伝統工芸の職人たち

NAGOYA DESIGN WEEK【伝統工芸の職人たち】

14水曜日から18日曜日まで名古屋市内で行われているNAGOYA DESIGN WEEK。デザインの視点でいろいろな実験や企みをおこなっているイベント、とでも表現すればいいだろうか。今年で5年目を迎えるイベントで、なんと市内100カ所でデキゴトがあると言う。
公私共に仲良くさせていただいているスタジオ・ワークの皆さんも、そのうちの1拠点としてデキゴトに参加されていて、その場所は我が家からすぐ近くのなじみ深いスタジオということもあり、昨日お邪魔してきた。


FINE TUNINGというタイトルで、愛知県の工芸品である和ろうそく・日本酒・糸をテーマに、写真とインテリア空間で構成したインスタレーションを、五感を使って鑑賞するというもの。


手前のスダレのように見えるのが「糸」。
その奥に、日本酒の原料のお米・山田錦の田んぼや、糸などの写真が飾られている。その写真がまたいい。具象なのに抽象で、まるで心象風景を映しているかのようだった。


こちらは岡崎の和ろうそくが灯された小部屋。
ゆらゆら揺れる和ろうそくの幻想的な風景に、
思わず床に座って鑑賞してしまった。
ちなみに写真はすべてワークの鈴木あつしさんに撮ってもらいました。
(あっくん、アナタの名前の漢字を忘れてしまいました、ごめんね)




たとえ私のちんけなデジカメでも、プロが撮るとこーなります。
やっぱ、かっこいい〜。


この展覧会は、残念ながら日曜日で終わってしまいます。
日本酒・義侠の純米酒の試飲もさせていただけるので、
是非お出かけくださいませ。
会場/CREATION Zag(東区東桜2-9-16レジデンス高岳)
時間/11h00〜18h00


新根津美術館、開館【伝統工芸の職人たち】

昨日10月7日に根津美術館が、3年半の休館を経て新創開館した。開館に先立ち、プレス対象の内覧会があったので、嬉々としてお邪魔してきた。根津美術館は東京で個人的にベスト3に入るミュージアム。財界人で茶人でもあった根津嘉一郎氏が、その趣味の良い目利きで収集した茶道具や陶磁器、漆工、染織、絵画などが多く収蔵されているのだ。伝統工芸の職人たちのさらに先人の作品がわんさかあるというわけ。都心の真ん中で、こんもりした森林を散策し、庭園を眺めながらゆったりできる優雅さもいい。


こちらが内覧会の招待状と写真。隈研吾氏による建築と、ドイツ人デザイナー、ペーターシュミット氏によるロゴマークは、ジャパニーズモダンそのものだ。この屋根瓦のかっこよさと言ったらどうでしょう!エントランスもすっきりデザインでかっこよかっった〜。


特別内覧会は、招待状を見ると午後12時30分スタート〜14時30分迄となっていた。お昼どきに招待されるのだから、もしかするとお食事つき???と卑しい想像が頭に浮かび、おなかをビミョーに空かしてうかがうと、さすがお見事、ちゃんと飲み物及びおいしい軽食が用意されていた。やった〜、やっぱり得した気分。ちなみに新根津美術館では、緑に囲まれたNEZU CAFEで喫茶や軽食も楽しめる。新創記念特別展第一部は「国宝那智瀧図と自然の造形」。私が一番好きな尾形光琳・燕子花図は、修復を経て、来年4月に公開される。これまた行かなくちゃ、ですね。
和の趣を基調に、日本庭園と一体化したデザインで、さらに素敵な美術館に生まれ変わった根津美術館。皆さま、是非ご高覧あれ。→ http://www.nezu-muse.or.jp


上田の姉弟職人【伝統工芸の職人たち】

昨日は滅多にしない朝5時起床で、信州・上田へ。
ここのところ、やたら信州づいている。
10日おきくらいに中央高速を走って信州と名古屋を行き来し、
あちこちのサービスエリアで休憩するので、
長野の特産品リストがすっかり頭の中に入ってしまった。

採れたばかりの新鮮野菜をはじめ、幻豚、おやきなど、
「昔は売ってなかったような」特産品が陳列してあるのを見ると、
サービスエリアが新たなマーケットになっているのを実感する。

この日は、「農家のドリンクヨーグルト」なるものを横目に見ながら、ぐっと我慢。
(おなかが痛くなると困るので)

