えとせとら

沼本三郎〜墨で描くパリの光と影【えとせとら】


日本画家・沼本三郎氏の個展が、名古屋・栄のノリタケギャラリーで開催されている。3日から始まっていて、今日やっとお邪魔することができた。沼本先生は、中国の古い墨を用いて、パリの風景を、日本の古い和紙に描く日本画家である。日本と中国の素材を使って題材はパリ、という組み合わせは、日本画のジャンルを超えた新しい分野なのでは?と思っている。
今から12年ほど前、パリのノートルダム寺院を描いた沼本先生の作品をはじめて見た時、これは雨に濡れたパリの風景だ、と思った。からっと晴れた青空のパリもいいけど、雨が降った後、石の建物が水を含んだ湿り気のあるパリの街角が私は好きだ。沼本先生が描く墨絵のパリは、そんな雨後の風景に思えたのである。おそらくそれは、長い年月を経て醸成された中国墨独特の奥深い色合いと、和紙の細かなにじみがそう感じさせるのだと思う。そんな沼本先生の作品にすっかり惚れ込んだ私は、2000年に沼本作品とフランスを題材にした私のエッセイとで企画展を催したことがある。一夜限りのフランス料理店もオープンさせて集いを楽しんだ。


そんな思い出話はおいておき、沼本先生は毎年個展を開催されていて、毎年必ず新しいチャレンジをされている。今年はどんな新作にお目にかかれるのかな?と楽しみにお邪魔したので、ここで会場の様子をご紹介させていただく。


ノリタケギャラリーのゆったりした空間

ノリタケギャラリーのゆったりした空間

日展の入選作品も展示してある

日展の入選作品も展示してある

こちらは小さいサイズのとってもお値打ちなコーナーで必見ですな。

こちらは小さいサイズのとってもお値打ちなコーナーで必見ですな。

これは我が家の玄関に飾ってある沼本作品と同じ題材で、  勝利の女神

これは我が家の玄関に飾ってある沼本作品と同じ題材で、  勝利の女神

今回の新作!パリ祭の夜、花火に囲まれたエッフェル塔

今回の新作!パリ祭の夜、花火に囲まれたエッフェル塔

シャルトル大聖堂とお月様

シャルトル大聖堂とお月様

沼本三郎先生

沼本三郎先生

これは今年の作品の中で私の一番のお気に入り。ルーブル美術館のピラミッドを描いたものだ。実際に目で見る風景とは違って(両翼の建物を接近させて描いているので)、沼本先生によるデフォルメが素晴らしいデザインとなっている。真ん中のピラミッドと空の空気感がとても良くて、左には鳩が飛んでいる。そのあたりのお話を沼本先生にうかがったところ、「ピラミッドという現代建築、ルーブル宮の歴史ある建築、そこに一羽の鳩が飛んでいるのはまさに今の瞬間、その3つの時をひとつの絵におさめたかった」のだそうだ。画家の先生と直接お話しながら鑑賞できるのも、こういう個展の良いところ。もちろん購入することもできるので!皆様是非お出かけくださいませ。鑑賞だけもよし、購入すればもっと良し。日曜日まででございます。
沼本三郎 墨で描くパリの光と影
〜8月8日曜日まで ノリタケギャラリー(中区新栄2-1ノリタケビル1階)
052-973-3480
10:00〜18:00(最終日は17:00まで)