LARMES Column

菊之助による菊之助【伝統芸能の継承者たち】


知らざぁ言って聞かしやしょう!この決め台詞で有名な歌舞伎の演目「白波五人男」を観に行ってきた。約一ヶ月の公演で、さぞ芸が醸成しているだろうと思うと、今月のバカみたいにバタバタした日々もなんのその。前日の夜もせっせと原稿を書き(こうゆう時は筆が進む!)、今日の楽を迎えた。今回の御園座は、顔ぶれに人気役者が少なかったからか、なかなかチケットが売れずにご苦労されたと聞いている。お名前とお顔が一致する役者さんが少なかったのは事実だし、役どころによっては、ううむ、なぜこの人が?と思うお方もいらっしゃったのだけど、こと菊之助さんに関して言えば、芸が醸成するのをしっかり待った甲斐があった。


菊之助さんは若手の人気役者で、人気が先行しすぎて、まだ線が細い感じがしていたのだけど、今日の弁天小僧では黙阿弥の江戸弁を見事にこなし、私の印象は一気に変わった。弁天小僧が最後に追いつめられるシーンで、印象的な仕草を見た。着物を上半身脱いでいる菊之助さんは、立ち回りをする最中、早業でさっと着物の後ろを引っ張って帯に入れ込んだのである。確かに着物の後ろが少し垂れていてきりっと締まっていなかった。そのため、胴裏の朱色が目立ってしまい、後ろ姿が決まらないのである。果たしてあれだけ激しい立ち回りをしていて、こんなところに気づくだろうか?きっと菊之助さんには後ろにも目がついているに違いない。ささっと着物を直した後、"弁天小僧菊之助"は切腹して息絶えた。菊之助さんによる"菊之助"の素晴らしい舞台に感激した私は、お隣の菊之助ファンらしきおばさまにわからぬよう、そっと涙をふいた。


それにしても美男というのは得ですよね〜。菊之助さん、本当にいいお顔なさっている。お姫様の役も色男も、そして弁天小僧のような江戸弁の不埒者も美しく決まっちゃう。私が中学生くらいの時に映画になったジュリーによる天草四郎の「魔界転生」を思い出してしまった。


歌舞伎となると着物姿のお客さんが多くなるので、いろんな方の素敵なお着物姿を拝見できるのも楽しみの一つ。今日もお着物の方がとっても多かったです。私は、弁天小僧に合わせて、一番上の写真の着物で。帯は雷神の刺繍。真冬に締めたくなる柄。


こちらは今日の御園座とはまったく関係がないのだけど友人の着物姿。紅型の美しい青に細かく花模様が入っている見事な染め。今日、このお着物に一見似ているなと思ったご婦人を見掛けたので、もしや?と思わず近寄って観察しちゃった。階段を追いかけてぴたっと寄り添うように歩いてしまい、完全に不審者でした。ふふふ、でも私の友人の着物の方がずっときれいな染めでした。なぜだか自慢げになる私。着物好きの視線はすぐにわかりますからね〜。ばれないようにさりげなく観察しないとね。
さぁて、楽しみにしていた歌舞伎を堪能した日曜ももう終わり。明日はまた新幹線と電車を乗り継ぎ、有馬温泉方面に出掛けてきます。しばらくは旅芸人の日々が続くのである。もう寝なくっちゃ。


花まで喰らう女子力【暮らしの発見】


きっかけはお正月気分冷めやらぬ時分に催した女子会だった。日曜日だったこともあってか、お花屋さんの店頭に良いお花がなくて困ったなと思いながらお鍋の材料を仕込んでいたその時、ブロッコリーが目に留まった。「そーいやブロッコリーって確か花の蕾だったよね」そうだ。だったらブロッコリーをテーブルのお迎え花にして、ついでにトマトも一緒に飾ってしまおうと。いたずら心ではじめた「野菜のお迎え花シリーズ」これが意外にも女子のハートをがっちり掴めてしまったのである。


