LARMES Column

女子会と男子会!【一杯の幸せ】


女子会ってホントにあちこちで聞きますね。女性同士が集まってぺちゃくちゃおしゃべりすると止まらないという習性は、なにも今にはじまったことではなく、古今東西の昔からあることなんだけど。なんとなく女子会って言われちゃうと、踏み入れてはいけない領域のように男性は感じるんだろうか。一方で「女子会に参加してみたい!」という男性もちらほらいることは確かで「今度女子会やる時にオレ呼んでよ」と頼んでくる殿方もいらっしゃるのである。先日、我が家でご飯会をやった時に、松岡ひとみさん・林美保子さん・澤田晴美さんという女性3人に、男性一人だけコピーライター森健氏が加わったことがあった。モリケン氏は「女子会に参加しちゃった」と喜んでいらっしゃり(少なくとも喜んでいるように見えた)、我々女子の勝手気ままで話題がびゅんびゅん飛びまくるトークにちゃんとついてきてくださり、「モリケンさんって男性一人でも気をつかわせない人ね〜」と超人気ぶりだったのである。そう、女子トークの特徴は、話題がころころ変わること→人の話を聞くことは聞くが自分がしゃべることに一生懸命でもあること→ちょっぴり悪口が好き→どこかで必ず恋バナが登場すること。なのである。


こちらは先週金曜日、我が家のご飯会メンバー。左から構成作家で住宅ライターの福岡由美さん、FM愛知フレッシュアップアイの川本えこさん、料亭か茂免の船橋さん、某局の中橋かおりん、同じく某局の林さん。ん〜コレ、ご飯が炊きあがった頃だからみんな結構酔っぱらってる時間帯ですね。皆様こんな写真アップで失礼します〜。私を含めて女性4人は時々女子トークを楽しむ仲間であることをご存知だからか、料亭か茂免の船橋さんは「今日は女子会に参加できて嬉しいな〜」とおっしゃるではないか。私としては男性が二人もいるし、女子会のつもりはなかったのだけど、男性の船橋さんにしてみれば、女性宅で女性に囲まれて食事するなんて〜もろ女子会や〜ん!と思われたのだろう。船橋さんの予想通りに、まぁ女性陣がしゃべるわ飲むわ食べるわ(まぁ私以外の3人は皆さんプロのしゃべり手ですから当たり前なんですけど)で、大いに盛り上がった夜だった。


こっちの写真は先週土曜にお邪魔した「男子会」の時のもの。名古屋の伝説でもあるアンコウ鍋のお店にお邪魔した時に、私がご一緒した卓の方々である。目の前にイケメン4人がずらりとお並びになった風景は、伝説のアンコウ鍋以上に私をドキドキさせてくれた。


こちらはイケメン男子会の主宰である吉田つねひこ先生。眼科ドクターであり研究者であり、衆議院議員をお務めになっている。お忙しいお仕事のため、この日は途中退場されて東京に向かわれ、ゆっくりお話できなかったのがひたすら残念。


男性4人に私が一人という状況は、仕事でもよくあることなので私はまったく気にならなかったのだけど、ご一緒してくださった4人の紳士が、それはそれは気を遣ってくださり、あれやこれやと話題をふって面倒をみてくださった。女性の中に男性が一人だったらこうはいかない。男性の存在など忘れたかのように女性同士で盛り上がるか、あるいは男性を血祭りにあげる勢いで迫力ある女子トークを炸裂させるだろう。女性というのはかくも勝手な生き物で、男性というのは哀しいほどに優しい生き物なんですねぇ。男性の皆様、これからは女子会に負けず、男子会を催してくださいませ。そして時々、オヤジ化したという理由で、私もマゼマゼしてくださいませ。


2011年お着楽会のユカタ会【着物だいすき】


いやぁ、すっっっっっっっかりアップが遅くなってしまいました。関係各位の皆様方、本当にすみません。今年のお着楽会主催のユカタ会は、去る(去り過ぎだろっ!)8月21日の日曜日に、カリフォルニアキュイジーヌで人気のウルフギャングパックにて開催した。今年は女子率がとっても高く、当日までちょっとハラハラしてたんだけど、美術館に併設している天井の高い会場の雰囲気がいかにも開放的だったからか、なんだか自由な雰囲気でのユカタ会となった。昨年のうっそうグリーンに囲まれたレトワルドジェアンとはまったく違った雰囲気だった。今年も幹事を仰せつかりまして、上の写真は幹事3人の記念写真。毎年撮り忘れているので、今年はちゃんと始まる前に写真を撮りましたよ〜。しかもプロのカメラマン吉田さんをつかまえて、撮ってもらったのだ。左からスタイリストの原結美さん、私、右がヘアメイクの村上由見子さん。


私の今年のユカタ。
偶然入ったお店で見つけた爽やかなプリント柄のユカタに、
父から譲り受けた(というか、絶対にあげないと言い張る父から無理矢理強奪した)兵児帯。兵児帯って結ぶの簡単だし、直すの簡単だし、メンズ仕様なのでマニッシュになっていいかも!


