おうちごはん

ピクニック日和の季節は過ぎて【おうちごはん】


毎日ほんとにあっつい。まだかろうじて6月ぎりぎりだというのに、人と会って第一声は「ほんとにあっついですね〜どうなっちゃうんだろう、今年の夏・・・」が定番の挨拶になっている。でも、ホントにどうなっちゃうんでしょう、今年の夏は。前々回のコラムにも登場した農業を趣味にしている父によると、農作物の成長具合から想像するに、今年は梅雨寒の冷夏だったはずなんだけどなぁ。やっぱりなんちゃって農業のサブちゃんには天候までは読み切れなかったようです。


父の趣味が農業なら、娘の私は父作の野菜をせっせと料理して、お弁当箱に詰め、ピクニックに出掛けることを趣味にしていた。4月から入梅までは春先のお花がきれいだということもあって、毎週のようにピクニックしていたのである。我が家は都心にしては珍しく、お花見スポットが点在している。歩いて数十秒のセントラルパーク、歩いて15分くらいの名城公園、東区の有名な早咲き桜の通り、ちょっと自転車で走って鶴舞公園。桜にはじまり、藤、鈴蘭、薔薇、燕子花に菖蒲、紫陽花、紫蘭・・・。お花見が目的なのか、お弁当が目当てなのかは自分でもよく分からなくなっているのだけど、とにかく外でお花を愛でながらシャンパンを飲み、お弁当をつつくというのに、この上もなく幸せを感じるのである。


これは母から譲り受けた飛騨春慶のお弁当箱で、母のお嫁入り道具の一つ。亡き祖父による毛筆で「飛騨春慶信玄弁当箱十組」と書かれた桐箱から六組ほど私が持ってきちゃったものだ。プラスチックの完全密閉式のお弁当箱の方が、お汁はこぼれないし傷もつきにくく、扱いやすいんだろうけど。せっかく母が譲ってくれた物なので、ここのところ頻繁に使うようにしている。最近の我が家パーティーでは前菜を入れておもてなしをしている。ピクニックの時はおかずを詰めたらラップをぴっちりかけてその上から蓋をし、さらに手ぬぐいでくるんで持ち運ぶ。平行に持てばお汁はこぼれないし、手ぬぐいでくるんでいるから傷がつくこともない。漆塗りの器に入れると、ただのおかずも美味しそうに見える。この飛騨春慶信玄弁当箱のおかげで、大切なものはちゃんと大切に扱えば、ずっと長く使えるものだということを改めて実感している。思えば、高校生の時のプラスチック製お弁当箱なんてかなりぞんざいに扱っていた。自転車の籠に入れてびゅんびゅんすっ飛ばしていたし、食べ終わった後なら、鞄の中で弁当箱の天地がひっくり返っていてもおかまいなしだったもの。ところが、この飛騨春慶のお弁当箱は、食べ終わったらナフキンで中のお汁をきれいに拭き取り(漆が傷まないようにね)、またラップをかけてから蓋をして、手ぬぐいにもう一度くるんで、平行にして持ち帰る。家に帰ったら、ぬるま湯でさっと洗って、乾燥したらすぐに片付ける。プラスチック製とは扱いがまったく違う。でも、大切に扱う分だけ愛着も深くなるのだ。


長野県塩尻市贄川の小学校では、給食の食器に地元の伝統工芸品である木曽漆器を使っている。当初は子供が扱いにくいし高価な漆器が傷むのでは、という心配の声もあがったという。ところが実際に漆器で給食を食べるようになると、子供たちは自然に漆器への親しみを感じて丁寧に扱うようになり、地元の工芸品であることに誇りを持つようになったのだとか。子供たちだって、プラスチック製の味気ない食器で食べるより、漆器の方が美味しく感じるに決まってる。その漆器給食の取り組みは、簡単だから・安心だから・安価だからという理由で、物事の価値判断を子供に押し付けてきた大人へのアンチテーゼになったのではないか。


上の写真は名城公園の広場にて。←の写真は同じく名城公園の見事な藤棚。ここの藤棚は本当に素晴らしいので必見だ。
さぁて、暑過ぎてピクニックには出掛ける気になれない今日この頃。次の楽しみは何にしようか考え中である。なにか楽しげなアイデアがあったら、教えてくださいまし〜。