←これがその時のお迎え花。ガラスの水指(ホントは夏の茶会に使用する水指なのです)に、適当にカットしたブロッコリーとトマトをごろんごろんと入れただけ。そしてこの夜のメインは野菜の洋風鍋だったので、この後トマトもブロッコリーもぜ〜んぶ食べちゃいました。テーブルセッティングは女子新年会だったのでピンクをテーマに。ピンクの風呂敷をひっぱりだして、お皿は白、ナプキンはピンクに統一。集まったのはいい歳したアラフォー女子だったのだけど、ま、いちお女子ということで可愛くまとめてみました。


←これは先月開催の丹波しし鍋の会の時のセッティング。若旦那を囲む女子会だったので、グリーンを基調にシックなテーブルにしてみました。そしてお迎え花は、後ほどお鍋に入れちゃう予定の聖護院かぶら、京ニンジン、椎茸をスクエアにカットして盛り込み、最後にセリをお花のようにくるりとあしらって出来上がり。これがまた女子にウケましてね。


←それでもってこれがつい先週末の日曜日。シャラン産窒息鴨のしゃぶしゃぶ会を催した時のテーブル花。前菜で使う予定の菜の花と金柑をボックスフラワーのイメージで生けてみたところ、小さなお花畑みたいに仕上がった。朝のうちに生けておいたので、お昼間に菜の花が太陽に向かって伸びてしまい、お客様がいらっしゃる前にあわてて茎をカットして生け直さなければならなくて、ちょっと苦労したのだけど。


いずれのお迎え花もアラフォー女子及び女子力の強いおじさんに大人気で、facebookでこれらの写真をアップすると結構な確率でお褒めの言葉をいただいた。唯一の難点は、ずっとテーブルに花を飾るわけにはいかないということである。だって途中で調理して食べちゃうんですもの。お花が途中でなくなっちゃうなんて、ま、普通はあり得ませんよね。もしかしたら、花まで喰らう図々しさが、アラフォー女子及び女子力の強いおじさんに人気なのかしら。ね、ななちゃん。


こちらは我が家でさんざん食べて満腹になり、なんとその場で眠ってしまったアラフォー女子。花まで喰らう女子力は、睡眠にも貪欲なのだ。というわけで「野菜のお迎え花」どうぞ試してみてくださいませ。意外に簡単で楽しくて、食卓での話題にもなりますよ。


熱燗の魅力【一杯の幸せ】


先日のこと。料亭か茂免の若旦那からいただいたカラスミが一本冷蔵庫にとってあったので、それをどう食べるかで思案した。若旦那はパスタにして食べてとおっしゃってたけど、料亭か茂免の自家製カラスミはさすがに深みのある滋味がなんともいえず、パスタにするのは勿体ない。ということで父と一緒にお酒の肴でいただこうと思い立った。実家に帰って「カラスミいただいたよ〜」と父に告げると、いつもなら数独パズルに夢中になって帰宅した私の顔など見向きもしないはずの人が、しっかと奥目を見開きにっこり笑うではないか。我が父ながら口が卑しいので、お酒の肴があると聞けば表情が一変するのである。太めに切って軽くトースターで炙ってお皿に盛ると、すかさず手を出して「うまいうまい」を繰り返す。その様子を見ていたら、私も熱燗が飲みたくなった。


父は真夏の酷暑の時以外、ほとんど毎日のように熱燗をいただく。冬になると熱燗を飲んで体を温めてからビールをチェイサー代わりにする。ちょっと変わった飲み方が癖になっている。一方、私はというと、熱燗でひどい失敗を重ねていることもあり、実家では母に付き合ってビールを飲む程度で、父と日本酒の杯を重ねることは滅多にない。でも、そのカラスミの夜は別だった。カラスミを見ていたら苦手なはずの熱燗が欲しくなったのである。


飲みたくなったのにはちゃんと理由がある。2月初旬に名古屋・栄にオープンした日本酒の立ち飲みバー「八咫」(やた)にて、店主から美味しい熱燗を飲ませていただいたこと、はじめての熱燗お湯割に感動したことが頭の片隅に残っていたからだ。今まであまり語られることのなかった新しい日本酒の楽しみ方を教えてくれるお店、是非お出かけくださいまし。


