリアしたシーフードを食べましょうという考え方)や100マイルダイエット(半径100マイル、約160km以内で生産されたものを食べましょうという試み)といった活動が普及しつつある。食品だけでなく、石けんやタオル、ハンドクリームなどもオーガニック物が販売されていたのはビックリ。そしてさらに驚いたのは、それらの商品が決して高価ではないということだった。


これはオーガニックのシリアル!

これはオーガニックのシリアル!

    禅心で飲む緑茶?と、      オーガニックチャイ

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オーガニック野菜コーナー

オーガニック野菜コーナー


きちんと調べていないので、もしお詳しい人がいらっしゃったらお教えいただきたいのだけど、カナダ政府が認めるオーガニックの基準は、日本や諸外国と比較して厳しいのか、それとももしかして緩いのだろうか。オーガニック商品をある程度安定した価格で提供するには、生産者だけでなく、卸業者も販売者も、そして消費者も、かなりの努力を必要とするはずだ。そのへんの事情をぜひとも知りたいものである。


こちらはサーモンの専門ショップのウィンドウ。これなんだ?っていうシロモノがずらりと並ぶ。サーモンジャーキーらしきものもあるけど、内蔵を加工したと思われる珍味がいっぱい。日本には持ち帰れないので残念ながら諦めた。


数日過ごしただけのバンクーバーだったけど、総じて感想を言えば、いろんな要素が混じり合った街、とでも表現したらいいだろうか。先住民族が住む大地に別の人種がやって来て住み始めたという歴史を持つカナダ。今では、イギリス系、アメリカ系、アジア系の文化や経済、食生活がミックスして都市が成り立っている感じがする。たとえば「お勘定」は、米語ならcheckだけど英語はbill。バンクーバーは英語のbillだった。でも発音はQueen's Englishの英語ではなく、米語に近いcanadian English。地名にはイギリス統治の痕跡が色濃く残っているけど、経済は完全にアメリカがベースになっている。アジア系の移民がかなり多いらしく、1ブロックごとにアジア系のレストランがあるのには本当に驚いたし、中華街はとてもスケールが大きかった。どの要素を切り取ってみても、複雑に混じり合っているのが判る。そんな勝手気ままな比較文化論を妄想しつつ、今のバンクーバーが何でできているか?と考えていて「イギリスとアメリカとアジアを足して5で割った感じじゃない?」と旅の友に話したら「3で割るなら判るけど、5で割ったら1にならないじゃん」とあっさり否定されてしまった。う〜ん、それぞれの要素が強く主張せず薄まって混じり合った雰囲気を表現したかったんだけどなぁ。そんなわけで旅先ではコピーライター失格の烙印を押されてしまったのでした。さて、バンクーバーで出席したとあるパーティーのオモシロイ様子は、次回のコラムにてご紹介いたしまする。お楽しみに。