スタジオモアの吉田さん。カメラを下げたユカタ姿が妙にきまってますよね。

スタジオモアの吉田さん。カメラを下げたユカタ姿が妙にきまってますよね。

カメラマンの職業病なのか、カメラ小僧状態で撮影しまくり。

カメラマンの職業病なのか、カメラ小僧状態で撮影しまくり。

司会を快く引き受けてくださった映画ナビゲーターの松岡ひとみさん。

司会を快く引き受けてくださった映画ナビゲーターの松岡ひとみさん。

日本舞踊家の赤堀登紅さん。さすがの着こなしでございます。博多帯は粋な角だしでしたよ。

日本舞踊家の赤堀登紅さん。さすがの着こなしでございます。博多帯は粋な角だしでしたよ。

平成の旦那衆・dannaさん。この後ろ姿に惚れてしまった女性が多かったようです。

平成の旦那衆・dannaさん。この後ろ姿に惚れてしまった女性が多かったようです。

すらり美人シリーズ。左からT島屋広報チームの津川昌子さん、真ん中が癒しのサロン経営者・中村千代さん、右は溌剌ねえさんの久保田美紀さん。

すらり美人シリーズ。左からT島屋広報チームの津川昌子さん、真ん中が癒しのサロン経営者・中村千代さん、右は溌剌ねえさんの久保田美紀さん。

スワロフスキーグッズを会場で販売してくださった岡田さん。

スワロフスキーグッズを会場で販売してくださった岡田さん。

エシカルファッションを会場で販売してくださったタレントの原田さとみさん。

エシカルファッションを会場で販売してくださったタレントの原田さとみさん。

地酒の会で知り合ったお友達。左が安河内典子さん、右は伊藤由香さん。

地酒の会で知り合ったお友達。左が安河内典子さん、右は伊藤由香さん。

イラストレーターの多喜田保子さんと、キノコロビッチ博士。

イラストレーターの多喜田保子さんと、キノコロビッチ博士。

グラフィックデザイナーのリョウヘイさんと、石原美術の石原さん。

グラフィックデザイナーのリョウヘイさんと、石原美術の石原さん。

石原さんの下駄がコレ!ご自分で朱の漆をお塗りになったそうで、この遊び心には感服。着物好きな紳士の見本ですネ。帯結びも素敵でした。後ろ姿を撮り忘れたのは痛恨のミスでした。

石原さんの下駄がコレ!ご自分で朱の漆をお塗りになったそうで、この遊び心には感服。着物好きな紳士の見本ですネ。帯結びも素敵でした。後ろ姿を撮り忘れたのは痛恨のミスでした。

スタイリストの石川万名美さんと娘のナカちゃん。アンティーク着物の着こなしはさすが!

スタイリストの石川万名美さんと娘のナカちゃん。アンティーク着物の着こなしはさすが!

そうそう、これが今回のメインイベント。天才ジャグラーの天平クン。さすが世界一のタイトルをとっただけあって、素晴らしいパフォーマンスでした。そんなわけで今年も楽しいユカタ会となりました。お越しくださった皆様、どうもありがとうございました。ユカタも着物もご一緒に楽しんでゆきましょうね。それにしてもホントに遅いアップでごめんなちゃい!


赤堀登紅さんの母娘舞台【伝統芸能の継承者たち】


前回ウィキッドネタと同じ日の夜のお話。ご近所美味仲間の友人であり、日本舞踊・赤堀流のお師匠さんでもある赤堀登紅さんから「恒例の観月会で、今年は娘と一緒に踊ります。お目だるい事と思いますが是非いらしてくださいませ」とお誘いいただいた。赤堀登紅さんのお嬢さんの初舞台とあって、何があっても行かなくちゃ、ということでお出掛けしてきた。昔から芸能を受け継ぐ家の子供は、初舞台を6歳(数え年齢)の6月6日にすると良いとされており、登紅さんのお嬢さんもその習わしに従われたのだ。


こちらは初舞台直前のお嬢さんを
「パパにも撮らせて〜♥」とTパパが撮影中の図。
お嬢さんのこの立涌(たてわく)のお着物は
登紅さんご自身の初舞台の時のお衣装だそう。
登紅さん曰く「我が家は立涌好きなのよ〜」


なんともまぁ可愛らしい仕草をご覧ください。
ご母堂の登紅さんは見事に舞台度胸のすわった方で、
舞台の上で表情が素になることはないのだけれど、
この時ばかりは舞踊家というよりも母の顔に見えた。


登紅さんご自身も、舞踊家であったお祖母さまの厳しい躾を受けて舞踊の世界に入った方。子供の頃から当たり前のようにお稽古をしていて、いわゆる子供らしい遊びをするヒマもないほど、舞踊や長唄のお稽古に通っていたという話を以前に聞いたことがある。それでも登紅さんのように、舞踊家としてのセンスや適性を生まれながらにして持っている人は幸運である。歌舞伎役者さんの中には、明らかに不向きだなぁと思われる方がいらっしゃいますもんねぇ。こう考えると、家に受け継がれた芸を引き継いで人生を歩いていくというのは、本当に大変なことだと思う。数日前に香川照之さんが市川中車を襲名して、40代半ばにして歌舞伎に挑戦することが発表された。奇しくも登紅さんのお嬢さんの初舞台の直後だったので、このニュースを聞いて、いろいろな思いが巡ったのだった。同年代としては是非にも頑張っていただきたいが、一方で40を過ぎてからの歌舞伎はさぞやいばらの道であろうとも思う。そのいばらの道を選ばれたのだから、役者魂はやはり親ゆずりだったのだろうか。


登紅さんはお嬢さんとの舞台の後にこうお話されていた。「今日の初舞台で娘が舞踊は楽しいと思ってくれればそれでいいんです。舞台に立って踊ることで、皆さんから褒めてもらえたら、じゃあもっとやってみようって思ってくれるはずですから」これは、師匠の言葉でもあり、母の思いでもある。踊ることを面白いと思わせ、褒めて楽しませ、芸を磨く。これは母でありながら師匠でもある人でしかなし得ない教育なのかもしれないなぁ。きっと登紅さんがお祖母さまから受けた教育そのものなのだと思う。この夜、立派に初舞台をつとめたお嬢さんは、たくさんの花束やプレゼントを抱えて、本当に嬉しそうに着物姿で会場を飛び回っていた。一人の少女に戻った瞬間だった。


