いいものはいいんです!【伝統工芸の職人たち】
7月のある日曜日は、珍しくちょっと遠出して岐阜県多治見市までお出掛けしてきた。目的は、陶芸家・青木良太氏の個展を見に行くためである。とある企業の広報誌の取材で念願の青木さんにお会いできたのが今年の2月。その時、彼の工房で作品に惚れてしまって幾つか器を買い込んだ。以来、我が家の食卓では頻繁にその器が登場しているのだが、これが実に使いやすい。薄くて軽いのに丈夫、見た目はクールだけど手に持つとしっとり馴染む。なんとも言えない柔肌の触り心地は、陶器のそれでもなければ磁器でもない。このあたりの秘密については、取材記事に書き込んであるので、よろしければご覧ください。
お邪魔したのは器のギャラリー「陶林春窯」さん。
昔の大工さんの技術の粋が随所に現れた築50年ほどの日本建築を、
とっても上手にリノベーションして、
日本家屋ギャラリーとして蘇らせていらっしゃる。
陶器好きなのは学生時代からで、ちょっと背伸びをしながら分不相応に少しずつ買いそろえた器は、一人暮らしとは思えない食器棚に窮屈にしまわれている。その内のどれをとっても「買わなきゃ良かった」などと思う物はなく、買った時の情景や一緒にいた人のことや、その日のお天気や空気感まで覚えている。そしてそれらは思い出と共に何十年という時を私と一緒に過ごしてくれている。ひとつひとつはちょっぴり高価だったとしても、心から良いなぁ!と惚れ込んだ物は決して後悔することなく、いつまでも私の暮らしに寄り添っていてくれるのだ。大好きな物だから大切に扱うし、万が一欠けたりしても、金継ぎで直して再び命を蘇らせている。たかが物、されど物。気に入った素敵な物たちは、時が経ってもやっぱりいいんです!
この日に購入した青木さんの器も、お財布情勢が厳しい今の私には分不相応だったけど、多分何年かしたら、雨降る多治見の街のことや、日本家屋の魅力に惚れ惚れしたことをきっと思い出すはずだ。・・・と考えていて、ふと気づいた。多治見の街が好きで一年に何度か訪れる私は、多治見で多くの逸品に出逢っているのだ。
青木さんの個展を見た後にお邪魔したのがココ!
およそ一年ぶりの「ギャルリももぐさ」。
陶芸家のご主人と布作家の奥様が手掛けられるギャラリーは
全国から多くの人が訪ねていらっしゃるほど有名なので、
ご存知の方も多いだろう。
山の奥に入っていってこの風景を見ると、もう胸キュンになっちゃう(あ、死語かな)。随分前に取材させていただいたり、撮影にご協力いただいたり、ももぐさグッズに惚れて買い込んだりしているので、個人的にはかなり思い入れのある場所でございます。
多治見には、日本一おいしいと思ううどん屋さんがあるし、思い出いっぱいのお蕎麦屋さんや鰻屋さんもあって、器屋さんは果てしなく軒を連ねる。飽きっぽい私が、お昼から夜までゆっくり時間を過ごすことが出来る稀有な街である。行ったばかりなのにまたすぐに行きたくなる。日本一暑い街だと観測されようが、私は行きますよ。多分、暑い季節のうちにもう一度。