着物だいすき

多忙なはずが、船上の一夜【着物だいすき】

はぁ〜忙しい毎日・・・・・・。
春以降あんなにヒマだったのに、
仕事というのはなぜいつも同時期に重なるのだろう。
秋ものが動く時期ということもあり、抱えている原稿だけでも数知れず。

最近「健忘症」が激しいことは先日の尾てい骨事件で露見したので、
TO DO LISTに漏れがないかどうか、細かくメモしてデスク横に貼ってあるのでございます。


そんな多忙な夜のはずなのに、実は今夜は船上クルーズへと繰り出した。
「お着楽会の夏バージョン」ということで、「ユカタで船上お着楽会」に行ってきたのだ。
スタイリストの原結美さんや、ヘアメイクの村上由見子さんたちが主催してくださった。
納屋橋から乗船し、2時間かけて船は名古屋港へと向かい、また納屋橋へと戻ってくる。
その間、船の上でお酒と料理を楽しむという興のものだった。

色とりどりのユカタ姿の女性が何十人も屋形船に乗り込む風景というのは、
なかなかオツなものだった。
気難しいキモノのルールなど、どこかにうっちゃっといて、可愛いから着てみました!という雰囲気の女性もいたりして。
キモノビギナーとしてのスタート地点がユカタであるなら、
そういう「ルール違反」もいいのではないか?と思える。


いざ、船が動き始めると、川の水位が思ったよりも高いので驚いた。
私の目の前に座っていたK氏「セーヌ川にもこういう船ってあったよね」
その横に座っていたY子「あれは〜もう少し豪華かな」

その会話を聞いていて、突然レオスカラックスの「ポンヌフの恋人」を思い出した。
あの映画のエンディングは、セーヌ川に落ちた恋人たちが船に助けられ、
そのままセーヌ河口の町、ル・アーブルへと向かう。
川に落ちるんだけど助けられてハッピーエンドになる。
当時カラックスは主演のジュリエットビノシュと恋人関係にあったので、
ビノシュが悲しい結末だったはずの台本に二人の生活を投影させてしまい、
彼女の希望でハッピーエンドに変更した、という逸話があったはずだ。

仕事が忙しくなると必ず「逃避行を妄想する癖」があるので、
今夜も、ポンヌフの恋人よろしく、このまま船が名古屋港に流されることを想像してしまった。

船は名古屋港に流され、難破する。(ありえない!)
ユカタの裾はみだれ、あらわな姿で助け出される私。(これは難破しなくても酔っぱらえばありえる)
立派な紳士が乗っている船に助け出されたので(これまたありえない)
命は助かり、仕事は誰かが適当にやってくれて、
おまけに豪華客船クルーズを紳士からプレゼントされる。(やれやれ)

肥大化した妄想が現実に戻るころ、船体は納屋橋の岸へと到着した。