話がちょっとずれちゃったけど、で、カラスミの夜。私が「今夜は熱燗が飲みたくなっちゃったから、一杯いただこうかなぁ」とつぶやいたその時。父が今まで見たことがないような嬉しそうな顔をして私を眺めたのである。「生意気なことを言うなぁ」とつぶやきながら、盃を持ってきてくれて私に熱燗をついでくれるではないか。父のこんな顔を見たのは本当にはじめてだった。年老いた父親というのは、娘と熱燗を飲み交わすことがそれほど嬉しいものなのか。父には私たち姉妹だけで男の子供がいないので、親子で熱燗を飲み交わすみたいな男同士のつながりが持てていない。義兄がその役目をおってくれてはいるけれど、それも年に数えるほどのイベントごとである。


さしつさされつしながら飲む熱燗は、味覚の刺激以前に人間関係を取りもつ役目もあるのだなぁ。満悦した父の表情を見ていて感じいった。これはワインにも焼酎にもウィスキーにもない感覚だ。熱燗を飲んでいるオヤジの口は臭いだの、なんとなくオッサンくささが漂うだの、いろんな偏見(←これ全部私が言ってたことですけどが)で見られがちな熱燗。いやいや、熱燗飲みながらじゃないと語れないことだってあるんです。熱燗をお酌することで、少しだけ気持を交わすことだってできるんです。熱燗の魅力を、父の笑顔が教えてくれた。
熱燗だけでなく、日本酒の魅力をもっと知りたい、楽しみたいという方は、「もっと地酒の会」にぜひご参加くださいませ。あらら、最後はPRになっちゃった。よろしくお願いいたします。


白練りショコラでバレンタインを!【徒然なるお仕事】


私のような年齢になると、もうバレンタインなんて関係なくなってしまうものだけど、市場はといえばそうでもなくて、マーケットはどんどん広がっているのだとか。JR名古屋タカシマヤのアムールデュショコラの売上は日本一?らしく、モンスターマーケットだそうな。その市場を支えているのが、これまた意外にも私くらいの年齢の女性らしい。自分へのご褒美と称して自分のためにチョコレートを買う人が年々増えている。自分へのご褒美ってなんだか女性ならではのゴーマニズムに溢れた言葉だなぁと我ながら思うのだけど、ま、そのことは置いといて。かくいう私もゴーマニズムの塊となって、父と叔父以外のどなたにもチョコレートは差し上げず、自分のためだけにチョコレートを買う。今年も買う。いろいろと。


そういうわけで、今日は思い切り商品広告でございます。2年前に商品開発とプロデュースのお仕事をさせていただいた「白練りショコラ」のコマーシャル。岐阜市の鮎加工品専門店および鮎専門料理の「泉屋物産店」の洋風新商品の一つで、鮎の熟れ寿司のご飯の部分を再利用し、熟れ味をチーズに見立て、チョコレートを開発したのだ。フランス料理「ヴァンセット」の青木シェフの監修のもと、試行錯誤を繰り返して出来上がったチョコレートは、ちょっとオトナ味。珈琲や紅茶というよりもブランディーやデザートワインによく合う味わいとなって完成した。私は商品開発そのものと、商品のネーミング、パッケージデザインまでを担当し、無事新商品として世に出すことができたというわけで愛着もひとしお。
さらに、商品開発と新商品販売を無事に済ませた頃に嬉しい発見があった。なにげなく本を読んでいたら「白練り色」という名前が日本の古い伝統色に存在していることが分かったのだ。ちょうど有田焼の乳白色のような深い色のことを白練り色と呼んだらしい。
というわけで、以下、白練りショコラのコマーシャルです。お酒好きの皆様、ぜひ今年のバレンタインは白練りショコラをお試しくださいまし。
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白練りショコラは、泉屋物産店(岐阜市)本店・web・高島屋岐阜店にて特別販売されます。
白練りショコラ・鮎ピザ・鮎ぞうすいのセットで3000円(通常3150円)。クール送料も500円(通常945円)で発送されるそうです。
私個人的にはすご〜く残念ながら、白練りショコラ単体では購入できないみたいですが、他のおつまみもセットで購入するおつもりで是非オーダーしてくださいませね。
泉屋物産店のwebはこちら


