LARMES Column

手ぬぐいフェチ【暮らしの発見】


やっと初夏の気配になってきた今日この頃。我が家では手ぬぐいがあちこちに登場している。昔から手ぬぐいの独特のシャリ感と肌触り、モダンなデザインや古典柄に惹かれていて、毎年この季節になると新しい手ぬぐいを購入するのが楽しみになっている。それでもって今年のヒットは↑すいか柄。代官山にあるわたくしイチ押しの手ぬぐい屋さん"かまわぬ"(名古屋ではJR高島屋にもショップがあります)の物。かわい〜でしょ〜!?


手ぬぐいは、ハンカチやタオル、テーブルクロスに、おもてなしの時のナプキン代わりに、贈り物のラッピングに、もちろんプレゼントとしても重宝する。鞄の中に一枚入れておくと、なにかと便利なグッズにもなる。肌寒い時に首に巻けば温かみになるし、逆に暑くて仕方ない時も首に巻いて汗を吸わせると避暑グッズになり、日射病から身体を守ることができる。水でじゃぶじゃぶと手洗いすればほんの30分ほどで乾いてしまうし、とにかく便利な逸品なのだ。


これは京都の永楽屋のもので、芸妓さんたちがボートを漕いでいる絵。タイトルは「おきばりやす」。

これは京都の永楽屋のもので、芸妓さんたちがボートを漕いでいる絵。タイトルは「おきばりやす」。

これは友人カメラマンなぎさが金沢のお土産にくれた原稿用紙柄!

これは友人カメラマンなぎさが金沢のお土産にくれた原稿用紙柄!

こちらも永楽屋で猫と鈴。

こちらも永楽屋で猫と鈴。


というわけで、我が家には使用中手ぬぐいがわんさか。未使用手ぬぐいもたくさんストックしてあるのだ。たくさん使って色も落ち、へたってきた手ぬぐいは肌にやさしくやわらかくなっているので、洗顔の後のタオル代わりにオススメだ。最後の最後は雑巾になるのだから、エコな品物である。最近は柄が豊富になっているので、外国人へのお土産にも好評。なんてったって日本が誇る伝統品ですからね。型を使って生地を一枚一枚染めていく作業は今も職人の手仕事によっている。海外に行く時には、新品をお土産用に、使用中を鞄に入れて出掛けるようにしている。


それでもって先日の使用例がこちら。スイカのシャーベットを作ったので、お客様にお出しする時のトレイの中敷き代わりにスイカ柄の手ぬぐいを敷いてみた。「さぁてこれは何のシャーベットでしょう?」とクイズを出すと、この日我が家にいらした福岡由美さん、中橋かおりさん、川本えこさんの話し手女子チームからは「トマト!」「シナモン入りのなにかフルーツ!」と様々な発想が。答え合わせをした後で、目の前の手ぬぐいにヒントがあるのに〜!と大笑いになった。こんな風にして食卓の話題にもなるのが手ぬぐいの楽しいところである。このスイカ柄も、多分再来年くらいになると赤い果肉がやわらかなピンク色になり、洗顔後のスッピンをやさしく拭きあげてくれることだろう。


アサリあさりでシアワセ日曜日【おうちごはん】


ここのところ日曜日がとても充実している。先週は豊橋へワンディトリップ。そして今週は惰眠をむさぼった後に東山植物園へと向かった。緑少ない名古屋でかなり貴重な植物と野鳥の園となっている東山植物園。私はここを勝手に「ワタクシの庭」と呼ばせていただいている。何を隠そう「東山動植物園の定期観覧券」の持ち主なのである、えへん。(東山動物園と植物園の一年間フリーパスのことで年間2,000円を支払えば誰でも購入できる。東山動植物園の入場料は一回500円なので、卑しい計算をするなら、一年に4回以上行けば元は取れるというわけ)広大な敷地には7,000種の植物があり、重要文化財の温室や白川郷合掌造のある日本庭園、散歩道なども整備されている。


バラ園がバージョンアップされていたので、麗しきマダムたちに混じって私も鑑賞してきた。人名がタイトルになったバラをのぞいていたら、カトリーヌドヌーブやダイアナ元皇太子妃といった著名人がずらり。その中で気になったのが、←こちらの「ヨハンシュトラウス」。クラシックに大して明るくないくせにヨハンシュトラウスのワルツは大好きなので、美しく青きドナウをハミングしながら優雅なバラの姿にうっとりしていた。


