えとせとら

ケイコ・リーに秒殺された夜【えとせとら】


ケイコ・リーさんのライブに出掛けた。ケイコさんの地元である名古屋でのライブのセカンドステージは、ケイコさんのお友達や知り合いでほぼ埋まっているからか、会場はあたたかな親近感で充ち満ちていた。こういうの、いいな。ほどなくしてケイコ・リーとジェラルド・アルストンが登場。そして馴染みの名曲「ルート66」が静かに始まる。「ライブが始まったらすぐ秒殺したるでね!」と名古屋弁バリバリでケイコさんが言っていたけど、このことだったのか。♪We will Rock U♪が2曲目。はい、確かに数秒でrock onされました!


今回のケイコさんのパートナーであるジェラルド・アルストンは、マンハッタンズのヴォーカル。昨年発売された「KEIKO LEE sings super standards 2」の中に「You make me feel brand new」が収録されている。ソロで歌っていても、この声を聴いてしまうとマンハッタンズになっちゃうくらい印象的な歌声の持ち主。そのジェラルド・アルストンとケイコ・リーのセッションは、なんと穏やかな愁い、なんと艶やかな妖気。ヴェルヴェットのように柔らかでしなやかなケイコさんの歌声に、ジェラルドのねっとりした深いヴォーカルが見事に溶け合っていく。もし空気に色がついているとするなら、この時の会場は、それは美しい紫色だったんじゃないだろうかと思う。少なくとも私には、紫色のフィルターがかかったステージに見えた。


アーティストというのは人生をそのまま抱えて自分の作品に投影している。この夜のケイコ・リーは、まさに自分の人生をまっすぐに歌い上げていた。それが観客に伝わって来るから、透明なはずの空気が紫色に見えちゃうんじゃないかな。人の心をこんなに満たすことができるなんて、音楽って素晴らしいですね。
かけがえのない時間というのは、いつも短くはかないもの。この日もあっという間に終わりの時がやってきた。数曲あったアンコールのうちの一曲は「卒業写真」。感極まるというのはこういう時に使うんだな、と思ったのだけど、人生を歌い上げたケイコ・リーの「卒業写真」には泣けた、泣けましたー。もうこれは理屈じゃない。私の涙腺は強い力で刺激され、音をたてたかのように涙がぽろぽろと流れていった。


この日ご一緒した方々。澤田晴美さん、サンタマリアノヴェッラの徳田さん、同じくサンタマリアノヴェッラのマーケティングマネージャー野嶋さん、中村千代さん。写真を撮ってて映ってないけど、美人広報こと林美保子さん。どうもありがとうございました。