えとせとら

小ママになる夜【えとせとら】


年に数えるほどのこと。とあるお店で、小ママになる夜がある。賢い皆さんはワタクシの性格をよくご存知なので勘違いされることはないと思うが、もちろんクラブやスナックの部類ではない。そう、↑お好み焼き屋さん↑である。けれど、このお店、ただのお好み焼き屋とあなどってはいけない。キョーレツキャラの女将が一人で仕切るカウンターのみの[会員制]なのだ。お好み焼き屋で会員制?と首をひねる向きもあろう。女将いわく、素性のわかった(女将の性格を知り尽くしたという意味の)人しか入れたくないので一見さんは一切お断りなのだとか。女将が会員と認めた人と、その会員が連れて来た人だけが入店を許されるお店だ。ブログはもちろん取材は絶対拒否。店名を掲載するとおそろしい勢いで怒られるのでここでは名前を伏せておく。


店名を伏せたとしても、もしかしたらお好み焼きの写真をこうして掲載することもダメ!というかもしれないので、突如写真が削除される日がやってくるかもしれない。どうぞご了承いただきたい。
私がお邪魔する時は、ほとんどの場合が貸し切り状態なので、女将の仕事量はとんでもないことになる。通常メニューの味噌おでん・お好み焼き・焼きそば以外に、揚げたてをはふはふ言いながら食べるとびきり美味しい串揚げや、すき焼きアレンジの飛騨牛鉄板焼き、日によってはお刺身、野菜を数日煮込んで作るクリームシチュー、特製海鮮サラダなど、材料と手間を惜しまない女将の料理は本当に美味しい。それだけ手間のかかる料理なので、知ったお客にしか作りたくないというのがどうやら本音みたいだ(あ、こんなこと書くとまた怒られちゃうかな)。そして貸し切りの時は、料理に神経を集中しすぎて、女将にはビールやワインをサービスする余裕がない。そういう時に助っ人になるのが私の役目なのだ。普段は触ったこともないビールサーバーを使ってビールをつぎ、ワインを開け、焼酎の水割りを作る。本当はやったことのない仕事でも、完璧主義の女将が安心して料理に専念できるよう、素知らぬ顔して見よう見まねでやってたら、いつの間にか板についちゃったのだ。今では、女将が小ママと呼んでくれるようになった。ハッタリって意外にうまくいくものなんですよ。


俳優の中村繁之さんや      ←楽しいドクターたちと↑

俳優の中村繁之さんや      ←楽しいドクターたちと↑


この女将のキョ−レツキャラは有名で、ハッキリ言って嫌われたらもう大変だ。相手がどんな偉い人だろうと、気に入らなければ出てけ〜!と言われちゃう。反面、人情もろい愛すべきキャラでもあるので信奉者は多い。ただ、冷静に彼女の言っていることを分析すると「うちの料理は私の言う通りに食べて欲しい」という確固たる信念があるので、そのルールを守らない人に対して怒ることがあるのだ。作り手である彼女が一番美味しいと思う方法でお行儀よく食べ、美味しいね〜と言っていれば、何にも問題はおこらないのである。その女将が今迄に語った幾つかの名言があるが、私が一番印象に残っているものを紹介させていただく。「高級店かどうかはお店の価格で決まる。一流店かどうかは風評で決まる。会員制のお店は店主が決めればいい。だからウチは会員制」うーむ、深い。