名も知らぬ可憐な花

名も知らぬ可憐な花

大好きなあやめ

大好きなあやめ

白川郷合掌造を移築した庭園

白川郷合掌造を移築した庭園


汗水流し、時に涙も流し、懸命にお仕事をして、その僅かなギャランティの一部を税金として納めているけれど、こういう貴重な自然空間を守り育てることにその税金を使っていただけるのなら、これからも僅かなギャランティのごく僅かな税金をどんどん徴収していただいてもいい!と思う。東山植物園さま、これからも「ワタクシの庭」をどうぞよろしくお手入れしてくださいませね。


夕方からは名古屋駅で映画をむさぼり観て、さぁてこれから何を食べようかなぁ〜と考えていたらケータイが鳴った。ヘアメイクの服部小百合嬢からである。開口一番「アサリ食べませんか〜?」ダンナのつよぽんと一緒に知多まで潮干狩りに行った服部ちゃんは、大漁のアサリを持って名古屋に戻って来たらしい。


というわけで、キロ単位のアサリをお裾分けしていただいた。
わ〜い♬♥
知多のアサリは身が厚くて美味しいんだ〜い。
早速アサリくんたちの砂抜き開始!


アサリオンパレードのメニューは ←アサリご飯に、アサリの酒蒸し、アサリの出汁で炊いたお豆腐、アサリのお味噌汁!!!
ご飯の写真は撮ったけど、他のメニューは撮り忘れて、
むさぼり食べてしまいました。


これは、アサリにくっついて来てしまったカニの赤ちゃん。隣のアサリと大きさを比較すると小ささがわかりますよね?小さいものはなんでもきゃ〜わいい〜のだ。ボウルの中をくるくると動き回る。餌がないからボウルで生きるのは難しいよね〜と思いつつも、アサリの砂抜きと同じように海水濃度の塩水に入れてたのだけど、一晩たって朝みたら、もう動かなくなっていた。なんだか申し訳ない気分になった。


そんなわけで、一日のうちに幾つもの楽しみを体験した日曜日。もちろん最後の楽しみはほろ酔い状態で夜の眠りについたことでございます。これぞシアワセな日曜日と呼んでいい気がする。服部ちゃん、ごちそうさまでした〜!


信州への憧憬【徒然なるお仕事】


新緑あざやかな軽井沢へ取材に行ってきた。朝7時にロケ車は名古屋・栄を出発し、約4時間で軽井沢に到着。ぶり返した寒さは軽井沢も同じだったので、寒がりの私はホッカイロを背中に貼って車を降りた。すると気温とは裏腹に、景色はすっかり信州の春。青空と新緑のコントラストが目に眩しく、清々しい空気を吸い込むと、身体の淀みが流されたような気分になるのは私だけでしょか?と思っていたら、エディターのN氏が「やっぱ信州ってええですねぇ。信州の景色を見ると思わず住みたくなるやないですか」と関西弁でつぶやいた。やっぱり誰でもこの圧倒的な自然を前に、心洗われる気持ちになるんだな。


今回はとあるガーデナーの取材で、その彼が作った美術館の庭にて撮影とインタビューがおこなわれた。その土地に根ざした自然の植生を基本に庭を作るその人はイギリス人。シャイな人なのでは?という予想とは違ってとても親しみやすく、独特の自然感と庭づくりの考え方が面白くて、ぐいぐいと話に引き込まれてしまった。インタビューしたというよりも彼の話を聞きにいったという感じ。滞りなく撮影も終わり、時計を見たら終了予定時刻より随分早い。取材に同行していただいたクライアントのMさんと「楽しかったですね〜」と盛り上がることしきり。楽しかった〜と言える取材って意外に少ないものなのですよ。


育成中の庭、ほんの一部

育成中の庭、ほんの一部

てんとう虫を発見

てんとう虫を発見

同じくてんとう虫にコーフンして撮影するエディターN氏は、なぜだか坊ちゃん刈りになっていた

同じくてんとう虫にコーフンして撮影するエディターN氏は、なぜだか坊ちゃん刈りになっていた

これはオヤマボクチ。
昔、お蕎麦のつなぎとして使われていたもので、
話には聞いたことがあるけど、実物を見たのははじめて。
木曽福島に、オヤマボクチを使った蕎麦のお店があったな〜。


これもそのお庭で見つけた春。
こごみ、ですね。
てんぷらにすると美味しい、あれです。
名古屋あたりじゃもう"名残"だけど、
軽井沢では"走り"なんですね〜。


普段コンクリートに囲まれているからか、信州に行くと特別な空気感を感じてしまう。とりわけ"軽井沢"の響きには、皇室の恋が実ったという両親の青春時代の擦り込みがあるからだろう、無条件に憧憬の念を抱くのだ。オヤマボクチだって、こごみだって、てんとう虫さえも、"高尚"な植物や"数奇"な虫に見えてくるから不思議である。


