伝統工芸の職人たち

今様の茶陶展【伝統工芸の職人たち】


このwebのおかげで、とても素敵な出逢いがあった。ネット上のコミュニケーションに少々疲れ気味の私にとって、久方ぶりに嬉しい交流だったので、ここに紹介させていただこうと思う。webを通じて今までいろんな方々との出逢いがあったのだけど、今回ははじめて?とも言うべきファンレターをいただいたことに端を発する。そのお方は、あるキーワード検索で偶然、当webに行き着いてくださり、たまたま偶然コラムを読んでくださった。以来、この拙コラムのファンになってくださり、一ヶ月ほど前にメールでファンレターをくださったのである。そしてその方がなんと同郷の岐阜市の方で趣味や興味が共通してそうだったため、私も密かに思いがヒートアップ。これはいつかお会いしてお話するチャンスが巡ってこないかと思っていた矢先に、↑このご案内状をいただいたのである。「今様の茶陶展を開催します、ご実家に戻られている時にでもいらしてください」と。そうなんです、その方とは、岐阜市で長く画廊を経営していらっしゃる石原美術の石原夫妻だったのだ。



石原美術は趣ある街並にあって、すぐ近くには料亭「水琴亭」やお蕎麦屋の「吉照庵」などがあり、私が小さい時から今も風景はほとんど変わっておらず、馴染み深いエリアである。「水琴亭」は老舗料亭で、老舗ならではのオーセンティックな料理と立派な庭園が見事。岐阜市出身の実業家で芸術家たちのパトロンになったことでも有名な原三渓が描いた壁画(普段は公開していないけど、多分お願いすれば見せてくださる)があることでも知られている。「吉照庵」の方は、丁寧に打たれた美味しいお蕎麦がいただけるので、県外からも来客がある有名店だ。とまぁ、こんなお店や古い日本家屋が並ぶ中で、石原美術のひときわ目をひく外観はレンガ貼りの洋館。この日は、姪っこアユミを引き連れてお邪魔した。アユミは、はじめて足を踏み入れる画廊に少々緊張気味。私もはじめてお会いする緊張感に加えて、どんな茶器があるんだろう?と期待感がないまぜになっていた。入った瞬間、石原さんのご主人が「もしかして近藤さん?」と声を掛けてくださった。いきなり正体がばれるとは思ってなかったので面食らいつつも、ご主人と奥様のおすすめに従って、鑑賞させていただいた。今回の展覧は、6人の今を生きる若手世代の作家さんばかり。茶器を中心に、想像力をかきたてられる愉しい作品から、正統派の美しいラインが特徴のものまで、充分に堪能させていただいた。気に入ったものが幾つもあって、結局購入しちゃいました〜。この報告はまた後日。


お茶人でもあられる石原さんが「気に入ったお茶碗で一服いかが?」とお誘いくださり、私とアユミはそれぞれお茶碗を選んで、お薄をたてていただいた。それから先客の紳士も交えて、しばし会話を楽しんだ。ご夫婦そろって趣味人なので、お話は面白く、会話術もとてもスマート。今度はグラスか盃でも傾けながらゆっくり芸術論をお聞かせいただきたいなぁ。


お名残惜しくも失礼しようとすると、奥様が「お母様にお持ちになって」と渡してくださったのがこちらの薔薇。石原美術の前に咲き誇る薔薇をくださったのだ。母は大喜び。「玄関に飾って」とのお達しがあったので、早速飾っておきました。むか〜しの家の洋室に飾ってあった油絵。そこに描かれていたような薔薇と花器。この薔薇を見ていたら、目の前にあるものなのになんだか懐かしい気持ちになった。


石原さんご夫妻、素敵なおもてなしをどうもありがとうございました。そんなご夫妻と素晴らしい作品に逢うことのできる展覧「今様の茶陶展」は、今週末の6/5まで。石原美術/岐阜市米屋町24番地 TEL 058-262-4313 皆様どうぞお出掛けくださいませ。