着物だいすき

あやめ柄の着物【着物だいすき】

ちょうど一年前、シャンパーニュ騎士団による騎士叙任式と記念晩餐会が日本橋のマンダリンホテルであり、それに出席する栄に浴した。もちろん私が叙任されたわけではなくて(叙任してもらってもいいくらい大量のシャンパンは呑んでますけどね)、叙任式を傍観し晩餐会に無理矢理おしかけた向きである。その時、五月の正式な場所に出席するのに、着物は袷か単衣かでかなり悩んだ。(その時のことをこのコラムでも書いた)この季節にぴったりのあやめ柄の着物はあるが単衣である。五月は正式な着物のルールだと単衣ではなく袷なので、はたしてどっちを着ていくべきか???であった。ちなみにドレスコードはブラックタイ。結局、涼しげに粋に、あやめ柄の単衣を選んだわたくし。結果として会場にはイブニングドレスあり、振り袖あり、袷あり、しかもうさぎとススキ柄といった秋模様の方もいたりして、むしろ季節にピッタリの着物を着ていたのは私だけ(えへへ)だったので、誇らしげな気持ちになったことを覚えている。晩餐会には芸能人や文化人も多く出席されていたので、実際のところ会場では、うわー川島なおみの足きれい〜、知花くららってキリンみたいに背高いっっ・・・などとナマ芸能人にミーハー心を刺激されてましたけど(しかも同じテーブルでは辰巳琢郎さんがご一緒でしたし・・・苦笑)。


先日、東山植物園で、美しく咲き誇るあやめを観たので、
根津美術館で修復された尾形光琳の燕子花図が公開されてるな〜とか、
一年前、あやめ柄の着物にするか悩んだな〜などと思い出していたのだ。
下の写真と見比べてみると、着物の柄って、自然の風景をきれいに切り取ってデザインしているということが、よく判りますよね〜。


一年前の晩餐会に着たのは、このコーディネイトでした。
あやめの着物(単衣)に、蝶の柄の帯。
紫の帯揚げに、白の帯締め。
お扇子は蝶が抜き型になっていて中から紫が見えている、
京都・宮脇さんの物。


それでもって、帯留めに、ぶどうの形をしたパールのブローチをセレクト!晩餐会の前日にたまたまヘアメイク&着付けの服部小百合嬢とランチをし、明日のコーディネイトどうしよ〜と相談したところ、彼女が「せっかくなら帯留めにブローチとか使ってみたらどうですか?」と教えてくれたのである。ぶどう形のブローチがあることを思い出し、帯の上にのっけてみたら、なかなかトレビアンな感じになった。しかもシャンパン騎士団の晩餐会だから、ぶどう形というのはバッチリな選択である。案の定、会場ではシャンパーニュ騎士団の騎士のおじさん達がぶどう形に反応してくれたので、あやめはフランスのアイリスの仲間だということ、今日はシャンパンの会だからぶどうのブローチを帯留めに選んだことを説明した。私の説明を理解したかどうかは微妙だったけど、とにかくカンパ〜イという感じで、共に肩を組んでシャンパンを飲み干した。それにしても、女性が着ているものをまず褒める、というのはさすがラテンのフランス人。一生懸命考えてドレスを選んでいる女性にとっては、たとえお世辞と分かっていても嬉しいもんですなぁ〜。日本の男性もちょっと見習って欲しいところであります。


それでもって、ブローチを帯留めに早変わりさせる必殺技をお教えしましょう。ブローチは普通横向きに留め金が付けられているので、それに帯締めを通そうとすると、ブローチが横を向いてしまう。ところがちょっとした小技で帯留めに変身させることができるのだ。もちろん、ブローチを帯留めに変身させる留め具が市販されているので、お財布に余裕のある方はお買い求めください。秘密の早業は、前述の服部嬢(って嬢って年でもないけどね)から教えてもらった技でございます。まず、帯締めの真ん中あたりに輪ゴム2つくらいをぐるぐる巻きにする→ぐるぐる巻きが帯前に来るようにして帯締めをしめる→着付けが仕上がったらブローチを輪ゴム部分に留める。簡単でしょ〜?さすが、撮影用の着付けを仕事にしている人の知恵である。これならいろんなブローチを帯留め代わりにして楽しめそうだ。これからユカタシーズン到来なので、皆さんどうぞお試しになってくださいませ〜!