そして最後に、登紅さんが素踊りを魅せてくださった。
長唄「秋の色種」。
何度か登紅さんの舞踊は拝見しているが、友人びいきを差し引いても、彼女の踊りは変なシナがなく小気味いい。それと、ワタクシ、素踊りが結構好きなんです。素踊りって、踊る方の人となりとかがすぐそこに見えてくるような気がするのだけれど、いかがでしょう。


この観月会で3ヶ月ぶりにお会いした典子さんと。美味しいもの好きの典子さんとは、終始食べ物の話ばかりだった。話題が映画になっても、映画そのものが食べることをテーマにした作品だったり。今度、もしかすると、映画と食の楽しいイベントをご一緒できるかもしれない。典子さん、企画を練ってみるので待っててね。
そして私の着物は、またまた結城紬でした。単衣の時期になると、どうしてもこの着物を選んでしまうのですが、困ったもんです。一応、他の着物も並べて悩んでみるのだけど、結局いつもこの着物になってしまう。今年だけで何度着たことでしょう。祖母から受け継いだものなので、大切に着なくちゃいけないのに。帯は観月会ということなので、お月様とススキ模様。お月様好きとしては、この季節にはずせないアイテムでした。


善と悪うごめく、"ウィキッド"【えとせとら】


昨日は、映画のおねいさん・松岡ひとみさんと"ひとだん"(ひとみさんの旦那様)にお誘いいただき、劇団四季のミュージカル"ウィキッド"のプレビュー公演にお邪魔してきた。会場にはマスコミ関係者やスポンサー企業の方々でにぎわっていて、ロビーでもトイレでもお知り合いに会いまくり。新名古屋ミュージカル劇場がとっても華やかな雰囲気になっていた。(名古屋外の方々のためにー新名古屋ミュージカル劇場とは、13年前にオープンした劇団四季の専用劇場)
さて、ウィキッドのサブタイトルは「誰も知らない、もう一つのオズの物語」。あの有名な童話「オズの魔法使い」から想を得て作られたアナザーストーリーだ。ドロシーは出てこないけど、良い魔女・グリンダや、ブリキ男、かかし、ライオンは登場するし、オズの国もエメラルドの都もお話に出てくる。「オズの魔法使い」は子供も大人も楽しめるファンタジーなお話だけど、このミュージカル"ウィキッド"はどちらかというと大人向けの内容だなぁと思いながら舞台を拝見した。友情、愛憎、ヒューマニティ、社会風刺、そして善と悪の表裏一体など、いろいろなテーマが見え隠れする内容だったのである。


生まれながらにして肌が緑色のエルファバは、その肌の色からコンプレックスにさいなまれるが、魔法の力に気づいた時から人生は一転する。観客は、この主人公エルファバに知らず知らずのうちに自己投影をしていくのである。どんな人間でも内側には誰にも言えないコンプレックスを抱いて生きている。そのコンプレックスとどう向き合っていくかが、人生の表に出てこないテーマの一つだと思っているのだけど。エルファバのように明らかなコンプレックスが表面に出ている人物が、悪に立ち向かって善を積んだり、時には悪の道に陥ってしまったり、善者と悪者の間を行ったり来たりする。その姿に思わず応援してしまい、善と悪の間でうごめくエルファバに自分を投影するのである。


アメリカのミュージカルとは思えない哀しみの結末を迎え、それでもどこかスッキリした気分で会場を出ると、秋晴れの青空が広がっていた。プレビュー後はお楽しみサプライズがあるよ、とひとみさんから聞いていたんだけど、なんと会場をヒルトンホテルに移してのオープニングパーティーですって。え〜ホテルでパーティーだったら、もう少しきれいな格好してくれば良かった〜。思い切り普段着やん。


「いいのいいの、気にしない!」とひとみさん。
ヘアメイクの村上由見子さんに
PARTY PASSをペタっと貼ってもらい、
ヒルトンホテルへ歩いて移動。


舞台にはキャストの方々が勢揃い!
ついさっきまで緑色だった方が美しい淑女に早変わり。
役者さんってすごいですよね。
愛知県出身の役者さんも多くいらっしゃった。


役者さんが各テーブルをまわってお話してくださった。
真ん中の男性が、フィエロ役の北澤祐輔さん。
(写真ボケボケですみません)
舞台でもかっこよかったけど、本物もかっこよかったですぅ〜♥


左端がマダム・モリブル役の中野今日子さん。
彼女のお肌の美しさには、女子全員がうっとり。
舞台の内緒話も少し教えていただき、楽しかったです。
(ひとみさん、綺麗な写真ありがとうございました)


ミュージカル"ウィキッド"は、新名古屋ミュージカル劇場で今日から開幕。日本では東京、大阪、福岡に次いで4番目の開催だそう。ミュージカルは苦手・・・という方にもマジメにオススメできる大人のお話なので、是非お出掛けくださいまし。お話そのものはもちろん、劇団四季のレベルの高い歌とダンス、そして必見は凝りに凝ったクラシカルな衣装(溜め息がでちゃいますぞ)、デコラティブなヘアスタイル。どれも本当に素晴らしいものばかり。私ももう一度観たいと思っているので、どなたかよろしかったらお誘いください。詳細はこちらへ。
さて昨日はこのパーティーの後、友人の舞踊を拝見するために観月会へ。慌てて帰宅し、お着物に着替えて速攻で再びお出掛けした。その時の様子は次回にアップします。


