着物だいすき

のほほん茶会のお知らせ【着物だいすき】

4日から8日まで、西区の円頓寺商店街にて開催されている「名古屋下町散歩日和」。路上ライブや落語会、屋台が出たり、暮らしのためになるお話を聞く会、下町を歩くツアーなど、様々なイベントが企画されていて、お着物で訪ねるといろ〜んな特典があるという着物好きにはばっちりお得な内容である。その中のひとつ「のほほん茶会」は、明日と明後日、多賀宮境内にて催される。お抹茶(お菓子つき)が350円、お着物姿の方は250円で大サービスが受けられる。
私は明日と明後日の二日間、この「のほほん茶会」のお手伝いをすることになった。お点前とかお運びとか、もろもろを担当させていただく。着物姿で、というオーダーに、昨夜からどのお着物を着ていこうかなぁ〜と悩み中。動きやすくて気楽な小紋あたりにしようかしら。
みなさま、下町情緒を楽しみに、「名古屋下町散歩日和」に、ぜひぜひお出かけくださいませ。
円頓寺商店街●地下鉄桜通線「国際センタービル」下車、徒歩5分程度
のほほん茶会●商店街内の多賀宮境内(丸一ストアの横)11:00~17:00ごろ
詳しい情報は→那古野下町衆


九月の色【着物だいすき】

今月は、芸能に恵まれた一ヶ月だった。名古屋平成中村座〜法界坊〜にはじまり、西川流名古屋をどり、御園座の「細雪」、日本舞踊家・赤堀登紅さんの観月会、再び名古屋平成中村座の夜の部。いずれも素晴らしい舞台ばかりで、彩りの良い初秋の月となった。
こうした舞台に出掛ける時は、できる限り着物を着ていきたいと常々思っているものの、着物ルールから言うと九月は単衣。厳しい残暑の中、単衣でも汗びっしょりになるとすると、どうしても躊躇ってしまう。ルールも大切だけど、地球温暖化に合わせて、多少のルール違反は許してもらえないものでしょうか?
とは言うものの、有り難いことに今年の名古屋は意外に涼しかったので、難なく単衣が着られるという気軽さも手伝い、着物を三回ほど着ることができた。


白地に赤・紺の縞で、フランス国旗と同じ配色の単衣の着物を、
まだ残暑厳しい今月初旬に纏った。
父からかっぱらった?結城の紺色兵児帯を文庫風に結んでドレスダウン。(これも着物ルールではダメダメと言われるんでしょうね)
半襟に赤・白の市松模様を選び、九月初旬らしくすっきり系にまとめた。


これから秋が深まるといよいよ袷の季節。十月の歌舞伎にはどんな着物を着ていこうかしら?と思い悩むのも、楽しみのひとつである。以前、御園座のすぐ近くに住んでいた時は、顔見世のある十月になると粋な着物姿を毎日眺めることが楽しみだった。時々はっと振り返りたくなるような着こなしとセンスの人に出逢うことがある。一度なぞは、その見事なセンスの人を追いかけて、前姿をチェックしたことがあるほどだ(ご本人にしてみれば気持ちの悪い話ですよね)。その人は、秋の夕暮れを思わせる彩度の低いピンクの着物に、銀鼠地に柿が染めぬかれた帯をしめていた。帯締めと帯揚げが、濃い紫。夕暮れ色・銀鼠色・柿色・紫色の絶妙なコンビネーションに、思わず唸ってしまった。


こちらは去りゆく九月の夕空の写真。かの人の着物は、ちょうどこんな色のピンクだったな。一昨日の夕方、西側の部屋で仕事をしているといきなり空が赤くなった。こういう美しい西空に出逢うと、西陽の当たる暑い部屋でガマンしていて良かったと思えてくる。


こちらはS沢先生からいただいたホトトギスの鉢。九月のはじめから一本ずつ花が咲き、今日、最後の蕾のふくらみがはじけるように開いた。かの人の帯締めと帯揚げはこのホトトギスのような紫だった。こうして見てみると、九月は夏の終わりと秋の始まりが混在していて、気温も定まらないけど、自然の色合いは確実に彩度が落ち着いていることに気づかされる。


ということは・・・自然の中にある季節の色に、カラーコーディネイトを学べば失敗も少ないということなんでしょうね。ふむふむ。というわけで、今日も夕陽を眺め、草花を愛でる気持ちを忘れないように過ごそうっと。