これは夕暮れ時に名古屋に戻ってきた時の一枚。左に見えるタワーが、庄内川沿いに建つ積水ハウスの超高層マンション。名古屋高速に入り、右手に名駅のビル群、左手にこの高層マンションが見えてくると、あぁ〜帰ってきたんだな〜といつも安心する。軽井沢の特別な空気感にわくわくしつつも、やっぱりホーム・スウィート・ホームというわけで、慣れ親しんだ街が一番の落ち着きどころなんですね。
この日のロケ車はアルファード。座り心地の良さ、車内の広さ、静かさにはびっくり。おまけに運転はプロのドライバーさんだったので、とってもお上手な運転に安心しきって、行きも帰りも熟睡しちゃいました。ご手配くださったOさん、ありがとうございました〜。


駅に本棚!【今日のエコ】

夏が来れば思い出す遥かな尾瀬〜遠い空♬と謳われた尾瀬ではなくて、私が連休の間にロケハンで訪れたのは岐阜県関市の小瀬。私が周りの人に「オゼに行く」と話すと、ほとんどの人が尾瀬だと思ったらしく「遠い所まで日帰りなんて大変だね〜」と言う。「いえいえ岐阜の小瀬ですよ、鵜飼やるところね」と言っても、相手はますます怪訝な顔をする。名古屋からなら小瀬の方が近いのに、意外に知られていないんですね。発音がまったく一緒で2つの別の土地名なら、推理小説に登場させるといいんじゃないですかね〜?松本清張の「砂の器」じゃないけれど、犯人を追う刑事が小瀬を尾瀬と間違えて、わざわざ遠方の尾瀬に捜査に行ってしまい、事件が迷宮入りしかけてわからなくなってしまう・・・みたいな。ふふん。
念のためご説明申し上げると、"夏の思い出"で謳われて一躍有名になった尾瀬は福島・新潟・栃木・群馬の4県にまたがる高原のこと。小瀬は岐阜県関市の長良川沿いの街で、岐阜市の長良川鵜飼と同じように、春から夏の間は鵜飼が行われている。


駅員さんと思われる女性

駅員さんと思われる女性

近づいて来たら妙にコーフン

近づいて来たら妙にコーフン

真っ赤な車体が可愛かったです!

真っ赤な車体が可愛かったです!


ディレクターS氏、カメラマンM氏と待ち合わせしたのが「長良川鉄道の関駅」だった。約束時間より随分早くついてしまった私は、駅員さんらしき女性のいぶかしげな眼差しを感じながら、推理小説にこの駅がどうからんでくるかを妄想しつつ、しばし駅の構内を散策。すると一時間に一本ペースでやってくる電車がホームにすべりこんで来た。一時間に一本と聞くと、電車を待ち受ける方もなぜだか浮き浮きするモンですね。思わずカメラでぱちり。遅咲き桜の花びらが舞う中、真っ赤な電車は木造の駅舎にとてもよく映えていた。


そして駅舎の待合室で見つけたのがコレです。
奥に見える本棚。
これは駅を利用する人のために、
住民によって持ち寄られた駅併設の「図書館」なのだ。
後ろ姿の旅人もイイ感じですね。


本棚の上にはこんな張り紙が。
駅利用者のために好意で持ち寄られた本なので、
どうぞお楽しみください、ただし持ち帰りはご遠慮ください、
という内容。


こ〜ゆ〜の、いいと思いませんか?都会の駅にあったら、持ち帰ってしまう人がいたり、落書きされたり、しちゃうんでしょかね、やっぱり。でも人の善意ってそう簡単には踏みにじれるものではない。新刊本ではなく、人の手を渡ってきた物がそこにある方が、持ち主のココロを裏切れなくなり、お行儀よくなるのではないかしら?そう!そこに愛があれば、罪なことなど起きないのですよ、きっと。と、珍しくハリウッド的発想でコスモポリタンな発言をしてしまった。素朴なイイ味を出してる木造の関駅と本棚、その平和な空気感にすっかり毒気を抜かれたみたいだ。


