一杯の幸せ

中国茶のマリアージュ【一杯の幸せ】


昨晩すっかり痛飲してしまい、完全なる二日酔い状態でうかがった「ロ・ヴー秋茶会2013」。貴重なお茶席にお酒の匂いぷんぷんさせてしまって、岩崎さん、小池さん、スミマセン・・・(涙)。
ロ・ヴーといえば中国茶専門店として全国的に有名なお店。毎年この季節に、貴重な中国茶とお菓子、そして音楽や器をしつらえて、秋茶会を開催されている。今年のテーマは、唐代双璧の詩人である李白と杜甫の深い友情から生まれた「渭樹江雲」。遠く離れた友への想いを託した言葉なのだそう。そして偉大な二人が同時代に出逢ったのは、陰の月と陽の太陽が一度に現れたかのような奇蹟でもあるため、茶席は「陽」と「月」の2席がしつらえてあった。



こちらが広間でおこなわれた
「陽」のお点前。


お茶/白茶餅老茶(白牡丹)
お菓子/秋の切り株 さつまいものブリュレ
3年熟成の茶葉を直前に焙じてからいれる。柿渋のような味わいが印象的で、岐阜の柿羊羹を思い出してしまった。




「陽」の茶席
床の間のしつらえ。


こちらが立礼席でおこなわれた
「月」のお点前。
音楽は予想通りにドビュッシー「月の光」!


お茶/武夷岩茶(高山奇蘭)
お菓子/マロン風味のリンツァートルテ
香りの高さがとても印象的で、
聞香杯を何度も振ってはその変化を楽しむことができた。


李白と杜甫は、人生でもっとも楽しい時間を共に過ごし、互いを尊敬しあっていたのだとか。別れの時が近づいた時は、何日にも渡って別れを惜しみ、お酒を酌み交わしたのだそう。もし私が、大切な友と別れなければならなくなったら、どんなお酒を飲むのかな、どんな時間を過ごすかな。友と別れる寂しさをしばし空想しながら、秋の茶席を後にした。「李白はお酒と月をこよなく愛し、舟に乗っていた時に酔って水面に映った月を取ろうとして舟から落ちて溺れて亡くなったという伝説がある」とパンフレットに書かれていた。お酒くさい私にとっては、まさに慰めの言葉。今まであまり馴染みのなかった李白さんに、今日からちょっぴり親近感を持つことになった。
こんな二日酔いの私にもかかわらず、「月」でも「陽」でも、正客席をいただいてしまいました。ホントにかたじけない。岩崎さん、小池さん、ロ・ヴーの皆様、今日はありがとうございました。