伝統芸能の継承者たち

市川右近さんの操り三番叟【伝統芸能の継承者たち】


名古屋で開催された花形歌舞伎も今日が千秋楽。御園座から中日劇場に場所を移して、連日大賑わいをみせてきた。先日、お昼の部を鑑賞。市川右近さんより「ぜひお昼の部を観て欲しい」と伺ったからである。右近さんはすべての演目に出演されており、彼にとってもっとも観て欲しいのが"操り三番叟"の大役だったのだと思う。操り三番叟とは、能楽の翁を題材にした舞踊で、人形に扮した軽やか振りが見どころである。右近さんは舞踊のお家柄に生まれて、歌舞伎の世界に入っていった方なので、DNAに刷り込まれた舞踊の素養がいかんなく発揮される舞台だったのではないだろうか。


そのしなやかな動きと年齢を感じさせない(失礼!)可愛らしさには、目が離せなかった。場内から自然にわきおこる「おおお」という声が、きっと右近さんの耳にも届いていたに違いない。あんまり可愛らしくて本物の人形のようだったので、頭なでなでしたくなりました(笑)。
また後半の"雪之丞変化"は、市川猿之助さんの早変わりが見どころの澤潟屋ゆかりの演目。右近さんは、江戸弁が小気味良い狐軒先生を演じておられた。関西ご出身の右近さんなのに江戸弁が心地よく感じるのは、滑舌の良さだけではないはずだけど、演者さんというのは本当にすごいものなんですね。芸の深さを感じながら、なんとも気分の良い晴れやかな気持ちで会場を後にした。


こちらは別日。
シャンパーニュをご一緒した時のもの。
あ、ちなみに楽屋お見舞に私がお持ちしたのは、コロッケ100個!コロッケ100個って並べるとすごい圧巻の絵でした。写真を撮り忘れたのが痛恨の極みなのだけど笑。右近さんの舞台周りを整えてくださるスタッフの方々にも陣中のお見舞いをしたくて、たくさんお持ちしたのである。右近さんいわく「出演者とスタッフのほとんどがマリコさんコロッケを食べてると思って舞台を観てね」と優しい言葉をいただいた。こういう時のお返しの言葉って、人柄が現れるものだなとつくづく感じながら「あ、目の前の舞台に上がっているあなたも私のコロッケ食べたよね?」と自分勝手な妄想で歌舞伎を楽しんだ。
というわけで、市川右近さん、名古屋での花形歌舞伎、お疲れさまでした!次回どこかの舞台にもぜひお邪魔して、コロッケ100個で楽屋お見舞いさせていただきます(笑)!