はじめてのケニア料理【おうちごはん】


GWが文字通り黄金だった人もいぶし銀だった人も、はたまた私みたいにごく日常的だった人にとっても、ついぞ大型連休は終わりを告げる。皆さん、いかがお過ごしでしたか?私はと言えば、ほとんどの時間を父と母と過ごして雑事をこなし、間に仕事のロケハンと少しばかりの校正チェック作業をはさんでいたら、連休なんてあっという間に過ぎてしまった。せっかくお誘いいただいた、カラーアナリスト由美子さん宅のガーデンバーベキューやら、広告デザイン会社社長の岡田クン宅のパーティーやら、グラフィックデザイナー上田さん作のお茶碗でいただく津島のお茶会やらには、結局うかがうことができなかった。お誘いくださった皆々様、懲りずにまた遊んでくださいね。


身内との時間だけで黄金週間が去ろうとする最後の2日間は、これまた身内の姪っ子&甥っ子&姪っ子友人と卓を囲むことになった。姪っ子アユミの友人ケリーがコロラドからわざわざアユミに会うためだけに3度のトランジットの果ての名古屋にやって来たのだ。アメリカのウィノナ出身であるケリーは、海のない所で生まれ育ったため、小さい時から魚を口にした経験がない。ツナ缶でさえ拒否反応だと言う。野菜もごく一部しか食べられない。彼女の来日前から、姪っ子アユミは「ケリーに何を食べてもらったらいいかなぁ」とかなり悩んでいた。はじめて日本にやってきた外国人にはベタかもしれないけど、スシ、テンプラ、スキヤキ、シャブシャブ、サシミといったラインナップをやっぱり食べて欲しいじゃありませんか。しかし、今なら旬の桜海老やホタルイカのサシミ、白魚や頭のついた鮎の稚魚のテンプラなんてケリーにとってはとんでもなくアンビリバボーなのである。実際、スーパーマーケットに連れていき、魚売り場の前を通った時、ゆでタコやら生の海老(生なので殻が茶色のもの)を見て、オェ〜っとしていたらしいのだ。言ってみれば、私とは違った意味での正真正銘!肉食女子である(爆)。


で、結局どうなったかというと、アユミとケリーが我が家で私に料理を作ってくれるという顛末になった。ケニアの料理だという。アユミがアメリカ留学時に、ケリーと親友になり、共通の友人であるケニアの学生からケニア料理をたくさん教えてもらったのだとか。ケニアはおろか、アフリカの料理を食べたことがない私にどうしてもケニア料理を食べさせたいと作ってくれることになったのだ。


彼女たちが作ってくれたのがこのメニュー。
左からチャパティー、トマトとタマゴとタマネギの炒め物、ほうれん草とタマゴとタマネギの炒め物、トマト&ニンニクジュースでマリネした牛肉焼き。好きな具をチャパティーに巻いて食べるといったメニューで、どれも同じような食材を使っている割にはそれぞれに違った味になっていて、とってもおいしかった。味付けは塩だけだとのことで、かえってそれが素材の味を引き立たせているのかもしれない。インドで食べられているチャパティーがアフリカでも普通に食べられているなんて驚きだし、トマトとタマゴの炒め物は中華にもあるメニューなのでこれまた驚いたけど、結局すべての食は国境や海を超えてつながっているわけなんですね。特にチャパティーはとってもお気に入りになったので、作り方をちゃんと教えてもらおっと。今度、またまた食の実験でチャパティーパーティーしたいと思っている。



この翌日には、ジャパニーズバーベキュー「焼き肉」のお店へ。日本で食べた食事で何が気に入ったかをケリーに聞いたところ、「しゃぶしゃぶ」がベストでポン酢もお気に入りになったと教えてくれた。鍋を真ん中にして皆で卓を囲むスタイルが気に入ったとのことだったので、それなら日本の若者のごちそうである焼き肉に行こうということになったのだ。
ケリーに会うまでは、ノーテンキなイメージが強いアメリカの若者(大変失礼な表現ですみません)を想像していたけれど、実際に会ってお話した印象は、知的で言葉数が少なくシャイな22歳の女性だった。どちらかというとアメリカ人というよりイギリス人っぽい。一方、姪っ子アユミは幼少〜小学校をバルセロナとロンドンで過ごし、特にロンドンでは人種差別を受けて悲しい思いをした経験があるからか、極めて内弁慶な性格になった。当初はアメリカ留学にも消極的だったほどだ。そんなアユミがアメリカで得た友情は、シャイな感情がベースにあったのかもしれない。


アユミの大切なお友達であるケリーに私がプレゼントしたのはコチラ。「けりぃ」という名前と桜の花をモチーフにした「手作りはんこ」。もちろん作り手は「月のののうさ」のミカコどんである。ケリーは最後に私と別れる時、あのスタンプをいっぱいいっぱいいろんな所に押しまくりますね、本当にいろいろとありがとうと、とても恥ずかしそうにお礼を言ってくれた。たった2晩触れ合っただけだけど、いつでもどんな人とでも、別れ際というのは寂しくてせつない瞬間である。