丹波の牡丹鍋【おうちごはん】


手持ちのデジカメで撮影してパソコンに保存していた写真を大量に紛失してしまい、ちょっと困ったことになってしまった。名称未設定フォルダに入れていて、いつかタイトルつけなくちゃ、と思っていた矢先に、どうやら間違えてゴミ箱に入れちゃったみたいなのだ。あ〜あ、40を過ぎてのケアレスミス、なんとかして欲しい。というわけで、牡丹鍋は2月のメニューだったんだけど、かろうじて昨年のしし肉の写真が残っていたので、これをネタにさせていただく。
さて、二ヶ月も前の話なのだけど、一年のうちで私の仕事が一番忙しくなる2月というのは、悔しいことに美味しいものが多い季節でもある。毎年、寒のお魚を食べなくちゃ、あんこう鍋に行かなくちゃ、あのお店の鴨は絶対にはずせない、ジビエが終わっちゃう・・・と食べるのにも忙しい季節となるので、仕事と食べることのスケジュール調整が本当に大変な月となる。この牡丹鍋もそうなのだ。8年ほど前に丹波篠山で食べてから衝撃を受けて、何年か通って作り方を研究し、以来毎年2月にしし肉を取り寄せ、3日ほど秘伝の味噌を練って加熱しまた寝かす作業を繰り返し、熟成したシャルドネを用意して、その日を迎える。牡丹鍋にあまり良い印象を持っていない人がいたら「騙されたと思って食べてみて」と誘って、我が家で牡丹鍋パーティーをしている。ただし、3日の作業工程があるので、仕事とのスケジュールが最も気がかりにはなるのだけど、その苦労をしてでも食べたい、いや、食べさせたいと思える味になるのだ。


そんなわけで、毎年2月に開催する、とは言っても、スケジュールの都合上、せいぜい2回くらいが限度。昨年いらっしゃった方は早くから予約(!?)が入るし、新たにお誘いしちゃった方もいるので、私は戦々恐々と味噌づくりに励まねばならない。写真がないので残念なのだけど、今年お誘いしたメンバーを改めて考えてみたら、なんとそのほとんどがプロの料理人ばっかりだった。第一回目は、和食料理人の関尾さん、半田のヌーベルシノワの新美シェフ、飲食店のプロである恵子さん、そしてルマルタンペシュールの那須ソムリエ、唯一飲食店関係ではなかったのがとあるアパレル会社社長でグルマンの丹羽さんというメンバーだった。第二回目はご近所のスペイン料理ラ・フエンテの山内シェフ、フランス料理ヴァンセットの青木シェフとマダムと香保里ちゃん。第二回目は100%料理人ばっかり。あとで振り返ってみると、心臓強いな〜と我ながら思うのだけど、ホントにこの牡丹鍋は美味しいんだから仕方がない。


肉料理は圧倒的に日本よりもヨーロッパの方が歴史もあって料理法も豊富だと思われがちなんだけど、実は日本だって山の中に行けば昔からお肉を食べていたし、地元の人々は美味しい食べ方をよく知っている。少なくとも、私が知っているヨーロッパのいのしし肉は、もっとかたくて臭みもあるし、逆にその香りを野性味と称して好むのがヨーロッパスタイルだ。日本のジビエは逆である。お肉を寝かさずに適度に休ませる程度にしてから出荷するので、獣臭が少なくて熟成感はほどほど。特にこの牡丹鍋は、脂身が激ウマなので、熟成が進みすぎない方が美味しいのだ。このねっとりバターの風味を持つ脂身が、熟成したシャルドネによく合うんですよ。昨年も食べてる山内シェフが今年は"シェリー"を持ってきてくれた。うむ、シェリーもなかなかの組み合わせでしたよ、確かに。
まだまだ知られていない日本の山奥には、きっといろんなジビエ料理があるはずだ。地酒を呑みながら、地元の貴重なタンパク源を粗野でシンプルな調理法でいただく。それは村人たちの一番のごちそうだ。こういう料理に出逢うと、私も地方の食材や調理法を探して歩く旅をしてみたいなぁと思う一方で、そういうごちそうは、外からスポットを当てることなく地元の人が大切に食べ継いでいくべきものだという思いもよぎる。そうだな〜、来年も夜中に一人でお味噌を練りながら原稿に向かう2月を過ごすことにいたします。


アサリとハマグリのおもひで♥【おうちごはん】


嗚呼、何故だ。何故、美味しいものを食べていると、肝心な事をすっかり忘れてしまうのだろうか。

毎年春から初夏にかけて、我が家のご飯会の定番メニューとなる「アサリとハマグリのしゃぶしゃぶ」。昨年は確か通算7回、今年は5回催した。昨年の今頃、記憶を辿ってコラムを書いたことを覚えている。それで、昨年の反省を生かし、今年こそは、アサリとハマグリの大きさを毎回写真に撮り、その成長ぶりが途中で主役交代となるタイミングを見極めようと画策していたというのに。手元にある写真ストックには、たった4枚しか残されていないのである。