殿方のユカタ【着物だいすき】

日曜日は、友人のフリーアナウンサー・加藤千佳ちゃんのYUKATA PARTYが、
堀川沿いの「ほとりす」で開催された。
夏の最後にユカタを着て楽しみましょう、という催しで、ユカタ美人が勢揃い!
それはそれは、華やかな、そして楽しいパーティーだった。
女性だけでなく、男性にもちらほらとユカタをお召しになっている方がいらっしゃり、個人的にオトコキモノが大好きなワタクシとしては、じっくり殿方ウォッチングをさせていただいた。むふふ。


女性の着付けに比べると、圧倒的に殿方の着付けの方がラクチン。
そんな気軽さからか、普段はスーツ姿で身を固めているであろう方々が、ユカタをラフにお召しになっている姿はなかなか良いものだった。
でも、少しだけ残念なことに、スラックスと同じ感覚で、腰上に帯をお締めになっていた方がいらしたのである。殿方のキモノの帯は、おなかの出っ張りの下で締めていただくと、格好が良い。



ちょっと旅館のユカタ風だけど(笑)、
たとえば、こんな感じ!


以前、阿部寛が主役の蜷川演出による「梅川忠兵衛」(確かタイトルは近松心中物語だったと思う)の舞台を観に行った時。キモノ姿の阿部寛を見て愕然とした。モデル体型の阿部ちゃんは、足が長く、おなかがまったく出ていないので、キモノが似合わないのである。殿方のキモノは、中肉中背で足が長くなく、おなかがちょっと出っ張ったくらいの体型に似合うように出来ているのだ。


そして次の日、月曜日。お仕事の打ち合わせで、モデルエージェンシー・ジオットの松本さんにお会いし、ランチをご一緒した。
松本さんと言えば、名古屋の、いえ日本の男性モデルの重鎮中の重鎮であり、現在は経営者としても幅広く活躍されている。普段から鍛えていらっしゃるということもあり、相変わらずスリムで見事なモデル体型は変わらず。打ち合わせで真面目な話をしながらも、頭の中は、「キモノを着た松本さん」を想像していた。おなかがまったく出ていない松本さんが、キモノを着こなしたら、一体どんなお姿になるのかしら?と。着こなすことはプロだから、おなかが出てなくてもかっこ良くキマルんでしょうね、きっと。


妄想から一夜明け、今日になってケータイで撮ったYUKATA PARTYの写真を見ていたら、こんな写真が!
右は昌子ちゃん、彼女のユカタはワタクシが着付けをさせていただいた。
左は昌子ちゃんの上司で某T社の方。
いなせな殿方でしょう?


買ったばかりだという夏のキモノを、
お帽子と共にかっこ良くコーディネイトされていた。
後ろ姿もなかなかいなせ。
というか粋筋の方みたい(笑)。


ワタクシは、麻混の縦縞のユカタに、
堀川沿いということで、水の流れっぽいイメージで、
水色の博多献上帯、緑の帯締めと帯揚げを選びました。
あ、肝心の主役・千佳ちゃんの写真を撮り忘れてる!
詳しくはエトレイユのwebでご覧くださいませ。


多忙なはずが、船上の一夜【着物だいすき】

はぁ〜忙しい毎日・・・・・・。
春以降あんなにヒマだったのに、
仕事というのはなぜいつも同時期に重なるのだろう。
秋ものが動く時期ということもあり、抱えている原稿だけでも数知れず。

最近「健忘症」が激しいことは先日の尾てい骨事件で露見したので、
TO DO LISTに漏れがないかどうか、細かくメモしてデスク横に貼ってあるのでございます。


そんな多忙な夜のはずなのに、実は今夜は船上クルーズへと繰り出した。
「お着楽会の夏バージョン」ということで、「ユカタで船上お着楽会」に行ってきたのだ。
スタイリストの原結美さんや、ヘアメイクの村上由見子さんたちが主催してくださった。
納屋橋から乗船し、2時間かけて船は名古屋港へと向かい、また納屋橋へと戻ってくる。
その間、船の上でお酒と料理を楽しむという興のものだった。

色とりどりのユカタ姿の女性が何十人も屋形船に乗り込む風景というのは、
なかなかオツなものだった。
気難しいキモノのルールなど、どこかにうっちゃっといて、可愛いから着てみました!という雰囲気の女性もいたりして。
キモノビギナーとしてのスタート地点がユカタであるなら、
そういう「ルール違反」もいいのではないか?と思える。