グラノラシェイクで朝食【一杯の幸せ】


四月とは思えないほどの寒さが続いたかと思ったら、今月に入って突然の真夏日が続き、気候に身体を合わせていくのが難しいと思う今日この頃。気候のせいか、年齢のせいか、はたまた体調のせいか、ここのところお酒をいただくと調子を崩すことがちょくちょく起きている。外でお食事とお酒をいただいていると、突然ふらっと貧血っぽい雰囲気になるので、慌ててタクって帰宅する、というパターンが数回続いた。


広告代理店R-martを主宰する、
我らが「りっちゃん」のお誕生日パーティーの時も、
盛り上がりの最中に失礼するという失態をやらかしてしまった!
あの時はごめんね、りっちゃん。


帰宅してからたっぷりお茶を飲み、一晩寝ればけろっと治ってしまうので、心配するほどのことではないけど、そんな風に迎えた朝はさすがの私も食欲がない。ちなみにいつもは、ご飯または冷凍してあるおにぎり・お味噌汁・前夜の残り物系おかずという典型的な日本の朝ご飯に、絞りたてフルーツ&ベジタブルジュースを食している。この絞りたてジュースのことは以前のコラムに書いたので、よろしかったら見てやってください。


というわけで、貧血の翌朝はジュースだけの朝食がちょうどカラダにやさしい感じがする。ニンジン・トマト・オレンジを定番に、キウイやバナナ、はっさくなどのフルーツをブレンドするのが毎朝の楽しみになっていた。とはいえ、人間は贅沢なもので、ついつい「新しい味」を求めて、新素材にチャレンジしてみたくなるのだ。


それで私が挑戦したのが、先日フレーバーの岩田社長から教えていただいた新商品「マーナズ・グラノラ」である。これはシリアルをぎゅっと固めた感じ。噛み締めるほどに自然の甘みを味わえるビスケットで、もちろんそのまま食べて十分においしい。


これをばらばらに手で砕いてヨーグルトに入れたり、牛乳をかけたりして食べていた。この前ふと思いついて、牛乳200ccほど・バナナ一本・マーナズグラノラ2個をミキサーにかけてぐるぐる回したところ、こんなつぶつぶ感の残るシェイクが出来たのだ!グラノラの粒がどうしても下部に溜まってしまうので、ストローでかき混ぜながら飲まないといけないけど、コクも旨味もあって、バナナの甘みを損なうことなく、胃にやさしく満腹感も得られて、これひとつで十分な朝食になった。前の晩に食べ過ぎちゃった〜とか、イマイチ胃腸の調子が良くないのよね〜とか、私みたいに体調不良〜という時にピッタリ。あ、もちろん3時のおやつにもピッタリだと思う。


食の実験が趣味なので、マーナズ・グラノラのように応用性の高い食材は大好きだ。ついつい、いろいろ試したくなる。ま、もちろん大失敗だ〜と叫びたくなるほどの代物に仕上がってしまうこともよくあるんだけど。それでも、食のチャンレジャーは懲りることなく、これからも飽くなき実験を続けるのだ〜(バカボンパパ風に読んでください)。


赤堀登紅さんの夜桜会【伝統芸能の継承者たち】

昨年九月の「観月会」に引き続き、日舞赤堀流師範である赤堀登紅さんの「夜桜会」にお邪魔してきた。徳川園にある「蘇山荘」にて行われる会で、お庭の特設舞台で登紅さんが舞踊を披露してくださるのだ。友人ではあっても彼女の舞踊を観るチャンスはなかなかないので、私にとってはとても心待ちな定例会となっている。ワイン好きでもある登紅さんの周りには、やはりワイン好きのご友人がいっぱい。着いて早々にシャンパンをいただいていると、そこにボランジェ’03を持ったとある国のプリンスが。ボランジェをいただきたくて、最初のシャンパンを一気飲みしてしまったじゃありませんか。嗚呼なんてゲンキンな私・・・。こんな感じでお食事やワインと談笑を楽しんでいると、登紅さんの舞踊が始まるというので、グラスを持ったままお庭へと移動。あれ?さっきまでシャンパンをストローで飲んでいたけど、大丈夫かな(舞台化粧していらっしゃるのでストローで飲んでいらした)。ま、そのあたりはプロですからね、まったく問題ないのでしょう。