ファッションショーで台風一過【今日の地球】


それにしても、おっきな台風でしたねぇ・・・。皆様の街には影響なかったでしょうか。浸水の被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。台風がやってくる前から大雨が降り続け、いよいよ上陸?という時にはすでに川が氾濫しそうになり、道路は冠水したりで、名古屋の街は都市機能を失い、まるでフリーズしたかのような2日間だった。私は打ち合せがキャンセルになったので自宅で一日中パソコンとテレビに向かいっぱなし。そんな中、ケータイやパソコンには続々メールが入る。名古屋の2つの川が決壊かっ!人口の半分に避難指示!みたいなニュースが流れたため、東海地区以外の友人たちから「大丈夫!!!???」と連絡が入ったのである。友人が住んでいる街に自然災害が及んだ時、誰しも「あ!あの街にはあの人がいる!」と思い浮かべるもの。でも、実際に心配はしても、よほど親しくなければ安否確認するには至らないのではないだろうか。ところが、3.11以来、その意識は変わった、と思う。自然災害だらけの日本に住んでいると、いつどんな災害に遭って大変な状態に陥るかわからない、ということを3.11で思い知ったからである。自然の脅威を見せつけられたのだから。


そんなわけで、続々と入るメールや電話に「心配してくれてありがとう!」とお返事しながら、不謹慎かもしれないけどちょっと嬉しい気持になった。なぜなら彼らはニュースを見て「名古屋にはマリコがいる!」と思ってくれたわけだから。私が住んでいる街は名古屋のほぼ真ん中で、水にはかなり強い場所である。高層マンションということもあって、今まで一度も水で苦労したことがない。ということは、名古屋市内の友人たちの心配をしなければいけない。川沿いに親しい友人がいるのでまずは安否確認、それから我が家に避難においで、と電話した。その後、遠方から通勤している仕事仲間に「帰宅難民」になっちゃったら、コンビニでお泊まりセットを買って我が家に来るように、とメールした。友人たちがいつ来てもいいようにご近所で食料とお酒を調達し酒盛りの準備が整った頃、川沿い友人からは「実家に避難したから大丈夫」帰宅難民かもしれなかった友人からは「早めに出たので無事に帰宅」とメールが入った。少々肩すかしの気分を味わいながらも、とりあえずはホッと安心して眠りについた。


そして台風直撃の昨日は、台風の雨風がびゅんびゅんと吹きすさぶ中、以前からお招き受けていたファッションショーにお邪魔した。
名古屋のファッションデザイナーの重鎮で、
多くの芸能人から衣装デザインを任されることでも有名な筧正雄先生の秋冬プライベートコレクションである。


某ホテルの一室に設営されたショーステージには、既知のモデルの方々がずらり。コピーライターMK氏夫人のSちゃん、ジオットの松本さん、和子さんなどなど。普段はスチール撮影でしかお目にかからないので、いわゆるモデルウォーキングは新鮮だった。っていうか単独ブランドのファッションショーはパリコレ以来だからおよそ5年ぶりである。しかもパリコレはプレタポルテしか見た事がないので、オートクチュールははじめてだ。↑の写真は、名古屋を代表するトップモデル、ジオットの松本さん。かっこよすぎ。


最初のうちは、モデルに知り合いが多かったので、お顔ばっかり眺めていたのだけど、ショーが進むにつれて、自然にファッションに釘付けになっていった。服が素敵にかっこよく映えるようにウォーキングするから(当たり前だけど)、筧先生が創りあげた服のラインがまるで意思を持った生き物のように見えてくる。プロのショーモデルってこういうことを言うのねぇ〜。そういえばパリコレを見る時もいつも同じ感想を持っていたっけ。会場に入った途端、お歴々のマダムたちの「あら若輩ね」的な視線を浴びてすっかり気後れしてたんだけど(名古屋の財界マダム、有名クラブのママ、有名料亭の女将、芸妓さんばっかりだったんですもの)、そんなことも忘れて、途中から筧先生のファッションに夢中になっちゃった。加えて、筧先生自らペンをとったというナレーション原稿のレベルの高さに驚いた。ファッションを引き立てるような音楽、照明、舞台構成、すべて筧マジックにすっかりはまってしまったのである。オートクチュールにご興味がおありの方は、CBC(中部日本放送)のすぐ近く、筧正雄先生のアトリエへ是非どうぞ。


この写真の中央が筧先生。いつもは毒舌が面白い先生なのですが、知的な奥様とお揃いの筧先生デザインスーツを纏い、とっても素敵な舞台を見せてくださった。先生のショーが終わると台風が去っていたことも印象的だった。


さて、一夜明けた今日は台風一過のお決まりの晴天。きれいな秋晴れの空(一番上の写真がお昼の写真)は、昨日の雨空とはまったく違う表情だ。人によっては清々しい秋空、また被災された方にとっては恨めしい青空。自然って、かくも美しく残酷なのですね。とコラムを書いていたら、遠くから笛の音と子供の嬌声が聴こえてきた。そう、台風の季節は運動会の季節でもあるのだ。きっと、もう一度だけ真夏のようなお天気がやって来て、その後は一気に涼しい秋の様相となるのだろう。被災を知らない子供たちは、まるで台風などなかったかのように、かけっこするんでしょうね。台風と運動会、台風とファッションショー。台風は何と並べても相性が悪い。できれば、もう来ないで欲しいんだけどなぁ、台風。


お肉が熟成するということ【えとせとら】


コラムアップが遅くなってしまいました、熟成肉を喰らう話。ネタまで熟成させちゃいました。今から遡ること2ヶ月前にご近所の美味仲間であるdannaさんから「カルネヤ名古屋会やるよ〜」とお誘いいただき、肉食人間がなんと30人も集った。そう、神楽坂の肉系イタリアン「カルネヤ」の高山シェフが名古屋に出張してくださり、ご近所の「ラ・ヴェンタ・デ・ラ・フエンテ」にて熟成肉の会となったのだ。もちろんプレゼンテーターは料理上手かつホントのグルマンのdannaさんである。
さて、熟成肉とは肉を専用の熟成庫などで保存して、旨味成分を増加させたもののこと。今まで日本の肉文化は、圧倒的にサシ重視&新鮮さ重視だったので、肉を熟成させるという発想自体がほとんどなかった。サシ(脂身)が赤身にどれだけ均等にきれいに入っているかが、人気のある牛肉の物差しだったのである。脂身の少ない上等なフィレ肉もあるにはあるが、まだ旨味が完成されていないまま食すことが多く、熟成という段階にはほど遠いものがほとんどだ。確かにサシがきれいに入った新鮮な牛肉は脂身のコクと甘みが赤身を引き立てて、美味しいお肉であるんですけどね。


