暮らしの発見

お内裏様とお雛様の並び方【暮らしの発見】


多忙な一週間でした。移動→取材→移動→宿泊先で原稿書き→取材→移動というローテーションをずっと繰り返した一週間でした。やっと名古屋に戻って、今日は目覚ましをかけずに眠ったら、なんと10時間も眠り続けてしまった。私にとっては睡眠が一番の健康の素なので、いたしかたありませぬ。というわけでコラム更新が遅れた言い訳はここまで。もうすぐ桃の節句なので、今日はお雛様の話題で。
↑この写真は、実家に飾っているお雛様。左隣は姉手作りの吊るし雛。その左は貝を漆にはめこんだ火鉢。お雛様に合わせて貝の火鉢が出してある。私が小さい頃は「桃の節句を過ぎて飾っていたらお嫁にいくのが遅れてしまうから」と3月3日になったら慌ててしまっていたけど「せっかく出したんだし、新暦じゃなくて旧暦で考えて、3月末くらいまで飾っておけばいいんじゃない?」という私の怠惰なそそのかしに母も「そうねぇ、じゃ3月末まで飾っておきましょか」と納得していた。どうやらお嫁にすっかりいきそびれている娘のことは、もう頭にないらしい(苦笑)。


このお雛様は、私の母方の祖父母が松坂屋(名古屋の人は"まっちゃかや"とふざけて言いますが)で選んでくれたもの。梱包の中には飾り方の説明書きが入っているので、このお雛様とお内裏様の並び方は説明書に沿ったものだ。お内裏様とお雛様、どっちが左に飾るかで、地方性が出ることをご存知ですか?京雛と関東雛の違いで、位置が逆になるのだ。松坂屋は名古屋の百貨店だからか、関東式の並びで説明書が添えられていたことになる。
天子南面(天皇が南を向いて立った時に、日の出の方角を上座、日没の方角を下座とする考え方)に基づいて、お内裏様が向かって右側、お雛様は左側だった。ところが、明治の文明開化で日本も西洋式に習い、大正天皇が即位式で左に立ったことから、以来それが皇室の伝統となり現在に至っているのだ。これ、結婚式の新郎新婦の並びもそうなってますよね、確か。この並びが今では一般的になっているのだそう。ただし、現在でも京都では伝統にのっとり、お内裏様が向かって右側に飾られているので、関西の百貨店で販売されているお雛様は、松坂屋のものとは逆なのかもしれない。


これは実家の床の間に飾られている掛け軸。
お内裏様とお雛様の並びは、
上の物(関東雛)とは逆になっているので、
こちらは京雛ということになる。
お花は、桃・ぜんまい・菜の花。ワタクシが生けました。


こちらは我がマンションのリビングテーブルに飾っているミニお雛様。スペースの関係上、この小ささじゃないと飾れないのだけど、こういうポータブルな感じのお雛様は仰々しくなくて可愛いですよね。これも旧暦に合わせて、3月末まで飾っておこうかな。あ、それなら3月3日を過ぎたら、旧暦(つまり明治の文明開化前ってこと)に合わせて、並びを逆にしちゃえばいいのでは?3月3日までは新暦(文明開化後の関東式)の並びにして、3月3日以降は旧暦の並びに変えちゃう。こういう不届きな考え方で、お人形の飾り方を変えてもいいものなんでしょうか。お人形屋さん、お教えくださいまし。