という私の思いはぴたりと合っていて、舞台に立った途端に周りの空気まで変えてしまう登紅さん。舞踊は「大和楽 花吹雪」。
登紅さんの「花吹雪」を観ていて、12〜13年ほど前に御園座で観た中村時蔵さんの「手習い子」を思い出してしまった(実は時蔵さんは一番好きな歌舞伎役者さんなのです)。「手習い子」は、少女がお稽古帰りに蝶とたわむれたりして遊ぶ様子を舞踊にしたもので、その当時40代だった時蔵さんは、どこからどう見ても十代の少女。そのあまりの可愛さに惚れ惚れしたのを覚えている。この夜の登紅さんもそうだった。30代の素敵なマダムである登紅さんの姿はどこにもなく、舞台の上には恋する少女が初々しく舞っていた。


どうですか、この姿。
ラインがとても美しいですよね。
いい姿〜。ほれぼれ〜。


合間をぬって登紅さんと記念撮影。
前回通り、ちゃんと床山さんによる鬘と
舞台化粧をほどこしたいでたちでございます。
お衣装にはちゃんと桜の花。素敵ですね〜。


フラッシュをたきたくなかったので、写真がこんなピンぼけでごめんなさい。2つ目の舞踊は「大和楽 鐘」は、安珍清姫伝説が題材の演目。そうそう、あの道成寺のお話ですね。最初の花吹雪とは真逆とも言える女性の情念を描いた舞踊である。初々しい少女は恋に身を焦がす情熱の女性へと早変わりしていた。どちらも女性の純粋さという意味では同じなのに見事に対照的となった2つの舞踊。まるで桜の咲き始めから散り際の美しさを見たようで、登紅さんの熟慮された選択はさすがでございました。腰をコンパスのポイントにして、上体と下肢が自由自在に描く美しいライン、こういう舞踊を見ると胸がスッキリする。それにしても、決して十分とは言えないこの広さの舞台では、おそらく身体の動きや振りを小さくまとめなくてはいけないだろうし、観る人の立ち位置はお庭やお座敷と視点がバラバラだったりするので、登紅さんもさぞ細かな配慮が要ったのではないかと拝察する。それでも、私のような素人にも舞踊っていいなぁと思わせてくださるのは、本当にさすが、ですね。先般のコラムに登場した挟土秀平さんの職人技に言葉をなくすほど感激した私が、今度は伝統芸能の世界でも精緻な技にふれることが出来た。長い時間をかけて培われた技やセンスって、本当に素晴らしいですね。四月の肌寒さから五月の爽やかさへと変化した気候同様、心も晴れやかになり、かくも嬉しい春の宵でありました。


メナードビレックでエステ体験【徒然なるお仕事】

我が家から徒歩たった数十秒の所に、日本メナード化粧品のエステサロン「メナードビレック」がある。白亜のビルはいかにも美肌の殿堂といった趣で、ここに車を横付けするマダムはさぞ"セレブ"な方々なんだろうなぁといつもセンボーのマナザシで眺めていたところ、なななんと、こちらのエステを体験させていただけるチャンスに恵まれたのである。メナードビレック広報の方に連絡をとると「コピーを書くのに必要でしたら体験してください」とのお言葉が。そんなチャンスをスルーするはずがなく、ホントは締め切りに追われる日々だったけど「うかがいますっっっ。日にちも時間もいつでも大丈夫です」と速攻でレスするワタクシ。


というわけで、期待で胸をいつもの2倍くらいに膨らませながらビレックへと向かった。館内を案内していただいた後、お肌の状態を知るためにカウンセリング、そしていよいよベテランのエステティシャンNさんによるフェイシャルエステを受けた。ビレックにはものすごい技術を持つエステティシャンがいて、その人のフェイスとボディの両方の施術を受けると、えも言われぬ気持ちよさに恍惚となるという都市伝説を聞いた事がある。Nさんがもしかしてその伝説の方かも!と思うほど、その施術は気持ちが良かった。何が気持ちよいって、指の腹がまるで白玉のようにやわらかく弾力があるのだ。エステティシャンは指先までお手入れしているとはよく聞く話だけど、Nさんの場合、お手入れ以前にもともと白玉指を持っていらっしゃる生まれながらにしてのエステティシャンなのだと思う。施術をしていただきながら、お肌の話、商品の特徴などをいろいろ教えていただいた。


