読書する贅沢

中原の虹 浅田次郎【読書する贅沢】

例によって例のごとく、浅田次郎好きなワタクシの最近の2度読みが、中原の虹、であります。NHKで放映されている「蒼穹の昴」の第3弾(第2弾は珍妃の井戸)として、あまたの浅田次郎ファンが望んだ続編である。清国の末期を描いているとあって、蒼穹の昴同様、漢字含有率が高く、人の名前が覚えられなくてごっちゃになりがちなのだけど、それ以上にぐいぐいと惹きつけられる話の展開と、あ〜これとこれがこう結びつくのか〜!という嬉しい驚きが続くこともあり、眠い目をこすって毎夜ベッドで読んでいる。1度目は、とにかく先が読みたいのでひたすらストーリーを追って読み進む。2度目には、一文を噛みしめるように味わいながら読むので、時間がかかって仕方がない。特にこの作家は、漢字に妙なこだわりがあって、今や使用されていないような難しい漢字を積極的に使っているので「なんだこりゃ」「どういう意味なんだろ」などとつぶやきながら読むことになる。いい年したオンナがベッドで一人ぶつぶつ言いながら読書するというのは、あまり褒められた様子ではないと思うものの、本人は至って幸せな時間なのである。


年末から年始にかけても仕事漬けで、毎日PCとにらめっこなのだけど、それもあと数時間でおしまい。明朝からバンコクにひとっ飛びするのだ。仕事は多分朝までかかるので、今夜は眠らずに原稿を書き、明朝に旅の支度をして機上の人となる予定なのだけど、旅のお供に持参するのは中原の虹、と決めている。腫れた目で読み続け、雲上でまぶたが引力に負けた時、本を抱きしめながら爆睡してやるんだ。浅田次郎さん、私ってなかなか良い読者でしょ?