徒然なるお仕事

コピーライターは体力勝負である!【徒然なるお仕事】

職業を聞かれて「コピーライターです」と答えると、
多くの人から「紙と鉛筆があればできる仕事ってカッコいいですね」と言われる。
(もっとも最近は「パソコンさえあれば・・・」と言われることが多いが)

私はいつも即座にこうお答えすることにしている。

「いえいえ、紙と鉛筆だけじゃございません。消しゴムも机も必要ですし、なにより体力が一番大事です。決してカッコいい仕事ではございません」・・・と。

どちらかというと、知的労働のように思われがちなコピーライターの仕事。
もちろん頭も使うけれど、頭を動かす前に体力をしっかり使わなければ取材はできないし、知識をつけることもできないのである。まして「体験取材」ともなれば、自らの体をはって、新商品を試したり、ホテルやエステなどでお客さんになってみたり、クライアントの商品や施設の特徴を実感しなくてはならない。たとえそれが自分の興味対象外だとしても、だ。


現在、私が自分の体をはって「体験中」なのが、とあるセレブ向け高額基礎化粧品のトライアルセットである。シワ、たるみ、シミなど、年齢を重ねた人の悩みをカバーする基礎化粧品で、確かに使い始めたその日から、その効果は現れた。ふむふむ、これがこうでこうなるから、肌がすっきりするのね?などと、説明書を片手に「体験取材」をしているわけである。

肌は割と強い方なので、アレルギーもなければ肌荒れもなく、どんな化粧品でもOKではあるが、たとえ一時期だとしても、普段使い慣れている物から変えるというのは抵抗感がある。でも「これもお仕事なのだから、頑張りましょう!」と自分に声をかけながら、体を実験台にしているわけだ。


今迄の体験取材の中で印象に残っているのは、「メディカルエステで素肌をきれいにする」「マッサージエステをアロマオイル焚きながら全裸(!)で受ける」といったエステがらみのものから、「お百姓さんと一緒に田植えをする」とか「介護施設でおじいちゃんのお話相手になる」といった有り難いもの、さらには「年収500万円の家庭の主婦になりきってマンションのショールームを見学する」といった変わり種まで、あらゆる「体験」をさせていただいた。

貴重な体験にはなるが、中には嫌な思いをすることもあり、正直申し上げてつらい取材も数多くあった。でも人生何事も経験、と言い聞かせながら、今日も体をはってお仕事させていただいている。

また取材だけでなく、夏の炎天下や極寒の空の下での撮影立ち会い、お食事もお茶もなしのエンドレス5時間打ち合わせなどなど、体力がなければとてもできましぇん!と叫びたくなるような案件は、日常茶飯事である。

皆さんの隣人がもしコピーライターだったら、「コピーライターは紙と鉛筆があればできるカッコいい仕事」などとは、どうかおっしゃってくださいますな。

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ちなみに今日はこれからとある劇場へ。
お芝居に出演される俳優さんのインタビューが後日にあるため、事前知識としてお芝居を観ておいてください、というオーダーである。
これは個人的に完璧な興味対象内!なので、嬉々として行ってきま〜す。
こういう楽しいお仕事があるから、つらいお仕事を忘れることができるというわけだ。
もちろん今日の観劇はお仕事でございますわよ。ほほほほ。