メナードビレックにはスパもある。

メナードビレックにはスパもある。

Nさんがびっくり仰天するほど、野性的なお手入れをしてきた私。エステが終わりメイクをしようと、下地クリームを両手のひらにぐるぐると塗って顔に伸ばそうとしたその時、Nさんの悲鳴のような声が。「そんなこと毎日していらっしゃるんですか!ダメダメ!指に小豆大のクリームをとって、そっとやさしくお肌に伸ばさないと!」手のひらでぐるぐる伸ばしは繊細な肌が傷ついてしまうのだそうだ。そーなんだぁー、なるほど。さらにNさんのわかりやすい説明は続く。皮膚科学について徹底的に研究を重ねる化粧品メーカーならではのアドバイスに、いちいち納得しながら、自分の無知を恥じた。


エステとメイクが終わると、ケーキタイム。
数あるブランドの中から好きなティーカップ&ソーサーが選べる。
私は大好きなヘレンドをチョイスした。
(ヘレンドのディナープレートとクリストフルのカトラリーを持ってお嫁に行くのが未だに果たせていない夢なんですの)


取材であるにも関わらず、心地よい体験ですっかり"似非セレブ"になった私。優雅に紅茶を楽しんでいたら、その横を本物のセレブがっ。とあるクラブの小ママで、スッピンなのに実にお美しい。あの方も通うエステサロンだったんだ〜とセンボーのマナザシで館内を惜しむように眺めておいた。こんなサロン、価格が気になりますよね?価格表を見せていただいたけど、思ったよりも高くない。メンバー価格(メンバーになるには入会金と年会費が必要)なら、むしろ街場のエステサロンよりお値打ちかもしれない。ご興味がある方、とりあえずビジター価格でお試しされてはいかがでしょう?抜群の技術によるエステを受けながらメイクのいろいろ、教えていただけますわよ。
エステの効果については、なんと一週間後くらいにお肌の調子がめきめきと良くなっていった。皮膚が生まれ変わるタイミングがあるので、エステに行ったからといってすぐに調子が良くなるわけではない、ということはわかっていたけど、一週間後に効果があったってことは、ホントに肌の奥にNさんの施術が届いていたということですよね。ホントに貴重な体験でした。Sさん、ご手配くださり、ありがとうございましたっっっ!!!
そうそう、この日、エステが終わった時にNさんが「全身につけてみてくださ〜い」と渡してくれたのが、ボディクリーム。お肌に塗るとさらっとしていてほんのり良い香り、さらに女性ホルモンを活発にする成分が入っているとか。女性ホルモンがどんな風に活発化するのか、とっってもドキドキしながら一日を過ごしたけれど、一週間たっても二週間が過ぎてもうんともすんとも活発化してくれなかった。ボディクリームはつけ続けなければ効果がないみたいだ。


おうちごはん続きと猫続き【今日の地球】

我が家で開催したお誕生日会。  その時の前菜を春慶の信玄弁当箱に詰めました。

我が家で開催したお誕生日会。  その時の前菜を春慶の信玄弁当箱に詰めました。

姪っ子アユミの希望で翌週はチーズフォンデュ。チーズに合いそうな具材をいっぱい集めてみました。

姪っ子アユミの希望で翌週はチーズフォンデュ。チーズに合いそうな具材をいっぱい集めてみました。

これはお花見弁当。と言っても残り物を詰めただけのボックスと   やわらかタマゴのサンドイッチ!

これはお花見弁当。と言っても残り物を詰めただけのボックスと   やわらかタマゴのサンドイッチ!


というわけで、ここのところ「みんなと一緒におうちごはん」が続いている。先週は我が家でとある人のサプライズお誕生日会。その翌週は、この4月から名古屋の院生となった姪っ子アユミの希望によりチーズフォンデュ。バゲットだけではつまんないなぁと思って、チーズに合いそうな物をいろいろ集めてみた。銀鮭、ウィンナー、さつまいも、スナップえんどうなどなど、どれもなかなかオツな味になったけど、食べ比べてみるとやっぱりバゲットに軍配があがる。
翌日の日曜には、藤のお花見に出掛けようと思いつき、おかずをボックスに詰め込んで、やわらかタマゴのオープンサンドイッチ、スパークリングワインと丈夫なグラスを自転車の籠に入れて、名城公園までサイクリング♬


西からのあたたかな日差しを背中に受けながら、藤にカンパ〜イ。
お日様があるうちにワインをいただくのって、
なんだか能天気でシアワセな気分ですな。
名城公園は藤の花が咲き始めたところで、
白と紫のコントラストが美しいのです。


手前が白カピタン、奥が紫カピタン

手前が白カピタン、奥が紫カピタン

藤棚越しの名古屋城

藤棚越しの名古屋城

遅咲きの桜にも出逢えた!

遅咲きの桜にも出逢えた!