老舗料亭・若旦那の視点とは?【おうちごはん】


今日で一月も終わりですね。この前、年が明けたと思ったらもう晦なんて、ホントに年をとると月日が流れるのは早いものだこと。来月はそれなりに仕事の予定が入っているので、ビビリ症の私は、今月中にプライベートの楽しみを済ませておこうという目論みで、毎週のごとく我が家でのごはん会を催している。この季節、我が家のごはん会の定番と言えば・・・なんといっても牡蠣のコンフィと丹波のしし鍋である。牡蠣の方はfacebookでアップして以降、私の周りでプチ流行していて、ご自分でお作りになるご仁がいらっしゃったりして嬉しい反響が。しし鍋の方は、写真で見ても美味しそうに見えないのでfbではアップせず。ただし、実際に口にした人々が、えも言われぬ脂身の芳香と深い味わいにうっとりとする表情を見ることが私の楽しみである。


そんなわけで、しし鍋会の2012バージョン第2回は、先週の土曜日におこなった。それが↑の写真である。左から、FM愛知・フレッシュアップアイの川本えこさん、花桔梗の伊藤さん、料亭か茂免の船橋さん、某局のかおりん、住宅ライターでお隣の福岡由美さん。この時の会の名前は「若旦那を囲む会」である。人気の和菓子店・花桔梗の若旦那、そして料亭・か茂免の若旦那が揃ったので、お二人を囲んでアラフォー女子がわいわいつつく(?)という会。話題が豊富な皆さんとの楽しい夜は更けていき、酔いが気持ち良くまわった頃、料亭の若旦那がご不浄にお立ちになった・・・のに、なかなか戻っていらっしゃらない。あれれ、どうしたのかな?と思った頃に、おもむろにリビングの扉を開けて、若旦那がおっしゃった。


●若旦那→「マリコさん、トイレ掃除しといたから」
● 私 →「へ????」
(皆さんがいらっしゃる前にお掃除してあるはずなんだけど、どっか汚れてたのかしら!!!)
●若旦那→「ほら、天井に排気口があるでしょ、あそこに埃が溜まってたから、ペーパーで拭って綺麗にしといたから。他が綺麗になってるのにあそこだけ埃が溜まってるっていうのがどうも気になっちゃって。細かいところが気になるA型だからさ〜ついつい便座の上に乗っかって掃除しちゃったんだよね〜」
● 私 →「ほへ?????天井に排気口なんてあったんだ・・・トイレで天井なんて見上げたことなかったから知らなかった・・・」
●若旦那→「ほへ?????排気口を知らなかったの????1ミリくらいの埃が溜まってたよ」
● 私 →「い、い、いちミリ・・・・」
(多分気づかって1ミリとおっしゃってるけど、多分2ミリだったと思われる)

まぁそういうわけで、料亭の若旦那らしい細かな視点により、我が家のお恥ずかしい失態がさらされたのである。お料理は好きだけどお掃除は得意ではなく、できればやりたくないというのがホンネの私。時々お客様をお招きすることで無理矢理でもお掃除することになるので、なんとかギリギリの清潔さが保たれているようなものだ。
それにしても普段からお客様をお迎えしている料亭の若旦那というのは、本当に細かなところまで行き届いた視点を持っているものだなぁと感心した。ご本人は気をつかって血液型のせいにしてたけど、血液型とは関係がないんじゃないかな。長年蓄積された職業病のようなものじゃないだろうか。料亭は日本の芸術や文化の生きた美術館のようなものだから、料理だけではもちろんダメで、器、軸、花、美術品、建物そのものの意匠性、すべてにおいて、磨き抜かれていなければならない。そういう中で過ごしていれば自然に審美眼は鋭くなるし、視点も厳しくなるのでしょうね。そういう方を自宅にお招きすることの怖さを身をもって体験したわけだけど。これからも若旦那にはどんどん遊びに来ていただいて、いろんな所をお掃除していただこうと思っている。若旦那〜、またお掃除に来てくださいね〜!!!(こ〜なったら、ノー天気に徹する!)
ちなみにこの恥をさらした時の宴の様子は、お隣の由美さんがブログで紹介してくださっているので、そちらもよろしかったらご覧くださいませ。