熟成させるという発想は、肉食の歴史的先輩諸国である欧州で盛んにおこなわれている。特に野鳥類などは腐る寸前まで熟成させて野性味あふれる獣臭まで含めて食すのが肉食先輩諸氏の贅沢なのである。日本では野菜も魚も新鮮が一番の贅沢であり、魚を熟成させることはあってもせいぜい数日から1週間。その感覚でお肉を食べてきたから、肉の熟成には思い至らなかったのでしょうね。


ところが、この15年ほどだろうか。日本のレストランでも熟成した牛肉を供するお店がぽつぽうと出始めている。近江や神戸といったブランド和牛を、脂身を含めて熟成させたもので、ちょっとエロスを感じるねっとりとした味わいが特徴だ。まだギャニエールが青山にあった頃に、宮崎牛の熟成肉をギャニエール風の料理でいただいたことが鮮明に思い出される。


ところが、このカルネヤの熟成肉には脂身がほとんどない。ホルスタインの4ヶ月熟成を主に使っているとのことで、脂身は共に網で焼くが卓上に上る時には赤身の部分だけが「赤いのに温かい」という理想的なロゼ状態で出てくるのである。実はお肉というのは脂身がないと非常に焼きにくいもの。火は脂身を通して入っていくため、内側に脂身がない肉の火加減は完璧を求められる。その完璧な火加減をやってのけちゃうんだから、さすがに肉焼き名人である。その日のメニューは前菜から最後までお肉のオンパレードだった。中には白味噌や鮎の内臓うるかを隠し味に使ったメニューもあり興味津々。もう肉食人種がまさに肉の塊に食らいつく様子は、見ていても食べていても気持ちが良いものだった。以下、一部のメニュー写真です(普段はお店の料理の写真は撮影しないことにしていますが、この時ばかりは特別に撮影させてもらっちゃいました)牛肉、豚肉、鶉、鹿など、ニクニクしいメニューばかり。



さて、赤身が美味しい熟成肉の話(前フリが長過ぎっ)。脂身たっぷりのエロスあふれる熟成肉と違って、赤身そのものの味わいが深くなっているので、エロスとは真反対の、噛めば噛むほど系のスルメ的な肉質だった。おそらくその牛の餌の穀物系の香りもする。従来の脂身系熟成肉が鈴木京香さんだとしたら、カルネヤの赤身熟成肉は山口智子さん。う〜ん、やっぱりちょっと違うかな。ま、でもつまり、女性だって色気があればイイ女とは限らないわけで、色気はないけどイイ女が赤身の熟成肉といったところでありました。


そしてさらに嬉しいニュース。我が家のご近所でもあるスペインバルのラバノ(カルネヤ会の会場となったラ・ヴェンタ及びラ・フエンテの姉妹店)では、先月あたりからこの熟成肉をメニューにオンリストし始めたのだ。山内シェフが渾身の「焼き」を仕上げてくれる。エロスはないけど味わい深い熟成肉がいつでも食べられるようになったというわけ。これも平成の旦那衆dannaさんのおかげです。ありがとうございました。


アートで沸き立つ名古屋です【徒然なるお仕事】


昨日9月11日まで、松坂屋名古屋本店でアートフェアが開催されていた。8月に名古屋で初のホテルアートイベントの実行委員を務めた経緯もあるので、昨日最終日ぎりぎり(いつものぎりぎり病です)にお邪魔してきた。松坂屋のイベントホールがパーテーションで仕切られ、全国から集ったギャラリーがそれぞれのブースに作品を展示するという方法である。私たちART NAGOYAの会場となったウェスティンナゴヤキャッスルとは趣をまったく異にしていて、壁に掛かった作品を真正面から眺めることができ、いわゆる昔ながらの?ギャラリー風景がブースに再現されているといった感じ。アート業界の方々の講演会なども催され、会場には多くのアートファンがつめかけて、かなりの賑わいだった。僭越ながら、先月のART NAGOYAとこのVARIAが続いたことで、一時期低迷したのでは?と一部で言われた名古屋のアートファンの方々が、再び沸き立ってきているなと思ったのは、私の図々しい妄想だろうか。


参画ギャラリーの中には、全国的に有名なギャラリーや著名作家の作品を展示しているところもあり、ウン千万という価格を見てはヒャ〜!と驚きながらも、大好きな陶芸家・青木良太さんの作品を発見したりして、個人的にも楽しめたイベントであった。中でも驚いたのは、東京・羽黒洞さんのブースである。ブースの壁に直接作家が墨絵を描いていたりと、なかなか個性的な展示と作品で魅了するギャラリーだなぁと眺めていたところ、出展作家さんからお声をかけていただいた。なんと、中学時代の同級生で造形作家である井戸えりちゃんのご主人、大野泰雄さんだったのだ。大野泰雄さんも美術家であり、羽黒洞さんお抱えの作家なのだそう。世間は狭いのです、本当に。そこに奥方の井戸えりちゃんが現れ、羽黒洞さんの富野さんや木村さんを交えて、しばしアートトーク。先に楽しみが見いだせる出逢いとなった。大野さん、えりちゃん、どうもありがとうございました。


そんなわけで、アートに沸き立つ私は、一ヶ月前のART NAGOYAのことを思い出していつものごとく、しばしふけっております。すっかり心はART NAGOYAにワープして、ここからは思い出話。これはウェスティンナゴヤキャッスルのエレベーター内。


こちらは岐阜の石原美術さんの石原ご夫妻。ART NAGOYAにお越しくださり、貴重なご意見をたくさん頂戴した。ウェスティンナゴヤキャッスルを会場にして大正解!と思ったのは、石原ご夫妻のように粋なお姿で訪れるお客様が多かったことだ。その方がなんとなく気持ちも華やぎますよね。それにしても石原ご夫妻は素敵なお着物姿でしたよ。


これはART NAGOYAのスポンサー協賛してくださったジャガー・ランドローバー・ジャパン様。
ホテルの前に特別展示されていたので、なんと遠方からわざわざこの車を見るためにART NAGOYAにお越しになったご仁が!