アサリは5月が成長のピーク。一方ハマグリは6月がピークである。4月ころからしゃぶしゃぶを始めるので、最初のうちはアサリのプリプリ感がすごくて感激し、6月あたりからハマグリの方にプリプリ度合いが移っていく。その移り変わりを写真におさめようと思っていたのだ。さらにご一緒していただいた人たちの写真も撮り、アサリとハマグリ仲間としてアルバムにおさめようと思っていたのですが〜。



残ってた写真、↑これだけだもんね、がっくり。しかもこの3枚はアサリばっかりだし。食べることに夢中になると、決心を忘れてしまうんだろうか。我ながらホントに情けない限りである。記憶に留まっているのは、美味しかったことと、ご一緒した方々の喜ぶお顔ばかりだ。


由美さん、えこさん、かおりさん、N男ちゃん、M輪くん、美紀さん、直美さん、O本さん、Mさん、えりちゃん、松崎くん、今年は結局実現できなかった青木シェフと秀代ママも含めて〜。来年も一緒に食べましょうね〜〜〜〜!!!と意味のないメッセージを記して、来年こそは大きさ確証撮影することをここに誓いまする!


冷蔵庫の危機!【おうちごはん】


今月は、やたらめったら、我が家に人が集うことが多い月間となっている。この10 年ほどいわゆるお盆期間休みが少なくなり、7・8・9月のどこかで好きな時にお休みをそれぞれにとるというスタイルが多くなったからか、「今日はお休みなの〜」と言いよってくる人(要するにごはん食べに遊びに行くよと宣言する人)が妙に多いのだ。わたしゃ大体いつもヒマなので、「どうぞどうぞ遊びに来て〜その代わりお酒持ってきて〜」とお返事し、おかげで食の実験やらみんなでわいわい食べる楽しみを味わっている。


野菜の蒸し鍋はネギオイルとお塩で

野菜の蒸し鍋はネギオイルとお塩で

子連れ友人とのお昼ご飯の宴の時!

子連れ友人とのお昼ご飯の宴の時!

春慶信玄弁当箱を八寸に

春慶信玄弁当箱を八寸に


真夏のメニューは、事前に冷蔵庫でしっかり冷やしておくものが多いので、前日とか午前中のうちに作って、あとは冷蔵庫に仕事を託す。飲み物もビールやらシャンパンやら、冷蔵庫でキンキンになるまで冷やしたいものばかり。でも我が家の冷蔵庫は大型ではないので、大人数の食材を冷やすとそれだけで満杯になってしまうのである。庫内の温度を安定させるために、なるべく扉の開閉を少なくし、いっぺんに出していっぺんに入れるようにしているのだけど、どうしても冷蔵庫の働きはにぶってしまうのだ。先日のとある酷暑の日、朝から狭いキッチンで茹でたり煮たり3つ口コンロを全部使って調理し、その傍ら180度でオーブンを使っていたら、キッチンの気温はおおよそ40度以上になっていた。周りの温度が高くなれば当然冷蔵庫の温度も安定しないわけで、ちょっと心配になって冷凍庫のアイスクリームをさわってみると、ぐにゃりとつまめるではありませんか!!!


その晩はお客様をする日だったので、冷蔵庫が壊れたなんてシャレにならない。仕込み作業は一時中断し、あわててリビングの冷房を最低温度でオン、扇風機で冷風をキッチンに流した。冷蔵庫周りの小物を避難させて、冷風の通り道をつくる。その状態でひたすら待って約1時間。さっきのアイスクリームをもう一度さわってみると、なんとかいつもの固さに戻っていた。ホッ。


マンションの狭い独立キッチンというのも、やっぱり考えものですね〜。熱気が思い切りこもるから、冷蔵庫は死ぬ思いで仕事しなければならない。この日の熱気を教訓に、夏のキッチンは、加熱タイム(キッチンの温度上昇を防ぐためオーブンとガスは別の時間帯で使う)と冷蔵タイム(冷やすものはあら熱をしっかりとっていっぺんに入れ、不必要な扉の開閉をしない)をマイルールとして定めた。


そんな冷蔵庫危機の中、我が家にいらっしゃったのは、左から俳優の中村繁之さん、アラフォーなら絶対に知っているジャニーズのアイドルだった人!ハウスバーモントカレーのCMでおなじみでしたよね。今も昔のままカッコイイですぞ!今月は御園座に公演に来ているのだ。今月24日まで公演しているので、お時間のある方は是非お出かけください。神風特攻隊のお話でお涙必須だそうです。私も来週末に観てきま〜す。そのお隣はキュートな芹沢先生ご夫妻。芹沢先生宅はとっても素敵なデザインハウスなので、今度は「隣の晩ご飯」で突撃する予定デス。


こっちは、我が仲間たち。私を入れてなななんと総勢10名。我が家のご飯会史上、最大の収容人数だった。お皿もグラスも足りなかったので、仲良し仲間ということもあり、ひたすら使い継いでいただきましたわ。


↑の日のテーブルセッティング。
10人のお皿が狭いテーブルには並ばないので、
こんなラフな仕上がりになっちゃいました。
この時は、ご近所の食堂、をコンセプトに!