エル・ブリの秘密【えとせとら】

スペインの片田舎で、たった半年間だけ、わずか45席を求めて、世界中からグルマンが訪れる三ツ星レストラン、エル・ブリ(スペイン語発音だとエルブジ)。食に関心のある方なら、名前は聞いたことがあるはずだ。料理に詳しい方なら、すべての食材を泡状にするエスプーマを開発したシェフと言えばお分かりになると思う。食にも料理にも関心がなくても、日本の柚子を世界中に知らしめたのがそのシェフだと聞けば、その功績を讃えずにはいられないだろう。2005年の愛・地球博の時はそのシェフのメニューが供されたので、炎天下を長時間並んだご仁も少なくないはず。そういうわけで、エル・ブリのことも、シェフのフェラン・アドリア氏のことも、知っている人は知っているので、ここでは多くを書かないことにする。詳しくお知りになりたい方は映画「エル・ブリの秘密」をご覧ください。あ、でもこれはドキュメンタリーであって、料理に人生をかけるシェフのヒューマンドラマではない。あくまでも映画を観ている人はエル・ブリのことをある程度知っているという前提で、淡々と、実に淡々と、ドキュメントが描かれてゆく。バルセロナの乾いた空気や赤い瓦屋根を眺めているかのように、エル・ブリの様子を俯瞰から観ている気分にさせられた。


かつて何度も何度も旅して歩き、居候して暮らしたことのあるバルセロナは思い出の地である。ここはスペインでも一番フランス寄りにあるカタルーニャ地方で、巻き舌が特徴の一種攻撃的とも感じるスペイン語と違い、フランス訛りで少し上品な発音になる。フェラン・アドリアも、その周りのスタッフもカタルーニャの柔らかなスペイン語を話し(ソムリエ氏はフランス語だったからフランス人なのか???)、予想に反して穏やかな口調でひたすら食の実験を続ける。やがてやってくる半年ぶりのオープンまで、実験は幾度となく繰り返され、その実験過程が描かれた2時間の映画である。
映画としての評価はよくわからないけど、これはすべてのクリエイター(広告制作者という意味だけでなく)と経営者が観るべきものだと思った。フェラン・アドリアの食材に対する真摯で敬虔と言ってもいい想いから、過去の料理人と自然への敬意を感じたし、彼の飽くなき探究心とそれを支えるスタッフとの信頼関係、パートナーであるスタッフたちとの情報共有の完璧さと情熱共有の素晴らしさが、スクリーンごしに伝わってくるのである。実験結果が完璧にデータベース化されていて、失敗のデータから多くの成功を導き出している。とてもあのいい加減なユルイ国民性とは思えない(爆)。これって、料理人だけでなく、我々広告制作のクリエイターやあらゆる分野のデザイナー、職人などの専門職、そして従業員を抱える経営者にとって、とても大切な条件だと思いませんか?
2011年7月にエル・ブリが閉店するニュースには本当に驚かされたけど、どうやら2年後に料理研究財団として新たに生まれ変わるのだそう。この映画は、レストランだった頃のエル・ブリを記録したという意味で貴重なドキュメンタリーになっていると思う。


「エル・ブリの秘密」は、名古屋では2月3日まで、名古屋駅のゴールドシルバー劇場で上映されている。皆様、お急ぎくださいませ。
ってわけで今日、仕事をさぼって行ってきちゃいました、えへ。平日の映画館、特にゴールドシルバーみたいな小劇場はお客さんがホントに少なくて、しかももの好きな映画ラバーばかりで居心地がいい。上映がはじまる直前まで、場内のお客さんのほとんどが文庫本を広げて読んでいらっしゃる。こういう静かな雰囲気、好きだなぁ。ところが残念ながらゴールドシルバー劇場は2月末にて閉館になるのだそうだ。ここでは数えきれないほど映画を観た。「ニューシネマパラダイス」「さらば、わが愛(覇王別姫)」「ブエノスアイレス」「デリカテッセン」「山の郵便配達」・・・・。どれもいい映画ばかりだったなぁ。いろんな映画の思い出に浸り良い時間を過ごした後は、ちゃんと原稿書きに戻りました。