キャッチボールしているお父さんと子供、オペラ?を歌いながらウォーキングしている人、私が食べてるお弁当をおいしそうやね〜とのぞきこむ人。日曜夕方の名城公園にはいろんな人がいる。のどか、である。平和、である。トーキョーやキョウト、ロンドン、パリなどの都市と比べて、名古屋は緑が極めて少ない街だけど、お城の周りには季節の花と樹木がいっぱいあり、個人的には大好きな空間で時々自転車を飛ばして遊びに来ている。たとえイヤなことがあってめげていても、期待して行ったレストランがアンビリバボーなまずさだったとしても、挙動不審な政権に先行き不安感が高まっていても、ここに来てのんびりすれば、いつものどかで平和な気持ちになれるのだ。


そうそう、名城公園には猫がたくさんいて、
この黒猫ちゃんともお話して楽しんだ。
久しぶりに猫語を使うと、
(実は私は猫語が話せるのである)
その日は猫によく会うことになる、というのがジンクスで。


帰る途中も公園にいる猫がぞろぞろと私について来ていた。
マンション近くでは、いつも会うこの猫ちゃんとバッタリ。
勝手にミコちゃんと呼んでいるこの猫。
この日はイマイチご機嫌ナナメだった。


そして翌日。我が家のお隣、由美さん宅のベランダから猫の鳴き声と鈴の音が聞こえてきた。これは2年前に亡くなった由美さんの愛猫・ハマー君の声で、ハマー君が亡くなってからカレの鳴き声を聞くのはこれで3 回目である。一度目は亡くなって一ヶ月ほど経った頃、私はハマー君が亡くなったことを知らずに、ベランダに閉め出されたと勘違いして「閉め出されてるみたいよ」と電話すると、受話器の向こうで絶句している由美さん。ハマーは一ヶ月前に亡くなったと教えてもらった時はさすがに鳥肌がたった。2度目は一年前。ハマー君命日の前日に、同じくベランダから鳴き声と鈴の音が。その少し前に新しい家族としてお隣にやって来たアッシュ君かと思ったが、念のためにメールすると、「明日が命日なんですっっっ!」と再び絶句する由美さん。そして3回目の今日はドンピシャ命日だった。こんなことってあるんですね。由美さんに電話して、今日が命日だったことを教えてもらった時、なんだか嬉しくてもらい泣きしてしまった。


そういえば2日前、我が家にやって来た甥っ子ノゾムに「最近はお隣さんの猫の声、聞こえないの?」と聞かれて「最近は聞こえてないなぁ」と答えたばっかりだった。日曜にたくさんの猫と遊び、少しずつ猫の世界に近づいていたんだろうか。それとも、自然に囲まれて過ごすと、どろどろした現実世界から少し浄化されたピュアな世界へと移動できるんだろうか。春の風がやさしい花の香りを運ぶように、どこからか聞こえて来た甘えるようなハマー君の声。決して霊感が強いとは言えない私に3度も聞こえたということ。これが意味することって何だろう。春の風、花、猫、このキーワードから何が解き明かせるのだろう。天上のハマー君、教えてください。


1Q84 BOOK3 村上春樹【読書する贅沢】

もう10日ほど前のことだけど、出ましたね、BOOK3。今回は品切れ状態ということのないようかなりの部数を出版したからか、前回の時のような"騒ぎ"にはなっていなくてなんとなくホッとした。ある意味で難解な小説とも言える1Q84が驚愕的な話題になっていて、なにかしら不安定な懸念を抱いていたのは私だけではないと思う。


仕事が暇なのをいいことに(泣)、後半はどんどんと読み進み、ついぞ徹夜までしてしまった。朝になっちゃうよ〜と焦りながら読み終えたら5時だった。やれやれ、なにをやっているんだか。

おかげで朝方までのわずかな仮眠の夢は、特徴的な外見を持つ登場人物・牛河にそっくりだと密かに思っている知り合いの人が出て来てしまったではありませんか。できれば夢には出て来て欲しくないタイプの人だったので、一日ブルーな気分になっちゃった・・・とほほ。

ま、そんなくだらない私見は置いといて・・・ここでは読後の私見を。

ファンタジー、宗教、純愛など様々なテーマが見え隠れする前回までの流れと違って、牛河という新しいチャプターが追加され、物語はジェットコースターのようにスピーディーにしかし確実に真相へと近づいていく。前回私が感じた「根底にある喪失感」は、「未来への期待感」にとって代わり、美しい結末へと導いている。村上作品にしては珍しく?、私は清々しさを感じることができた。喪失感から期待感へと読者の気持ちを移動させるには、BOOK3出版半年後というタイムラグは、正解だったように思う。