記憶をたどって計算してみたら、今の冷蔵庫が我が家にやって来たのは1990年だったので、なんと20年たっていることが判明。ご老体に鞭をうっての仕事ぶりには頭が下がる。エコ仕様やインテリジェント機能の冷蔵庫が流行る中、こんな暑いキッチンで昔ならではの2ドア姿で頑張ってくれている冷蔵庫。長持ちさせたいので、大切に大切に使っていこうと思う。


なす・ナス・茄子!【おうちごはん】


もう2週間も前のことになるが、麗しき女性3人の野菜ソムリエ集団・ラヴェリアンのお野菜勉強会に参加してきた。今回のテーマはナスで、その勉強会ではナスの種類や特徴などを学びつつ、ナスづくしのお料理をいただくという内容。会場は私のセカンドタウンである円頓寺商店街近くのフランス料理店「ペルージュ」だった。↑の写真は、左から。短なす、水なす、賀茂なす。


3種類のナスを、生と焼いた物で味比べ。
生ならどれが美味しい(好み)か。
焼いた物なら、一番はどれか。
私の好みは、生→水なす。焼いた物→賀茂なすでございました。


珍しい白なす

珍しい白なす

これまた珍しい天狗なす

これまた珍しい天狗なす

手モデは、
この勉強会に誘ってくださった
お隣の由美さん〜♬




と、そんなわけで、ナスには驚く程たくさんの在来品種があるということ、油と相性の良いナスの油吸収率を下げるためには塩水で洗うといいということなど、すぐにでも役立つ豆知識が満載の楽しい会であった。ラヴェリアンの麗しき女性、えこさん・くみこさん・みきさん、ありがとうございました。さて、オベンキョーすると、これみよがしに実践したくなるのが私の癖である。


でもって、来週末のユカタ会の最終打ち合わせのために、我が家で戦略会議(結局ただのご飯会になっちゃったけど)幹事3人が集まった時のこと。スタイリストの原結美さんと、ヘアメイクの村上由見子さんとで、あーだこーだとガールズトーク炸裂しつつも、しっかりナスをいただいたのである。水なすを生のままカットし、塩水で洗い、水をきったら、塩・バルサミコ・オリーブオイルをかけて簡単サラダ。それと最後に白なすで作った麻婆ナス。白なすは、加熱すると皮が緑色になった。やわらかい食感と淡白な味わいが、麻婆にはぴったりでございました。せっかく作ったのに、写真を撮り忘れてしまったので、メニュー写真は由見子さんのOh!Tiaraブログをご覧ください。


そういえば、春に宇宙旅行へと出掛けてしまった重兵衛さんでは、毎年この季節になると水なすのぬか漬けを出してくださった。それがさくさくしてとびきり美味しかったなぁ〜と今は亡き大将を思い出していたら、またまた涙が出ちゃって仕方ない。ふ〜、いつまでひきずるんでしょうね(泣)。


そして、我が家の食材が豊かなタイミングで
なぜか必ず現れるこのオトコ。
甥っこノゾムと共に、
水なすのサラダをお酒のアテに。


そして今年お初の松茸、いただきもの♬
お醤油を刷毛で塗って、さっと炙って、
お酒のアテアテアテ。
「香り松茸」を十分に楽しんだ。


スーパーの店頭では、春でも冬でも夏野菜のはずのナスが並んでいる。ハウス栽培のおかげではあるが、やっぱりナスが美味しくなるのは夏本番の今であって、春や冬ではない。ナスの種類ごとに調理法を変えて楽しめるのも今の季節だけなのだ。現に、大阪で生産される水なすは今しか流通していない。野菜に季節がなくなってしまったと嘆く向きも多いようだけど、そんな大流通経路に対抗するかのように、在来品種を頑張って生産してくださる農家の方がたくさんいらっしゃるのだ。嬉しい限り。そんな農家の方たちを応援する意味でも、今年もたくさんいろ〜んな種類のナスを食べ尽くしまする。店頭に珍しいナスを見かけたら、皆さんも是非お試しになってください!