いざ、船が動き始めると、川の水位が思ったよりも高いので驚いた。
私の目の前に座っていたK氏「セーヌ川にもこういう船ってあったよね」
その横に座っていたY子「あれは〜もう少し豪華かな」

その会話を聞いていて、突然レオスカラックスの「ポンヌフの恋人」を思い出した。
あの映画のエンディングは、セーヌ川に落ちた恋人たちが船に助けられ、
そのままセーヌ河口の町、ル・アーブルへと向かう。
川に落ちるんだけど助けられてハッピーエンドになる。
当時カラックスは主演のジュリエットビノシュと恋人関係にあったので、
ビノシュが悲しい結末だったはずの台本に二人の生活を投影させてしまい、
彼女の希望でハッピーエンドに変更した、という逸話があったはずだ。

仕事が忙しくなると必ず「逃避行を妄想する癖」があるので、
今夜も、ポンヌフの恋人よろしく、このまま船が名古屋港に流されることを想像してしまった。

船は名古屋港に流され、難破する。(ありえない!)
ユカタの裾はみだれ、あらわな姿で助け出される私。(これは難破しなくても酔っぱらえばありえる)
立派な紳士が乗っている船に助け出されたので(これまたありえない)
命は助かり、仕事は誰かが適当にやってくれて、
おまけに豪華客船クルーズを紳士からプレゼントされる。(やれやれ)

肥大化した妄想が現実に戻るころ、船体は納屋橋の岸へと到着した。


五月は袷か単衣か!?【着物だいすき】

正統派と、楽しむことに重きをおく派の違い。
五月は袷か単衣か、の問題の続き。
はてさて、正統派お二人のご意見をうかがってみると・・・。
日本舞踊家の赤堀登紅さんは
「五月の正装はやはり袷。マリコさんのお立場を考えると袷がよろしいのでは?」
とやさしく助言してくださった。
着付けのプロの真知子先生は
「他の方々が袷で、マリコさんだけ単衣ではね・・・」と心配顔。

そして、現代着物を提唱するお二人のご意見は・・・。

お気楽会の主催者でヘアメイク&着付けの村上由見子さんは
「五月も半ば過ぎれば、通は単衣よ。あやめ柄なら季節ぴったりでいいじゃないですか!」と背中を押してくれる。
同じくお気楽会の主催者でスタイリストの原結美さんは
「ルールはいろいろあるけど、結局は自分次第じゃない?」とスタイリストらしいご意見。

そして最後に、仕事でお世話になっている着物店オーナーで
卓越した着物センスを持つ大西先生は
「何年着物の仕事してるの?あの本では(私が関わっている着物の本)、現代に合ったキモノライフを提案しているはず。20度を超える暑さで汗をかいている袷姿は周りの方に迷惑よ!堂々と涼しげに華やかに、単衣で行きなさい!」と喝!

悩みに悩んだ末、大西先生の言葉が強烈な一打となり、
あやめ柄の単衣で出掛けることにした。

それにしても式服はルールが多くてムズカシイなぁと実感した!

でもムズカシイそのルールを学びつつも自分流をつくりあげれば、
着物の世界は面白く奥が深い。

私はまだまだ自分流はできないけれど、
くだんの着物通の方々にはもう少しおつきあいいただいて、
着物を楽しむ道を進んでゆきたいと思っている。


五月の袷【着物だいすき】

とある記念晩餐会に出席する栄に浴すこととなった。
フランス・シャンパーニュの騎士叙任式ということもあり、
せっかくなので着物でお邪魔しようと決意。
ちょうど季節がぴったりのあやめ柄の単衣があるので、早速その準備をしていた。
ところが、着物通のオネエサマにその話をしたところ、一喝されてしまう。
本来、五月は袷の季節である。
さらに晩餐会という席なら、当然袷で出席するべきだと言うのだ。
その晩餐会のドレスコードは「ブラックタイ」。
もう少し軽い感覚のパーティーならば、私も「だって五月に袷なんて暑いし〜、
季節はあやめがぴったりだし〜」と言うところだが、
叙任式の後の晩餐会となると、
一生のうちに何度も経験できることではないので、失敗したくない。
そこで、着物に詳しい友人知人に聞いてまわってみた。
すると結果は、まっぷたつ!
さてさて、どうなることやら・・・。
着物好きとは言え、あまり知識のない者の悩みはここから佳境に入る。