ワインボトルに妄想する月曜【一杯の幸せ】


ここのところ料理熱に浮かれている。食べることも飲むことも好きで、レストランで食事するのはもちろん大好きだけど、自分で料理をするのはもっと好きなので、時々ポッと料理のアイデアが浮かんだりすると、それを実験したくて仕方がなくなる。当然誰かに食べさせたい。それの犠牲になるのは我が愛すべき友人たちなのだけど、そんなわけで今年に入ってから2週連続、合計4回ほど我が家でごはん会という名の強制食べさせ会を催した。我が家のごはん会のルールは、「料理に合わせてワインを持参いただく」なので、合計4回のごはん会で集まったのは、人数が20名、飲んだワインの数は25本。さてさて、そのワインボトルたちはベランダに放置されたままだったため、瓶の回収日である今週の月曜日にマンションのゴミ集積場へと運んだ。2週溜めちゃった私が悪いのだけど、それにしても25本ですよ。オンナの細腕(一応表現上ね)じゃ運べませんて。なので、台車に段ボール箱を置き、その中にワインボトル25本と日本酒ボトル1本、ビール瓶3本を積み上げ、カチャカチャと音をさせながら一階まで降りていった。まるで酒屋のおばちゃんみたいにね。


今のマンションが出来たのは99年だったから、ここに住むようになっておよそ13年近く。実は毎週月曜日の朝にゴミの集積場で私が一点集中するスペースがある。そう、きれいに仕分けられている、瓶・缶・ペットボトルのうちの「瓶の箱」だ。この箱の中に、毎週、私をドキドキさせるワインの空瓶が必ず入っているのである。もちろん中身は入っていないが、そのワインの趣味がおそろしく私と似通っているため、ついつい凝視してしまうのだ。好みがきれいに統一されているから、おそらくこれらのワインの飲み手は一人(もしくは一家庭)に違いない。いつからか、私は空瓶の彼(勝手に男性と思っている)に恋するようになった。空瓶の彼は、今週末に何をお飲みになったのだろうか。そんな妄想をしながらゴミ集積場に生ゴミや瓶を運ぶのって、楽しいですよぉ。


空瓶の彼が飲んだワインが気になる一方で、我が家でとびきり美味しいワインを抜いた時は、ちょっと誇らしげな気持でその空瓶を集積場に運ぶ。もしかしたら空瓶の彼は、私が飲んだ空瓶を見て「ふうむ、まだ見ぬ彼女はこれを飲んだのか」なぁんて妄想を膨らませてくれないかなと。


9日に催したのは、今年初の「丹波しし鍋会」。今まで何度かしし鍋会についてはこのコラムに書いているが、長時間加熱することでバターの芳香をまとうしし肉に、熟成したシャルドネが実によく合うので、その日のメンバーにもその味の特徴をお伝えしてワインを持参いただいた。一番上の写真はその日のメンバー持ち込みワインたち。右から2本目はのりりんご持参で、なんと玉村豊男さんのシャルドネ♥そして↑こっちの写真はグラッパ王子がご持参くださったもの。左はジャックセロス。熟成したシャルドネと言ったら、こうキタ。さすが王子。しし鍋とピッタリで新しい発見でした。そして右は黒龍による2012年龍年特別ラベル。空瓶の彼はきっとどのボトルを見ても「ふうむ」と感心してくれるはずだけど、私的に玉村豊男さんボトルと黒龍ボトルは手元に残しておきたかったので、セロスちゃんは残念ながら空瓶箱行きとなった。我がマンションのゴミ集積場で高く積み上げられたボトル箱の一番上に、ラベルが見えるようにジャックセロスの瓶をそっと置いた。空瓶の彼がそれを目に留めてくれることを期待して・・・。