大口限定フルーツサラダ【おうちごはん】


先日、ラジオのパーソナリティーであり、ベジタブル&フルーツコミュニケーターとしても活躍中の川本えこさんから、お隣の由美さん経由で冷凍いちじくをいただいた。えこさんは由美さんのご紹介で最近知り合った知性あふれる女性で、野菜や果物のスペシャリストということもあり、すぐに意気投合し(私の方が一方的にえこさんにラヴラヴになった♥)、再来週にはえこさんが講師を務めるお野菜イベントにもお邪魔することになっている。つまり、現在私の注目度ナンバーワンの素敵な女性、というわけ。そんなえこさんからいただいたのは、かくも珍しい冷凍いちじく。いちじくは私のフルーツベスト5にランクインするくらい大好きな果物である。無農薬の安心栽培だと、皮ごといただけるので、なるべく無農薬のいちじくをさがしては皮ごともぐもぐと食べるのが、この季節の私のささやかな贅沢となっている。


←こちらが冷凍いちじく。
かる〜くゆる〜く真空パックされて、
皮ごとパッキングされている。
ってことはもちろん皮も食べられる安心材料ということですな。


実のところ、この冷凍いちじくをいただいてから、これをどうやって食べようかと思案していた。生ハムといちじくという黄金コンビは美味しいのだけど、食の実験家を自称する身としてはいささか役不足のメニューだし〜。いちじくのゴマだれがけも、フレッシュないちじくに合う味わいだしネ。
いろいろ考えた結果、毎朝のフレッシュジュースづくりにアイデアを見つけ出したのだ。このコラムでも何度か紹介した「朝の野菜と果物のフレッシュジュース」、これは怠け癖のある私が珍しく一年に渡って続けているジュースづくりのことである。季節ごとに旬の野菜と果物を何種類かブレンドし、その相性を実験して楽しんでいるのだが、昨年の今頃に発見した美味しいブレンドが、トマト・オレンジ・いちじくだったのだ。


ジュースで飲んで美味しいなら、食べても美味しいハズ!と思い、上段の写真のサラダを数日前のホームパーティーで披露したというわけだ。結果はトレビアン。我が家の客人(特に女性)も大喜びだった。作り方は簡単なので、是非みなさまお試しくださいませ。


オレンジ→皮を剥き、房ごとに切り分ける。
トマト→オレンジと同じ大きさに切り、種をとる。
いちじく→大きさを揃えて切る。
お皿に盛って、上から、塩・白コショウ・オリーブオイルを適宜かけて、完成!


今回えこさんからいただいた冷凍いちじくは、味が濃厚だったのでこのサラダにはピッタリだったけど、多分フレッシュないちじくなら完熟タイプを選べば同じ味わいになると思う。いちじくは、皮ごといただける無農薬の物を買ってみてください。トマトの皮が気になる方は皮をとっちゃってもいいかもしれない。それと、いただく時は、3種類を一度に口の中に入れて味わってみてください。あ、ってことは、大口開けて食べられる人じゃないと味わえないってことかしら?私は3種類が余裕で入っちゃう大口サイズなので大丈夫だけどネ。大口の人限定のサラダレシピになっちゃいました。


フェチ続きで干物フェチ【おうちごはん】


グリンピ〜〜〜〜〜〜〜〜ス!
この数年すっかり家庭菜園の虜になっている父の作でございます。すごいでしょ、ぷりぷりでしょ!数日前に実家帰りした時に、父がたくさん収穫してくれたのだ。我が父ながら、ホントに良い出来と感心しつつ、さやから豆を取り出す作業にしばし夢中になった。「椅子に座ってツメをたて〜さやえんどうのスジをむく〜さやがワタシの心なら〜豆は別れた男たち♬」と古い歌を口ずさんでいたら、母の視線を感じたので、あわてて歌を変えた。



30分も作業していたら、こんなにすごい量のグリンピースになった。この一部はグリンピースご飯に、そして一部は軽く塩ゆでをして冷凍庫でストック、さらに残った一部をお日様にさらして乾燥させることにした。最近、干物づくりに凝っているのだ。お日様にあてて水分を飛ばし、旨味を凝縮させてから調理する。お魚はもちろん、野菜は全般に乾燥させてからいただくととても美味しいからだ。グリンピースの干物は、フライパンで塩炒りして炒り豆にする予定。ちなみに右の写真は豆を取り出した後のさや。内壁がぬるっと湿っていて、いかにも実の抜け殻という感じが妙に色っぽく、思わずカメラにおさめてしまった。


こちらはホタテ貝柱の日干し風景である。ここのところ我が家にてお食事会をする時の定番メニューとなっている「ホタテの一夜干し炙り、XOジャンソース」の仕込みだ。ホタテがお行儀よく並んでいるのが見えるかしら?最初の頃は薄切りにして日干しにしていたけど、肉厚のまま干し、半乾きあたりで止めた方が私の好みだということを発見したのだ。


これはシイタケ。夏場になるとシイタケの傷みが早くなるので、笠の裏側がちょっと黒くなってきたぞ・・・と思ったら、生椎茸として食べるのはあきらめ、すぐに日干しにして食材の寿命を延ばすことにしている。日当りの良い所に干すだけで、市販されている干し椎茸とまったく変わらない感じに仕上がるので、とってもラクチンな保存方法かも。


