伝統工芸の職人たち

"職人という生き方"展 芝パークホテル【伝統工芸の職人たち】


かろうじて文章を生業にしている私にとって、最も心躍る表現対象のひとつは「職人」である。小さい頃から古いモノに囲まれて育ったということも手伝ってか、職人の手仕事が大好きだ。繊細で美しい手仕事の品を暮らしの中で使うことにこの上ない幸せを感じている。30歳を過ぎた頃から、陶器や漆器といった伝統工芸品の作り手、大工や左官や庭師といった職人にインタビューさせていただく機会が増え、職人の苦悩と喜びに触れる度に、その生き方や感受性に感銘を受けてきた。そして日本から消えゆこうとしている職人の未来を憂い、美しい手仕事を日本に残していきたいと願うようになったのである。そんな思いを抱いている私に、嬉しい出逢いがあった。あるアートフェアで同級生の造形作家との縁でご紹介を受けたギャラリー「羽黒洞」さんである。羽黒洞の木村泰子さんとそのご主人でカメラマンである富野さんも私と同じ思いを持っていらっしゃり、さらに日本の職人の手仕事を残していくために積極的な活動をおこなっている「ニッポンのワザドットコム」の木下社長をご紹介くださった。前置きがすっかり長くなってしまったけど、今回ご紹介するのは「ニッポンのワザドットコム」プレゼンツの「職人という生き方」展である。


日本の職人の手仕事を紹介するために企画された"職人という生き方"展は、芝パークホテル別館の「掌」及び「バーフィフティーン」にて今回でvol.2。前回は江戸切子で、今回が江戸小紋である。小さく繊細で美しい模様が連続して成る江戸小紋の作品と、職人の仕事風景が写真で展示され、廣瀬染工場四代目・廣瀬雄一さんと、伝統工芸士・岩下江美佳さんによる反物や小物の販売もされている。さらにバーフィフティーンでは、江戸小紋×オリジナルカクテルということで、小紋をまとったカクテルグラスが登場する。
初日の10月3日にはレセプションがおこなわれ、偶然私も東京滞在中だったのでお邪魔して、作家の岩下さんやニッポンのワザドットコムの木下社長ともお会いすることができた。この時の様子をデジカメにおさめたはずなのに、なぜだかデジカメ紛失中なのでここにアップできないのがひたすら残念(泣)。なぜなら粋なお着物姿の方々が多くいらっしゃっていて、それをちゃんと撮影したはずだったからだ、ぐすん。羽黒洞の木村泰子さんのそれは素敵なお着物姿もおさめてるんだけどなぁ。
それにしても、共通の思いを持った方にはどこかで必ず出逢うことができるということを今回は実感したことになる。実はここのところ、もっと丁寧に気持をこめて仕事に向かいたいのにそれが許されない状況が続いたりして、仕事上で結構凹んだりしていた。職人という生き方にもっとこだわってものづくりをしていきたい、そう思っていた矢先での出逢いだったので、なおさら嬉しかったのだと思う。羽黒洞の木村さんとカメラマンの富野さんとの縁を導いてくれた、造形作家の井戸えりさんと大野泰雄さんには深く感謝深謝。


というわけで、年末まで開催されている「職人という生き方」展に、ぜひお出掛けくださいましね。
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芝パークホテル別館1階 17:00〜23:30 入場無料
10月3日月曜日〜12月26日月曜日

※土日祝定休、臨時休業ありですので、ご留意ください。
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