伊藤まさこさんの"手仕事ひとつまみ"【徒然なるお仕事】


センスの良い暮らしぶりや、"もの"への確かな審美眼から、女性誌やナチュラル系雑誌を中心に人気のスタイリスト・伊藤まさこさん。とある企業の広報誌のお仕事で、伊藤まさこさんが東海地区の"ものづくり"を訪ねる旅を取材させていただいている。長野県松本市在住の伊藤さんは、信州のものづくりを自ら訪ね、ガラスや陶器、竹ざるや箒といった職人さんが作る生活道具を日常に取り入れている。その素敵な生活感は、数々の著作でも紹介されているのでご存知の方も多いだろう。東海地区は、伊藤さんにとってまだ見ぬ土地ばかり。丁寧な手仕事を営む作家や職人を訪ね、伊藤さん流の審美眼で新たな魅力を発見したり、伊藤さんのアイデアをものづくりに生かすというのが企画趣旨だ。このシリーズは春からスタートし、岐阜県岐阜市の美濃和紙、愛知県岡崎市の三河木綿と続き、今回の号が「山ぶどうの籠」である。伊藤さんが大好きな籠に注目し、独特の「花結び」と呼ばれる編み方で籠を制作する女性作家さんを訪ねている。ご興味がおありの方は、ここにご訪問いただき、いっぱいいっぱいクリックしてくださいね(爆)。


さて、冒頭の写真は、その取材時にお邪魔した2軒のお菓子屋さんの"栗きんとん"。籠作家さんが住む中山道沿いを伊藤さんが訪ねた折に、このあたりの特産品でもある栗菓子を比較してみたいと伊藤さんがアイデアをくださったのだ。東海地区以外の方にとっては馴染みが薄いかもしれない"栗きんとん"。この地域では秋になると、デパートで名店が競うように売り始める。ご他聞にもれず私も大好きで、この取材のおかげで名店の栗きんとんを同時に味比べする贅沢を味わった。伝統的な製法と商品を大切にする岐阜県中津川市の「すや」(写真右)と、一年中栗菓子が食べられるように技術とアイデアで幅広い商品展開する岐阜県恵那市の「恵那川上屋」(写真左)の2軒である。どっちの味が美味しいかは好みなのでここでは割愛。それにしても同じお菓子でほぼ同じ製法なのに、味って違うものですね〜。こっちは栗の甘みで、こっちは水分が・・・なんて分析していて、気づいたらいただいた栗きんとん合計12個をぺろっと食べちゃっていた。東海地区以外の方々、次の秋には中山道沿いの栗菓子目的で遊びにいらしてください。この取材のおかげですっかり栗菓子通になった私がご案内いたします。栗きんとんだけでなく、栗パフェ、栗しるこなど、期間もお店も限定の絶品栗スイーツを巡りましょう!!!ちなみに写真の栗きんとんがのっかっているお皿は、九谷の須田菁華さん。須田菁華さんのお皿は、洋菓子を盛っても和菓子を盛ってもよく似合って不思議な魅力がある。そういえば「僕のお皿はカレーライスでも会席料理でも合うんですよ」って須田菁華さんご本人もおっしゃっていたっけ。


話がすっかりそれてしまったけれど、くだんの伊藤まさこさんが訪ねたのは山ぶどうの籠作家さん、妻籠宿、栗菓子屋さんなど中山道の深まる秋の風景。繰り返ししつこく書きますが、ぜひここをクリックしていただき、伊藤まさこさんの素敵なものづくり旅をお読みくださいませ。


