えとせとら

どんな人に道を尋ねますか?【えとせとら】

今日も地下鉄の出口で道を聞かれた。何を隠そうワタクシ、結構な割合で道を尋ねられるのだ。一週間に最低でも2回。多いと一日に数回声を掛けられることだってある。よほどお人好しに見えるのか、あるいは道を知ってそうなのか、はたまた話しかけやすい顔をしているのか。今日のように自分が住んでいる街で尋ねられるのは教えられるからまだいいとして、見知らぬ土地でも声を掛けられることが多々あり、お断りするのが申し訳なくって困ってしまう。数日前も香川県の琴平駅で「金比羅さんへはどう行ったらええかの?」と腰の曲がったおじちゃんに声をかけられ面食らった。私だって行ったことがないんだから教えられるわけがない。仕方がないので駅員さんに行き方を教えてもらって、おじちゃんに説明し直してさしあげた。京都御所の真横で「御所はどこですかね?」と素っ頓狂なことを聞かれたこともあったし、一番遠い所ではパリの北駅で黒人女性に「バルセロナに行きたいけどオーステルリッツ駅への行き方を教えて欲しい」と頼まれたことがあったっけ。もうこうなると、人種や場所を超えて、どこの国のどの地域に行っても、私は他人に道を聞かれる運命にある、ということになる。きっと能天気な顔をしてふらふらと歩いているので、この人だったらヒマそうだし(当たってるけど)、聞いたら教えてくれそう、と思うのでしょうねぇ。


でもねぇ、世の中そんなに甘いもんじゃないんですよね。人相や雰囲気だけで道を尋ねてはいけない、ということを今日は若者にしっかりと教えてやったので、ここで白状しようと思う。今日の夕刻、地下鉄の出口から外に出た途端、いきなり上から声がした。「●●ビルってどこ?」と。私よりはるかに長身の10代後半とおぼしきニキビ面のチャラ男が道を尋ねてきたのである。しかも横にはガールフレンドらしき女の子を連れていて、またその女の子がチャラチャラした格好をしてケータイをいじっている。その言い方、人に物を尋ねる態度じゃないでしょうが。すみません道をお訊ねしますが、と言うべきでしょうが。なんですか、その横にいる彼女は。ケータイいじってるならケータイで行き先を調べればいいでしょうが。と説教する代わりに、意地悪な私は真反対の方角をその少年に教えてやった。「この道をまっすぐこっちに向かって行けば、右側にありますよ」と。


おそらくそのカップルは延々と目的地を探し、行き着かずに怒りまくり、私の顔を思い浮かべながら舌打ちしただろう。でもね。人に何かお願い事する時はそれ相応の態度で臨まないといけないのだ。そして、人が良さそうに見えても、実は意地悪だということもあるのだから、道ゆく人を簡単に信用してはいけないのである。私のように意地悪じゃなかったとしても、その人の知識や見解が正しいとは絶対に言えないのだから。私は目的地がわからなくなっても、道を尋ねる人は冷静にしっかり選ぶようにしている。ヒマそうで能天気に見える人間には決して尋ねないようにしている。ま、スマホが道を教えてくれるから、意地悪な私が道を聞かれることは少なくなると思いますけどね。