伝統芸能の継承者たち

赤堀登紅さんの観月会【伝統芸能の継承者たち】

先週の土曜日は、徳川園の蘇山荘にて、日本舞踊家・赤堀登紅さんの観月会が催された。赤堀登紅さんとお知り合いになったのはまだ半年あまり。極めて短いお付き合いながら、私の大好きな着物や日本舞踊のお師匠さんということもあり、お話していると勉強になることばかりで、あっという間に親しくなってしまった。加えて、美味しいものに目がないこと、お互いの住まいが徒歩3分圏内という共通点もあり、いつも楽しいひとときをご一緒させていただいている。その彼女が舞踊を披露してくださる観月会は、とても楽しみにしていた。というのも、登紅さんの舞踊を見るのは、今回がはじめてだったのである。


お庭に舞台が設置され、日本庭園を借景にして、間近で鑑賞。
最初の舞踊は、「長唄[浅妻船]より、月待つの節」。
毎日お月様を眺める姿を描いた舞踊だった。


会場の様子から想像して、てっきり素踊りだと思っていたら、このようにきちんと床山さんによる鬘と舞踊化粧をほどこしたお姿で登場。このあたり、さすが、ですね。


そして、お衣装を替え、次の舞台は「長唄[鷺娘]抜粋」。
白無垢姿の鷺の化身となった娘の恋に焦がれる様子を描いたもので、歌舞伎の演目でも馴染み深い舞踊である。


登紅さんのふたつの舞踊を拝見し、すっきりと昇華されるような想いにとらわれた。観る者を自然に幽玄の世界へと誘ってくれる登紅さんの舞踊は、シナをつくることなく、小気味良い品の良さだったのだ。(舞踊に小気味良いなんて表現使っていいのかしら?)
美しい踊りだなと私が思う時の共通点は、見えぬ糸。まるで糸が人間の体を操っているかのように、腰が定まっているのに上体や下腿が自由自在に美しいラインを描いていく踊りだ。登紅さんの舞踊は、まさにこれであった。
もともと赤堀は、西川を源としていると聞いているが、西川の踊りを見慣れている私にとってはとても新鮮な印象だった。流派が違うと、舞踊の表現もこのように違ってくるのだなぁということを実感することができた。
今回は、日本舞踊にふれて欲しい、という登紅さんのご好意で、こうした栄に浴することができたのだ。(フツウ、プロの方に舞踊をお願いしたらお花代がしっかりかかるところなんです)



会場では、6年ぶりの「プリンス」との感激の再会も!
あ〜ん襟が片方寄っているし、パリパリ結城で肩が尖っている(泣)


素敵なオトナの女性、正恵さんとの出逢いもあり、
有意義で優雅で素敵な秋の宴であった。
この日のお着物は、結城紬の単衣に、更紗模様の帯。半襟はぎりぎりまで白と迷い、結局松葉色に。帯締め松葉色・帯揚げ薄紫・ギャルリももぐさで購入した下駄をセレクトです。