読書する贅沢

永沢君 さくらももこ【読書する贅沢】

日曜日夕方のテレビと言えば、我が家の場合は、17時30分「笑点」、18時30分「サザエさん」である。この2つは子供の頃からずっと好きで見続けているもの。2つの番組の間に国民的人気アニメ「ちびまる子ちゃん」を挟んでいる。ところが、四十オンナにとってのちびまる子ちゃんは、日曜夕方テレビ番組表では、ごくごく新参者なのである。笑点の大喜利で笑った後、ちびまる子ちゃんの放映中は、なんとなく気が抜けた感じで、うつらうつらしていて、サザエさんが始まるとテレビに釘付け、みたいな日曜日を過ごすことにとても小さいけれど確かなシアワセ感を持っている。


というわけで前置きがすっかり長くなってしまったけれど、ちびまる子ちゃんに登場するキャラに大した興味は持っていなかったにも関わらず、本屋さんでこの本を見かけた時に、手に取ってみたくなったのは、なぜなのか。

ちびまる子ちゃんを見たことがある人ならご存知の永沢君。本名、永沢君男。タマネギ頭で、人の顔を見ると毒ばかり吐いている小憎たらしい少年、この本は彼が主人公のマンガなのだ。本屋でこの本が気になったのは、多分、永沢君のシニカルな性格が私と似ていて、お互いに引き寄せたのではないかしら?

ちびまる子ちゃんたちは小学生から中学生となり、中学生になった永沢君を中心にして、彼の個性的な仲間の人間関係を、作者のさくらももこさんが描いた本である。ちなみにまる子ちゃんは登場しない。永沢君をはじめ、ちびまる子ちゃん本編にも確か登場している小杉や藤木といったおなじみ脇役、お嬢様の城ヶ崎さんや野口さんも登場している。

何が面白いって、永沢君と友人達の会話があまりにも絶妙なのだ。
友人が悩みを打ち明けた時、テストの点数が悪くて落ち込んでいる時、永沢君がかける言葉が、シニカルでブラックジョークの極みだ。

子供には読ませたくない、大人だけが味わうことのできる面白み。寝る前のナイトキャップにおすすめの一冊である。