伝統芸能の継承者たち

名古屋平成中村座〜傾城反魂香・幡随長兵衛・元禄花見踊〜【伝統芸能の継承者たち】

名古屋平成中村座、楽日の夜の部。
夜空には7日目のお月様が浮かんでいた。
(左下の小さく光っているのがお月様です)


抱腹絶倒の現代的な演出が印象に残るお昼の部の法界坊と比べると、夜の部の方はいわゆる古典歌舞伎の味わいたっぷりに、義太夫、世話物、舞踊と演目が続いた(それでも串田演出は現代的に分かりやすさを信条としていたけど)。傾城反魂香では勘太郎の情熱と抑制の効いた演技に思わず涙し、幡随長兵衛では橋之助の侠気あふれる芝居に再び鼻をすすり、悲しい結末をひきずりながら最後の元禄花見踊で一転。華やかで美しい舞踊にうっとり。お昼の部同様、ラストは二ノ丸を借景にした演出で桜の花の風が会場に向かって一気に流れ、気分はすっかり元禄時代にタイムトリップ。
そして、一旦幕がひかれ、再び幕が開くと、中村勘三郎が法界坊の姿で登場し、なんと「かっぽれ」を踊りだした。白塗の息子たちによる元禄花見踊とは対照的なおどけた踊りに会場全体が拍手の渦になる。これは串田演出の筋書き通りなのか、勘三郎のアドリブなのか?うぅぅぅ、気になる。夜の部をご覧になった方、他の日がどうだったのか、教えていただけないでしょうか?
そして最後は、出演者全員が舞台上に登場し、一人一人の挨拶となった。楽日ならではの愉しいエンディングに、観客全員が鳴り止まぬ拍手を贈った。


これは左手親指。
右の指輪が左手の親指に当たっていたらしく、
拍手しすぎて、黒ずんで腫れ上がっていた!
相当コーフンしていたらしい(苦笑)。
傷む指をおさえ、おなじみ和蕎楽で、友人・多喜田保子と酒宴を楽しんだ。


名古屋平成中村座は、3年前には名古屋の同朋高校体育館で興行したし(あの時は狭いお座布団のみでおしりが痛かったなぁ〜!)、平成中村座として海外でも興行されているが、さすがに今回のようなお城の中ははじめてのことだったらしい。昨日のラストで中村勘三郎さんが発表していたが、なんと来年は大阪城での興行が決定したそうだ。徳川宗春の時代、幕府からは倹約令が出ていたにも関わらず、名古屋城下は文化特別行政区とばかりに、様々な芸能が催されていたと言う。平成中村座もお城の中の興行としてはじめて、名古屋城でスタートさせた。もしかすると全国のお城での開催に発展してくださらないかしら?と淡い期待を抱いている。