今日の地球

外見だけじゃわからない!【今日の地球】


またまた古いネタでのエントリー、お許しくださいまし。これは5月、京都・大原の里へと取材に出掛けた時のこと。その取材原稿が掲載された企業広報誌がつい先日刊行されたので、我がコラムにもやっと書けるタイミングになったというわけでございます。とあるホテルのシェフと、とある生産農家さんを訪ねる取材となったこの日は、5月とは言え、日差しが強い夏日だった。夏号にはピッタリのピーカンお天気で、撮影も順調に進む。撮影隊が外で必死に撮影している合間をぬって、取材で立ち寄った「大原 里の駅」の朝採りお野菜や作りたてのお餅に気持ちを奪われる私。山野草のコーナーで見つけたのが上の写真である。このお花は「都忘れ」。初夏に咲く紫の清楚な茶花で、一番好きな花なので、実家の庭にもマンションのベランダにも植えてある。ところが、大原の里で売られていた都忘れは、写真の通りに色が薄いのである。写真上で色が飛んでしまっているが、実際の色は紫からはほど遠く、藤色をもっと薄くしたような、限りなく白に近い紫なのだ。「色がずいぶん薄いですね〜」と売り場の方に訊ねると「本当の都忘れはこの色なんですよ。皆さんが知っている紫色は園芸用に改良されたものなんです。大原では昔からの苗を受け継いで売っているので、原種の色のまま薄いんです」と教えてくださった。へ〜知らなかった。私が知ってる都忘れは偽物、園芸用だったんだ。


ちなみに都忘れの都とは、もちろん京の都のこと。その由来は後鳥羽上皇と順徳天皇の親子にさかのぼる。歴史の教科書にも出て来た"承久の乱"で敗退した親子は、それぞれ別の場所に引き離される。菊が好きだった後鳥羽上皇のことを息子である順徳天皇が思い出し、白菊を「都忘れ」と名付けた。その花を見ると、都への思いを一瞬でも忘れられる、という意味なのだそう。私だったら逆に思い出しちゃいそうだけどな。後鳥羽上皇と順徳天皇の大原陵には都忘れが群生しているのだとか。一度その風景を見てみたいものでありますね。大原の都忘れは原種だそうなので、うっすら白紫のきれいな色なのでしょう。


これは農家さんの畑で「食べてごらん」と言われた植物の若芽。
茎の色とか太さとかから想像すると苦そう。
でも食べてみるとびっくりするほど甘かった。
なんとルッコラの若芽と花の部分でした。
外見から味は判断できませんね〜。


畑での撮影を終えて向かった先は、とあるホテル。それまでの風景とは一変した空間にて撮影です。夏の海辺のイメージでロゼのスプマンテ♬ 撮影してるのは山の中なのに、カメラマンには「ここはサンセットビーチ」と言い続けて洗脳したため、海辺風の仕上がりになりました。広告物の写真なんてこういうことが多いもの、外見で判断しちゃいけません・・・苦笑。


そして外見だけで判断しちゃいけないシリーズの真骨頂はこの人!
この日一緒だったお仕事仲間のアートディレクターI氏。
後ろから声をかけると、いかにも怪しげな風貌!
怪しい怪しいと私が騒ぐと・・・・。


真正面を向いてくれました。
いやはや、いかにも怪しいお兄さんですよね。
ところが、この怪しげな外見とは裏腹に、I氏はとっても優しい気配りの人。
お仕事の手も早く、お仕事仲間として絶対的信頼をおいている。
外見だけじゃわからない、素敵な紳士なのであります。


5年程前、痛飲した後の深夜、ラーメン屋さんに仲間と立ち寄った時、お店の奥に座っていたI氏と偶然バッタリ会ったことがある。その頃は髪の毛が金色に染まっていて、どこからどう見ても怪しい職業の人だった。I氏から「久しぶり!」と手を挙げられた私はまさかI氏だとは思わずに、新手の勧誘かなにかだと思って「この人ぜったい知らない、ぜったい知らない」と呪文のように言い続けて無視をしていた。「近藤サン、久しぶり!」と名前を呼ばれてよぉく見ると、I氏だったのである。良くも悪くも(!)独特のオーラを持っているので、近寄りがたさはあるけれど、中身は本当に「いい人」だ。
I氏のように、外見と中身のギャップは、時に魅力になることもある。怖そうだと思ってたら実は優しいとか、美味しくなさそうと思ってたらびっくりするほど味わい深いとか。女性で言えばツンデレみたいなことでしょうか。ギャップが大きいほど印象が強いので、それが魅力に変化するのだ。もちろん、美味しそうに見えたのにマズいとか、優しそうに見えたのに怖い、という逆パターンのギャップは決定的な嫌われ要素になるのでご用心ですけどね。実はワタクシ、一見優しそうなのに中身は根性悪と言われます、気をつけなくちゃ。