今日の地球

ファッションショーで台風一過【今日の地球】


それにしても、おっきな台風でしたねぇ・・・。皆様の街には影響なかったでしょうか。浸水の被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。台風がやってくる前から大雨が降り続け、いよいよ上陸?という時にはすでに川が氾濫しそうになり、道路は冠水したりで、名古屋の街は都市機能を失い、まるでフリーズしたかのような2日間だった。私は打ち合せがキャンセルになったので自宅で一日中パソコンとテレビに向かいっぱなし。そんな中、ケータイやパソコンには続々メールが入る。名古屋の2つの川が決壊かっ!人口の半分に避難指示!みたいなニュースが流れたため、東海地区以外の友人たちから「大丈夫!!!???」と連絡が入ったのである。友人が住んでいる街に自然災害が及んだ時、誰しも「あ!あの街にはあの人がいる!」と思い浮かべるもの。でも、実際に心配はしても、よほど親しくなければ安否確認するには至らないのではないだろうか。ところが、3.11以来、その意識は変わった、と思う。自然災害だらけの日本に住んでいると、いつどんな災害に遭って大変な状態に陥るかわからない、ということを3.11で思い知ったからである。自然の脅威を見せつけられたのだから。


そんなわけで、続々と入るメールや電話に「心配してくれてありがとう!」とお返事しながら、不謹慎かもしれないけどちょっと嬉しい気持になった。なぜなら彼らはニュースを見て「名古屋にはマリコがいる!」と思ってくれたわけだから。私が住んでいる街は名古屋のほぼ真ん中で、水にはかなり強い場所である。高層マンションということもあって、今まで一度も水で苦労したことがない。ということは、名古屋市内の友人たちの心配をしなければいけない。川沿いに親しい友人がいるのでまずは安否確認、それから我が家に避難においで、と電話した。その後、遠方から通勤している仕事仲間に「帰宅難民」になっちゃったら、コンビニでお泊まりセットを買って我が家に来るように、とメールした。友人たちがいつ来てもいいようにご近所で食料とお酒を調達し酒盛りの準備が整った頃、川沿い友人からは「実家に避難したから大丈夫」帰宅難民かもしれなかった友人からは「早めに出たので無事に帰宅」とメールが入った。少々肩すかしの気分を味わいながらも、とりあえずはホッと安心して眠りについた。


そして台風直撃の昨日は、台風の雨風がびゅんびゅんと吹きすさぶ中、以前からお招き受けていたファッションショーにお邪魔した。
名古屋のファッションデザイナーの重鎮で、
多くの芸能人から衣装デザインを任されることでも有名な筧正雄先生の秋冬プライベートコレクションである。


某ホテルの一室に設営されたショーステージには、既知のモデルの方々がずらり。コピーライターMK氏夫人のSちゃん、ジオットの松本さん、和子さんなどなど。普段はスチール撮影でしかお目にかからないので、いわゆるモデルウォーキングは新鮮だった。っていうか単独ブランドのファッションショーはパリコレ以来だからおよそ5年ぶりである。しかもパリコレはプレタポルテしか見た事がないので、オートクチュールははじめてだ。↑の写真は、名古屋を代表するトップモデル、ジオットの松本さん。かっこよすぎ。


最初のうちは、モデルに知り合いが多かったので、お顔ばっかり眺めていたのだけど、ショーが進むにつれて、自然にファッションに釘付けになっていった。服が素敵にかっこよく映えるようにウォーキングするから(当たり前だけど)、筧先生が創りあげた服のラインがまるで意思を持った生き物のように見えてくる。プロのショーモデルってこういうことを言うのねぇ〜。そういえばパリコレを見る時もいつも同じ感想を持っていたっけ。会場に入った途端、お歴々のマダムたちの「あら若輩ね」的な視線を浴びてすっかり気後れしてたんだけど(名古屋の財界マダム、有名クラブのママ、有名料亭の女将、芸妓さんばっかりだったんですもの)、そんなことも忘れて、途中から筧先生のファッションに夢中になっちゃった。加えて、筧先生自らペンをとったというナレーション原稿のレベルの高さに驚いた。ファッションを引き立てるような音楽、照明、舞台構成、すべて筧マジックにすっかりはまってしまったのである。オートクチュールにご興味がおありの方は、CBC(中部日本放送)のすぐ近く、筧正雄先生のアトリエへ是非どうぞ。


この写真の中央が筧先生。いつもは毒舌が面白い先生なのですが、知的な奥様とお揃いの筧先生デザインスーツを纏い、とっても素敵な舞台を見せてくださった。先生のショーが終わると台風が去っていたことも印象的だった。


さて、一夜明けた今日は台風一過のお決まりの晴天。きれいな秋晴れの空(一番上の写真がお昼の写真)は、昨日の雨空とはまったく違う表情だ。人によっては清々しい秋空、また被災された方にとっては恨めしい青空。自然って、かくも美しく残酷なのですね。とコラムを書いていたら、遠くから笛の音と子供の嬌声が聴こえてきた。そう、台風の季節は運動会の季節でもあるのだ。きっと、もう一度だけ真夏のようなお天気がやって来て、その後は一気に涼しい秋の様相となるのだろう。被災を知らない子供たちは、まるで台風などなかったかのように、かけっこするんでしょうね。台風と運動会、台風とファッションショー。台風は何と並べても相性が悪い。できれば、もう来ないで欲しいんだけどなぁ、台風。