こちらはプレビューの日の関係者パーティーにて。ご挨拶は名古屋ボストン美術館館長の馬場さん。アートコレクターでもありドクターでもいらっしゃる馬場さんは本当に素敵な紳士。以前取材をしたことがあり、以来のファンである。


乾杯のお酒は、ご存知プレステージシャンパンのベルエポック。
こちらもペルノ・リカール・ジャパン様から協賛していただいた。
アネモネが描かれたアーティスティックなボトルが有名で、ART NAGOYAにはぴったりのお酒だった。期間中はホテル内でベルエポックフェアも開催されていた。


パーティーの会場は一階のシャンボール。ここ、今はパーティー会場となってしまったが、以前はメインダイニングのフレンチだったのだ。バブルの頃、足長おじさまによく連れて来ていただいたのだったわ(遠い目)。ここもまたART NAGOYAにふさわしい会場である。というのも、天井のシャンデリア。なんとイタリア・ムラノでオーダーされた物で、その価値ウン千万と聞いたことがある(再び遠い目)。


こちらはパーティーとプレビューのスペシャルゲスト。右から私の第2の公認パパである松島パパ(ちなみに第2の公認ママである松島ママもいます)。そのお隣は元NY国連、現在はサーマ・スラブの開発者で経営者の福田さん。そのお隣は我らが江場さん。そして左の美女は福田さんの奥様の慶恵さん。みんなホントに素敵な笑顔でしょう!心が豊かな方は笑顔が本当にきれい。私の憧れの方々でございます。
そしてアートは心を豊かにしてくれるということを改めて気づかせてくれたのが、ART NAGOYAであり、今回のVARIAだったと思う。アートに触れていると、あるいはアートを巡っていると、なぜだか良いご縁が舞い込むし、静かな内省を促してくれる。小難しい理論や蘊蓄は専門家の方々にお任せするとして、この名古屋のアート熱をこれからも盛り上げていきたいなぁと、一人で月夜に向かってぼやいている。


よそ様宅の晩ご飯!【おうちごはん】


台風一過でいきなり涼しい名古屋の夜は、一年で一番美しいと言われるお月様を眺めてぼんやり思い出に浸っている。今年の仲秋の名月は満月ドンピシャということもあり、12月曜までは毎夜、こうしてお月様を眺めながら妄想と思い出にふけることになりそうだ。
さて、どんな思い出に浸っているかというと・・・はい、皆さんご想像の通りに美味しい食事のことでござる。というのは、7月と8月は、よそ様のお宅に招かれるという嬉しい出来事が続いたのであります。我が家でわいわい食事会をしている様子は時々このコラムでご紹介している通りなのだけど、なかなかご招待を受けるということが少ないものなのだ。今やホームパーティーばやりで、どこのご家庭でも週末は人が集って・・・みたいな記事がいろいろな方のブログに登場するのだけど、私自身はよそのお宅にお呼ばれすることがホントに少ないのだ。なぜかしら?
自宅にお招きすることの方が圧倒的に多い私は、招く側の気持ちがちょっとはわかるつもりでいる。だから、私がよそ様宅にお邪魔する時に気をつけていることをちょっと書いておこうかと思う。

1. 時間よりも5〜10分遅れていく。→招く方は準備がぎりぎりになって焦っているものなので早めにお邪魔するのは絶対にNG。以前に「早めについちゃった」といらっしゃり、めっちゃ困ったことがあります。
2. 事前に持参した方がいい物があれば伺って用意する。何もないと言われたら飲み物を持って行く。→飲み物はその時に飲まなくても差し上げられるから。
3. 食器などは片付けずホストに任せる。→招いた側はゲストに気づかいさせたくないので、片付けされるとかえって気になってしまうものなのです。
4. 徹底して招かれた側を楽しむ。→上記の理由と一緒で、洗い物しましょうかと言わない方が無難です。最悪なのは、片付けていて食器を割ってしまうこと。私も以前、片付けを手伝ってくれた人が大事にしていた食器を割ってしまったことがあり、お互いに申し訳なく思って疲れちゃいました。
5. 引き際はほどほどの時間に。→自宅でパーティーをした後は、片付けやら掃除に時間がかかります。翌日に持ち越す人もいるとは思うけど、一応、お店ではないので、遅くても23時までには引き上げます。(我が家の場合は、24時越えはざらにありますが、これについては皆さんどうぞお気になさらず)

ま、そんなことで、よそ様宅を訪問するチャンスはなかなかないので、上記のことをちゃんと守ってお邪魔した楽しい時の様子を、ここに御披露させていただく。


これは古い付き合いである名古屋在住フランス人のお宅で、
このお家のマダムの誕生日パーティー。
テーブルの上にはいろ〜んなお料理がずらりと並んでいたので
もうドキドキワクワク。(写真がぼけててすみません)
マダムのお誕生日なのにマダムの手作り料理なんてカッコいい!


