一杯の幸せ

美味しいワインは2度香る【一杯の幸せ】

怒濤の忘年会ウィークが過ぎ、首までアルコール漬けになったまま、また新しい週があけた。せっかく首まで漬かったのだから、いっそのことアルコール漬けになってどこかの化学実験室にでも飾ってもらおうかしら。

ところで、いきなりですが、少々シモネタを失礼いたします。

美味しいワイン、特にシャルドネ種で作られ熟成した白ワインを飲んだ後、数時間後あるいは翌朝に、自然の導きにより体から液体を排出する時、シャルドネ種独特のナッティな香りを感じることはございませんか?

ご不浄で自らの香りを嗅ぐなんて!とお思いでしょう。でも是非一度お試しになってみてください。シャルドネ種に由来する熟成香は、体を通過した後でも香しさを残しているのです。

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そのことを久しぶりに体感する夜が先週末にあった。とある場所にて、とあるメンバーとさんざんワインを飲んだ後「今からシャンパーニュのブラインドやるよ」の一言が。


卓を囲んだのは(実際には横並びだけど)このメンバー。
私以外のお三方は皆ワインのプロフェッショナルだ。
ブラインドなんて当たるわけないじゃん、とぶつぶつ言いながら
手元のグラスを引き寄せると、
なんとも言えない香しさが鼻をくすぐるではありませんか。


うっとりする香りに吸い寄せられるように一口いただく。
すると今度は熟成したシャンパン独特のお漬け物系の味わいが舌上に。
さて、これどんなシャンパーニュでしょう?
私の浅い経験では「AYのあたり?」としか答えられない。


答はこちら。MOËTだったのでございます。しかも80年代。正直申し上げて、モエシャンドンって「ちゃらけたシャンパン」くらいにしか思っていなくて(関係者及びモエ愛飲者の方々、大変ご無礼いたしました)熟成したモエがこんな味わいになるなど、露程も思っていなかった。この右奥にある瓶は同じくモエの70年代で、この日はお預けとなった。エチケットが禿げはげでいわくありげ。


隣にいたワインのプロフェッショナルの説明によると、結局はシャルドネ種が熟成するとこういう味わいになるのだそうだ。故に、シャルドネ種に由来する熟成味なのだと。ふ〜ん。ということは、久しぶりにあの熟成香がご不浄で香るはず・・・と密かに心躍る私。
翌朝、ご不浄にて鼻をくんくんしたのは言うまでもない。決して変態ではございませんが、美味しいワインは2度香る。これ本当です。