おうちごはん

マンゴーの残香【おうちごはん】

一番好きなフルーツを挙げよ、と言われたら、すかさず「マンゴー」と答える。
もともとマンゴーが大好きで、フィリピンやメキシコの物をオトナ買いするのが、自分で仕事をするようになってからのささやかな楽しみだった。

国産マンゴーの美味しさに目覚めたのは今から9年前。
一部のフルーツショップに、国産マンゴーが登場した頃だと思う。
とあるイタリアンのシェフが「マンゴーがそんなに好きなら、沖縄マンゴーを食べてみるといいよ。値段は高いけど、びっくりするくらい美味しいから!」と教えてくださった。
翌日、教えてもらったフルーツショップで、沖縄マンゴーを求め、完熟した甘さに感激したことを覚えている。

以来、毎年5月から8月にかけては、まるでマンゴーのために仕事をしているかのように、せっせとマンゴーを買って食べている。


沖縄と宮崎を食べ比べてみると、沖縄の方が甘みが強く、ひとつのデザートとして完成されているように思う。中でも、ヤンバルマンゴーの甘みと香りは忘れがたいものだった。
一方の宮崎は酸味と甘みのバランスが素晴らしい。フォワグラなどの料理と組み合わせたり、フルーツドレッシングにするなら絶対に宮崎がいい。
その時のメニューによって、宮崎か、沖縄か、を判断するのが理想的ではあるが、そんな贅沢な食べ方をしていたら、マンゴーでお財布が空っぽになりそうなので、妄想だけで我慢しているワタクシである。


さて、そのいただき方。
個人的なこだわりをここで披露させていただく。
こちらは宮崎マンゴー。右側が上部で、左側が下部である。
木に成っている間に、甘みは引力の法則で、下へ下へと移動する。


こちらが皮をむいたもの。よぉ〜く見ると、右の色が薄く、左の色が濃いことがおわかりでしょう?
当然ながら、下部である左の方が、右よりも甘みが強いわけ。
だから、右から食べ始めて、左でフィニッシュすれば、旨味も甘みも段々濃くなり、マンゴーの美味しさをより堪能することができる。コース料理が、さっぱりした味から濃い味へと変化するのと同じ理屈でございますね。
ちなみにこれはメロンやイチゴなどフルーツ全般に共通することなので、ぜひお試しくださいませ。


その大好きなマンゴーの季節も、もう終わり。
来年までお預けとなる。
マンゴーの甘ったるい残香に、夏が終わる切なさを想うのであります。