これがメイン「子羊のハーブグリル」。
上の写真↑フランス人らしく徹底したホストぶり。
お肉の切り分けはご主人の役目なのです。
ここのお家はいつも、メインは絶対に肉料理。
やっぱりフランス人って肉食なのね。


こちらはゲストのIさん。いつものダンディぶりが、お着物姿でさらにバージョンアップ。白大島をお召しになって、かっこ良すぎるアラカン!です。(とてもアラカンには見えないですよね、内緒だけど)


これはまた別の日。友人であり仕事仲間の服部小百合嬢宅へ。ご主人は中国・吉林省のプリンス・つよし君。つよポンのお母さん(つまり小百合嬢の義母)が大の料理上手で(吉林省でおこなわれた二人の結婚式に参列した私は、そのお母さんの絶品手料理を食べさせてもらって大感激しているのだ)、小百合嬢ももともと料理上手だったため、小百合嬢の料理はかな〜りの進化を遂げていてビックリ!この日の晩餐は手によりをかけて作ってくれた中華料理オンパレード!小百合嬢がひたすら作る→わたしたちがひたすら食べて飲む→小百合嬢が作る→そして皆で食べる、というローテーションを何回やったことだろう。立ちっぱなし作りっぱなしの小百合嬢を誰も気づかうことなく、美味しい美味しいと連発していた。服部ちゃん、食べっぱなしでごめんね!(嬢って年じゃなかったね)


そしてこちらはまた別日。料理上手な旦那様とおもてなし上手な奥様のS先生宅。ここはデザイナーズハウスで、雑誌に登場するような素晴らしい設計のお宅である。


このボケボケ写真じゃ、ちょっとわからないかなぁ。
広々したリビングダイニングの中にアイランド式のキッチンがあって、
南側は全面ガラス。窓の外は一面、山の緑、という素晴らしい環境。
私たちは、リビングのソファに座ってゆったりシャンパンで食前酒。
Sドクターは汗をかきながら必死に料理。


この日の前半の山場。
なんとSドクターがお魚屋さんに特別オーダーした夏の魚たち。
お寿司屋さん???と思うほど新鮮なネタと質の良さでした。
この盛り方、祇園のあのお店に似てますよね〜。


デザートは奥様Hさんの手作りでメロンババロアでした。Hさんの趣味は磁器の絵付けで、このお皿はジノリのホワイトベッキオに植物画を描いたもの。お料理もHさんが描いた美しいお皿で供された。
あ〜、どのお宅も本当に素晴らしいお料理とおもてなしだった。お料理はもちろんだけど、ホストのホスピタリティが行き届いていると、自宅のパーティーはいつまでも記憶に残る素敵な思い出となる。徹底してゲスト側を楽しんでしまった私でしたが、お家に招かれるってやっぱり嬉しいものだなぁ〜と改めて実感した。楽しかったなぁ〜。皆さん、また是非呼んでくださいねっ!


8月31日オンナ、30年変わらず【徒然なるお仕事】


んっあ〜、バタバタでした。まさに8月31日、夏休み最後の日に、幾つも重なった〆切を終えて、スッキリした夜を迎えておりまする。思えば小学生の頃から8月31日の夜は地獄だった。溜まりに溜まった宿題をやらなくちゃと言いながら、お尻に火がつくのが29日くらい。そこから3日間はラジオ体操にも行かず、プールにも行かず、ひたすら勉強机に向かって宿題を体裁だけ整えるというインチキをやっていたものだ。
ややこしいのが夏休み一研究なるものだった。今の子供たちもそうだと思うんだけど、夏休みの間にひとつテーマを決めて、それについて研究してまとめあげるというもの。忘れもしないのが中学2年生の夏休みの一研究だった。私はお絵描きが好きだったので、喜怒哀楽の4つの感情を絵と文章にし、パネルに仕上げるという研究を選んだ(今思えば、それって広告じゃん!)。ところが、である。8月31日の夕方になっても、喜怒哀楽の4枚のパネルは用意してあったが、絵が一枚も仕上がっていなかった。「明日は始業式だしぃ〜、明後日くらいまでに作ればなんとかなるっしょ」と思っていたのだ。
運悪く、その日は父の帰宅が早かった。晩酌をしながら父がなにげなく「そういえば一研究って何やったんだっけ?」と聞いてきたのである。正直に何も出来ていないことを告白すると、父は烈火の如く怒った。飲んでいたお酒も食事もそっちのけで、お説教が始まってしまった。たとえ内容が貧弱だろうと、期日を守るということが世の中で一番大事なのだと。人間すべての人に与えられた時間は一日24時間だと。それは天皇陛下だってジュリー(当時私はジュリーのファンだった)だって同じだと。こんこんと説教されてしまった。父の言うことはいちいちごもっともだったので、しくしくと涙を流しながら下を向く私。


お説教が終わったのは20時くらいになっていただろうか。父は食事もろくにしないまま、私のパネル作りを手伝い始めてくれた。そこからおよそ3時間あまり、4枚のパネルはかなり貧相な仕上がりではあったものの、とりあえず体裁が整い、無事に上からビニールを貼って完成した。怒られたショックとギリギリでやり遂げた感の両方で、その夜はほとんど眠れず、翌朝、目をパンパンに腫らしたまま学校へ。
いつもの始業式なら、なんとなく挨拶して学校集会して終わりのはずなのに、その日に限って担任の先生は夏休み一研究を提出しろと言うではありませんか!同級生たちのほとんどが、やはり一研究は完成しておらず、学校に持ってきていなかった。完成させて持っていったのは、私ともう一人(この彼女は成績も良い優等生)だけだったのである。先生は壇上で昨夜の父とまったく同じ事を言った。そして「一研究はクラスの中で一番優れた内容の生徒を発表することになっているけど、今年に関しては内容を見るまでもなく、コンドウさんとFさんに決まりだな」ですと!!!!!


