今日の地球

地産を地で飲食す〜愛知県設楽町【今日の地球】


 連休初日は、かねてからお誘いいただいていた設楽町にロングドライブ&BBQに出掛けてきた。設楽りさこさんのおかげか?、どなたも地名はお読みになれると思うのだけど、どこにある町なのか、愛知県外の方にはあまり知られていない。愛知県の東三河地方にある設楽町は、日本の原風景とも言える山里がそのまま残され、今でも生き続けている稀有な町で、緑連なる山々と田園風景、そして美味しい食材と空気に恵まれた「美しいニッポン」である。
 FM愛知のパーソナリティー・川本えこさんが、設楽町の観光大使的なことを続けていることもあり、折に触れて彼女から設楽町の話を聞いていた。美しいニッポンなんてわかったようなことを書いているけど、近隣の東三河には仕事で何度か出掛けたことがあるものの、設楽町に行くのは実ははじめてのことだった。前夜の痛飲により若干二日酔い気味でバスに乗り込み、眠さと闘っていたはずの眼に飛び込んできたのが、絵葉書のようにきれいな"生きた山里"だった。山里と言っても、人の営みがそこになければ山里は生きない。設楽町の風景は、まさに"生き生き"としていたのである。
 地産地消と言うようになって久しいけど、この日ほど、きちんと地産地消をやり遂げた日は今までになかったんじゃないかな。設楽町の新鮮野菜と極上のお肉でBBQ。町の人たちが山菜を採ってきて、天ぷらを揚げてくださる。澄んだ空気と町の人の笑顔のおかげで、いただく物はどれも本当に美味しくて、ここのところモヤモヤしていた気持ちはどこかに吹っ飛んでいってしまった。
 「どの食材も美味しいですね。もっと設楽町を多くの人に知って欲しいですね」と牧場主である竹内さんにお話していたら、竹内さんはこう語ってくれた。「私ら牧場も、お米の農家も、野菜を作っとる農家もね、頑張って朝から晩まで働いて自分たちが稼いだお金で、子供たちを学校に行かせて、家の一軒でも建てられんかったら、おかしいでしょ?当たり前なはずの農業の仕組みづくりを、みんなでマジメにやってみようと今呼びかけとるんだよ。そのためには、設楽町の豊かな食をまず知ってもらうことから始めないと!」この言葉を聞いた瞬間、私の中で複雑なパズルの最後のピースがぴたりと当てはまったような爽快感があった。そうか!生きた山里だと感じた理由は、ここにあったのだ。町の人々が生きることをマジメに考えているから、山里の風景に人の手や営みを確実に感じることができたのだ、と。
 ものづくりは大都市圏ではなく、地方都市から発信するべきだとかねてから思い続けていた私だけど、これからは意を新たにしたいと思う。ものづくりは大都市圏でも地方都市でもなく、人々の営みが生きる山里から発信していくべき、なんじゃないのかな。設楽町は、そんな可能性がたっぷり詰まった宝石箱のような町なのだ。
 というわけで、ここからは設楽町でいただいた美味しいものたち。長いですが良かったら笑い飛ばし読みください。


真ん中でお話してるのが、川本えこさん。プロのしゃべり手が生ガイドしてくれるんだから、よく考えたら贅沢なツアーですね。えこさんのお仲間が来るのならと、設楽町の人々がお肉やご飯やスープを用意して待っていてくださった。到着後すぐにBBQが始まった。


右が竹内牧場の竹内さん。美味しい空気と餌と、たっぷりの愛情をかけて育てられた竹内牧場の牛肉が、この日のBBQのメインディッシュ。左のご婦人お二人はお米の農家さん。美味しいご飯やスープをご用意してくださっていた。


むふ。これがBBQの途中段階。朝掘りのタケノコはアクがほとんどないので、皮のまま網の上で蒸し焼きにされる。野菜たちはすべて設楽町産のものを地元のマーケットで入手。野菜ソムリエでもあるえこさんによる、さすがのナビゲート。


じゃじゃ〜ん。竹内牧場産の牛肉のかたまり。久しぶりに"赤身"が美味しい牛肉を食べた気がしました。BBQの場所のすぐ近くにある竹内牧場では、いずれ食肉となる牛が飼育されている。「命をいただくことに感謝しながら食べる」という経験をさせていただいた。


牛丼にしても美味しいんだよ、と、えこさんが教えてくれたので、贅沢にも焼きたてのお肉にお醤油を少しつけて、わさびをトッピングし、炊きたてご飯にのっけて、設楽町牛丼!


設楽町のお米が炊きあがった瞬間。白米の本当の美味しさを知らない不幸(!)な都市生活者たちがむらがっている図。もちろん私もその不幸な生活者の一人でした。噛み締めるほどに甘くて、おなかにもたれない。設楽町のこしひかりの美味しさには本当に感激だった。



これは町の人々が手作りしたというピザ釜!
廃校になってしまった小学校のグラウンドに
誰でも使えるように設置されていた。


焼き上がったピザ。奥が、現地調達した「エシャロットみそ」と「わけぎ」にチーズをトッピングしたもの。手前の白い方は持参したクリーム+わけぎ+チーズ。日本酒にも合いそうな和のピザができました。オリジナルピザを作るのは楽しい作業です。


廃校になってしまった小学校。木造校舎は、時の経過により随分朽ちていたけど、趣のある建物だけに勿体ない。ロケとか宿泊施設とか多目的スペースとか、何かに使えないだろうか?と一人で今も激しく妄想中。


椎茸の原木を見せてもらっちゃった。欲しい〜!と大声をあげたら、いただけちゃった。竹内さん、ありがとうございました。椎茸大好きなんです。設楽の椎茸の美味しさには、BBQで感激し、天ぷらでいただいたらもっと驚いてしまった。


ま、結局は食べて飲んでばかりの一日になったわけだけど、この日のすべてのお世話をしてくださった川本えこさん、設楽町の名酒・空の作り手である関谷醸造の関谷さん、そして設楽町の皆さん。本当にお世話になりました。どうもありがとうございました。次は蛍の季節かな。きっとまたお会いできることを楽しみにしております!