どの食材も生で食べて十分に美味しいものばかりなのに、お日様に干すだけで旨味が増えて寿命も長くなるのだから、干物とはすごい知恵だなぁとつくづく思う。そういえば昔、フランスのボロアパートにいた時に、どうしてもお魚の干物が食べたくなり、お魚屋さんで三枚に開いてもらったアジみたいな魚を塩水につけ、猫の額ほどのバルコニーにネットをはって干したことがある。そしたら真上に住む意地悪なポーランド人の留学生が「日本人が奇妙なことをしている」と気持ち悪がって管理人さんに告げ口をした。仕方ないのでバルコニーに干すのはあきらめ、外から見えないように窓枠のすぐ下の所に移動させて、ささやかな干物生活を楽しんだのだった。その時の惨めさから考えれば、今はマンションでこんなに堂々と干物づくりに精を出せるのだから、やっぱり日本は素敵な国だ!と実感している。干物バンザイ。


今のところ、干物づくりの敵はコイツだけだ。我が家近辺を飛び回るヒヨドリのヒヨコちゃん。時々バルコニーの干し物を狙っている。人間を怖がることのないヒヨドリらしく、私が近づいても飛び立つ気配さえ見せない。この写真は今日のもので、「ヒヨコ!」と呼びつけ真正面からにらめっこになった。私が猫のふりをしてニャ!と鳴いたら、さすがに気味悪がって逃げていった。とりあえず、今日のところは私が勝ちをおさめた。


アサリあさりでシアワセ日曜日【おうちごはん】


ここのところ日曜日がとても充実している。先週は豊橋へワンディトリップ。そして今週は惰眠をむさぼった後に東山植物園へと向かった。緑少ない名古屋でかなり貴重な植物と野鳥の園となっている東山植物園。私はここを勝手に「ワタクシの庭」と呼ばせていただいている。何を隠そう「東山動植物園の定期観覧券」の持ち主なのである、えへん。(東山動物園と植物園の一年間フリーパスのことで年間2,000円を支払えば誰でも購入できる。東山動植物園の入場料は一回500円なので、卑しい計算をするなら、一年に4回以上行けば元は取れるというわけ)広大な敷地には7,000種の植物があり、重要文化財の温室や白川郷合掌造のある日本庭園、散歩道なども整備されている。


バラ園がバージョンアップされていたので、麗しきマダムたちに混じって私も鑑賞してきた。人名がタイトルになったバラをのぞいていたら、カトリーヌドヌーブやダイアナ元皇太子妃といった著名人がずらり。その中で気になったのが、←こちらの「ヨハンシュトラウス」。クラシックに大して明るくないくせにヨハンシュトラウスのワルツは大好きなので、美しく青きドナウをハミングしながら優雅なバラの姿にうっとりしていた。


名も知らぬ可憐な花

名も知らぬ可憐な花

大好きなあやめ

大好きなあやめ

白川郷合掌造を移築した庭園

白川郷合掌造を移築した庭園


汗水流し、時に涙も流し、懸命にお仕事をして、その僅かなギャランティの一部を税金として納めているけれど、こういう貴重な自然空間を守り育てることにその税金を使っていただけるのなら、これからも僅かなギャランティのごく僅かな税金をどんどん徴収していただいてもいい!と思う。東山植物園さま、これからも「ワタクシの庭」をどうぞよろしくお手入れしてくださいませね。


夕方からは名古屋駅で映画をむさぼり観て、さぁてこれから何を食べようかなぁ〜と考えていたらケータイが鳴った。ヘアメイクの服部小百合嬢からである。開口一番「アサリ食べませんか〜?」ダンナのつよぽんと一緒に知多まで潮干狩りに行った服部ちゃんは、大漁のアサリを持って名古屋に戻って来たらしい。


というわけで、キロ単位のアサリをお裾分けしていただいた。
わ〜い♬♥
知多のアサリは身が厚くて美味しいんだ〜い。
早速アサリくんたちの砂抜き開始!


アサリオンパレードのメニューは ←アサリご飯に、アサリの酒蒸し、アサリの出汁で炊いたお豆腐、アサリのお味噌汁!!!
ご飯の写真は撮ったけど、他のメニューは撮り忘れて、
むさぼり食べてしまいました。


これは、アサリにくっついて来てしまったカニの赤ちゃん。隣のアサリと大きさを比較すると小ささがわかりますよね?小さいものはなんでもきゃ〜わいい〜のだ。ボウルの中をくるくると動き回る。餌がないからボウルで生きるのは難しいよね〜と思いつつも、アサリの砂抜きと同じように海水濃度の塩水に入れてたのだけど、一晩たって朝みたら、もう動かなくなっていた。なんだか申し訳ない気分になった。


そんなわけで、一日のうちに幾つもの楽しみを体験した日曜日。もちろん最後の楽しみはほろ酔い状態で夜の眠りについたことでございます。これぞシアワセな日曜日と呼んでいい気がする。服部ちゃん、ごちそうさまでした〜!


