一杯の幸せ

これ血筋なり【一杯の幸せ】

先日、叔母から一枚のハガキが届いた。
どうやら絵手紙を習っているらしく、
ふぐの絵が描かれたなかなか可愛らしい手紙である。
短い単語と絵から、あの夜の楽しい思い出が鮮やかに蘇った。


あの夜とは、我が親戚の集いである。それは祖父母が亡くなってから自然に始まった会で、母の兄弟3人がそれぞれの連れ合いと共に合計6人で飲んで騒いで楽しむ「兄弟会」を年に数回催している。今回の兄弟会は、私の大好きなふぐ料理屋さんで開催するとあって、私やいとこが特別参加させてもらったのだ。この兄弟会、叔父叔母全員が既に60を軽く超え、70代やジャスト80歳がいるにも関わらず、そのお酒の量たるや、驚くべきものなのだ。最初にビール5本をオーダーし、ビールをついだと思ったら、すぐ次の瞬間に「ひれ酒8杯!」。やっとこさ、ひれ酒が来たかと思った瞬間に今度は「次ぎ酒5本!」。運んでくださるお姉さんもビックリ仰天である。


確かにここのひれ酒は格別に美味しいんでございます。
なにしろ、5年間熟成させたひれを使っているので、
味になんとも言えない深みがあるのだ。
ぐいぐい呑んでしまう気持ちは分かるんだけどね。


飴色のてっさも、醤油焼も唐揚げも、白子も、くちばしも・・・書いているだけでまた記憶が蘇ってきてしまった。どれもこれも美味しかったデス。


そしてこの日のメンバーのうちの5人が1月生まれ、1人が2月生まれなので、バースデーケーキに6人の名前を入れてもらってお祝いした。(自分の名前の入ったケーキを自分で買ったのはワタクシはじめてでございました、ハハハ)


そしてケーキのお供はお茶ではなく、なぜか日本酒。我が身内ながら、この人たち、ホントにすごいです。従姉妹がお化粧室に中座した時、お部屋の横には、まるでボーリング場のピンのようにずらりと並んだビール瓶があったそう。お店の方々、本当にビックリさせて申し訳ございませんでした。おまけに女将からは、直々に食べさせてもらう例の「あ〜ん」をしてもらって喜んでる叔父がいたりで、はっきり言ってただの酔っぱらい集団である。


怒濤のふぐの会の後、週が明けて、4月から名古屋で大学院生となる姪っこアユミが新居を探すためにやって来た。甥っこノゾムと共に3人で、おなじみ和蕎楽へ。相変わらず何を食べても美味しかったのはいいんだけれど、ノゾムは和蕎楽の美人女将の恵子さんにゾッコンになるし、ノゾムもアユミもお酒はよく呑むし食べるし。あれ〜?、これ先週も同じような光景を見たなぁ。なんだったっけ?と思い出してみたら、それはくだんの「ふぐの兄弟会」だった。


そうなんです、やっと気づきました。食事するのが大好きなのも、お酒をたくさん呑んでいろいろしでかすのも、これみんな”血筋”なんでございます。DNAってやつですな。これからお酒をいただく時は、良くも悪くも、我がDNAをしっかり認識していただくことにいたしまする。


DNA話とは無関係ですが、こちらは別のメンバーで、同じくふぐ屋さんに行った時にいただいたワインたち。95年の横飲みで、どちらも秀逸な味わいだった。個人的には、ポン酢との相性でニコラ・ジョリーさん万歳かな。ふぐにはシャンパン、とおっしゃる方が多いそうですが、こういう白ワインでふぐをいただくと、あまりのドンピシャ度に驚かれますよ。是非お試しあれ。