ナレーター原稿 with VoiceVoice【今日の地球】

2011年はfacebookを始めたこともあり、本当に多くの方と知り合えた一年だった。友人の友人ということで最初の垣根が取っ払われたり、コメントの書き方などから感性をうかがい知ることができたりして、会って話すのとはまた違った側面からその人となりに触れることができた。今日ご紹介するお二方は、コピーライター・モリケンさんとのご縁でお会いした方々。
モリケンさん主催のパーティーで自己紹介の時、ひときわよく通る声で印象的だった益田真里子さんと小坂珠実さん。それもそのはずで、お二人はナレーター・司会者・歌手を派遣及び養成するタレント事務所のVoiceVoiceの代表と第一号ナレーター(営業部長との声も)だったのである。
その後、お二人とFacebook友達になり、お互いにコメントをし合ったりしてnet上で交流が深まっていた。俳句の季語を毎日紹介してくださる益田さん、天然キャラぶりが楽しい小坂たまちゃんのコメントは、毎日の楽しみでもある。そして仲秋の名月の頃のことだった。お月様が大好きな私のfb上のコメントはすべて月にからむものばかりとなっていた。毎夜、その日のお月様を眺めては想いをfbに綴っていた私。その文章に、小坂たまちゃんが目をつけてくださった。「この文章大好きです。声に出して読んでみました」と嬉しいコメント。さらにその数ヶ月後、「VoiceVoiceのwebで、声のサンプルとしてこの文章を読みたいのですがいいですか?」というお話をいただいた。もちろんOKのお返事をして、クリエイティブディレクターの上原さん主催クリエイターズパーティーでお二人が私の文章を朗読してくださった後、いよいよwebでもボイスサンプルとしてオープンしたのである。
私がお仕事で書いている原稿のほとんどは、編集物・新聞・ポスター・webなど目で追って読んでいただくものばかり。耳で聞いていただくためのナレーション原稿とは、文章の作り方やリズム感がまったく異なる。ましてfacebookにアップした文章なんて想いのままで推敲もしておらず、かなりいい加減に書いてしまったもの。だからVoiceVoiceのお二人に読んでいただくにはリライトが必要だった。そんなことでリライト作業を加えて再作成した文章が、VoiceVoiceのwebでお聞きいただける。耳で聞いていただくにふさわしい文章に出来たかどうか、正直言って自分でもビミョーなのだけれど。皆様、以下の青字をクリックして、お二人の素敵なナレーションを是非お聞きくださいませ。

VoiceVoiceのメンバー紹介ページの[2012年・ボイスサンプル]にあります。
益田真里子さん「オリジナルナレーション」(タイトル/漱石の月)
小坂珠実さん「しっとり」(タイトル/いざよいの月)
http://voice71.web.fc2.com/member.html

ただの言葉に読み手の技が加わると、こんなにも空気感を作り出すものなのね。ふうむ、ナレーション原稿って面白い!どなたか、今度、ナレーション原稿のお仕事ください〜〜〜〜〜!!!!!!


今年の抱負が決まりました!【暮らしの発見】


明けましておめでとうございます。おせち→お酒→おしゃべり→おせちに飽きて他をつまむ→お酒→テレビといういつものお正月三が日スパイラルに思い切りハマっている最中でございます。年末はぎりぎりまでお仕事をし、そうは言っても年賀状は書かなくてはいけないしということで30日のお昼ごろにご近所の郵便局に出しに行ったらば「切手面に年賀って赤字で印刷してないから、そこにあるスタンプを全部におして出し直してください」と言われてしまった。「何百枚もあるからどれだけ時間かかるかわかんない。なんとかしてくださいよ〜」と得意のごり押ししてみたけど、「あ、じゃ普通郵便で出されますか?今出しても元旦にはどうせつきませんから」とあっさり言われ、それに従うことに。なのに、なのに・・・。私の聞き方が間違っていたのか。私の年賀状のはずのハガキは、大晦日の31日に皆様のお手元に届いてしまったのである。twitterとfacebookではお詫びしたのだけど、ここでも改めてお詫びいたします。年末までおっちょこちょいぶりを発揮してしまって、ホント〜にごめんなさい。


いきなり年賀状のフライングしちゃった大晦日は、2011から2012になろうとする23:30くらいから、パジャマ姿でカウントダウン。だって24時まで待てなかったんですもの。シャンパーニュを開けて、24時になった頃にはすでにシャンパーニュはなくなってしまっていた。年賀状だけでなくカウントダウンもフライングで終わってしまったのだ。なんだかなぁ、この年明け。これは今年もおっちょこちょいでフライング気味の一年になるという暗示なんだろうか。


ま、自分勝手に解釈すれば、年末は原稿の〆切をころっと忘れるという大失態をやってしまったので、フライング気味というのは良い傾向なのかも。原稿は早めにアップすれば仕事は増え(激!)、約束にも早めに行けば待ち人来る、かも。というわけで、今年の抱負が決まりました。「何事も早め早めの心持ちで」今年もどうぞよしなにお願い申し上げます。