伝統工芸の職人たち

銀座和光のディスプレイ【伝統工芸の職人たち】


今夏の銀座4丁目は、左官職人・挟土秀平さんの壁がお目見えしている。6月の終わりから始まっていた和光のウィンドウディスプレイに、出張の際、やっとお邪魔することができた。夏ぎりぎり間に合ったという感じ。銀座4丁目、日本のど真ん中である。和光のウィンドウディスプレイと言えば、おそらく日本一注目されるデコレーションではないかしら。そこに壁を塗っちゃうわけだから、まぁすごいことですよね〜。
銀座で地下鉄を降りて、さぁてどの出口から出ようかなぁと悩むのも楽しみだ♬いきなり真ん前に見えるのも情緒がなくてなんだし、少し距離を置いて段々見えてくるのが一番良いんじゃないかと思って、まずは鳩居堂を目指した。鳩居堂で少しお買い物をしてからくるっとUターン。相変わらずの人混みにもまれながら歩いていくと、見えてきました。挟土氏の壁が。
私の大好きなブルーのきれいな色合いが目に入った。まるで虹のように壁がカーブを描いている。そして土で作られた女性像がその前に佇んでいた。思わず発した言葉は一言、きれ〜い。全体をじっくり鑑賞してみると、きれいすぎて、なんだか寂しい。とてつもなく美しいなのに寂寥感が漂っていた。まるで砂漠の夜みたい。暑いのに夜になると寒くなるみたいな、あるいはすごい美人だけど整いすぎてクールに見える、みたいな、ね(なんとなく例えが間違っているような気がしないでもないが)。完璧主義の職人が制作した作品ならではの孤独感なのかもしれない。


これは反対側のウィンドウ。
ガラスがあるので、きれいな写真が撮れなくて残念。
でもガラスに銀座の街並が映りこんでいるのがいい感じ。


これはそのアップでございます。
う〜ん、プロの写真家が撮影したら
もっとかっこよく映りこむんでしょうね。
実はワタクシ、映りこみの写真ってかなり好きなんです。


これは女性のマネキンの足元で、挟土氏お得意の計算されつくした「ひび割れ大地」。やっぱり都会の砂漠、みたいだなぁ。
一連の壁作品にご興味のある方は、こちらをどうぞご覧くださいませ。きれいな写真が見られます。
作品を間近で鑑賞した後、今度は三越側へと信号を渡ってみた。こっちの角度からもウィンドウを見たかったからである。すると、改装中の三越の入り口からはおそろしく冷たい風が大量に吹いていた。涼しかった。今が酷暑の夏であることも、銀座の真ん中であることも一瞬わからなくなった。今、私はどこに立っているんだったっけ?
ここは都会の砂漠だよ、挟土氏のメッセージが聞こえてくるような気がした。