読書する贅沢

1Q84 BOOK3 村上春樹【読書する贅沢】

もう10日ほど前のことだけど、出ましたね、BOOK3。今回は品切れ状態ということのないようかなりの部数を出版したからか、前回の時のような"騒ぎ"にはなっていなくてなんとなくホッとした。ある意味で難解な小説とも言える1Q84が驚愕的な話題になっていて、なにかしら不安定な懸念を抱いていたのは私だけではないと思う。


仕事が暇なのをいいことに(泣)、後半はどんどんと読み進み、ついぞ徹夜までしてしまった。朝になっちゃうよ〜と焦りながら読み終えたら5時だった。やれやれ、なにをやっているんだか。

おかげで朝方までのわずかな仮眠の夢は、特徴的な外見を持つ登場人物・牛河にそっくりだと密かに思っている知り合いの人が出て来てしまったではありませんか。できれば夢には出て来て欲しくないタイプの人だったので、一日ブルーな気分になっちゃった・・・とほほ。

ま、そんなくだらない私見は置いといて・・・ここでは読後の私見を。

ファンタジー、宗教、純愛など様々なテーマが見え隠れする前回までの流れと違って、牛河という新しいチャプターが追加され、物語はジェットコースターのようにスピーディーにしかし確実に真相へと近づいていく。前回私が感じた「根底にある喪失感」は、「未来への期待感」にとって代わり、美しい結末へと導いている。村上作品にしては珍しく?、私は清々しさを感じることができた。喪失感から期待感へと読者の気持ちを移動させるには、BOOK3出版半年後というタイムラグは、正解だったように思う。