10時半には目的地の上田市に到着した。
上田は紬の有名な産地で、今でも手織りにこだわる工房がある。

三代続く紬工房で、新しい上田紬の可能性にチャレンジする職人を訪ねた。
ここでは、姉と弟が次代の職人として奮闘しているのだ。
高齢のおばちゃん職人に混じり、
生き生きと体を動かし、美しい色の世界で糸を手繰り寄せる姿は、
誇りと自信に満ちあふれていた。

後継者がいないと嘆くことの多い着物制作の世界で、
祖母・父親と受け継いできた紬の仕事を次代に繋ごうとする職人の
意気込みがオーラとして出ていたんだと思う。

こだわればこだわるほど、
経済的には立ちゆかないことが多いのが伝統工芸や着物の世界。
本物の美しさを求めるなら、日本の素材で日本伝統の技術を用いるべきだが、
コストがかかりすぎるため、中国などで生産されてしまうこともある。
当然、安価にはなるが、仕上がりは期待できない。
このパラドックスを止めるには、どうしたらいいんだろう?

各地の美味しい名産品が
サービスエリアという新しいマーケットで人気になるように、
(あまりにも陳腐な例えで申し訳ないけれど)
日本の美の表現者たちが、もっと正当に評価され、
新しいマーケットが開かれて、
モノが売れ、長く愛されることをひたすら願う取材となった。

着物の世界だって、フェアトレードを考えるべき対象なんじゃないのかな。



須田菁華さん 九谷焼【伝統工芸の職人たち】

加賀百万石・前田藩のお膝元で花開いた武家文化。
陶芸では九谷焼がその代表で、金沢の近辺には多くの窯がある。

九谷を代表する陶芸家・須田菁華さんにお会いしたのは、
今から5年ほど前になる。

九谷五彩と呼ばれる色を操り、自由な形に特徴のある作家だ。

山代温泉の中心地に、須田さんの窯元はあり、
時代のかかった建物の中で、作品を見せていただいた。

掌に置いて眺めていると、
どことなく、ゆるい、という印象を受けた。

取材記事にも、素直にそう書いた。

怒られるかな?と思ったら、意外に校正は直しもなくすんなり終わった。
何も言われなかったところをみると、
須田さんご自身も、「ゆるさ」を認識されているのだろうか。

もちろん歪んでいるわけではないけど、
定規ではかったような几帳面なラインじゃない。
それが安心できるのだ。

きちっと型にはまったようにきれいに成形された器って、
食べていても緊張するんじゃないかな。

取材の帰り際「いつとは言えないけど、必ず買いに来ます!」と
申し出ると、須田さんはなんとも言えない静かな笑顔で、
「待っていますよ」と答えてくれた。

それから約4年後、友人おすすめの山代温泉に宿をとり、
(そこは大変良いお宿でした、後日アップします)
須田さんを訪ねることができた。
えへん、須田さんとの約束を果たしたのである。

写真は、その時に買ったもの。
わかります?
ね、ちょっとゆるい、でしょ?

上が銘々皿。
下が豆皿。

須田さんの器は、はっきりいってかなり高価だけれど、
「ゆるさ」のおかげなのか、
使っていると安心感があって、緊張することがない。

いろいろな方にお会いすることが日常のコピーライターにとって、
「今度はプライベートでお邪魔したい」と思える取材対象は、
貴重な存在だ。
出来ればそんな風に思える方ばかりを取材したい、と思う一方、
気に入った作家の作品は大体値段も良いので、お財布は苦しくなる。

「あ〜これでまたギャラ使っちゃった・・・」ということもしばしば。
ミイラ取りがミイラになってばかりいるので、
我ながら、まったく困ったものなのだ。



最終日の稲垣先生のお着物姿。2日目は痛恨の撮り忘れ。

1日目のお点前は松尾流の三宅宗完先生。別名・沈黙の貴公子。

2日目のお点前は表千家・志津直行さん。普段はメスを持っておられますが、この日は茶杓を。

3日目は表千家・高橋雅俊さん。袴がよくお似合いでご立派なお点前姿でした。

松風楼写のお席の会記

立礼席の会記

掛軸箪笥コーナー

エントランスすぐの工芸品を現代生活にとけこませた展示

エントランス近くの工芸プレゼンテーションコーナー