はじめてのケニア料理【おうちごはん】


GWが文字通り黄金だった人もいぶし銀だった人も、はたまた私みたいにごく日常的だった人にとっても、ついぞ大型連休は終わりを告げる。皆さん、いかがお過ごしでしたか?私はと言えば、ほとんどの時間を父と母と過ごして雑事をこなし、間に仕事のロケハンと少しばかりの校正チェック作業をはさんでいたら、連休なんてあっという間に過ぎてしまった。せっかくお誘いいただいた、カラーアナリスト由美子さん宅のガーデンバーベキューやら、広告デザイン会社社長の岡田クン宅のパーティーやら、グラフィックデザイナー上田さん作のお茶碗でいただく津島のお茶会やらには、結局うかがうことができなかった。お誘いくださった皆々様、懲りずにまた遊んでくださいね。


身内との時間だけで黄金週間が去ろうとする最後の2日間は、これまた身内の姪っ子&甥っ子&姪っ子友人と卓を囲むことになった。姪っ子アユミの友人ケリーがコロラドからわざわざアユミに会うためだけに3度のトランジットの果ての名古屋にやって来たのだ。アメリカのウィノナ出身であるケリーは、海のない所で生まれ育ったため、小さい時から魚を口にした経験がない。ツナ缶でさえ拒否反応だと言う。野菜もごく一部しか食べられない。彼女の来日前から、姪っ子アユミは「ケリーに何を食べてもらったらいいかなぁ」とかなり悩んでいた。はじめて日本にやってきた外国人にはベタかもしれないけど、スシ、テンプラ、スキヤキ、シャブシャブ、サシミといったラインナップをやっぱり食べて欲しいじゃありませんか。しかし、今なら旬の桜海老やホタルイカのサシミ、白魚や頭のついた鮎の稚魚のテンプラなんてケリーにとってはとんでもなくアンビリバボーなのである。実際、スーパーマーケットに連れていき、魚売り場の前を通った時、ゆでタコやら生の海老(生なので殻が茶色のもの)を見て、オェ〜っとしていたらしいのだ。言ってみれば、私とは違った意味での正真正銘!肉食女子である(爆)。


で、結局どうなったかというと、アユミとケリーが我が家で私に料理を作ってくれるという顛末になった。ケニアの料理だという。アユミがアメリカ留学時に、ケリーと親友になり、共通の友人であるケニアの学生からケニア料理をたくさん教えてもらったのだとか。ケニアはおろか、アフリカの料理を食べたことがない私にどうしてもケニア料理を食べさせたいと作ってくれることになったのだ。


彼女たちが作ってくれたのがこのメニュー。
左からチャパティー、トマトとタマゴとタマネギの炒め物、ほうれん草とタマゴとタマネギの炒め物、トマト&ニンニクジュースでマリネした牛肉焼き。好きな具をチャパティーに巻いて食べるといったメニューで、どれも同じような食材を使っている割にはそれぞれに違った味になっていて、とってもおいしかった。味付けは塩だけだとのことで、かえってそれが素材の味を引き立たせているのかもしれない。インドで食べられているチャパティーがアフリカでも普通に食べられているなんて驚きだし、トマトとタマゴの炒め物は中華にもあるメニューなのでこれまた驚いたけど、結局すべての食は国境や海を超えてつながっているわけなんですね。特にチャパティーはとってもお気に入りになったので、作り方をちゃんと教えてもらおっと。今度、またまた食の実験でチャパティーパーティーしたいと思っている。



この翌日には、ジャパニーズバーベキュー「焼き肉」のお店へ。日本で食べた食事で何が気に入ったかをケリーに聞いたところ、「しゃぶしゃぶ」がベストでポン酢もお気に入りになったと教えてくれた。鍋を真ん中にして皆で卓を囲むスタイルが気に入ったとのことだったので、それなら日本の若者のごちそうである焼き肉に行こうということになったのだ。
ケリーに会うまでは、ノーテンキなイメージが強いアメリカの若者(大変失礼な表現ですみません)を想像していたけれど、実際に会ってお話した印象は、知的で言葉数が少なくシャイな22歳の女性だった。どちらかというとアメリカ人というよりイギリス人っぽい。一方、姪っ子アユミは幼少〜小学校をバルセロナとロンドンで過ごし、特にロンドンでは人種差別を受けて悲しい思いをした経験があるからか、極めて内弁慶な性格になった。当初はアメリカ留学にも消極的だったほどだ。そんなアユミがアメリカで得た友情は、シャイな感情がベースにあったのかもしれない。