この後しばらくは父に頭が上がらなかったなぁ。30年たった今では、そんなことはころっと忘れて、チクチクと父をいじめる側にまわっているのだけれどね。毎年8月31日になると、父が畳にへばりつくようにしてパネルを丁寧に貼ってくれる様子を思い出すのである。文章を書く仕事についてからも、〆切だけは必ず守るというのが私の中の最低限のルールになっている。今までに〆切を黙って破ったことは、多分一度もない(もしもあったらごめんなさい)。これも8月31日の教訓が生きているのかなぁ・・・。だとしたら父に感謝しなくちゃ。


というわけで、1週間はほとんど家に籠る日々だった。さりとて買い物に行く時間も作る余裕もなかったため、冷蔵庫にある保存食でつないでいた。冒頭の写真はその保存食を入れている容器。大好きな作り手のスティルトンの陶器が保存食入れになっている。


こっちはショウガの甘酢漬け。
新ショウガの季節に多めに買って、ひたすらみじん切りし、
それを甘酢に漬け込んだもの。
ご飯にのっけるだけで、美味しくて体に良いおかずになります。


こっちは自家製の梅干し。
大きな南高梅を一日一個食べれば、夏バテ知らずです。
昆布と蜂蜜を使ってほんのり甘く。
低塩なので冷蔵庫で保存してます。


原稿〆切の山を終えて一区切りした今夜は、
足長おじさま&足長おばさまが、美味しいお店に連れていってくれました。
長い粗食に耐えた後の舌は、びっくりするほど敏感になっている。
今夜のお吸い物は出汁の味がすごぉ〜くよく分かりました。
こういう喜びがあるから、粗食っていいなぁと思えるわけです。


忙殺中の癒しの風景【今日の地球】


んっあ〜、ばたついた〜。っていうか、まだばたついている最中なんだけど、先週末から今週にかけては移動が多い一週間だったので、忙しいというよりも正直言うと体の疲れが抜けない日々であった。一日おきに新幹線とか長距離ドライブが続くと、体の芯からど〜んと疲れが蓄積していくのね。これが中年っつうものなんでしょうか。そんな日々のある夕方、偶然目にした夕焼けの風景。電柱とか街路灯とか、電線が交差してる感じとか、昭和の香りがしますよね。この西空には夏の終わりの切なさが詰まっているようで、思わずカメラを向けてしまった。体は疲れていても、こんな風景を目の前にすると、やっぱり癒されるわけです。


ばたついていて、自宅でゆっくり食事する時間のない私の元に届いたクール宅急便がコチラ。長野県飯田市の農家「虎岩旬菜園」の上野さんご夫妻が、フルーツとうもろこしを送ってくださったのである。フルーツとうもろこしは名前のごとく生で食べられる物で、糖度が17〜18度と驚く程高い。虎岩旬菜園さんを取材したのは昨年の11月、市田柿の収穫時期だった。農業で生きていくために東京から築120年の木造家屋に移り住み、ご夫妻2人ではじめた農園である。いかにも純粋な心持ちという印象のご夫妻で、自分たちで作った野菜や果物を食べ、育てた野菜を販売して必要最低限の生活費を稼ぎ、目の前の自然と共に暮らし、自然を相手に闘っている。きれいな瞳を持ったお二人だなぁというのが取材した時の印象だった。共に取材したディレクターと「バーに飲みに行きたい!とかそういう欲望っておきないのかな、あのお二人は・・・」などと薄汚れた瞳を持つ人間同士で話していたことを覚えている。


上野さんご夫妻のおすすめの通りに、鮮度が命のフルーツとうもろこしを生でがぶりとかじってみた。お〜いし〜。みずみずしくて甘くてシャキシャキしてて、本当にフルーツのような芳香があった。あとは電子レンジで皮ごと3分加熱して、ラップして冷蔵庫で保存した。さて、皆さん。このとうもろこし、どっち側から召し上がりますか?フルーツを食べる時にいつも気をつけていることなのだけど、部位によって糖度が違うので、甘くない部位から甘い部位へと食べていくのがコツである。甘いのがどっち側かを見分けるのは簡単だ。そのフルーツが樹に成っている姿を思い浮かべればいい。糖分は重力と共に下方へと下がっていくので、上方から下方へと食べていけば、段々甘くなるというわけだ。このとうもろこしで言えば、おひげが生えていた先の方から根元の下の方へと食べればいい。メロンやイチゴも同じで、ヘタの方から食べるに従って糖度は増していく。それにしても、フルーツではこの食べ方が当てはまるのだけど、野菜であるとうもろこしでも実践できるとは思っていなかった。フルーツとうもろこしならでは、である。上野さんご夫妻、貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。


そしてもう一箱届いた宅急便がコチラ。名古屋市北区にある「あられの匠 白木」さんが、大きな段ボール箱いっぱいに、あられをたっぷりと詰めて送ってくださったのである。白木さんとお知り合いになったのは、お世話になった方の送別会でのことだった。以前、友人がおもたせに持って来てくれたあられに感動したため、そのお店に行きたくて調べておいたあられ屋さんだったのである。名刺を交換させていただき、お名前を拝見して思わず「ファンなんです♥」と言いよってしまい、白木さんは随分困惑されていた。写真には2種類しか映っていないのだけど、これ以外にも大人気なのが「ごぼうあられ」と「和風カレーせんべい」である。いただいてからすぐに食べちゃったので撮影できなかったというわけ。白木社長と知り合ったのをいい事に、取材用手土産の買いだめと自分を言い聞かして、お気に入りのあられをいっぱい注文してしまった。今、事務所には白木さんの箱が山積みされている。


そんなわけで、コラムアップできていないけどちゃんと生きているのか?と心配のメールをくださった皆様。ばたついた日々はまだもう少し続くのだけれど、虎岩旬菜園からのとうもろこしと、白木さんのあられのおかげで、なんとか心も癒され、仕事に邁進しております。また落ち着いたら、遊びの方もお誘いくださいまし。