徒然なるお仕事

山里の時の流れ【徒然なるお仕事】

先週、ある女性キャスターを取材する目的で、中津川まで一泊旅行に出掛けた。その女性キャスターを出身地である中津川で迎え、懐かしい風景をバックにして話をうかがったのである。テレビで見るままの知的さと、おおらかな親しみやすさに、同性ながらその女性の魅力にすっかり心を奪われてしまった。

お会いして早々にインタビューと撮影が始まった。我々スタッフは総勢7名。それに対峙するのは彼女ただ一人である。普段はインタビューする側の方で、インタビューされる側というのはあまり機会がないはず。しかしながら、さすがに話すことには慣れていらっしゃるので、こちらの質問に対して、わかりやすく丁寧に、ゆっくりとお話くださった。30歳を過ぎたキャリア女性にありがちなのが、用件のみを慌ただしく早口でまくしたてるようにしゃべる癖。まして取材されるともなれば、情熱的に早口で語ったり、或いは質問が難しい場合には考え込んでしまい沈黙が流れる。インタビュアーにとって、沈黙ほど怖いものはないので、その沈黙を消し去るようにインタビュアーは、自らまくしたてて難しい質問を重ねてしてしまうのである。沈黙の蟻地獄はインタビュアー泣かせだ。
その女性キャスターは、質問に対して、あまり間をおかず、沈黙を作らずに、的確な距離感を保ちながらお話してくださった。さらに、こちらがメモをとっているのを知って、メモの速度に間に合うように、大切な言葉はわざとゆっくりと話してくださった。こういう気づかいをしてもらうインタビューは、はじめてだったので、いたく感激して取材を終えることが出来た。


本当に仕事ができる女性って、こういう人のことを言うんだろうなぁ〜。相手のことを気づかい、気づかっていることを悟られないようにさりげなく進行していく。こんな素敵な女性と空間を共にできた幸せを噛みしめながら、山里の夜を楽しんだのである。


インタビューがおこなわれたお宿での翌朝の景色。
雪見障子のような昔の障子越しに、紅葉間近のもみじを発見。
まるで窓を額縁にした日本画みたいだ。


こちらは、エディターのN氏とカメラマンW氏。
キャスター女史が到着する前のロケハンで、
私が女史役になって座っているのを撮影し、絵を決めこんでいく作業中。
ファインダーをのぞいて「ビミョーだなぁ」を繰り返すW氏。
ビミョーなのは私ですか?それとも風景ですかっっ?