アユミの大切なお友達であるケリーに私がプレゼントしたのはコチラ。「けりぃ」という名前と桜の花をモチーフにした「手作りはんこ」。もちろん作り手は「月のののうさ」のミカコどんである。ケリーは最後に私と別れる時、あのスタンプをいっぱいいっぱいいろんな所に押しまくりますね、本当にいろいろとありがとうと、とても恥ずかしそうにお礼を言ってくれた。たった2晩触れ合っただけだけど、いつでもどんな人とでも、別れ際というのは寂しくてせつない瞬間である。


肉食女子の丹波しし鍋【おうちごはん】


これは、丹波栗を食べて育った美味しい肉質のイノシシ肉の写真でございます。ジビエの季節に必ず催す我が家恒例の「丹波しし鍋会」でございます。むふっ。

このしし鍋との出逢いは今から9年前で、兵庫県丹波篠山市を旅した時のことだった。昼食をとろうとお店を探すが、街にはしし鍋屋さんしか見当たらない。しし鍋にいい思い出のない私は、"しぶしぶ"テキトーにお店に入った。
ところが・・・そこで供されたしし鍋にびっくり仰天したのである。なに!このお肉!なに!この脂!と感嘆の声をあげつつ、ぺろっとお鍋いっぱいたいらげてしまった。それから約5年。そのしし鍋を食べるためだけに、真冬の丹波篠山を訪ねるようになった。何年か通ううちに、料亭の女将さんからなにげな〜く味噌の作り方を聞き出し、なにげな〜く取り寄せできるしし肉屋さんを教えてもらった。そう、無謀にもこのお鍋を自宅で食べる方法を画策したのである。


丹波からしし肉を取り寄せ、三日三晩お味噌を練り合わせ、自分でしし鍋を作るようになって今年で何年目だろう。とにかくいろんな所で「美味しいしし鍋があるのよ〜」と吹聴し、今年もほぼ強引に皆さんをお誘いし、丹波しし鍋パーティーを催したというわけだ。


これは第一回目の時のメンバー。左から、フランス料理のヴァンセットの青木シェフ、秀代ママ、娘のかほちゃん。一番右は、代表取締役鮎焼職人、日本一の鮎を焼く川原町泉屋の泉さん。写真には映っていないけど、お店の営業があるため途中で帰ってしまったご近所のスペイン料理、ラ・フエンテの山内シェフも来てくださった。お料理のプロばっかりこんなに集めて、自宅で素人料理を出すなんていい度胸!って思われるでしょう?確かにそうなんですが、その心配など一気にふっとんでしまうほど、丹波のしし肉は美味しいんでございます。この日もプロの皆さんが美味い美味いと喜んで食べてくださった。写真は食べ終わった後、いい感じで出来上がっている様子。


この日にみんなで飲んだお酒たち。翌日空瓶を片付けていて、そのあまりの瓶の多さに自分でもびっくり。ついつい記念撮影しちゃいました。
我が家でしこたま食べて飲んだ後に、山内シェフのお店で再び飲み、さらにその後シャンパンを飲みに別のバーへ移動した。飲みすぎだっちゅうの、ホントに。


この丹波しし肉の何が美味しいって、脂なんです。ねっとりした脂が長い時間特製味噌で煮込むことでバターのような香りと共に奥深い甘みとなる。それが熟成したシャルドネとよく合うんですよ。山内シェフによると"シェリー"がピッタリくるんじゃない?とのことなので、また来シーズンの楽しみが増えてしまった。それにしても、やっぱりお肉の究極の旨味は脂にあるんですね〜。これに丹波の山の芋やにんじん、かぶ、ネギなどの根菜をいただき、最後にどろどろになった味噌で太めのおうどんを煮て、上から山椒をふりかけていただくと、これまた絶品。こうして書いているだけで生唾ものでございます。


これが第二回目。実はこの日は「ジョシがシシを喰らう会」という名目で、りっちゃん+千佳ちゃん+有紀ちゃん+ワタクシの女子4人でシシを喰らうはずだったのが、千佳ちゃん&有紀ちゃんに不慮の出来事があり残念ながら不参加となったため、夜6時過ぎから慌ててお誘いしたにも関わらず、この面々が駆けつけてくださった。左から岡本女史、美紀おねえさま、そしてホスト役の甥っこノゾム。一番右は当初から"喰らう"メンバーのりっちゃん。おかげさまで丹波のしし君も成仏できたでしょうね。お越しくださり、ありがとうございました。千佳ちゃん&有紀ちゃん、この続きは来シーズンまでお預けよ。
というわけで、草食男子をよそに、肉食女子としてこれからもお肉を喰らって生きてゆきたいと改めて思う、パワーみなぎる春なのだ。なのだったらなのなのだ。